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突然の孤独死…疎遠な叔父の相続、9名の相続人と連絡を取り預金解約を終えた事例
「役所から連絡があり、疎遠だった叔父が自宅で亡くなっているのが見つかった、と…」
ある日、一本のお電話からご相談は始まりました。お電話口の女性は、突然の訃報に動揺しながらも、ご自身がやらなければならないという責任感から、必死に状況を説明してくださいました。
警察の現場検証後、お部屋に入ると、汚れてしまった現金約40万円と、濡れて判読が難しい通帳が数冊見つかったそうです。通帳の最後の記載などから、預金は2,000万円ほどあるかもしれない、とのことでした。
叔父様には配偶者もお子様もいらっしゃらなかったため、相続人はご自身の親を含む兄弟姉妹、そしてすでに亡くなっている兄弟姉妹の子どもである甥や姪たち。ほとんどの方が北関東や四国、九州にお住まいで、長年顔も合わせていないとのことでした。
「これだけの人数に、私が一人で連絡を取って事情を説明し、手続きを進めるのは精神的にも物理的にも無理だと感じています。先生の方から、専門家として皆様に連絡を取ってもらえないでしょうか…」
その切実な思いを受け、当事務所でお手伝いさせていただくことになりました。
まず、私の方で戸籍謄本を全国の役所から取り寄せ、相続人様が9名であることを正式に確定させました。そして、お一人おひとりに、突然のご連絡で驚かれないよう配慮しながら、事情を説明するお手紙をお送りしました。
幸い、遺産額が明確で多額であったこともあり、相続人の皆様全員から「手続きに協力します」と前向きなお返事をいただくことができました。相談者様が最も心配されていた「連絡が取れない」「協力してもらえない」という壁を、まず乗り越えることができたのです。
見つかった現金については銀行に持ち込みましたが、数枚は汚れがひどく、日本銀行での鑑定が必要となりました。これも当事務所が代理人として銀行に依頼し、無事に交換手続きを終えました。通帳も損傷していましたが、相続手続きは通帳がなくても進められます。残高証明書と取引履歴を取得し、解約・払戻しの手続きを代行しました。
最終的に、遺産の分け方は相続人の皆様で均等に、という形で穏やかに話がまとまりました。当事務所で作成した遺産分割協議書にご署名と実印をいただき、無事に各相続人様の口座へのお振込みまで完了させることができました。
相続人同士が疎遠であればあるほど、かえって感情的なしがらみがなく、法律に則った分け方(法定相続分や均等割)でスムーズに合意できるケースは少なくありません。
「相続人が全国に散らばっていて、どうなることかと本当に不安でした。先生が間に入ってくれたおかげで、自分では到底できなかったことがスムーズに進み、本当に感謝しています」
最後にいただいた相談者様の安堵の表情が、何よりの励みとなった案件です。
孤独死の相続でまず直面する「3つの困難」とは?
突然の孤独死の知らせは、ご遺族にとって精神的なショックが大きいだけでなく、その後の相続手続きにおいても特有の難しさが伴います。一般的な相続と比べて、なぜこれほどまでに大変なのでしょうか。多くの方が直面する「3つの困難」について解説します。もしかしたら、あなた様が今抱えている不安も、この中のどれかに当てはまるかもしれません。

