【社労士監修】川崎市の葬祭費5万円|申請方法・書類・期限

【実例】相続相談で発覚した「葬祭費」の申請漏れ

「役所の手続きは、だいたい終わったと思うんですが…」

お母様を亡くされてから約半年後、相続登記のご相談で当事務所を訪れた長女の方は、少し安堵したような、それでいてまだどこか不安げな表情でお話し始めました。

念のためにとご持参くださった書類の束を拝見すると、会葬礼状や葬儀社の請求書、そして返却済みのお母様の国民健康保険証が目に留まりました。

「お母様は国民健康保険にご加入だったのですね。『葬祭費』の申請はもうお済みですか?」

私の問いかけに、長女の方はきょとんとした表情で首をかしげました。

「え? 葬祭費…? そんな制度があるんですか?」

ご家族を亡くされた直後は、死亡届の提出から始まり、年金の手続き、そして相続財産の調査など、やらなければならないことが山積みです。心身ともに大変な中で、一つ一つの給付金制度まで手が回らないケースは、実は決して珍しくありません。

この方のケースでは、社会保険労務士でもある私がすぐに葬祭費の代理申請を行い、無事に5万円が支給されました。受け取れるはずだったお金を見過ごさずに済んだことに、長女の方は心から安堵されていました。

この記事では、川崎市でご家族が亡くなられた際に受け取れる「葬祭費」について、対象者から申請方法、必要書類、そして忘れがちな期限まで、専門家が分かりやすく解説します。あなたも、もしかしたら対象者かもしれません。ぜひ最後までご確認ください。

川崎市の葬祭費とは?対象者・金額・期限の基本

まずは、川崎市の葬祭費制度の最も基本的なポイント、「誰が」「いくら」「いつまでに」もらえるのかを押さえておきましょう。ご自身が対象となるか、すぐに判断できますよ。

川崎市の葬祭費制度の概要を図解したインフォグラフィック。対象者、支給額、申請期限、申請窓口の4つの要点がアイコンと共にまとめられている。
項目内容
対象者亡くなった方が川崎市の国民健康保険または後期高齢者医療制度の加入者だった場合
申請者原則として葬儀を執り行った方(喪主)
支給額一律5万円
申請期限事由発生から2年以内
申請窓口亡くなった方の住所地の区役所・支所の保険年金課
川崎市の葬祭費制度の概要

対象者:国民健康保険・後期高齢者医療制度の加入者

葬祭費の対象となるのは、亡くなった方が以下のいずれかの制度に加入していた場合です。

  • 川崎市の国民健康保険に加入していた方
  • 神奈川県後期高齢者医療制度に加入していた方

一方で、亡くなった方が会社員や公務員で、いわゆる「社会保険(協会けんぽや健康保険組合など)」に加入していた場合は、この制度の対象外です。その代わり、加入していた健康保険から「埋葬料」という別の給付金が支給される可能性があります。葬祭費と埋葬料を重複して受け取ることはできませんので、ご注意くださいね。

ご家族が亡くなられた後の手続きは多岐にわたります。葬祭費の申請もその一つです。このテーマの全体像については、【川崎市】相続手続きの窓口完全ガイド|専門家が管轄を解説で体系的に解説しています。

支給額:一律5万円

川崎市の場合、支給額は一律で5万円です。葬儀の規模や費用にかかわらず、対象者一人につき定額が支給されます。

葬儀にはまとまった費用がかかるため、この給付金は少しでも家計の負担を和らげる助けになるはずです。

ここで補足です。川崎市の葬祭費は、国民健康保険の被保険者が死亡した場合に、葬儀を行った方(喪主)が申請して受け取る給付金です。そのため、仮に相続放棄をした方でも、喪主として葬儀費用を負担していれば、葬祭費を受け取れる可能性があります。

申請期限:葬儀の翌日から2年以内

非常に重要なのが申請期限です。葬祭費を申請できる期間は、「事由発生から2年以内」とされています。

注意したいのは、申請期限の起算点の扱いです。詳しい起算点は個別事情で確認が必要な場合があるため、不明点があれば区役所保険年金課に確認しましょう。この2年の期限を1日でも過ぎてしまうと、時効によって申請する権利が消滅してしまい、5万円を受け取れなくなってしまいます。

冒頭の事例のように、他の手続きに追われているうちに、あっという間に時間は過ぎてしまいます。葬儀が終わって少し落ち着いたら、忘れないうちに早めに申請手続きを進めることを強くおすすめします。

川崎市の葬祭費、申請手続きかんたん3ステップ

「手続き」と聞くと難しく感じてしまうかもしれませんが、ご安心ください。川崎市の葬祭費申請は、3つのステップで進めれば誰でも簡単に行えます。一緒に確認していきましょう。

ステップ1:必要書類をそろえる

まずは申請に必要な書類を準備します。基本的には以下の3点があれば大丈夫です。

  1. 申請者の本人確認書類
    マイナンバーカード、運転免許証、パスポートなど、顔写真付きのものを準備しましょう。
  2. 葬祭を行ったことがわかるもの
    葬儀社の領収書や請求書、または会葬礼状などです。ポイントは、「葬儀を行った日」と「申請者(喪主)の名前」が記載されていることです。領収書の宛名が申請者本人になっているか、事前に確認しておくとスムーズです。
  3. 振込先口座がわかるもの
    申請者名義の預金通帳やキャッシュカードを持参しましょう。

