公正証書遺言作成で何を聞かれる?当日の流れと公証人の質問内容

Couple sits with a smiling advisor in a bright office, reviewing a document together for future planning

「何を聞かれるか不安…」公正証書遺言の作成、ご心配ありませんか?

大切なご家族のために遺言書をのこそうと決意された、そのお気持ちはとても尊いものです。中でも、公証人が関与し、原本が公証役場または日本公証人連合会のシステムで保管される「公正証書遺言」を選ばれたのは、賢明なご判断だと思います。

しかし、いざ作成となると、「公証役場」という普段なじみのない場所へ行くことに、緊張や不安を感じていらっしゃるのではないでしょうか。

  • 「公証人という厳格そうな人から、難しい法律の質問をされたらどうしよう…」
  • 「うまく答えられなかったら、遺言を作れないかもしれない…」
  • 「判断能力を疑われたりしないだろうか…」

このようなご心配を抱えるのは、あなただけではありません。ご安心ください。

この記事では、公正証書遺言を作成する当日の流れや、公証人から実際に何を聞かれるのか、そしてその質問にはどのような意図があるのかを、一つひとつ丁寧に解説していきます。この記事を最後までお読みいただければ、漠然とした不安は解消され、自信を持って当日を迎えられるはずです。

【司法書士の現場から】Aさんの不安を解消した「事前シミュレーション」

以前、当事務所にご相談いただいたAさんも、まさに同じ不安を抱えていらっしゃいました。遺言の内容はスムーズに決まったのですが、公正証書での作成をご提案した途端、「公証役場って、なんだか偉い人がいるのでしょう? 緊張してしまって、何を聞かれるか分からないし、大丈夫かしら…」と、急に表情が曇ってしまったのです。

ましてや、一緒に来られたお嬢様は作成の場に同席できないことをお伝えすると、その不安はさらに大きくなったご様子でした。

そこで私は、こうお伝えしました。
「ご安心ください。私は証人として100回以上立ち会っていますから、公証人の方が何を、どんな順番で、どのように尋ねるか、すべて分かっています。いつもお願いしている公証役場なので、公証人のお人柄や進め方もよく存じ上げています。もしよろしければ、私が本番そっくりのシミュレーションをしましょうか?」

このご提案に、Aさんはぱっと顔を輝かせ、安心された表情を見せてくださいました。事前に想定される問答を練習したことで、当日は何の問題もなく、落ち着いてご自身の想いを伝えることができ、無事に遺言書を完成させることができたのです。

この記事が、かつてのAさんのように不安を抱えるあなたにとっての「事前シミュレーション」になれば幸いです。遺言書作成の全体像については、遺言書作成業務についてで体系的に解説していますので、併せてご覧ください。

公証人から何を聞かれる?想定される4つの質問とその理由

公証役場では、遺言者を試すためではなく、本人確認、遺言意思、遺言内容、判断能力などを確認するために質問が行われます。公証人は、遺言の内容を法的に有効な形で公正証書にする役割を担います。質問は、その想いが本物であることを確認するための、大切な「対話」だとお考えください。

主に、公証人からの質問は以下の4つの目的で行われます。なぜその質問をされるのか理由が分かれば、きっと落ち着いて答えられるはずですよ。数ある遺言書の種類の中でも、この確認プロセスにより、公正証書遺言は本人の意思に基づいて作成されたことを示しやすくなります。

質問1:本人確認「お名前、生年月日、ご住所は?」

まず最初に、遺言を作成する方がご本人に間違いないかを確認するための質問があります。

【質問例】

  • 「お名前、生年月日、ご住所を教えてください」

【質問の理由】
これは、なりすましや間違いを防ぎ、作成された遺言書が確かにあなたの意思によるものであることを証明するための、最も基本的で重要な手続きです。公証人は、提示された身分証明書とご本人の回答が一致することを確認します。

【最近のトピックス】
現在は、印鑑登録証明書に代えて、マイナンバーカードや運転免許証などの顔写真付き公的身分証明書を本人確認資料として利用することもできます。

質問2:遺言意思の確認「今日は何のために来られましたか?」

次に、ご自身の意思で遺言書を作りに来たのかどうかを確認されます。

【質問例】

  • 「本日は、どのようなご用件でいらっしゃいましたか?」
  • 「誰かに頼まれて来たのではなく、ご自身の意思で遺言書を作りに来たので間違いありませんか?」

【質問の理由】
遺言は、遺言者本人の自発的な意思に基づいて作成されなければなりません。この質問は、誰かに無理やり連れてこられたり、強制されたりしたわけではないことを確認するためのものです。「はい」と答えるだけでなく、「自分の財産について、遺言書を作りに来ました」と、ご自身の言葉でハッキリと答えることが大切です。

