相続登記で発覚!昔の抵当権の消し方【書類がなくても解決】

【ご安心ください】相続登記で昔の抵当権が見つかっても解決できます

「親が亡くなって、実家の相続登記を進めようと登記簿謄本を取得したら、何十年も前に完済したはずの住宅ローンの抵当権が残っていた…」

このような状況に、大変驚かれ、どうすればよいのかご不安に思われていることでしょう。「完済したのになぜ?」「当時の書類なんて、どこにも見当たらない…」「このままでは、不動産を相続できないのでは?」と、次々に心配事が浮かんでくるかもしれません。

でも、どうぞご安心ください。実は、このようなケースは決して珍しいことではないのです。

金融機関でローンを完済しても、登記簿上の抵当権は自動的に消えるわけではありません。ご自身で「抵当権抹消登記」という手続きを法務局で行わない限り、登記上は残り続けてしまいます。昔は手続きを忘れてしまう方も少なくなかったため、相続のタイミングで発覚することがよくあるのです。

当事務所では、書類が見つからない場合でも登記手続きや代替手段を尽力して検討し、抵当権抹消が可能な場合が多いですが、最終的な可否は個別の事情により異なります。まずはご相談ください。

この記事では、相続手続きの専門家である司法書士が、書類のない古い抵当権を抹消するための具体的な手順や解決策を、分かりやすく解説していきます。この記事を最後までお読みいただければ、ご不安が解消され、何をすべきかが明確になるはずです。

【実例】相続登記とセットで解決!書類がない抵当権抹消の相談事例

まずは、当事務所で実際に解決したご相談事例をご紹介します。きっと「うちと全く同じ状況だ」と感じていただけるはずです。

ご相談者様の状況:突然見つかった古い抵当権への戸惑い

「先日父が亡くなり、川崎市にある実家の相続登記を進めようとしていました。登記簿を確認したところ、平成10年代に完済したはずの住宅ローンの抵当権が登記されたままになっていることに気づきました。父はきっちりした性格だったので、まさか手続きが残っているとは思わず、本当に驚きました。」

「もちろん、完済当時に銀行から受け取ったはずの抵当権解除証書などの書類は、探しても見つかりません。相続登記と一緒に、この抵当権も消してしまいたいのですが、どうしたら良いでしょうか…」

当事務所からのご提案と解決までの道のり

ご不安な気持ちでご相談に来られたお客様に、私たちはまず「ご安心ください。書類がなくても、相続登記とセットでしっかり解決できます」とお伝えし、具体的な手続きの流れをご説明しました。

  1. まず相続登記を行います。不動産の名義が亡きお父様のままでは抵当権抹消手続きの当事者になれないため、先に相続人様へ名義変更します。
  2. 次に、銀行へ連絡します。相続登記が完了し、名義が新しくなった登記簿をもって、銀行に抵当権抹消に必要な書類の再発行を依頼します。
  3. 最後に、抵当権抹消登記を申請します。ただし、抵当権の「登記済証」だけは絶対に再発行できません。そのため、「事前通知」という特別な手続きを利用しますが、これも司法書士にお任せいただければ全く問題ありません。

結果:煩雑な手続きから解放され、無事に解決

最終的に、相続登記と抵当権抹消登記をセットでご依頼いただきました。さらに、お客様の手を煩わせないよう、銀行への書類再発行の連絡や手続きもすべて当事務所で代行いたしました。結果、お客様はほとんど何もすることなく、無事に実家の名義変更を終え、長年残っていた抵当権もきれいに抹消することができました。「肩の荷が下りました」と安堵された表情が、今でも心に残っています。

司法書士が相談者に対して、書類を見せながら安心させるように丁寧に説明している様子。

相続登記と抵当権抹消、手続きの正しい順番と流れ

さて、ここからは具体的な手続きの流れを詳しく見ていきましょう。相続登記と抵当権抹消登記は、正しい順番で進めることが非常に重要です。結論から言うと、原則として相続登記を先に行う必要がある場合が多い(ただし事案により手続きの順序や対応が異なることがある)ので、個別にご相談ください。必要があります。