困難1:相続人が誰で、どこにいるか分からない
孤独死の場合、故人との関係が疎遠であることが多く、「相続人が誰なのか」「全部で何人いるのか」「どこに住んでいるのか」すら正確に把握できていないケースがほとんどです。
特に、亡くなった方に配偶者や子どもがいない場合、相続人は親、あるいは兄弟姉妹や甥・姪になります。兄弟姉妹や甥・姪が相続人となるケースでは、関係性が希薄になっていることが多く、連絡先を知らないどころか、お名前すら分からないということも珍しくありません。
法的に相続手続きを進めるには、亡くなった方の出生から死亡までの連続した戸籍謄本をすべて集め、法的な相続人全員を確定させる必要があります。この戸籍収集は、本籍地が各地に点在していることも多く、非常に手間と時間がかかる作業です。この最初のステップでつまずいてしまう方が非常に多いのが実情です。
困難2:財産も借金も、何がどれだけあるか不明
故人と生前の交流が少なかったため、どのような財産を持っていたのか、あるいは借金を抱えていたのか、全く見当がつかないというのも大きな困難です。
預貯金、不動産、株式といったプラスの財産だけでなく、カードローンや消費者金融からの借入、未払いの税金や家賃といったマイナスの財産が存在する可能性も十分にあります。これらの情報は、遺品整理を進める中で見つかる通帳や郵便物、督促状などから一つひとつ探していくしかありません。
もしプラスの財産よりマイナスの財産の方が多い場合は、家庭裁判所で「相続放棄について」の手続きを検討する必要があります。この手続きは原則として「自己のために相続の開始があったことを知った時から3箇月以内」という期限があるため、迅速な財産調査が極めて重要になります。
困難3:面識のない相続人への連絡と協力依頼
戸籍調査によって相続人全員が判明したとしても、次なる大きな壁が待っています。それは、「会ったこともない、あるいは何十年も連絡を取っていない親族」に、突然連絡をして相続の話を切り出さなければならないという、精神的なハードルです。
「いきなり電話して、お金の話なんてできるだろうか…」
「怪しまれて、話も聞いてもらえないかもしれない…」
「協力してほしいと頼んだら、かえって関係がこじれないだろうか…」
このような不安を感じるのは、当然のことです。実際に、相続人の中には協力を拒否する方や、非現実的な要求をされる方がいらっしゃる可能性もゼロではありません。当事者同士で直接やり取りをすることで、かえって感情的な対立を生んでしまうリスクもあります。
このような場合、司法書士という国家資格を持つ第三者が、中立的な立場から丁寧な手紙で事情をご説明することで、相手方も冷静に話を聞き入れやすくなります。専門家が介在することが、円満な話し合いへの第一歩となるのです。
司法書士が一つずつ解決へ導きます|孤独死相続の具体的な手続きの流れ
複雑に絡み合った孤独死の相続問題も、一つひとつ手順を踏んで解きほぐしていくことで、解決の道筋が見えることがあります。ここでは、当事務所にご依頼いただいた場合に、どのような流れで手続きを進めていくのかを具体的にご紹介します。

STEP1:戸籍収集による相続人の確定調査
まず、ご依頼者様から委任状をいただき、当事務所が代理人として、亡くなられた方の出生から死亡までの全ての戸籍謄本(除籍謄本、改製原戸籍謄本)を全国の市区町村役場から取り寄せます。これにより、法的に相続権を持つ方を一人も漏れなく確定させます。
収集した戸籍情報をもとに、誰が相続人であるかを一覧にした「相続関係説明図」を作成します。この書類によって、相続関係が誰の目にも明らかになり、後の金融機関や法務局での手続きがスムーズに進みます。
ご自身でやろうとすると非常に煩雑なこの作業も、専門家にお任せいただくことで、正確かつスピーディーに完了させることができます。
STEP2:財産・負債の調査と相続放棄の検討
相続人調査と並行して、故人の財産調査を進めます。遺品の中から見つかった通帳やキャッシュカードを手がかりに、各金融機関へ残高証明書の発行を請求します。不動産については、役所で名寄帳や評価証明書を取得して所有状況を確認します。
同時に、信用情報機関への情報開示請求などを通じて、借入金などのマイナスの財産がないかも徹底的に調査します。すべての財産状況が明らかになった段階で、財産目録を作成し、相続人の皆様にご報告します。その内容に基づき、相続手続きを進めるか、あるいは相続放棄を選択するかを、3ヶ月の期限を意識しながら慎重に検討していきます。
STEP3:全相続人への連絡と遺産分割協議の調整
相続人と財産が確定したら、いよいよ相続人の皆様へご連絡します。当事務所がご依頼者様の代理人として、お一人おひとりに宛ててお手紙を作成し、郵送します。お手紙には、以下の内容を分かりやすく記載します。
- 亡くなられた方のこと、ご自身が相続人であること
- 判明した相続財産の内容
- 今後の手続きの流れについてのご説明
- 遺産の分け方についてのご意向の確認
突然のことで驚かれないよう、また、怪しい手紙だと思われないよう、司法書士の職印を押印した正式な書面としてお送りします。その後、お電話や郵送でのやり取りを通じて、全員が納得できる遺産の分け方について合意形成を目指します。当事務所が間に入ることで、当事者の負担軽減に寄与することがあります。
STEP4:遺産分割協議書の作成と各種名義変更・解約手続き
相続人全員の合意が得られたら、その内容を法的に有効な書面にするため、当事務所が「遺産分割協議書」を作成します。この協議書に、相続人全員が署名し、実印を押印していただくことで、遺産分割協議が正式に成立します。
その後は、完成した遺産分割協議書とその他の必要書類(戸籍謄本、印鑑証明書など)を用いて、金融機関での預貯金の解約・払戻し手続きや、不動産の名義変更(相続登記)を、すべて当事務所が代行します。事例のように汚損した現金や通帳の対応なども、専門家として適切に対処いたします。最終的に、各相続人様の指定口座へのお振込みまで、手続きの完了まで代理で対応いたします。
孤独死の相続でよくあるご質問(Q&A)
孤独死の相続に関して、ご相談者様からよく寄せられるご質問にお答えします。