これらの書類は、相続登記の必要書類など、他の手続きでも使うことがあるため、まとめて管理しておくと便利です。

ステップ2:申請書を入手・記入する

次に申請書を用意します。申請書は、各区役所・支所の保険年金課の窓口でもらえるほか、川崎市の公式ウェブサイトからダウンロードすることも可能です。

記入はそれほど難しくありませんが、もし申請者(喪主)と振込先口座の名義人が異なる場合は注意が必要です。その場合は、申請書の「委任状」の欄に、喪主本人が署名・押印する必要があります。例えば、喪主である父親の代わりに、息子が自分の口座に振り込んでほしい、といったケースが該当しますね。

ステップ3:窓口・郵送・オンラインで申請する

書類がそろったら、いよいよ申請です。申請方法は3つあります。

  • 窓口申請
    亡くなった方の最後の住所地を管轄する区役所・支所の保険年金課の窓口に、そろえた書類を持参して提出します。職員の方に直接質問できるので、初めての方でも安心です。
  • 郵送申請
    窓口に行く時間がない場合は、郵送でも申請できます。申請書をダウンロードし、必要書類のコピーを同封して、管轄の区役所保険年金課へ郵送します。
  • オンライン申請
    川崎市では「オンライン手続かわさき(e-KAWASAKI)」を利用して、スマートフォンやパソコンから電子申請が可能です。ただし、後期高齢者医療制度の加入者だった場合は電子申請の対象外となるため、窓口か郵送での手続きが必要です。
市役所の保険年金課の窓口で、男性が葬祭費の申請手続きを行っている様子。

葬祭費の申請でよくある質問(Q&A)

ここでは、葬祭費の申請に関して、ご相談者様からよく寄せられる質問にお答えします。

Q1. 喪主以外の者が申請することはできますか?

原則として、葬儀を執り行い、その費用を負担した「喪主」が申請者となります。

ただし、喪主ではないご親族が費用を負担した場合など、事情によってはその方が申請できることもあります。その際、喪主からの委任状が必要になるケースが一般的です。申請書に委任状の欄が設けられていますので、そちらを利用するとよいでしょう。判断に迷う場合は、事前に区役所に電話で相談してみることをお勧めします。

Q2. 葬儀を行わず火葬のみ(直葬)の場合でも支給されますか?

これは判断が分かれる可能性がある、少しデリケートな問題です。

葬祭費はあくまで「葬祭を行った」ことに対して支給されるものです。近年増えている、通夜や告別式を行わず火葬のみを行う「直葬(ちょくそう)」の場合、自治体によってはこれを「葬祭」とは見なさず、支給対象外と判断することがあります。

直葬で葬祭費の申請を検討している場合は、必要書類の扱い等がケースによって変わる可能性があるため、事前に申請先の区役所保険年金課に確認すると安心です。火葬費用の領収書があれば対象となるのか、といった具体的な点を確認することが大切です。不確実な情報で判断せず、公的な窓口に直接問い合わせるのが最も確実な方法といえます。葬儀費用は、故人の預金口座から支払うことも考えられますが、手続きには注意が必要です。

Q3. 故人が会社員だった場合はどうなりますか?

先ほども少し触れましたが、亡くなった方が会社員や公務員で、会社の健康保険(協会けんぽ、組合健保、共済組合など)に加入していた場合は、川崎市に申請する「葬祭費」の対象にはなりません。

その代わり、加入していた健康保険組合などに対して「埋葬料」または「埋葬費」という名称の給付金を申請することになります。支給額は多くの場合5万円ですが、組合によっては独自の付加給付があることも。申請先がわからない場合は、故人の勤務先の総務部などに問い合わせてみるのが確実です。なお、葬祭費と埋葬料を両方もらうことはできません。

このように、社会保険の種類によって手続きが異なる点も、相続の際には注意が必要です。

まとめ:葬祭費の申請は相続手続きとあわせて専門家へ

川崎市の葬祭費は、国民健康保険または後期高齢者医療制度の加入者が亡くなった場合に、葬儀を行った方へ5万円が支給される大切な制度です。しかし、申請しなければ受け取れず、葬儀の翌日から2年という期限を過ぎると権利そのものがなくなってしまいます。

冒頭の事例のように、ご遺族は不動産の名義変更(相続登記)や預貯金の解約など、ただでさえ煩雑な相続手続きに追われます。その中で、葬祭費のような給付金の申請は、つい後回しにされたり、存在自体を知らないまま見過ごされたりしがちです。

当事務所では、相続登記や遺産分割協議書の作成といった相続手続きに加え、社会保険労務士として、今回ご紹介した葬祭費の申請サポートまで、状況に応じて一体的にご相談いただけます。

「手続きが多くて、何から手をつけていいかわからない」「忙しくて自分で手続きする時間がない」という方は、相続全体を見渡せる専門家にご相談いただくことで、時間的・精神的な負担を大きく軽減できるかもしれません。

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