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【川崎市・実例】親の車、相続でこんなお悩みありませんか?
ご家族が亡くなられた後の手続きは、不動産や預貯金だけでなく、一台の車であっても悩みの種になることがあります。特に川崎市のような都市部では、車は必要だけれども、その価値が低い場合、手続きの煩雑さばかりが目立ってしまうかもしれません。
先日、まさにそのようなご相談が寄せられました。川崎市にお住まいのAさんは、お母様の相続手続きを進める中で、一台の軽自動車が残っていることに気づかれたのです。
「査定してみたら、価値は5万円ほどでした。相続人は兄と私の2人なのですが、このために本格的な遺産分割協議書まで作る必要があるのでしょうか?」
さらに、Aさんのお悩みはそれだけではありませんでした。実は、以前に亡くなられたお父様名義の普通自動車も一台あり、こちらは車検証の住所が古いままだったのです。
「軽自動車と普通車で手続きが違うなんて、まったく知りませんでした…」
Aさんのように、車の価値は高くないのに、どう手続きすればよいか分からず、不安を感じている方は少なくありません。この記事では、行政書士として、そうしたお悩みを一つひとつ解きほぐし、あなたが今すべきことを具体的に解説していきます。
まず知るべき「放置」の2大リスク|なぜ手続きが必要なのか
「価値も低いし、しばらくそのままにしておいても大丈夫だろう」…そう思われるかもしれませんが、実は亡くなった方の車を放置することには、無視できない2つの大きなリスクが潜んでいます。なぜ、少し面倒でも手続きを急ぐべきなのか、その理由をしっかり理解しておきましょう。相続手続き全体の流れについては、【川崎市】相続手続きの窓口完全ガイド|専門家が管轄を解説でも体系的に解説していますので、併せてご覧ください。

①自動車税の納税義務は止まらない
最も直接的なリスクが、税金の問題です。自動車税(種別割)は、毎年4月1日時点の登録名義人(所有権留保の場合は使用者)に対して課税されます。所有者である親御さんが亡くなられた場合でも、未納の税金等があるときは相続人がその支払債務を承継するため、名義変更や廃車などの手続きを早めに進める必要があります。
つまり、廃車や名義変更の手続きをしない限り、乗っていなくても毎年納税通知書が届き、不要な税金を払い続けることになります。もし通知書に気づかず滞納してしまえば、延滞金が発生する可能性も。これは、空き家の放置と同様に、所有しているだけで金銭的な負担が生じ続ける状態といえるでしょう。
②故人名義のままでは売却も廃車もできない
「いつか売るか、廃車にすればいい」と考えていても、法的な壁が立ちはだかります。車の所有権が亡くなった方の名義のままでは、相続人が勝手に売却したり、解体業者に廃車を依頼したりすることは法律上できません。
結局、いざ処分しようと思った時には、相続人への名義変更という手続きが必ず必要になります。時間が経てば経つほど、他の相続人との連絡が取りにくくなったり、必要な書類が見つからなくなったりと、手続きはより複雑化する一方です。問題を先送りにしても、何のメリットもないのです。
相続する車の「廃車or名義変更」手続き完全ガイド【川崎市版】
では、具体的にどのような手続きが必要なのでしょうか。ここで最も重要なポイントは、「普通自動車」と「軽自動車」で手続きの窓口も必要書類も全く異なるという点です。ご自身のケースがどちらに当てはまるかを確認し、正しい窓口へ向かいましょう。
【普通自動車の場合】運輸支局での手続き
普通自動車の相続手続き(名義変更や廃車)は、運輸支局で行います。川崎市にお住まいの場合、管轄は「神奈川運輸支局 川崎自動車検査登録事務所」です。
原則として、以下の書類が必要となり、少し複雑に感じられるかもしれません。
- 亡くなった方の出生から死亡までの戸籍謄本一式
- 相続人全員の戸籍謄本
- 遺産分割協議書(相続人全員の実印を押印)
- 相続人全員の印鑑証明書
- 車を新たに所有する方の車庫証明書
- 車検証、ナンバープレートなど
特に重要なのが、相続人全員の合意を書面にした「遺産分割協議書」です。しかし、ご安心ください。車の価値が低い場合には、この最も大変な部分を省略できる特例があります。詳しくは次の章で解説します。
【軽自動車の場合】軽自動車検査協会での手続き
一方、軽自動車の手続きは普通自動車に比べてかなり簡素化されています。窓口は運輸支局ではなく、「軽自動車検査協会 神奈川事務所」となりますので、間違えないようにしましょう。
軽自動車の場合、普通自動車と比べて手続きは簡素化されており、遺産分割協議書や印鑑証明書が不要とされることもあります。一方で、車検証のほか、被相続人の死亡と相続関係が分かる戸籍等や、新たに使用者(所有者)となる方の住所を確認できる書類(住民票など)を求められることがあります。この違いを知っておくだけで、心理的な負担も大きく変わってくるのではないでしょうか。
【朗報】査定額が低い車なら「遺産分割協議書」は不要な場合も
「価値の低い普通車のために、遠方の親戚から実印と印鑑証明書をもらうなんて、気が重い…」と感じていた方に、ぜひ知っていただきたい特例があります。実は、車の査定額が100万円以下の場合、あの面倒な遺産分割協議書を省略できるのです。
特例の鍵「遺産分割協議成立申立書」とは?
この特例の主役が、「遺産分割協議成立申立書」という書類です。これは、車の査定額が100万円以下であることを条件に、相続人全員の署名・実印が揃った遺産分割協議書の代わりに使える特別な書類です。
この申立書は、車を新たに相続する方一人の署名・実印で手続きを進められる場合があります。つまり、他の相続人から書類を取り付ける手間を一切省くことができるのです。これは、まさにAさんのようなケースのために用意された、非常に便利な制度といえます。この制度を知らないと、後から他の財産が見つかった場合の協議とは別に、車の手続きだけを先行して終わらせることも可能になります。