ステップ1:相続登記で不動産の名義を相続人へ変更する

なぜ、先に相続登記が必要なのでしょうか。それは、抵当権抹消登記を申請できるのは、その不動産の「現在の所有者」と「抵当権者(金融機関など)」だからです。

亡くなった方(被相続人)は、すでにこの世におらず、法律上の「人」ではないため、登記申請の当事者になることができません。そのため、まずは相続登記を行い、不動産の名義を相続人の方へ変更することで、新しい所有者として抵当権抹消登記を申請できるようになるのです。

ちなみに、2024年4月1日から相続登記が義務化されており、相続の開始を知った日から3年以内に相続登記を申請することが法律上の義務となりました。抵当権の問題とは別に、相続登記は必ず行わなければならない手続きであることも覚えておきましょう。

ステップ2:金融機関へ連絡し、抹消書類の再発行を依頼する

無事に相続登記が完了し、不動産の名義がご自身に変わったら、次はいよいよ抵当権者である金融機関へ連絡します。連絡する際は、以下の点を伝えましょう。

  • 亡くなった親が組んでいた住宅ローンを完済していること
  • 相続により不動産の名義が自分に変わったこと
  • 抵当権抹消登記をしたいので、必要な書類を再発行してほしいこと

ここで重要なポイントがあります。金融機関から再発行してもらえる書類と、絶対に再発行できない書類があるのです。

【再発行できる書類の例】

  • 抵当権解除証書(または弁済証書)
  • 金融機関の委任状
  • 金融機関の資格証明書(代表者事項証明書など)

【絶対に再発行できない書類】

  • 登記済証(いわゆる「権利証」)または登記識別情報

この「登記済証」がないことが、今回の手続きの核心部分になります。これがなくても大丈夫ですので、安心してください。代替手段については、次のステップで詳しく解説します。

なお、ローンを組んだ金融機関が合併や統合で名前が変わっていたり、すでに存在しなかったりする場合もあります。その際は、現在の権利を引き継いでいる金融機関を探し出して連絡する必要がありますが、これも司法書士にご相談いただければ調査が可能です。

ステップ3:法務局へ抵当権抹消登記を申請する

金融機関から書類の再発行を受けたら、いよいよ法務局へ抵当権抹消登記を申請します。しかし、前述の通り、最も重要な「登記済証(登記識別情報)」が手元にありません。

このような場合、原則として「事前通知制度」という方法を利用して手続きを進めることになります。

これは、登記申請後に法務局から金融機関(登記義務者)宛に「本当に抵当権を抹消して良いですか?」という確認の通知書が送付される制度です。金融機関がその通知書に署名・押印して法務局へ返送し、内容に問題がなければ、登記が実行される仕組みです。

この制度を利用すれば、登記済証がなくても抵当権を抹消できます。ただし、通知の送付や返送に時間がかかるため、通常の登記申請よりも少し日数がかかる点は留意しておきましょう。司法書士に依頼すれば、こうした一連の複雑な手続きもすべて任せることができます。

参考:○登記済証(権利証)を紛失したのですが,どうしたらよいので …

書類がない場合の抵当権抹消|2つの代替手続き

「登記済証(権利証)」や「登記識別情報」がない場合に抵当権を抹消するための代替手続きについて、もう少し詳しく見ていきましょう。主な方法は「事前通知制度」と「本人確認情報作成制度」の2つです。

原則は「事前通知制度」を利用

先ほども触れましたが、最も一般的な方法がこの「事前通知制度」です。追加の費用がかからず、法務局の正規の手続きとして定められているため、多くの場合でこの方法が選択されます。

手続きの流れを簡単にまとめると以下のようになります。

  1. 登記済証(登記識別情報)を添付せずに、法務局へ抵当権抹消登記を申請する。
  2. 法務局が登記義務者に対して通知を送付する(法務局の定める送達方法による)。詳細は法務局の案内や司法書士にご確認ください。
  3. 金融機関が通知を受領後、所定の手続きを経て返送する(通常一定の処理期間を要するため時間を要する場合があります)。具体的な日数については、法務局の最新の案内を参照するか、司法書士にご確認ください。
  4. 法務局が返送された通知書を確認し、問題がなければ登記手続きを実行する。

