登記簿謄本の取得方法を解説|法務局・オンライン・郵送を比較

登記簿謄本(登記事項証明書)とは?基本をわかりやすく解説

ご家族が亡くなられて相続が始まると、「登記簿謄本(とうきぼとうほん)を取ってください」と言われることがあります。普段聞き慣れない言葉に、少し戸惑ってしまいますよね。でも、ご安心ください。これは、決して難しいものではありません。

登記簿謄本とは、一言でいえば「不動産のプロフィールが書かれた公的な証明書」のことです。その土地や建物が「どこにあって」「どれくらいの広さで」「誰が持っているのか」といった大切な情報が記録されています。

この書類があるおかげで、私たちは不動産を安心して売ったり買ったり、あるいは相続したりできるのです。

「登記簿謄本」と「登記事項証明書」は同じもの?

手続きを進めようとすると、「登記事項証明書(とうきじこうしょうめいしょ)」という言葉も目にするかもしれません。「どっちが正しいの?」と混乱されるかもしれませんが、現在では「登記簿謄本」と「登記事項証明書」はほぼ同じものと考えていただいて大丈夫です。

昔、法務局では不動産の情報を紙の帳簿(これを「登記簿」と呼びます)で管理していました。この登記簿をコピーしたものが「登記簿謄本」です。

しかし、現在ではその情報はすべてコンピューターで管理されています。そして、コンピューターのデータを印刷して証明書にしたものが「登記事項証明書」と呼ばれるようになりました。つまり、呼び方が変わっただけで、証明される内容は同じなのです。今でも昔ながらの「登記簿謄本」という呼び方が広く使われています。

この記事では、分かりやすさを優先し、「登記簿謄本(登記事項証明書)」と表記してお話しを進めていきますね。

どんな時に必要?相続登記から不動産売買まで

では、具体的にどのような場面で登記簿謄本(登記事項証明書)が必要になるのでしょうか。代表的なケースは以下の通りです。

  • 相続登記(不動産の名義変更)をするとき:亡くなった方から相続人へ不動産の名義を変える手続きです。現在の所有者が誰か、対象の不動産がどれかを正確に確認するために必須となります。
  • 不動産を売買するとき:売主が本当にその不動産の所有者なのか、他に権利を持つ人がいないかなどを買主が確認するために必要です。
  • 住宅ローンを組むとき:金融機関が、融資の担保として不動産に抵当権を設定する際に、不動産の情報を正確に把握するために提出を求めます。
  • 固定資産税の評価額を確認したいとき:不動産の詳細な情報が必要な場合に参考にします。

特に相続手続きにおいては、登記簿謄本(登記事項証明書)の取得が、不動産の名義変更に向けた第一歩となります。

登記簿謄本の取得方法3つを比較|あなたに合うのはどの方法?

登記簿謄本(登記事項証明書)を取得する方法は、大きく分けて3つあります。それぞれにメリット・デメリットがありますので、ご自身の状況に合わせて最適な方法を選びましょう。

まずは、それぞれの特徴を一覧表で比べてみましょう。

登記簿謄本の取得方法「窓口」「オンライン」「郵送」のメリット・デメリットを比較した図解
取得方法費用(1通あたり)取得までの時間メリットデメリット
① 法務局の窓口600円当日交付(所要時間は混雑状況により変動)・その日のうちに受け取れる・不明点を職員に質問できる・法務局に行く手間がかかる・手数料が最も高い・平日の日中しか開いていない
② オンライン郵送受取:520円窓口受取:490円(いずれも2025年4月1日以降)数日程度(目安。状況により前後)・手数料が最も安い・自宅のPCから申請可能(利用時間:平日8:30~21:00)・受け取りは郵送か窓口・初回は利用者登録が必要・電子納付の準備が必要
③ 郵送600円1週間〜10日程度・法務局に行かずに済む・時間がかかる・申請書や返信用封筒の準備が必要
登記簿謄本(登記事項証明書)の取得方法 比較表

