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ご実家が未登記?ご安心ください、解決への道筋を専門家が解説します
「親の相続手続きを進めていたら、実家が登記されていない『未登記建物』だと判明した…」
「固定資産税は毎年きちんと払っていたのに、一体どうして?」
「この先、売却も解体もできないのだろうか。一体何から手をつければいいのか…」
大切なご家族が亡くなり、ただでさえ心身ともに大変な時期に、このような予期せぬ問題に直面し、途方に暮れていらっしゃるのではないでしょうか。専門用語ばかりで、どこに相談すれば良いのかも分からず、不安と焦りだけが募っていくお気持ち、お察しいたします。
でも、どうかご安心ください。あなたと同じように、相続をきっかけにご実家が未登記だと知り、お困りになる方は決して珍しくありません。
この記事では、相続問題に日々向き合っている専門家として、未登記建物の相続という複雑な問題について、確認事項と手続きの流れを順番に整理します。この記事では、手続きの全体像、具体的な流れ、費用や期間の目安を整理し、「次に何を確認すべきか」を判断しやすくなるよう解説します。
私たち専門家と一緒に、一歩ずつ着実に解決への道を進んでいきましょう。このテーマの全体像については、不動産の名義変更(相続登記)で体系的に解説しています。
STEP1:まず現状把握から。ご実家の登記状況を確認する2つの方法
何よりも先に、ご実家が本当に未登記なのかを客観的に確認することから始めましょう。難しく考える必要はありません。ご自宅にある書類や、簡単な手続きで確かめることができます。
方法1:固定資産税の「納税通知書」をチェックする
最も手軽な方法です。毎年春ごろに市区町村から送られてくる固定資産税の納税通知書を探してみてください。同封されている「課税明細書」の家屋の項目に「家屋番号」という欄があるか確認しましょう。
この家屋番号は、法務局で登記されている建物にのみ付けられる番号です。もしこの欄が空欄、あるいは「未登記」と記載されていれば、その建物は未登記である可能性が非常に高いと言えます。
方法2:法務局で「登記事項証明書」を取得してみる
より確実な方法として、建物の所在地を管轄する法務局の窓口で「登記事項証明書(登記簿謄本)」の取得を試みる方法があります。申請書に地番を記入して提出し、窓口の担当者から「その地番上には建物が登記されていませんね」という回答があれば、未登記であることが確定します。
もし、相続した不動産の中に登記簿に記載のない建物が見つかった場合でも、冷静に対処することが大切です。
STEP2:どうする?今後のための2つの選択肢と判断基準
ご実家が未登記だと確定したら、次に「この建物を今後どうしたいか」を考えるステップに移ります。選択肢は大きく分けて2つです。ご自身の状況やご意向に合わせて、どちらの道が最適か考えてみましょう。

どちらを選ぶべきか、一概に正解はありません。建物がまだ十分に使える状態であったり、賃貸に出すなどの活用が見込める立地であれば「①登記する」方がメリットは大きいでしょう。一方で、老朽化が激しく、今後空き家として維持管理していくことがご負担になる場合は、「②解体する」という判断も賢明な選択です。
まずはご家族で将来のプランを話し合い、方向性を決めることが重要です。
STEP3-A:【登記して活用・売却する場合】手続きの全手順
「登記して、きちんと自分の名義にしたい」と決めた場合、手続きは2つの段階を踏んで進めることになります。そして、ここが重要なポイントですが、この2つの手続きはそれぞれ異なる専門家が担当します。
- ① 建物表題登記:土地家屋調査士の仕事
- ② 所有権保存登記:司法書士の仕事
この全体像を理解しておくと、手続きがスムーズに進みます。それでは、各ステップを詳しく見ていきましょう。専門家への依頼を検討される際は、司法書士に依頼するメリットも参考にしてみてください。