質問3:遺言内容の確認「財産を誰に、どのように遺したいですか?」

いよいよ、遺言の具体的な内容についての確認です。

【質問例】

  • 「どのような遺言をされたいですか?」
  • 「川崎市にあるこのご自宅は、どなたに相続させたいですか?」
  • 「事前に打ち合わせした内容で遺言書を作成しましたが、読み上げますのでご確認ください」
  • 「ご長男の太郎さんへ相続させる、ということでお間違いないでしょうか?」
  • 「〇〇銀行の預貯金は、すべて奥様の和子さんへ、でよろしいですね?」
公正証書遺言で公証人から聞かれる4つの質問カテゴリを示した図解。本人確認、意思確認、内容確認、判断能力の確認の4ステップ。

【質問の理由】
公証人は、事前に司法書士などを通じて提出された遺言書の案に基づき、一つひとつの項目を丁寧に読み上げ、あなたの最終的な意思と書面の内容が完全に一致しているかを確認します。これは、あなたの想いが一言一句、正確に反映された遺言書を完成させるための、非常に重要なプロセスです。事前にしっかりと財産目録を作成し、内容を整理しておけば、この確認はスムーズに進みます。

「どのような内容の遺言にされたいですか?」と最初に聞かれると、事前に遺言書の文案を読み込んだつもりでも、頭の中が真っ白になってしまう方もいます。お気持ちはよく分かります。ここで「不動産は長男に、預金は長女に・・・」などと明確に答えられれば、この時点で終わりますが、もし答えに詰まった場合でも、公証人が財産や相続人ごとに具体的に区切って確認してくれることがありますから、心配いりません。遺言書に書いてあるものを一字一句答える必要などもなく、「趣旨」「ご希望」が大枠で伝えられれば十分です。

質問で内容を回答できれば、あとは公証人が遺言書を最初から読み上げ、確認は終了になります。

【当日シミュレーション】公証役場での遺言作成、全ステップを解説

では、実際に公証役場を訪れた日の流れを、ステップごとに見ていきましょう。全体の所要時間は、おおよそ30分程度です。当日の流れを事前に把握しておくことで、必要な準備や注意点を確認しやすくなります。
なお、自筆証書遺言の場合は、亡くなった後に家庭裁判所での検認手続きが必要になりますが、公正証書遺言ではその手間も不要になります。

ステップ1:受付と待機(約10分)

予約時間の5~10分前には公証役場に到着しましょう。受付で「遺言の作成で予約している〇〇です」と伝え、身分証明書を提示します。服装は普段着で全く問題ありません。しばらく待合室で待っていると、担当者から声がかかります。

【ポイント】
遺言の作成には、公証人のもとで、遺言者ご本人と証人2名以上が立ち会います。相続人になるご家族などの利害関係人は同席できませんので、一緒に来られた場合は待合室で待っていただくことになります。

ステップ2:本人確認と意思確認(約5分)

公証人がいる個室へ案内されます。遺言者と証人2名が着席し、まずは公証人による本人確認と、自らの意思で遺言を作りに来たかの確認が行われます。先ほど解説した「質問1」「質問2」が、この段階で行われます。証人は、この確認が適正に行われたことを見届ける役割を担います。

ご高齢やご病気で外出が難しい場合は、公証人に出張してもらい、ご自宅や病院で作成することも可能です。より具体的な手順については、「公証人は出張可能!入院中でも公正証書遺言を作る方法」をご覧ください。

ステップ3:遺言書の読み聞かせと内容確認(約10分)

次に、公証人が完成した遺言書の最終案を、一言一句ゆっくりと読み聞かせます。あなたの手元にも写しが渡されますので、耳で聞き、目で追いながら、ご自身の想いと完全に一致しているか、最後の確認をしてください。

【ポイント】
万が一、この段階で「少し表現が違うな」「やはりこうしたい」と感じた点があれば、決して遠慮せずにその場で申し出てください。公証人はあなたの意思を最も尊重します。ここで最終確認をするために来ているのですから、何も心配はいりません。

ステップ4:電子サイン(約5分)

内容に間違いがないことを確認したら、遺言者と証人2名が、遺言公正証書の原本となる電磁的記録に電子サインします。現在の公正証書作成手続では原則として押印は不要です。

【ポイント】
なお、病気や身体上の事情などにより遺言者が電子サインできない場合でも、公証人がその事情を記録することで作成できる場合がありますので、事前に相談しておけば大丈夫です。

ステップ5:手数料の支払いと正本・謄本の受領(約5分)

最後に、公証人手数料を支払います。原本は公証役場または日本公証人連合会のシステムで保管され、遺言者には必要に応じて正本・謄本や電子データが交付されます。これにより、紛失や改ざんの心配が一切なくなります。あなたは遺言者用の「正本」と、遺言執行者用の「謄本」を受け取り、すべての手続きは完了です。お疲れ様でした。

【最近のトピックス】
公証役場の手数料の支払方法は公証役場によって異なる場合があります。クレジットカード等のキャッシュレス決済に対応している役場もありますので、事前に確認しておくと安心です。

認知症や判断能力に不安がある場合の注意点

自宅で遺言書の内容を真剣に確認する高齢男性。判断能力がしっかりしているうちに対策することの重要性を象徴する画像。

ご高齢の方にとって、最も心配なのが「認知症」と判断能力の問題かもしれません。「認知症と診断されたら、もう遺言は作れないのだろうか?」とご不安に思う方もいらっしゃいます。

