公正証書遺言はどこ?見つけ方と確認方法を司法書士が解説

「あるはずの公正証書遺言が見つからない」お悩みではありませんか?

「70代の父が急逝しました。生前、父は親戚に『公証役場でちゃんとした遺言を作ってあるから安心しろ』と言っていたそうです。しかし、自宅の金庫や仏壇、机の引き出しをいくら探しても、遺言書の控え(正本・謄本)が見つかりません。
父がどの公証役場に行ったのかも分からず、このままでは遺産分割協議を進めて良いのか判断に困っています。どこに問い合わせれば、遺言の有無を確認できるのでしょうか?」

これは、当事務所に実際に寄せられたご相談の一例です。大切なご家族を亡くされた悲しみの中、相続手続きを進めようとしても、肝心の遺言書が見つからなければ、どうして良いか分からず途方に暮れてしまいますよね。

特に「公正証書遺言を作ったはず」という話を聞いていると、なおさらです。ご安心ください。自筆の遺言書と違い、公正証書遺言(平成元年以降に作成されたもの)は、日本公証人連合会が管理する情報に基づき、全国の公証役場で遺言の有無や保管公証役場を確認できます

この記事では、相続の専門家である司法書士が、公正証書遺言の探し方から、見つかった後の手続きまで、あなたの不安を解消するために丁寧に解説していきます。このご相談者様も、私たちがサポートし、無事に遺言書を見つけ出し、その後の相続手続きを完了させることができました。あなたもきっと、次の一歩を踏み出せるはずです。

遺言書の探し方の全体像については、遺言書の探し方で体系的に解説しています。

公正証書遺言は「遺言検索システム」で全国どこからでも探せます

故人が公正証書遺言を作成していたかどうかを調べる最も確実な方法は、公証役場の「遺言検索システム」を利用することです。

これは、平成元年以降に全国の公証役場で作成された公正証書遺言がデータベース化されているシステムです。このシステムのおかげで、故人がどの公証役場で遺言を作成したか分からなくても、最寄りの公証役場の窓口で照会するだけで、遺言の有無や保管場所を特定できます。

「遺言書は故人の自宅にあるはず」と思い込んで家中を探し回る必要はありません。公的なシステムで確実に確認できる、これが公正証書遺言の大きなメリットの一つです。「それなら見つかるかもしれない」と、少し希望が見えてきたのではないでしょうか。

公証役場で公正証書遺言の検索について相談している相続人の男性

【誰が?】検索できるのは相続人などの「利害関係人」です

遺言検索システムは、誰でも自由に利用できるわけではありません。プライバシー保護のため、利用できるのは故人の財産について法律上の利害関係を持つ人に限定されています。

具体的には、以下のような方々です。

  • 相続人:故人の配偶者、子、親、兄弟姉妹など、法律で定められた相続権を持つ人。
  • 受遺者:遺言によって財産を受け取ることになっている人。
  • 遺言執行者:遺言の内容を実現する手続きを行うために指定された人。
  • その他、法律上の利害関係が認められる人。

例えば、相続人であるご自身は請求できますが、その配偶者の方は直接請求することはできません。ただし、ご自身が手続きに行けない場合は、代理人(司法書士などの専門家や他の親族)に依頼することも可能です。

【どこで?】お近くの公証役場の窓口で手続きします

「父が遺言を作ったのは、実家の近くの公証役場だろうか…?」と考える必要はありません。遺言検索システムは全国の公証役場で繋がっているため、あなたの自宅から一番近い公証役場など、都合の良い場所で手続きができます。

手続き方法(来所が必要か、郵送対応が可能か等)は公証役場によって取扱いが異なることがあります。まずはお近くの公証役場に確認しましょう。

【何が必要?】手続きに必要な書類と費用一覧

公証役場へ行く前に、必要な書類をしっかり準備しておきましょう。不備があると二度手間になってしまう可能性があります。基本的には、以下の3種類の書類が必要です。

書類の種類具体的な書類の例取得場所
故人が亡くなったことを証明する書類・除籍謄本・死亡診断書(または死体検案書)故人の本籍地または最後の住所地の市区町村役場
請求者が相続人であることを証明する書類・戸籍謄本(故人と請求者の関係が分かるもの)請求者の本籍地の市区町村役場
請求者本人の確認書類・運転免許証・マイナンバーカード・パスポート など(顔写真付きのもの)+認印
遺言検索に必要な書類

故人と請求者の関係によっては、複数の戸籍謄本が必要になることもあります。特に、出生から死亡までの連続した戸籍謄本を求められるケースも少なくありません。

嬉しいことに、遺言の有無を検索するだけなら費用は無料です。

もし、司法書士などの代理人に依頼する場合は、上記の書類に加えて以下のものが必要になります。

  • 委任状:ご本人が代理人に手続きを依頼したことを証明する書類。
  • ご本人の印鑑登録証明書:委任状に押印した実印が本人のものであることを証明する書類(発行後3ヶ月以内のもの)。
  • 代理人の本人確認書類と認印

もし検索しても「該当なし」だった場合はどうする?