この比較表から、あなたに合った方法が見えてきたのではないでしょうか。

  • とにかく急いでいる、直接質問したい方 → ① 法務局の窓口
  • 少しでも費用を抑えたい、日中忙しい方 → ② オンライン
  • 法務局に行くのは面倒だが、時間に余裕がある方 → ③ 郵送

このように、ご自身の優先順位に合わせて選ぶのがおすすめです。次の章では、それぞれの具体的な手順を詳しく見ていきましょう。

【パターン別】登記簿謄本の具体的な取得手順

ここでは、3つの取得方法について、それぞれの手順を分かりやすく解説していきます。ご自身が選んだ方法の項目を参考に、手続きを進めてみてください。

① 法務局の窓口で即日取得する方法

法務局の窓口で登記簿謄本の取得について相談している様子

メリット:
その場で取得でき、不明点も職員に直接聞けるので初心者の方でも安心です。

デメリット:
平日の日中(午前8時30分~午後5時15分)に法務局へ行く必要があります。手数料も600円と最も高くなります。

【取得手順】

  1. 最寄りの法務局へ行く
    登記簿謄本は、不動産の所在地を管轄する法務局のほか、全国の法務局・支局・出張所の窓口で取得できます。
  2. 申請書を記入する
    法務局に備え付けの「登記事項証明書交付申請書」に必要事項を記入します。記入するのは、ご自身の氏名・住所と、取得したい不動産の情報(地番・家屋番号など)です。もし分からないことがあれば、窓口の職員の方が親切に教えてくれますので、気軽に質問してみましょう。
  3. 手数料分の収入印紙を購入・貼付する
    手数料は1通あたり600円です。法務局内にある印紙販売窓口で収入印紙を購入し、申請書に貼り付けます。
  4. 窓口に提出し、受け取る
    申請書を「証明書発行窓口」に提出します。混雑状況にもよりますが、通常10分~15分ほどで名前が呼ばれ、登記簿謄本(登記事項証明書)を受け取ることができます。

② オンラインで請求し郵送または窓口で受け取る方法

メリット:
手数料が最も安く(郵送500円、窓口受取480円)、パソコンがあれば自宅から24時間いつでも申請できます。

デメリット:
受け取りまでに数日かかります。初めて利用する際は、申請者情報の登録が必要です。また、手数料はインターネットバンキングなどによる電子納付となります。

【取得手順】

  1. 「登記・供託オンライン申請システム」にアクセス
    法務省が運営する「登記ねっと」というシステムを利用します。初めての方は、まず「申請者情報登録」を行い、IDとパスワードを取得しましょう。
  2. ログインして請求情報を作成
    システムにログインし、「証明書請求」のメニューから不動産の登記事項証明書を選択します。画面の案内に従って、不動産の情報(地番・家屋番号など)を入力していきます。
  3. 受け取り方法を選択し、手数料を電子納付する
    証明書の受け取り方法を「郵送」または「指定の法務局での交付」から選びます。その後、インターネットバンキングやモバイルバンキング、Pay-easy(ペイジー)対応のATMを利用して手数料を納付します。
  4. 証明書を受け取る
    郵送を選択した場合は、2~3日後に自宅のポストに届きます。窓口交付を選択した場合は、指定した法務局へ本人確認書類(運転免許証など)を持参して受け取りに行きます。

