登記簿の建物がない?評価証明書が取れない時の対処法を解説

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「登記簿の建物がない…」評価証明書が取れずお困りではありませんか?

相続登記を進めようとしたら、登記簿には載っているはずの建物が、実際にはもう取り壊されて存在しない…。
そして、市役所(区役所)では「建物がないので固定資産評価証明書は発行できません」と言われてしまう。
「評価証明書がなければ、相続登記ができないのでは?」
「この“登記簿だけの建物”は一体どうすれば…?」
予期せぬ事態に、手続きが完全に止まってしまい、途方に暮れていらっしゃるのではないでしょうか。

ご安心ください。その問題、きちんと解決できます。

この記事は、まさにあなたと同じ状況で悩んでおられた方の問題を解決した、相続登記の専門家である司法書士が執筆しています。この記事を最後までお読みいただければ、なぜこんなことが起きるのかという原因から、具体的な解決手順、そして放置するリスクまですべてご理解いただけます。

実際にあったご相談事例「存在しない物置の登記」

先日、当事務所に相談に来られた川崎市のAさんも、あなたと全く同じ問題で悩んでいらっしゃいました。

Aさんは、亡くなったお父様名義のご実家を相続するため、ご自身で登記の準備を進めていました。登記簿を確認すると、土地と母屋のほかに「物置」の登記があることが判明。どうせならと、まとめて相続登記をしようと考えました。

ところが、登録免許税の計算に必要な評価証明書を取得するために区役所へ行くと、担当者から思わぬ言葉を告げられます。

「この物置は、現地に存在しないため評価が付いていません。したがって評価証明書は発行できません。」

Aさんは大変驚かれました。登記簿にはっきりと記載されている建物が、現実には存在しない。実はお父様が何年も前に物置を撤去したものの、登記の手続き(建物滅失登記)をしていなかったのです。

「評価証明書がなければ登記はできないはずだ…」とすっかり困り果ててしまったAさんは、当事務所の扉を叩かれました。

私からは、まず落ち着いていただくために、以下の3点をご説明しました。

  • 評価証明書が出ないのは、建物がない以上、当然の状況であること。
  • まず、存在しない建物の情報を登記簿から消す「建物滅失登記」という手続きが必要であること。
  • その手続きが終われば、残りの土地と母屋について、通常通り相続登記を進められること。

Aさんは「そうだったんですね…」と、とても安心されたご様子でした。その後、当事務所が提携する土地家屋調査士に滅失登記を依頼し、それが完了したのち、無事に土地と母屋の相続登記を当事務所で完了させることができました。

Aさんのように、登記簿と現実が違うという事態は、実は決して珍しいことではないのです。

なぜ?登記簿と現況が違う2つの原因

「そもそも、なぜ登記簿の情報と実際の状況が食い違ってしまうのか?」と不思議に思われるかもしれません。その原因は、主に次の2つにあります。

原因1:建物を取り壊したのに「滅失登記」がされていない

最も多いのが、Aさんのケースのように、過去に建物を取り壊したにもかかわらず、その事実を登記簿に反映させる「建物滅失登記」という手続きが忘れられているケースです。

不動産登記法では、建物を取り壊した場合、その所有者は1ヶ月以内に建物滅失登記を申請する義務があると定められています。しかし、この義務を知らなかったり、解体業者に任せきりにしていて、うっかり忘れてしまったりする方が少なくありません。

特に、ご両親の世代では「登記は家を建てた時だけするもの」という認識の方も多く、取り壊した際の登記まで意識が向かないことも。その結果、相続が発生した時に、子どもである皆さんが初めてその事実を知り、困ってしまうというパターンが非常に多いのです。

建物滅失登記の義務については、法務局のウェブサイトでも案内されています。

原因2:「登記簿=現実の建物の状況」という誤解

多くの方が「登記簿の情報は、役所が自動的に最新の状態に更新してくれているはずだ」と思いがちですが、実はこれが大きな誤解です。

不動産登記は、原則として当事者(権利者)からの「申請」に基づいて行われます。家を建てた時(表題登記)、持ち主が変わった時(所有権移転登記)、そして取り壊した時(滅失登記)、それぞれのタイミングで当事者が申請して初めて、登記簿の内容が書き換わる仕組みなのです。