「もし、システムで調べてもらっても『該当なし』だったらどうしよう…」と不安に思われるかもしれません。万が一、遺言が見つからなかったとしても、それはそれで次のステップに進むための重要な一歩になります。考えられる可能性と、その場合の対処法を見ていきましょう。

可能性①:そもそも公正証書遺言は作成されていなかった

最も考えられるのは、故人の記憶違いや、周囲への伝え間違いなどで、実際には公正証書遺言を作成していなかったというケースです。「遺言を作った」という話が、単なる希望や願望だったということもあり得ます。

この場合、相続は法律の定めに従って進めることになります。つまり、相続人全員で遺産の分け方を話し合う「遺産分割協議」が必要になります。

公証役場で検索して「該当なし」という結果が出たことは、「遺言書は存在しない」という一つの根拠になります。検索が無駄だったわけではなく、遺産分割協議に進むための確認作業だったと前向きに捉えましょう。

可能性②:平成元年より前に作成されている

遺言検索システムで対応しているのは、原則として平成元年1月1日以降に作成された遺言です。もし、それより前に作成された可能性がある場合は、システムではヒットしません。

この場合、故人の住所や勤務先、思い出の場所など、生活圏内にあった公証役場に見当をつけて、一つひとつ電話などで問い合わせるという、少し地道な作業が必要になります。可能性は低いかもしれませんが、どうしても心当たりがある場合は試してみる価値はあるでしょう。

可能性③:「自筆証書遺言」を法務局に預けている

故人が「公的な場所で遺言を作った」という話を、公正証書遺言ではなく、法務局の自筆証書遺言書保管制度と混同している可能性も考えられます。

これは、自分で書いた遺言書(自筆証書遺言)を法務局で預かってもらう制度です。この制度を利用しているかどうかは、全国の法務局で照会することができます。

公正証書遺言の検索と併せて、法務局への照会も行っておくと、より確実性が高まります。一口に「遺言書」といっても、自筆証書遺言には特有の注意点があるため、専門家のアドバイスを受けながら進めることをお勧めします。

公正証書遺言が検索システムで見つからない場合の3つの可能性(未作成、平成元年以前、自筆証書遺言)とその対処法を示した図解

公正証書遺言が見つかった後の相続手続きの流れ

無事に遺言書が見つかったら、いよいよ本格的な相続手続きがスタートします。「見つかったはいいけど、次は何をすれば?」と迷わないよう、具体的な流れを確認していきましょう。

Step1. 保管先の公証役場で「謄本」を取得する

遺言検索システムで遺言の存在が確認できたら、次にその遺言書が保管されている公証役場で、遺言書の写しである「謄本(とうほん)」を取得します。この謄本がなければ、預金の解約や不動産の名義変更などの手続きは進められません。

保管先の公証役場が遠方で直接行けない場合でも、最寄りの公証役場を通じて郵送で取り寄せることも可能ですので、相談してみましょう。謄本の取得には、1枚あたり300円の手数料がかかります。

Step2. 遺言の内容と「遺言執行者」の有無を確認する

謄本を手に入れたら、まず最初に確認すべき最も重要なポイントは、遺言執行者が指定されているかどうかです。

遺言執行者とは、遺言の内容を実現するための手続きを行う権限を持つ人のことです。もし遺言執行者が指定されていれば、原則としてその人が中心となって不動産や預貯金などの名義変更手続きを進めていきます。相続人は、遺言執行者の手続きに協力する形になります。

もし遺言執行者が指定されていない場合は、相続人全員で協力して手続きを進めるか、家庭裁判所に遺言執行者の選任を申し立てる、あるいは相続人の代表者が専門家に依頼して手続きを進めることになります。

Step3. 遺言書に基づき財産の名義変更を行う

遺言執行者または相続人が主体となり、いよいよ具体的な財産の名義変更手続きに入ります。主な手続きには、不動産の相続登記(名義変更)や、銀行での預貯金の解約・名義変更などがあります。

ここで公正証書遺言のもう一つの大きなメリットが生きてきます。自筆証書遺言の場合、手続きの前に家庭裁判所で「検認」という手続きが必要ですが、公正証書遺言は検認が不要です。そのため、遺言書が見つかればすぐに相続手続きに着手でき、スムーズに進めることが可能です。

遺言調査や相続手続きは専門家への相談もご検討ください

ここまで公正証書遺言の探し方と、その後の手続きについて解説してきましたが、「やっぱり自分一人でやるのは大変そう…」と感じられたかもしれません。

  • 平日は仕事で、役所や公証役場に行く時間がなかなか取れない。
  • 必要な戸籍謄本を集めるのが、思った以上に複雑で骨が折れる。
  • 遺言書は見つかったけれど、他の相続人とのやり取りに不安がある。
  • 金融機関での手続きが専門的で、何をどうすればいいか分からない。

このようなお悩みは、決して特別なものではありません。相続手続きは、多くの方にとって初めての経験であり、精神的にも時間的にも大きな負担がかかります。

私たち司法書士のような相続の専門家にご相談いただければ、遺言書の調査から、その後の複雑な戸籍の収集、遺産分割協議書の作成、不動産や預貯金の名義変更まで、遺言書の調査や戸籍の収集、各種名義変更などについて、必要書類のご準備やご本人確認等にご協力いただきながら、手続きをできる限り一括してサポートすることが可能です。

専門家が間に入ることで、手続きが正確かつスムーズに進むだけでなく、あなたの心のご負担も大きく軽減できるはずです。当事務所では、年間100件以上の相続案件を手がける経験豊富な司法書士が、あなたのお話にじっくりと耳を傾けます。

「こんなことを相談してもいいのかな?」と迷う必要はありません。その小さな一歩が、円満な相続への大切な一歩となります。まずはお気軽にご状況をお聞かせください。

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