① 建物表題登記:建物の「戸籍」を作る手続き(土地家屋調査士の仕事)
最初のステップは「建物表題登記(たてものひょうだいとうき)」です。これは、法務局に存在しない建物の登記記録を新たに作成し、その建物の物理的な情報(どこに、どんな種類・構造で、どれくらいの広さの建物があるか)を公的に登録する手続きです。建物表題登記は、登記記録が存在しない建物について、所在・種類・構造・床面積などを新たに登記記録へ登録する手続きです。
この手続きは、現地での測量や専門的な図面作成が必須となるため、不動産の表示に関する登記の専門家である「土地家屋調査士」が担当します。
この登記は、亡くなった被相続人名義を挟む必要はなく、建物を相続した相続人の名義で直接申請することが可能です。これにより、無駄な手間や費用を省くことができます。
主な必要書類
- 建築確認済証・検査済証
- 工事完了引渡証明書(工務店等が発行)
- 工事請負契約書や工事代金の領収書
- 建物の図面(各階平面図、立面図など)
- 相続関係を証明する戸籍謄本一式(被相続人の出生から死亡まで)
- 遺産分割協議書、相続人全員の印鑑証明書
- 相続人の住民票
相続手続きで必要となる「出生から死亡までの戸籍」の集め方については、出生から死亡までの戸籍の集め方を解説した記事で詳しく説明しています。
「古い家だから、こんな書類は一つも残っていない…」と不安に思われたかもしれません。でも、ご安心ください。その解決策は、後の章で詳しくご説明します。
② 所有権保存登記:あなたの「所有権」を証明する手続き(司法書士の仕事)
土地家屋調査士による表題登記が完了し、建物の「戸籍」が無事に作成されたら、次のステップに進みます。それが「所有権保存登記(しょゆうけんほぞんとうき)」です。
これは、新しく作られた登記簿の「権利部」という欄に、「この建物の最初の所有者は、あなたです」と公式に名前を記録する手続きです。この登記を完了させることで、初めてあなたは第三者に対して「この建物は私のものです」と法的に主張できるようになります。
この権利に関する登記は、法律の専門家である「司法書士」の仕事です。
登録免許税について
所有権保存登記を申請する際には、登録免許税という税金を国に納める必要があります。税額は以下の計算式で算出されます。
登録免許税 = 建物の固定資産評価額 × 0.4%
例えば、建物の評価額が500万円の場合、登録免許税は2万円となります。この固定資産評価額は、市区町村が発行する固定資産評価証明書や、納税通知書に同封の課税明細書で確認できます。詳しい登録免許税の計算方法については、こちらの記事もご参照ください。
【最重要】古い家で建築確認済証がない…登記を諦める必要はありません
この記事をお読みの方の多くが、この問題で頭を悩ませていらっしゃるのではないでしょうか。
「何十年も前に建てた古い家で、建築確認済証や工事の契約書なんて、どこを探しても見つからない…」
ご安心ください。たとえ建築当時の書類が一切なくても、登記を諦める必要は全くありません。
確かに、建築確認済証や検査済証は、建物の所有権を証明する上で最も強力な書類です。しかし、それらがなくても、他の書類を組み合わせることで所有権を証明していくことが可能です。土地家屋調査士は、法務局と協議しながら、以下のような代替書類を収集・作成していきます。

- 公的な書類:固定資産税の納税通知書や評価証明書は、市区町村があなた(または被相続人)を所有者として認識し、課税している強力な証拠となります。
- 私的な書類:火災保険の証書や、電気・ガス・水道といった公共料金の領収書なども、その建物に居住し、管理していた事実を示す間接的な証拠として役立ちます。
- 第三者の証明:隣地の所有者の方など、建築当時からその土地の状況を知る複数の方に協力をお願いし、「この建物は間違いなく〇〇さんが建てたものです」という内容の証明書(上申書と呼ばれます)に署名・押印をいただく方法もあります。