結論から言うと、たとえ認知症の診断を受けていても、遺言作成時に「遺言能力(遺言の内容を理解し、その結果を判断できる能力)」があれば、公正証書遺言を作成することは可能です。

ただし、公証人は通常の場合よりも慎重に、遺言能力の有無を判断します。具体的には、以下のような対応が取られることがあります。

  • 判断能力に疑義がある場合には、診断書や医師の意見書などの提出を求められることがあります。
  • 遺言者との対話の時間を長く取り、受け答えの様子を注意深く確認する。
  • 「なぜそのように財産を分けたいのか」という理由について、より詳しく質問する。

公正証書遺言であっても、作成時に遺言能力が欠けていたと判断されれば、後から相続人の間で遺言の有効性を争われ、無効になってしまうリスクはゼロではありません。実際に、過去の裁判例でも、重度の認知症であった方の公正証書遺言が無効とされたケースがあります。

だからこそ、「認知症になってから考えればいい」のではなく、心身ともに元気で、ご自身の意思が明確なうちに準備を始めることが何よりも大切なのです。判断能力が低下すると、財産管理が難しくなるため、成年後見制度の利用も視野に入れる必要が出てきます。

参照:遺言無効確認請求事件(名古屋高等裁判所)

当日の不安を解消する鍵は「司法書士との事前準備」にあります

ここまでお読みいただき、当日の流れや質問内容は、もうお分かりいただけたかと思います。そして、公正証書遺言の作成で最も重要なのは、公証役場での当日の手続きそのものよりも、そこに至るまでの「事前準備」であることにもお気づきになったのではないでしょうか。

公証役場は、あなたの固まった意思を法的に有効な書面にする場所であり、遺言の内容について「ああでもない、こうでもない」と相談する場所ではありません。当日の不安をなくし、スムーズに手続きを進めるためには、専門家である司法書士との事前準備が何よりの鍵となります。

当事務所では、遺言書と他の制度を組み合わせた生前対策も含め、あなたの状況に応じたご提案を行っています。まずは無料相談で、あなたの不安をお聞かせください。

遺言内容の整理から公証役場との調整まで一括サポート

司法書士にご依頼いただければ、以下のような煩雑な準備をすべて代行し、あなたは最も大切な「誰に、何を、どのように遺したいか」を考えることに集中できます。

  • 相続関係の確定(戸籍謄本の収集・調査)
  • 財産の調査と財産目録の作成
  • 遺留分にも配慮した、トラブルの起きにくい遺言内容のご提案
  • 法的に不備のない遺言書文案の作成
  • 遺言執行者を誰にするかのアドバイス
  • 公証役場との打ち合わせ、日程調整の代行
  • その他、必要書類の収集・作成
司法書士と相談し、公正証書遺言作成の不安が解消されて安心した表情の高齢夫婦。

信頼できる「証人」の手配もお任せください

公正証書遺言には、2名の証人が必要ですが、この証人探しに困る方は少なくありません。なぜなら、未成年者、推定相続人、受遺者、その配偶者・直系血族など、利害関係のある親族は証人になることができないからです。

かといって、親しい友人や知人にお願いするのも、遺言というプライベートな内容を知られてしまうため、気が引けるという方も多いでしょう。

当事務所にご依頼いただければ、守秘義務のある司法書士や事務所スタッフが証人となります。司法書士には守秘義務があり、事務所内でも情報管理に配慮しながら対応します。

当日のシミュレーションで、本番への不安を軽減

冒頭のAさんの事例のように、当事務所では、特にご不安が強いお客様に対して、本番さながらの「事前シミュレーション」を行っています。公証人からの想定質問にどう答えるか、事前に練習しておくことで、当日の緊張は驚くほど和らぎます。

私たちは、単に手続きを代行するだけでなく、あなたが安心して大切な日を迎えられるよう、心理的な面でもしっかりとサポートいたします。この親身なサポートこそが、当事務所が選ばれている理由の一つです。

まとめ|大切な想いを遺す第一歩、私たちが全力でサポートします

公正証書遺言を作成する当日の流れと、公証人から聞かれる質問の内容について解説しました。この記事を読んで、公証役場での手続きに対する漠然とした不安は、かなり解消されたのではないでしょうか。

公正証書遺言は、公証人が関与し、原本が保管されるため、遺言内容を家族に遺す方法として有力な選択肢の一つです。そして、その成功の鍵は、当日の受け答えよりも、そこに至るまでの丁寧な事前準備にあります。

「何から始めたらいいか分からない」「自分に合った遺言の内容が知りたい」
そんな時は、どうか一人で悩まず、私たち専門家にご相談ください。あなたの想いにじっくりと耳を傾け、それを最適な形で実現するための一歩を、私たちが全力でサポートします。

まずは無料相談から、お気軽にご連絡ください。公正証書遺言に関する無料相談からお申し込みいただけます。

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