死後事務委任についての記事でもご説明したとおり、死後事務委任はご自身の亡き後の葬儀納骨や支払い、役所への届出などさまざまな手続きを司法書士などの第三者に代行して行ってもらうものです。お子様など身近な親族がいらっしゃれば通常はそのような親族の方がしてくれる事務なので、わざわざ死後事務委任契約をする必要はないと思います。
では、どのようなケース死後事務委任が必要になるのでしょうか。死後事務委任おすすめするケースをいくつかご紹介します。
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死後事務委任をおすすめするケース
(1)おひとりさま、あるいは身近にたよれる親族がいない方
内閣府の公表している「高齢社会白書」の「高齢化の状況 家族と世帯」の統計によると、65歳以上の一人暮らしの方は男女とも増加傾向にあり、割合としては65歳以上人口の25%程度を占めるそうです。
このような、身近に親族がいないいわゆる「おひとりさま」の方、または子どものいないご夫婦などは、自分が亡くなったら葬儀や埋葬、家財の処分、役所の手続きなどはいったい誰が行ってくれるのだろうとご不安をお持ちではないかと思います。
「おひとりさま」をはじめとして、死後事務を行ってくれる親族の方が思い当たらないという方には、死後事務委任が大変有効といえます。
(2)身近に親族はいるが高齢で、死後事務をしてもらうのは難しい方
お子様がいらっしゃらず頼れるのは兄弟姉妹のみという方も多いと思います。ただ兄弟姉妹はご自身と同様に高齢になっていきますし、またお住まいも遠方というケースもあるかもしれません。結果として、なかなかご自身の死後事務をお願いしにくいのではないでしょうか。このようなケースでも、死後事務委任の活用が有効です。
(3)内縁関係にある方
何らかの事情で法律婚ではなく内縁関係を選択されているご夫婦や同性カップルの方にも、死後事務委任をおすすめします。現行法上は法律上の親族関係がないため、役所への届出など手続き上何かとご苦労されるケースが多いと思われるためです。
(4)海洋散骨や樹木葬などをご希望される方
最近、火葬後の遺骨をお墓に埋葬する従来の形式ではなく、海洋散骨や樹木葬という形をご希望される方が増えています。こうしたご要望は、時として周りの親族の方に理解を得にくいということがあるかもしれません。ご自身の希望にそったご葬儀や埋葬をしたいという方には、葬儀や埋葬に関する死後事務委任をしておくことをお勧めします。