これらの資料を整理し、法務局と協議しながら所有者であることを説明する資料を整えることが、土地家屋調査士の重要な役割です。権利証を紛失した場合と同様に、代替手段を検討できる場合があります。書類がないからと一人で諦めてしまう前に、ぜひ専門家にご相談ください。
参考情報として、被相続人が登記名義人となっている不動産を一覧で確認できる「所有不動産記録証明制度」もあります。ただし、登記記録に存在しない未登記建物は制度の対象外となるため、固定資産税の課税明細書や市区町村での確認も併せて行う必要があります。
参照:法務省:所有不動産記録証明制度について
STEP3-B:【解体する場合】登記は不要。ただし「家屋滅失届」を忘れずに
「建物が古く、活用も難しいため解体する」という選択をされた方もいらっしゃるでしょう。
この場合、費用と時間をかけて建物表題登記や所有権保存登記を行う必要は原則としてありません。売却するわけではないので、登記簿がなくても解体工事自体は進めることができます。
ただし、一つだけ絶対に忘れてはならない手続きがあります。それは、建物を解体した後に、市区町村役場の税務課(資産税課など)へ「家屋滅失届」を提出することです。
これを忘れてしまうと、役所は建物がなくなったことを把握できないため、建物が滅失したことが市区町村に適切に伝わらず、翌年度以降も固定資産税の課税対象として扱われるおそれがあります。
解体業者から工事完了の証明書などを受け取ったら、速やかに届け出るようにしましょう。この届出は、登記されている建物の「建物滅失登記」とは別の手続きですのでご注意ください。空き家の解体には、自治体によって助成金が利用できる場合もあります。
【専門家の実例】なぜ司法書士と土地家屋調査士の連携が重要なのか
先日、ある行政書士の先生から、こんなご相談を受けました。
「顧問先のお客様の相続なのですが、固定資産税の課税明細書には確かに建物の記載があるんです。現地にも建物はありました。でも、法務局で登記簿を取得しようとしても『存在しない』と言われてしまって…。相続登記をお願いしたいのですが、何から手をつければいいでしょう?」
このような相談は、未登記建物の相続手続きで確認すべき窓口や手順が分かりにくいことを示しています。自己資金で家を建てた場合など、住宅ローンを組まなければ登記をしないままになってしまうケースは、実は世の中に数多く存在するのです。
この問題を解決するための正しい手順は、これまでご説明した通りです。
- 建物表題登記(土地家屋調査士の仕事)
- 所有権保存登記(司法書士の仕事)
この流れ自体はシンプルですが、問題は「依頼者が、それぞれの専門家を別々に探し、同じ説明を繰り返し、書類を二重に準備しなければならない」という点にあります。
ご自身で土地家屋調査士を探して表題登記を依頼し、それが終わったら今度は司法書士を探して保存登記を頼む…これでは時間も手間もかかり、情報の伝達ミスが起こるリスクも否定できません。
しかし、当事務所のように、日頃から土地家屋調査士と緊密に連携している司法書士にご依頼いただければ、手続きの進め方を整理しやすくなります。お客様の窓口は私たち一つだけ。
ご相談いただければ、私たちがまず全体像をご説明し、提携先の信頼できる土地家屋調査士に速やかに表題登記を依頼します。相続関係の書類(戸籍や遺産分割協議書など)は私たちが土地家屋調査士と直接共有するため、お客様に同じ書類を何度もご用意いただく必要はありません。そして、表題登記完了の報告を受けた後、必要書類を確認したうえで所有権保存登記を申請します。
この「ワンストップサービス」により、お客様はあちこちの事務所に連絡する手間から解放され、手続きの流れを整理しながら、必要書類の共有や専門家間の連携を進めやすくなります。これは、信頼できる専門家同士の連携だからこそ実現できる大きなメリットです。もし未登記建物のことでお困りでしたら、ぜひ一度私たちにご相談ください。
