生前対策について相談したい方へ

生前対策について相談したい方へ

当事務所では生前対策についてのご相談も多く承っております。

ひとことで生前対策と言ってもさまざまな種類があり、何に備えたいのかによって取りうる手段は変わってきます。

ここでは、相続対策、相続税対策、認知症対策、終活など、考えられる生前対策の概要についてご説明します。

1 相続対策

相続対策でまず最初に考えるべきなのは、ご自身の相続をどうしたいのか、具体的にはご自分の財産を相続人にどう相続させたいのかという方向性です。ご相談者によくお話するのは、「法律とか税金のことは気にせず、まずご自身の正直なお気持ちを聞かせてください。

お気持ちに沿って相続した場合のシミュレーションをしてみて、もし相続税とか遺留分などで問題が出てくるようであれば当事務所がご提案やアドバイスをしますから、まずはご自身の想いをお話しください」ということです。

相続対策は、争続対策(円満相続の実現)と、相続税対策の2つに分けられます。

(1)円満相続のための対策

・遺言書作成

遺言書作成のメリットなど別の記事でご説明していますが、もめない相続を実現するためには、遺言書を作成しておくことがとても有効です。遺言書があれば相続人による遺産分割協議は不要であり、基本的には遺言書に書かれたとおりに相続することになるからです。

・遺留分対策

一部の相続人に財産の大部分またはすべてを相続させる遺言を書いた場合、あるいは多額の財産を生前贈与をしていた場合には、遺留分対策を検討しておく必要があります。 

たとえば相続人になるのが長男と二男の2人というケースで「長男に100%の財産を相続させ、二男にはなにも相続させたくない」というご要望があるかもしれません。これが正直なお気持ちなのであれば、このように遺言書を書くのも1つの選択です。

ただ、上記のような遺言書だと二男に遺留分があるので、もし遺留分侵害請求をされたときは長男が一定の金銭を支払わなければなりません。特に遺産の中に金融資産(現預金など)が少ない場合は、遺留分支払いの手当てを検討する必要があります。

(2)相続税対策

・生前贈与

生前に子どもや孫へ財産を贈与することにより相続税の課税対象を減らし、結果として相続税の節税につながります。

毎年コツコツと110万円(非課税枠)の暦年贈与をしたり、相続時精算課税制度や住宅資金贈与など贈与税の特例を利用することで一気に財産を贈与してしまう方法もあります。相続税の税率が贈与税の税率より高いと思われる場合は、あえて贈与税を払ってでも高額の生前贈与を行うスキームもあります。

贈与したことの証拠として、贈与契約書の作成、不動産の贈与の場合は所有権移転登記をする必要があります。

・生命保険の利用

もっとも手っ取り早い相続税の節税方法といえます。

生命保険金については、相続税計算上の非課税枠があります。具体的には法定相続人の人数×500万円が非課税になります。

たとえば法定相続人が3名の場合、現金で1500万円の遺産があると相続税がかかりますが、これを生命保険金の形で受け取れば1500万円分は非課税の扱いとなります。

・相続税の試算

さまざまな相続税対策を行うには、そもそも相続税がかかるのか、かかるとしてどれくらいの税額になりそうなのかをまずシミュレーションされることをお勧めします。当事務所では提携している相続税・贈与税に強い税理士をご紹介しております。

2 生前の認知症対策

(1)家族信託

最近マスコミ等でも注目されている家族信託は、認知症対策として有効な方法といえます。

認知症になると預金口座が凍結されたりご自身で不動産売却ができなくなってしまいます。施設入所費用を捻出しようと思ってご自宅を売却しようと思ってもできないのです。

信託契約という契約によって信頼できる家族に財産を託することでこうした事態を回避することができます。いざご自身が認知症になった場合も、託された家族が信託契約の内容に従って財産管理(不動産売却やお金の管理など)をしてくれます。

このあとご説明する後見制度に比べて柔軟性があるなどメリットが大きい一方、信託契約の内容が他の制度に比べてやや複雑です。家族信託を利用される場合は司法書士など専門家の関与が必須と言えます。また、信託契約は認知症になる前に行う必要がある点も要注意です(認知症になってしまった後は契約行為ができないため)。

