相続放棄について

1 相続放棄とは

相続放棄とは、法定相続人が、被相続人(亡くなった人)の遺産を一切受け継がないことをいいます。

相続人は、相続によって被相続人のプラスの財産(預貯金や不動産など)とともにマイナスの財産(借金など)を引き継ぐことになっています。プラスの財産だけ引き継いで借金は承継しない、ということはできないのです。

被相続人が多額の借金を残して亡くなった場合、何もしないと、相続人が借金を引継ぎ、被相続人の代わりに返済義務を負うことになってしまいます。借金を引き継ぎたくない場合に有効な手段が「相続放棄」です。相続放棄をすれば、被相続人がしていたあらゆる借金は一切払わなくてよくなります。銀行、サラ金、友達、連帯保証人、未払税金、保険料…どこから借りていたかに関係なく、払わなくてよくなります。

この相続放棄をするためには、家庭裁判所での手続きが必要になります。また、相続放棄手続きには注意点も多くあり、万一家庭裁判所で相続放棄が認められないと大変なことになってしまいます。この記事では、相続放棄についての流れや注意点をご説明します。

2 相続放棄をする方法

(1)家庭裁判所へ書類を提出する

管轄の家庭裁判所に、戸籍謄本等を添付して「相続放棄申述書」という書類を提出します。

当事務所へご依頼いただいた場合、詳しくお話をお聞きした上で当事務所が確実に相続放棄申述書の作成を代行します。

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(2)裁判所から照会書が届く

家庭裁判所から相続放棄の申述人へ、A4で2~3枚の照会書が送られてきます。

この照会書には、およそ10個くらい家庭裁判所からの質問が書かれており、これに回答する形になります。「はい、いいえ」で選ぶものもあれば、自由記述の質問もあります。

この照会書の書き方は、相続放棄手続きの中でもっとも重要といえます。書き方次第では、相続放棄が認められないことさえあるので要注意です。

当事務所では、照会書の書き方について詳細にアドバイスしながら、二人三脚で一緒に作成していきます。

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(3)相続放棄受理通知書が届く

照会書を返送してから1~2週間で、相続放棄申述受理通知書という書類が裁判所から届きます。これで、相続放棄が認められたことになります。

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(4)相続放棄受理証明書 を家庭裁判所から発行してもらう

「相続放棄受理証明書」を、家庭裁判所から取り寄せます。150円の収入印紙がかかります。

(3)の「相続放棄受理通知書」と書類の名前が似ているので間違えやすいのですが、銀行や不動産の相続手続きでは「通知書」は使えず、「証明書」の提出を求められます。

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(5)債権者へ、相続放棄したことを通知

必ず必要な手続きという訳では無いのですが、債権者に対して相続放棄受理証明書のコピーを送り、「相続放棄しましたから、私には請求しないでくださいね」と通知しておくと、後のトラブルが防げます。

当事務所では、こちらの通知を代行するサービスも行っております。

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(6)後順位の相続人へ、相続放棄したことを知らせる

これも必ず必要な手続きという訳では無いのですが、後順位の相続人に対して、相続放棄したことを報告するとよいでしょう。あなたが相続放棄をしたことによって、新たに法定相続人になる親族がいる可能性があります。

3 相続放棄申述に必要な書類

  1. 被相続人の除籍謄本
  2. 被相続人の住民票または戸籍附票
  3. 申述しようとする相続人の戸籍謄本
  4. 収入印紙800円
  5. 郵便切手(裁判所により異なりますが、だいたい500円分)

*被相続人の直系尊属(親など)、兄弟姉妹が相続放棄しようとする場合は、追加の戸籍謄本が必要です。詳しくはご相談ください。

4 相続放棄の注意点

(1)マイナス財産を負担しなくて済むが、プラスの財産ももらえない

相続放棄が認められると、その人は相続人でなかったものとみなされます。相続人でないので、遺産分割協議にも参加できないのはもちろん、プラスの財産が見つかったとしても相続することはできません。相続放棄にあたっては、被相続人の財産をよく調査する必要があります。

(2)家庭裁判所への申述は3ヶ月以内にしなければならない

相続放棄手続きには3ヶ月以内という期限があります。うっかり期限を過ぎてしまうと大変なことになりかねません。相続放棄の重要な要件になりますので、詳しくは「相続放棄の期限について」でご説明します。

(3)相続放棄申述手続きできるのは1度だけ

相続放棄申述手続きができるチャンスは1回限りです。申請書類などに重大な不備があり万一家庭裁判所で相続放棄が認められないと、もうやり直しはできません。

裁判所での手続きですので、正確な書類作成を行う必要があります。

5 相続放棄をしないとどうなるか

期限内に相続放棄の手続きをしないと、被相続人の遺産をすべて相続することになります。原則どおり、プラスの財産もマイナスの財産もすべて引き継ぐことになります。借金が多い場合、原則として被相続人にかわってその返済をしなければならないことになります。

実は、サラ金業者等は、相続人が相続放棄をしたかどうかを家庭裁判所に確認することができるのです。相続放棄をしないまま3ヶ月経過すると、相続人のもとにサラ金の督促状が必ずきます。サラ金以外にも、税金や社会保険料などの滞納がある場合は役所からも通知が届きます。

仕事が忙しくてうっかり手続きを忘れていた、などという言い訳は認められません。相続放棄には戸籍収集など一定の準備が必要で、3ヶ月というのは意外とすぐに経過してしまいます。そのようなことにならないためにも、正確かつスピーディな手続きが求められます。

6 相続放棄手続きは司法書士にご相談ください

相続放棄の流れや、相続放棄をしない場合やできなかった場合のリスクについてご説明しました。

繰り返しになりますが、相続放棄手続きに求められるのは正確さとスピードです。裁判所に提出する書類の作成や、その前提となる戸籍調査、財産調査に慣れていないと、内容不備や期限切れで相続放棄が認められず、結果として思わぬ借金を背負うことになりかねません。

当事務所では、数十件を超える相続放棄手続きの実績があり、認められなかった例は1件もありません。相続放棄はその結果によって人生が左右されかねない非常に重要な決断ですから、確実に認められるためにも、経験豊富な司法書士にぜひご相談いただければと思います。


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