つまり、何もしなければ、何十年前に取り壊された建物でも、登記簿上は「存在し続ける」ことになってしまいます。

一方で、固定資産税を課税する市区町村は、航空写真や現地調査などで建物の現況を比較的正確に把握しています。そのため、現地に建物が存在しないことを確認し、課税対象から外しているのです。これが「登記簿には建物があるのに、評価証明書(=課税の根拠となる証明書)は発行されない」という一見矛盾した状況が生まれる理由です。

評価証明書が取れない場合の正しい対処法と手続きの流れ

「評価証明書が取れない…」と聞くと、もう相続登記はできないのではないかと不安になるかもしれませんが、状況を整理して適切な手順を踏めば、手続きを進められるケースが多いです。やるべきことは、大きく分けて次の2ステップです。このロードマップを頭に入れておけば、もう迷うことはありません。

  1. ステップ1:まず「建物滅失登記」で、存在しない建物の登記記録を抹消する。
  2. ステップ2:次に、残った土地や建物について「相続登記」を行う。

この順番が非常に重要です。一つずつ見ていきましょう。

登記簿にない建物の問題解決フロー図。問題発覚から建物滅失登記、そして相続登記へと進む3ステップをイラストで解説。

ステップ1:まず「建物滅失登記」で登記簿を現状に合わせる

最初に行うべきは、登記簿の情報を、現在の正しい状況に修正する「建物滅失登記」です。この手続きによって、登記簿上だけに存在する“幽霊のような建物”の記録をきれいに抹消します。

この建物滅失登記は、不動産の物理的な状況(どこにあって、どんな種類で、どんな構造かなど)を扱う「表示に関する登記」であり、土地家屋調査士が専門的に取り扱う手続きです。

手続きには、一般的に以下のような書類が必要になります。

  • 登記申請書
  • 建物の取り壊しを証明する書類(解体業者から発行される「取毀(とりこわし)証明書」など)
  • 申請する方の本人確認書類 など

費用は、土地家屋調査士に依頼した場合、状況や事務所によって異なりますが、一般的には数万円程度から発生することが多いです。

「何十年も前のことで、取り壊し証明書なんて残っていない…」という場合でも、ご安心ください。その場合は、建物の不存在を証明する書類(上申書など)を作成することで、手続きを進めることが可能です。古い建物だからと諦める必要はありません。

ステップ2:「相続登記」で不動産の名義を変更する

建物滅失登記が無事に完了し、登記簿がきれいになったら、いよいよ本題である「相続登記」に進みます。存在しない建物の問題が解消されたので、残りの不動産(土地や母屋など)について、通常通り名義変更の手続きを進めることができます。

相続登記は、権利に関する登記の専門家である「司法書士」の専門分野です。

手続きには、遺言書の有無や遺産の分け方によって異なりますが、一般的に以下のような相続登記の必要書類が必要となります。

  • 被相続人(亡くなった方)の出生から死亡までの戸籍謄本
  • 相続人全員の現在の戸籍謄本
  • 不動産を相続する方の住民票
  • 遺産分割協議書(相続人全員の実印を押印)
  • 相続人全員の印鑑証明書
  • 固定資産評価証明書 など

この段階では、相続する土地や母屋の評価証明書は問題なく取得できるはずです。その評価額に基づいて登録免許税(税率0.4%)を計算し、司法書士への報酬と合わせて納付・支払いを行います。

注意:相続登記と滅失登記は順番が重要

ここで一つ、専門家ならではの重要なポイントをお伝えします。それは「手続きの順番」です。

今回のケースのように「亡くなった方(被相続人)名義の建物が、すでに取り壊されている」場合、実は、わざわざ建物を相続登記する必要はありません。

法律上、相続人のうちの一人が代表して、被相続人名義のまま直接、建物滅失登記を申請することが認められています。これにより、存在しない建物のために一度相続登記をして、またすぐに滅失登記をする、といった無駄な手間と費用を省くことができるのです。

先に滅失登記を済ませてしまえば、あとは残った土地や母屋の相続に集中できます。もし、この順番を間違えると、数次相続が発生した場合など、権利関係が複雑化するケースでは特に手続きが煩雑になるため、この正しい順番を知っているかどうかがスムーズな解決の鍵となります。