(2)成年後見

成年後見は、認知症などによって判断能力が衰えてきた方を保護するための制度です。本人の判断能力が低下してしまった後に利用します。

家庭裁判所が成年後見人を選任し、その成年後見人が本人のために財産管理(生活費や施設費、医療費などの支払い)、身上監護(介護サービスの申込や施設入所契約、入退院手続きなど)を行います。

裁判所の管理下で財産管理を行いますので、どうしても柔軟な財差管理ができなくなるというデメリットはあります。

3 終活

(1)終活とは

少子高齢化、核家族化がすすむ現代社会において、周囲に迷惑をかけずに人生を終わるための準備をしたいというご要望をお持ちの方もいらっしゃると思います。こうした準備行為のことが終活と呼ばれるようになり、ブームになっているようです。

具体的には、身の回りのモノの整理(断捨離)や葬儀やお墓の準備など多岐にわたります。もちろんすでにご説明した相続対策もこれに含まれます。書店に行くと「エンディングノート」が平積みされており、こうしたエンディングノートにご自身の要望を書いて信頼できる人に託す方が増えているようです。

 

(2)終活の内容

・葬儀、お墓の準備

どのような葬儀にしてほしいか、葬儀に誰を呼んでほしいか、どこのお墓に入りたいかなどです。これは個々の価値観や宗派などによって本当に様々だと思います。

コロナ禍の影響もあってか、家族だけで執り行う家族墓などいわゆる「小さなお葬式」も増えているようですし、身寄りのない方、お墓の維持が難しい方などは自然葬、永代供養墓、合同墓といった形態を希望されるケースもあります。

・葬儀費用の準備

別の記事でもご説明しておりますが、亡くなったことが銀行に知られると被相続人の預金口座は凍結されてしまいます。すると、葬儀を執り行う相続人は葬儀費用を被相続人の口座から引き出せないことになる訳ですが、葬儀費用は高額になるため、相続人が自分の財布から支出する(立て替える)ことは簡単ではありません。ご自身の葬儀に関するご要望とともに、葬儀費用の準備もしておくとよいでしょう。

葬儀費用の準備には、生命保険を利用すると便利です。凍結されて引き出すのが困難な預金と異なり、亡くなったあと比較的すぐに保険金を受け取ることが可能です。

・自分らしく生きるお金の算段

葬儀やお墓など亡くなった後のことばかりでなく、ご自身が自分らしく生きるためのご希望も考えておきましょう。いわゆる2000万円問題として話題になりましたが、少子高齢化により年金額が減少傾向にあり、老後に生活するには一定の資金が必要です。

できる限り働いて給与収入を得る、投資してリターンを得る、家計の見直しなど資金を確保するためのシミュレーションをしつつ、ご自分の生活や旅行、趣味などにどれくらいのお金が使えるのかを検討していきましょう。

・医療、介護の希望

生前に自分らしく生きるためにもう1つ重要なのが医療、介護についての方針を考えることです。どのような医療介護サービスを受けたいのか、万一の時の延命治療をするのか否かなど、あらかじめ意思表示をしておくことが大切です。こうした意思表示をしておくと、医師が治療方針を決める上で有力な判断材料になります。逆にこうしたご希望が無いと、医師やご家族が困ってしまうかもしれません。


4 生前対策を始める時期

いつから生前対策を始めたらよいですか?私の年齢ではまだ早いですか?というご質問もよくいただきますが、これはずばり「思い立った日から生前対策を始めましょう!」とお答えしています。生前対策は元気なうちに、がセオリーです。

というのも、上でご説明した遺言書、生前贈与、家族信託の法律行為などは、認知症になった後は有効にすることができません。認知症になると選択肢が法定後見のみになってしまい、有効な生前対策ができなくなる恐れがあります、認知症は突然罹患するケースもあることから、お早めの対策をするに越したことはありません。

また、終活についてもご自身の希望を正確に伝えるには元気なうちにしておくべきです。

5 まとめ

以上、さまざまな生前対策についてご説明してきました、

生前対策をしておくことで、残された相続人が揉めることなく仲良く暮らしていけたり、ご自分の思うとおりに遺産相続ができたり、相続税の節税ができたり、認知症になった時の備えができたりと、メリットはたくさんあります。そして何より、残された人生を自分らしく生きることができる。「自分らしく」とはいったい何なのか?を見つめ直すきっかけにもなると思います。

生前対策についてご相談がありましたら、ぜひ経験豊富な当事務所の無料相談をご利用いただければと思います。


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