参考:登記・供託オンライン申請システム 登記ねっと 供託ねっと

③ 郵送で申請し、郵送で受け取る方法

メリット:
一度も法務局へ行かずに、すべての手続きを自宅で完結できます。

デメリット:
申請書を送ってから証明書が返送されてくるまで、1週間~10日ほど時間がかかります。申請書や返信用封筒を自分で用意する必要があります。

【取得手順】

  1. 申請書をダウンロード・記入する
    法務局のウェブサイトから「登記事項証明書交付申請書」の様式をダウンロードして印刷します。窓口で記入する内容と同様に、ご自身の氏名・住所と不動産情報を記入します。
  2. 手数料分の収入印紙と返信用封筒を準備する
    手数料600円分の収入印紙を郵便局などで購入し、申請書に貼り付けます。また、ご自身の住所・氏名を記入し、切手を貼った返信用封筒も準備します。
  3. 法務局へ郵送する
    記入した申請書と返信用封筒を一つの封筒に入れ、不動産の所在地を管轄する法務局へ郵送します。管轄の法務局がどこか分からない場合は、インターネットで「(市区町村名) 不動産登記 管轄」と検索すると調べられます。
  4. 証明書を受け取る
    申請書が法務局に到着してから数日後、返信用封筒で登記簿謄本(登記事項証明書)が郵送されてきます。

参考:登記申請書・登記事項証明書等の様式のダウンロード – 法務局

登記簿謄本を取得する前の重要チェックポイント

実際に手続きを始める前に、いくつか知っておいていただきたい大切なポイントがあります。特に初めての方がつまずきやすい点ですので、しっかり確認しておきましょう。

誰でも取得できる?プライバシーは大丈夫?

「自分に関係ない不動産の登記簿謄本も取れるの?」と疑問に思う方もいらっしゃるかもしれません。答えは「はい、誰でも取得できます」です。

登記簿謄本は、不動産の権利関係を誰でも確認できるようにすることで、安全で円滑な取引を実現するという目的のために公開されています。そのため、手数料を支払えば、所有者でなくても、日本全国どこの不動産のものでも取得が可能です。

氏名や住所が記載されていることに不安を感じるかもしれませんが、これは制度の根幹に関わる部分です。もちろん、不正な目的での情報利用は法律で規制されていますので、その点はご安心ください。

必須情報「地番」「家屋番号」の調べ方

申請の際に最も重要なのが、「地番(ちばん)」と「家屋番号(かおくばんごう)」です。これは、私たちが普段使っている「住所(住居表示)」とは異なる、法務局が不動産を管理するための番号です。

では、どうやって調べればよいのでしょうか。以下の書類で確認するのが最も確実です。

  • 権利証(登記識別情報通知)
  • 固定資産税の納税通知書・課税明細書(毎年春頃に市区町村から送られてきます)

これらの書類がお手元にあれば、そこに記載されている「地番」「家屋番号」を申請書に書き写せば大丈夫です。もし書類が見当たらない場合は、その不動産を管轄する法務局に電話で問い合わせることもできます。その際は、住所(住居表示)と所有者名などを伝えて確認しましょう。

登記情報提供サービスとの違いに注意

オンラインで不動産の情報を調べる際、もう一つよく似たサービスがあります。それが「登記情報提供サービス」です。

このサービスは、登記簿謄本とほぼ同じ内容をインターネット上で「閲覧」できるものですが、決定的な違いがあります。

  • 登記情報提供サービス:閲覧用のデータ。法的な証明力はない。手数料は331円(全部事項情報・1件当たり。※提供情報の種類により異なる)と安い。
  • 登記・供託オンライン申請システム:法的な証明力がある「登記事項証明書」を取得するためのシステム。

相続登記の申請や金融機関への提出など、公的な証明書が必要な場面では、必ず「登記・供託オンライン申請システム」を利用して「登記事項証明書」を取得してください。間違えないように注意しましょう。

参考:登記情報提供サービス

相続登記で登記簿謄本を使う際の3つの注意点【司法書士が解説】

相続手続きのために登記簿謄本を取得される方へ、私たち司法書士が実務で特に気をつけているポイントを3つお伝えします。これを知っておくだけで、後の手続きがスムーズに進みますよ。

司法書士が登記簿謄本の内容を専門家の視点でチェックしている

注意点1:必ず「最新」の情報を取得する

ご自宅に、以前取得した古い登記簿謄本が保管されているかもしれません。しかし、相続登記を申請する際は、必ず手続きの直前に最新のものを取得し直してください。

なぜなら、ご自身が知らない間に、権利関係に変動(例えば、税金の滞納による差押えなど)が生じている可能性がゼロではないからです。最新の情報で不動産の状況を正確に把握することは、手戻りのないスムーズな相続登記の基本です。