特に手続きを急ぐ理由がなければ、この方法で着実に抵当権を抹消することができます。

お急ぎの場合は司法書士の「本人確認情報」を活用

一方で、まれに事前通知に対応していない金融機関があります。

あるいは、「相続した不動産をすぐに売却する予定がある」など、抵当権抹消を急ぐ必要があるケースも存在します。事前通知制度は、郵便のやり取りに時間がかかるため、売買の決済日に間に合わない可能性があります。

そのような場合に活用できるのが、司法書士が作成する「本人確認情報」を法務局に提供する方法です。

これは、司法書士が登記義務者(この場合は金融機関の担当者)と面談し、運転免許証などの本人確認資料の確認や、登記申請の意思確認を行った上で、「この登記申請は、間違いなく本人の意思に基づくものです」という内容の証明書を作成し、登記申請書に添付するものです。

この本人確認情報を添付すれば、法務局からの事前通知を省略できるため、スピーディーに登記を完了させることができます。ただし、司法書士が専門家としての責任を負って作成する書類のため、別途費用がかかります。

どちらの方法が最適かは状況によって異なりますので、司法書士と相談しながら進めるのが良いでしょう。

司法書士が「本人確認情報」と書かれた書類に印鑑を押している様子。専門性と信頼性を表している。

相続登記と抵当権抹消を司法書士に依頼するメリットと費用

ここまで読んで、「手続きが思ったより複雑そうだ…」と感じられた方もいらっしゃるかもしれません。相続登記と古い抵当権の抹消は、セットで司法書士に依頼することで、多くのメリットがあります。

複雑な手続きや金融機関とのやり取りもすべてお任せ

司法書士に依頼する最大のメリットは、時間的・精神的な負担から解放されることです。

  • 相続人の調査(戸籍収集)や遺産分割協議書の作成
  • 法務局への相続登記申請
  • 金融機関への連絡、抹消書類の再発行依頼
  • 登記済証がない場合の特別な登記申請(事前通知など)

これら一連の煩雑な手続きを、すべて専門家が窓口となって代行します。特に、金融機関とのやり取りは、担当部署を探したり、必要書類を正確に伝えたりと、慣れていないと手間取ることも少なくありません。すべてを専門家に任せることで、あなたは安心して日常を過ごしながら、手続きが完了するのを待つだけです。

山積みの複雑な相続書類と、きれいに整理された一つのファイル。司法書士による手続きの整理を象徴する画像。

費用の目安は?(登録免許税+司法書士報酬)

司法書士に依頼する場合の費用は、大きく分けて「実費」と「司法書士報酬」の2つで構成されます。

【実費】

  • 登録免許税(登記申請時に国に納める税金)
    • 相続登記:不動産の固定資産税評価額 × 0.4%
    • 抵当権抹消登記:不動産1個につき1,000円
  • その他:戸籍謄本や住民票の取得費用、郵送費など

【司法書士報酬】

事務所によって異なりますが、一般的な目安は以下の通りです。

  • 相続登記:7万円~15万円程度
  • 抵当権抹消登記:1万5,000円~2万円程度

当事務所では、相続登記と抵当権抹消登記をセットでご依頼いただくことも多く、その場合は効率的に進められるため、費用面でもご納得いただけるご提案が可能です。詳しい料金については、当事務所の料金一覧をご覧ください。初回のご相談は無料ですので、まずはお見積りだけでもお気軽にお問い合わせください。

まとめ:まずは司法書士へ無料相談を

相続登記の際に発覚した、何十年も前の古い抵当権。書類もなく、どうすればよいかと途方に暮れてしまうお気持ちは、痛いほどよく分かります。

しかし、この記事でお伝えしてきたように、解決への道筋はきちんと用意されています。相続登記と抵当権抹消は手続きが複雑に絡み合いますが、一つひとつを専門家と一緒に整理していけば、必ずゴールにたどり着けます。

大切なのは、一人で抱え込まず、まずは専門家である司法書士に相談してみることです。それが、ご不安を「安心」に変えるための、最も確実で、最も早い第一歩となります。

いがり綜合事務所では、相続手続きや抵当権抹消に関するご相談を無料で承っております。平日夜間や土日祝のご相談にも柔軟に対応しておりますので、お仕事でお忙しい方も、どうぞご遠慮なくお問い合わせください。あなたのお悩みに寄り添い、円満な解決まで全力でサポートいたします。

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