未登記建物の相続登記に関する無料相談はこちら
未登記建物の相続に関するQ&A
最後に、未登記建物の相続に関してよくいただくご質問にお答えします。
Q. 登記手続きの費用と期間はどれくらいですか?
A. 費用は「専門家への報酬」と「実費(税金など)」に分かれます。建物の規模や評価額、書類の収集状況によって変動しますが、一般的な目安は以下の通りです。
| 土地家屋調査士報酬(表題登記) | 10万円~15万円程度 |
| 司法書士報酬(保存登記) | 5万円~10万円程度 |
| 登録免許税(保存登記) | 固定資産評価額 × 0.4% |
| その他実費 | 戸籍謄本・住民票等の取得費用、交通費など |
期間については、書類の収集から登記完了まで、通常2〜3ヶ月程度を見ていただくとよいでしょう。もちろん、事案によって変動しますので、あくまで目安としてお考えください。なお、司法書士費用の負担については、相続人間で話し合って決めるのが一般的です。
Q. 相続人が複数いる場合、遺産分割協議書にはどう書けばいいですか?
A. 未登記建物を遺産分割協議書に記載する際は、その建物を特定できるように正確に記載することが非常に重要です。登記簿がなく家屋番号も存在しないため、固定資産税の課税明細書に記載されている情報を基に、以下のように記載します。
未登記家屋の表示
所 在 川崎市川崎区宮前町12番14
種 類 居宅
構 造 木造瓦葺2階建
床 面 積 1階 50.00平方メートル
2階 40.00平方メートル上記の未登記家屋は、相続人 〇〇 △△ が取得する。
このように、誰が見てもどの建物のことか分かるように記載することが、後のトラブルを防ぐポイントです。誰が不動産を相続するかは、相続人の状況に応じて慎重に検討する必要があります。
Q. 相続登記義務化と未登記建物はどう関係しますか?
A. 2024年4月から始まった相続登記の義務化と未登記建物の関係は、少し複雑なので整理して理解しましょう。
- 相続登記の義務化:これは「権利に関する登記(所有権移転登記など)」が対象です。したがって、そもそも登記簿が存在しない未登記建物は、この義務化の直接の対象ではありません。
- 建物表題登記の義務:しかし、それとは別に不動産登記法で「建物を新築したり、未登記の建物を取得した者は、その所有権の取得の日から1ヶ月以内に表題登記を申請しなければならない」と定められています。これを怠った場合、10万円以下の過料の対象となる可能性があります。
つまり、法律上の登記義務があることに変わりはありません。「相続登記義務化」という言葉だけにとらわれず、未登記建物を相続した場合は速やかに表題登記を行う必要がある、とご理解ください。より詳しい解説は、相続登記の義務化についての記事でご確認いただけます。
まとめ:複雑な未登記建物の相続は、まず専門家にご相談ください
今回は、未登記建物の相続という複雑なテーマについて、手続きの流れから必要書類、専門家の役割までをステップ・バイ・ステップで解説しました。
最後に、大切なポイントをもう一度おさらいしましょう。
- 未登記建物の相続は「①建物表題登記(土地家屋調査士)」と「②所有権保存登記(司法書士)」の2段階で進める。
- 放置すると、売却や担保設定ができず、将来の相続でさらに複雑化するリスクがある。
- 古い家で建築当時の書類がなくても、代替書類を組み合わせることで登記は可能。
- 手続きをスムーズに進めるには、司法書士と土地家屋調査士のワンストップ連携が鍵となる。
相続の途中でご実家が未登記だと分かると、誰もが不安になり、思考が停止してしまうものです。しかし、正しい知識と手順を知り、信頼できる専門家を頼ることで、解決に向けた選択肢を整理しやすくなります。
ご自身で抱え込まず、まずは専門家にご相談ください。当事務所では、提携する土地家屋調査士と連携し、複雑な未登記建物の相続手続きもワンストップでサポートいたします。初回のご相談は無料ですので、どうぞお気軽にご連絡ください。
当事務所の料金体系はこちらからご確認いただけます。

司法書士・行政書士・社会保険労務士いがり綜合事務所の司法書士 猪狩 佳亮(いがり よしあき)です。神奈川県川崎市で生まれ育ち、現在は遺言や相続のご相談を中心に、地域の皆さまの安心につながるお手伝いをしています。8年の会社員経験を経て司法書士となり、これまで年間100件を超える相続案件に対応。実務書の執筆や研修の講師としても活動しています。どんなご相談も丁寧に伺いますので、気軽にお声がけください。