どう証明する?査定額を証明する書類の準備方法
もちろん、この特例を利用するには、「その車の価値が100万円以下である」ことを客観的に証明する必要があります。その証明書類として有効なのが、中古車買取業者やディーラーが発行する「査定書」や「見積書」です。
多くの買取業者は無料で出張査定を行っていますので、まずは電話やインターネットで連絡し、査定を依頼してみましょう。その際に「相続手続きで使うため、100万円以下であることがわかる査定書が欲しい」と伝えれば、スムーズに対応してくれるはずです。この一手間をかけるだけで、その後の手続きが劇的に楽になります。
ローンが残っている車の相続|注意すべき「所有権留保」
もう一つ、確認を忘れてはならないのがローンの残債です。もし亡くなった方が車をローンで購入し、まだ支払いが終わっていなかった場合、手続きは少し複雑になります。
ここで重要なのが「所有権留保」という考え方です。ローンで購入した車は、ローンを完済するまで、所有権がディーラーや信販会社にあるケースがほとんど。これは車検証の「所有者の氏名又は名称」欄を見れば確認できます。もし、この欄が親御さんの名前ではなく、ディーラーや信販会社の名前になっていたら、それが所有権留保の状態です。
この場合、相続人は自由に車を売却したり廃車にしたりすることはできません。まずは車検証に記載されている所有者(ローン会社)に連絡を取り、残債がいくらあるのか、今後どうすればよいのかを確認する必要があります。残債を相続人が一括で支払って所有権を解除してもらうのか、あるいは車を返却するのかなど、ローン会社との相談が手続きの第一歩となります。これは住宅ローンが残っているケースとも共通する考え方です。
専門家への依頼も選択肢|行政書士ができること・費用の目安
ここまで読んでみて、「やはり自分一人で手続きをするのは不安だ…」と感じられた方もいらっしゃるかもしれません。特に、相続人が多かったり、他の相続手続きで忙しく、車のことにまで手が回らないという場合は、専門家である行政書士に依頼するのも有効な選択肢です。
行政書士は、あなたに代わって以下の手続きを代行できます。
- 相続関係を確定させるための戸籍謄本の収集
- 遺産分割協議書や遺産分割協議成立申立書の作成
- 運輸支局や軽自動車検査協会での申請手続き代行
面倒な書類集めから役所での手続きまでを丸ごと任せられるため、あなたの時間的・精神的な負担を大幅に軽減できます。費用は、手続きの内容にもよりますが、数万円程度から依頼が可能です。まずは一度、無料相談などを利用して、専門家に見積もりを取ってみるのも良いでしょう。
まとめ|親の車相続は、まず「現状確認」から始めましょう
亡くなった親御さんの車をどうするか。漠然とした不安も、一つひとつ手順を整理すれば、必ず道筋が見えてきます。まずは焦らず、以下の3つのポイントを確認することから始めてみてください。
- 車検証で「所有者」が誰になっているかを確認する
- その車が「普通自動車」か「軽自動車」かを確認する
- ディーラーや信販会社に連絡し、「ローンの残債」がないか確認する
この3点がはっきりすれば、この記事で解説したどの手続きパターンに当てはまるかが分かり、次の一歩が明確になります。ご自身で財産を調べる中で、車の相続は後回しになりがちですが、放置するリスクは決して小さくありません。
もし手続きの途中で分からなくなったり、少しでも負担に感じたりした場合は、一人で抱え込まずに、私たちのような専門家を頼ってください。あなたの状況に合わせた最適な解決策を、一緒に見つけていきましょう。

司法書士・行政書士・社会保険労務士いがり綜合事務所の司法書士 猪狩 佳亮(いがり よしあき)です。神奈川県川崎市で生まれ育ち、現在は遺言や相続のご相談を中心に、地域の皆さまの安心につながるお手伝いをしています。8年の会社員経験を経て司法書士となり、これまで年間100件を超える相続案件に対応。実務書の執筆や研修の講師としても活動しています。どんなご相談も丁寧に伺いますので、気軽にお声がけください。