注意点2:土地と建物は別々に取得が必要な場合がある

一戸建ての不動産の場合、登記は「土地」と「建物」で別々に管理されています。そのため、登記簿謄本も「土地」で1通、「建物」で1通、合計2通取得する必要があるのが一般的です。

申請の際は、土地の「地番」と建物の「家屋番号」の両方を調べて、それぞれ請求することを忘れないようにしましょう。なお、マンション(敷地権付き区分建物)の場合は、通常、建物の登記簿謄本に土地の情報も含まれているため、建物分だけで大丈夫です。

注意点3:登記上の住所が古いままの場合がある

これは非常によくあるケースなのですが、亡くなった方が生前に引っ越しをされていても、登記簿に記録されている住所を変更していないことがあります。

この場合、登記簿上の住所と、亡くなった時の最後の住所(住民票の除票などで証明します)が一致しません。そのままでは、法務局は「登記簿に載っている人と亡くなった人が同一人物だ」と判断できず、相続登記を受け付けてもらえません。

そのため、相続登記の前提として、亡くなった方の住所の変遷を証明する書類(戸籍の附票など)を添付したり、場合によっては「登記名義人住所変更登記」という別の手続きが追加で必要になったりします。これは手続きが少し複雑になるサインですので、専門家にご相談いただくことをお勧めします。

手続きが不安なら司法書士への依頼も検討しよう

ここまで登記簿謄本の取得方法について解説してきましたが、「自分でやるのはやっぱり少し不安…」「相続登記全体を考えると、何から手をつけていいか分からない」と感じられた方もいらっしゃるかもしれません。

登記簿謄本の取得自体はご自身でも可能ですが、その後の相続登記まで見据えると、手続きは格段に複雑になります。そんな時は、私たち相続の専門家である司法書士に頼るという選択肢もぜひご検討ください。

必要な書類を正確に取得し、内容を法的にチェック

私たち司法書士にご依頼いただければ、まず相続に必要な不動産を正確に調査し、漏れなく登記簿謄本を取得します。特に、ご自宅の他に私道(公衆用道路)の持分をお持ちだったり、複数の不動産があったりする場合、一般の方では見落としてしまうケースも少なくありません。

さらに、取得した登記簿謄本の内容を法的な観点から精査します。先ほどお話しした「登記上の住所が古い」といった問題点や、その他の権利関係の問題を早期に発見し、スムーズな手続きのための最適な手順をご提案することができます。

司法書士に相続手続きの相談をして安心している女性

相続登記までワンストップで任せられる安心感

登記簿謄本の取得は、相続手続きのほんの始まりに過ぎません。この後には、亡くなった方の出生から死亡までの戸籍謄本一式の収集、相続人全員での遺産分割協議、そして遺産分割協議書の作成、法務局への相続登記申請と、多くの時間と手間がかかる手続きが続きます。

司法書士は、これら一連の煩雑な手続きをすべて代行する国家資格者です。当事務所にご依頼いただいた場合、必要書類のご案内や作成、法務局への申請などを責任をもって行いますが、お手続きを進めるにあたり、お客様には書類のご準備や内容の確認などでご協力をお願いすることがございます。面倒な手続きから解放され、大切なご家族との時間やご自身の生活に専念できること、それが専門家に依頼する最大のメリットです。

いがり綜合事務所では、代表司法書士である私が最初のご相談から手続き完了まで、責任をもって一貫して対応させていただきます。平日夜間や土日祝のご相談も承っておりますので、お仕事で忙しい方でも安心です。相続のことで少しでもご不安な点がございましたら、どうぞお気軽に当事務所の無料相談をご利用ください。あなたのお悩みに、親身に寄り添い、円満な相続の実現を全力でサポートいたします。

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