登記簿に存在しない建物を放置する3つのリスク

「手続きが面倒だし、費用もかかるなら、このままにしておいてもいいのでは?」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、この問題を放置すると、将来的にさらに大きなトラブルにつながる可能性があります。

登記簿に存在する幽霊物件を放置するリスクを表現したイラスト。登記簿から伸びた鎖が土地を縛り付け、売却や担保設定ができないことを示している。

リスク1:土地の売却や担保設定ができない

最も現実的なリスクがこれです。将来、その土地を売却しようと考えた時、登記簿上に“幽霊物件”が存在していると、買主はまず買ってくれません。買主側の金融機関も、登記簿と現況が一致しない不動産を担保にお金を貸してはくれないでしょう。

いざという時に不動産を有効活用(売却、担保提供など)できず、チャンスを逃してしまうことになりかねません。

リスク2:滅失登記の義務違反で過料の可能性

先ほども触れましたが、建物滅失登記は法律上の義務です。この申請を怠った場合、不動産登記法の規定により、10万円以下の過料に処される可能性があります。

実際にすぐに過料が科されるケースは稀ですが、法律で定められた義務であることに変わりはありません。また、2024年4月からは相続登記の義務化も始まり、不動産登記の適正化に対する社会的な要請はますます高まっています。コンプライアンスの観点からも、きちんと手続きを済ませておくべきです。

リスク3:次の相続でさらに手続きが複雑化する

問題を先送りにする最大のリスクは、将来の世代にさらに重い負担を強いることになる点です。

もし、あなたがこの問題を解決しないまま次の相続が発生してしまったら、どうなるでしょうか。相続人の数はネズミ算式に増え、中には疎遠な親戚や会ったこともない人が含まれるかもしれません。そうなると、放置された実家の相続登記のように、関係者全員の協力と実印を取り付けるだけで大変な労力が必要になります。

「自分の代で問題を解決しておく」。これは、次の世代に対する大切な責任とも言えるでしょう。

手続きをスムーズに進めるなら専門家への相談が近道

ここまでお読みいただき、解決までの道のりはご理解いただけたかと思います。しかし、実際に手続きを進めるとなると、専門的な知識が必要な場面が多々あります。

  • 建物滅失登記土地家屋調査士
  • 相続登記司法書士

このように、今回のケースでは2つの異なる専門家の力が必要になります。それぞれ別々に探して依頼するのは、時間も手間もかかり大変です。

そこでおすすめしたいのが、両方の専門家と連携している司法書士事務所に相談することです。当事務所のような相続に強い司法書士事務所であれば、信頼できる土地家屋調査士とのネットワークがあります。ご相談いただければ、滅失登記から相続登記まで、すべての手続きをワンストップで、スムーズに進めることが可能です。

どの専門家に相続を相談すべきか迷う必要も、ご自身で何度も役所や法務局に足を運ぶ必要もありません。面倒な手続きは専門家がサポートしますので、必要書類のご準備やご本人確認など、要所のご協力をいただきながら進めていきましょう。

もし少しでも手続きに不安を感じたら、ぜひ一度、当事務所の無料相談をご利用ください。あなたにとって最善の解決策を一緒に考えさせていただきます。

滅失登記・相続登記の無料相談(お問い合わせフォーム)

まとめ:登記簿の建物がなくても慌てずに正しい手順で解決を

今回は、登記簿に記載されている建物が実際には存在せず、評価証明書が取れない場合の対処法について詳しく解説しました。

最後に、大切なポイントをもう一度振り返りましょう。

  • 登記簿と現況が違うのは、「滅失登記」が忘れられていることが主な原因です。
  • 評価証明書が取れなくても、慌てる必要はありません。解決可能です。
  • 正しい手順は「①建物滅失登記 → ②相続登記」の順番です。
  • 問題を放置すると、将来の売却が困難になったり、次の相続で手続きが複雑化したりするリスクがあります。
  • 滅失登記と相続登記の両方が必要なため、ワンストップで対応できる専門家への相談が最もスムーズで確実です。

相続手続きの途中で予期せぬ問題にぶつかると、本当に不安になりますよね。しかし、一つひとつの問題を正しい手順でクリアしていけば、必ずゴールにたどり着けます。この記事が、あなたの不安を解消し、次の一歩を踏み出すきっかけとなれば幸いです。

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