Q. 遺品整理や特殊清掃もお願いできますか?
A. はい、対応可能です。
当事務所は司法書士事務所ですので、遺品整理や特殊清掃を直接行うことはできません。しかし、私たちが信頼できる専門業者と連携しておりますので、ワンストップで手配することが可能です。特に、相続人様が遠方にお住まいで現場の立ち会いが難しい場合でも、当事務所が窓口となって業者とやり取りを進めますので、安心してお任せいただけます。
また、これらの費用については、相続財産(故人の預貯金など)の中から清算することも可能ですので、まずはお気軽にご相談ください。
Q. 相続人である親が高齢(または認知症)なのですが…
A. そのようなケースにも対応しておりますので、ご安心ください。
例えば、「孤独死した兄の相続人は、高齢で施設に入所している母」といったご相談は少なくありません。お母様がご自身で判断したり、書類に署名したりすることが難しい場合、法的な手続きを進めることができません。
このような場合、お母様のために「成年後見人」を選任する手続きを家庭裁判所で行う必要があります。当事務所では、成年後見をご検討中の方へのサポートも行っておりますので、相続手続きと並行して進めることが可能です。ご家族の状況に合わせて最適な方法をご提案いたします。
Q. 司法書士に依頼する費用はどのくらいかかりますか?
A. 当事務所では、分かりやすい料金体系をご用意しております。
相続手続きの代行については、相続財産の額にかかわらない定額の報酬プランをご用意しております。多くのケースでは、手続き完了後に故人の遺産の中から費用を清算いただくことが可能ですので、ご依頼時にまとまったお金をご用意いただく必要はございません。
初回のご相談は無料です。まずはお話をお伺いし、どのような手続きが必要で、費用が総額でいくらになるのかを明確にお見積りとしてご提示いたします。ご納得いただいた上でご依頼いただけますので、まずはお気軽にお問い合わせください。
一人で抱え込まず、まずはご相談ください

突然の孤独死の知らせを受け、相続人調査、財産調査、面識のない親族への連絡…と、次から次へと押し寄せる問題に、今、あなたは途方に暮れ、大きな不安の中にいらっしゃるかもしれません。
「何から手をつければいいのか分からない」
「自分一人で、本当に最後までやり遂げられるだろうか」
そのように感じるのは、決してあなただけではありません。今回ご紹介した事例のように、どんなに複雑に見える状況でも、専門家が介入し、一つひとつ問題を解きほぐしていくことで、解決に向けた道筋を提案します。
私たちの役目は、ただ手続きを代行するだけではありません。あなたの不安な心に寄り添い、「安心」をお届けし、円満な相続が実現するまで、最後まで伴走することです。
どうか、一人ですべてを抱え込まないでください。当事務所では、初回のご相談は無料で承っております。平日夜間や土日祝日のご相談にも対応しておりますので、まずはお気持ちが少し落ち着いたときに、あなたのお話をお聞かせください。ご連絡を心よりお待ちしております。

司法書士・行政書士・社会保険労務士いがり綜合事務所の司法書士 猪狩 佳亮(いがり よしあき)です。神奈川県川崎市で生まれ育ち、現在は遺言や相続のご相談を中心に、地域の皆さまの安心につながるお手伝いをしています。8年の会社員経験を経て司法書士となり、これまで年間100件を超える相続案件に対応。実務書の執筆や研修の講師としても活動しています。どんなご相談も丁寧に伺いますので、気軽にお声がけください。
