人が亡くなったとき、その遺産を相続できる人のことを「法定相続人」といいます。誰が法定相続人になるか?は、法律でルールが決まっています。
・私は相続人なのだろうか?
・相続手続きのために、誰のハンコをもらえばいいの?
そんなお悩みにお答えするため、法定相続人の決め方について解説していきます。
このページの目次
配偶者は、必ず相続人!
まず、配偶者は、どんな場合であっても必ず相続人になります。夫婦のきずなと言うのは深いもので、法律も夫婦関係は最重要視しています。
少し注意なのは、ここでいう配偶者とは、あくまで「亡くなった時点で」戸籍上の配偶者だった人のこと。離婚した元配偶者(元夫、元妻)や、籍を入れていない内縁の配偶者 などは対象外ですのでご注意ください。
また、結婚後の期間は関係ありません。極端な話、結婚して1週間後に夫が亡くなれば、妻は相続人になります(籍を入れてから遺言書を書かせ、その後・・・そんな怖いテレビドラマもありました。)
配偶者は必ず相続人になる。ぜひ知っておいてください。
第1順位の相続人は、子ども
第1順位の法定相続人は、子どもです。
たとえば、両親と長男、長女の4人家族のケースで、お父様が亡くなったとき、相続人になるのは
- 配偶者である妻
- 子どもである長男、長女
の、合計3人になります。
離婚した前妻の子がいる場合
前妻の子であっても、血がつながっている以上、相続人になります。前妻は相続人にならないのですが(お父さんがなくなった時点で配偶者ではないから)、要注意です。場合によっては、お父さんが亡くなってから判明する、いわゆる「隠し子」の事例も、実務では割とよく経験します。
生前に交流の無かった異母兄弟どうしで協議を進めることになる訳ですが、協議をまとめるのが難しい事例の1つです。
第2順位は、親
亡くなった方に(生涯)子どもがいなかった場合は、故人の親が相続人となります。 このケースは、子どもが病気や不慮の事故などで先立ってしまう悲しいケースや、親が100歳を超えるような長寿の方であるような場合です。実務上は、あまり多い事例ではありません。
第3順位は、兄弟姉妹
(生涯)子どもがおらず、既に親も亡くなっているという場合、兄弟姉妹が法定相続人になります。
きょうだい相続のケースは増加傾向。手続きが複雑になりがち
これは実務的にはよくあるケースであり、かつ相続手続きが複雑になりやすい典型例です。
上図のケースでは、故人の妻と、(妻から見れば)義理の兄弟姉妹とが遺産分割協議をすることになります。実際には、被相続人の兄弟姉妹が複数人いて、全員で話し合いをまとめるのが難しい相談例が、最近増えてきているように感じます。
遺言書がない場合、相続手続きを進めるには兄弟姉妹全員からハンコ(実印)をもらう必要があるのですが、1人でも連絡が取れなかったり反対されたりすると、家庭裁判所での調停など、相続手続きはかなり長期化・複雑化します。 子どものいらっしゃらないご夫婦の場合、遺言書など生前対策が特に重要となります。
まとめ
法定相続人の決め方についてご説明してきました。
・配偶者は、必ず相続人になる
・第1順位は子ども、子どもが(生涯)いなければ親、親もいなければ兄弟姉妹
・兄弟姉妹が相続人になるケースは、ハンコをもらう等の手続きが複雑になりがち
というのが基本的なルールです。
これ以外にも、たとえば親より子が先に亡くなっているが孫がいる場合など、複雑なケースにおける法定相続人の決め方に関するルール(代襲相続といいます)がありますので、そちらは次回以降にご説明したいと思います。