公証人は出張可能!入院中でも公正証書遺言を作る方法

外出できなくても大丈夫。公正証書遺言は作成できます

「残される家族のために、きちんと公正証書遺言を作っておきたい。でも、身体が思うように動かず、公証役場まで行けない…」

ご高齢の方や、病院に入院中、あるいは介護施設に入所中の方から、このような切実なご相談を数多くお受けしてきました。寝たきりの状態であったり、車椅子での生活を余儀なくされていたり。ご自身の最期が近づいていることを悟り、最後の責任を果たそうとされている方々です。

多くの方が、「外出できないのだから、もう公正証書遺言は諦めるしかない」と誤解されています。しかし、それは違います。たとえ寝たきりの状態であっても、ご自身の意思をはっきりと伝えることができるのであれば、公証人に病院や施設へ出張してもらい、公正証書遺言を作成することは可能です。

この事実をお伝えすると、ほとんどの方が安堵の表情を浮かべられます。

ただし、知っておいていただきたい点もございます。公証人も多忙なため、ご依頼から出張まで1〜2ヶ月ほど時間がかかるケースも少なくありません。また、出張してもらう場合は、通常の遺言書の作成費用に加えて、病床執務加算が適用される場合は手数料が1.5倍となることがあり、さらに公証人の日当・旅費(交通費)が別途必要になります。

私たち専門家は、こうした現実的な情報もしっかりご説明し、ご納得いただいた上で、遺言者様との事前の打ち合わせ、遺言内容の調整、公証役場との折衝、必要書類の収集代行など、万全の体制でサポートいたします。あなたの最後の想いを、確かな形で未来へつなぐお手伝いをさせてください。

遺言書作成の全体像については、遺言書作成業務についてで体系的に解説しています。

病院のベッドで穏やかに過ごす高齢男性と、それに寄り添う家族。公証人の出張による遺言作成を検討している様子。

公証人に出張してもらうための3つのステップ

「自分にもできるだろうか…」と不安に思うかもしれません。ご安心ください。入院中や施設にいながら公正証書遺言を作成する流れは、大きく分けて3つのステップです。一つひとつ見ていきましょう。

ステップ1:遺言の内容を整理し、必要書類を集める

まず、遺言作成の土台となる準備から始めます。いきなり完璧なものを目指す必要はありません。まずは、ご自身の想いを整理するために、簡単なメモを作成することから始めましょう。

  • 誰に:相続人となる方の名前(妻、長男、長女など)
  • どの財産を:主な財産(自宅の土地・建物、〇〇銀行の預貯金など)
  • どれくらい:どの財産を誰に渡したいか(妻に自宅不動産と預金の半分、など)

このメモがあるだけで、後の手続きが格段にスムーズになります。同時に、以下の書類を準備しておくと、公証人との打ち合わせが効率的に進みます。

  • ご本人の本人確認書類:印鑑登録証明書と実印、または運転免許証、マイナンバーカードなど
  • 相続人との関係がわかる戸籍謄本:遺言者と、財産を渡す相手との関係がわかるもの
  • 財産に関する資料:不動産の登記事項証明書(登記簿謄本)や固定資産税の納税通知書、預貯金通帳のコピー、有価証券の残高証明書など

特に、相続関係を証明するための戸籍謄本の収集は、本籍地が遠方にある場合など、ご本人やご家族にとって大きな負担となることがあります。

ステップ2:公証役場に連絡し、出張を依頼する

遺言内容のメモと必要書類がある程度そろったら、いよいよ公証役場に連絡します。連絡先は、まずはお近くの公証役場で構いません。どの公証役場でも相談できます。

電話で「公正証書遺言の作成のため、病院(または施設)まで出張をお願いしたい」と伝えてください。その際、公証人から遺言の内容やご本人の状況について質問されますので、ステップ1で作成したメモが大変役立ちます。

公証人はその道のプロフェッショナルです。緊張なさらず、現状をありのままお話しください。丁寧に対応してくれますので、安心して相談しましょう。

ステップ3:病院・施設と調整し、作成当日を迎える

公証人への依頼と並行して、非常に重要なのが病院や施設との事前調整です。これは、入院中や施設入所中という特殊な状況だからこそ発生する、見落としがちなハードルです。

まずは、担当の医師やケアマネージャー、施設長などに「公正証書遺言を作成するため、公証人と証人に来てもらう」ということを必ず事前に伝えて、許可を得ておきましょう。感染症対策などの理由で、外部の人の立ち入りに制限がある場合も考えられます。

また、遺言の作成にはプライバシーの確保が不可欠です。相部屋の場合は、個室や空いている面談室などを一時的に使わせてもらえるよう交渉する必要があります。当日は、公証人、証人2名、そしてご本人が落ち着いて話せる静かな環境を準備することが、スムーズな遺言作成の鍵となります。

公証人に出張してもらい公正証書遺言を作成するまでの3つのステップを図解。遺言内容の整理、公証役場への依頼、病院・施設との調整という流れがわかります。

出張による公正証書遺言作成の費用はどのくらい?

多くの方が心配されるのが費用面でしょう。公証人に出張してもらう場合、通常の作成費用に加えて、いくつかの加算料金が発生します。費用の内訳は、主に以下の3つで構成されます。

  1. 基本手数料:遺言によって相続させる財産の価額に応じて決まる、法律で定められた基本料金です。
  2. 出張による加算料金:公証人が役場の外で業務を行うための加산です。原則として、上記①の基本手数料が50%増しになります。
  3. 公証人の日当・交通費:公証人が移動や業務のために拘束される時間に対する日当(4時間まで1万円、それを超えると2万円)と、役場から現地までの往復の交通費(実費)がかかります。

例えば、目的価額が5,000万円の場合、目的価額による手数料は33,000円です(相続人・受遺者ごとに計算し合算します)。また、遺言公正証書では目的価額の合計が1億円までの場合に遺言加算(1万3,000円)が加算されます。さらに出張(病床執務)では、病床執務加算が適用される場合、遺言加算を除いた目的価額による手数料が1.5倍となり、別途、日当(4時間まで1万円、1日2万円)と旅費(実費)が必要になります。

正確な費用は財産の内容や場所によって変動しますので、事前に公証役場へ確認することをおすすめします。

より詳しい手数料の計算方法については、日本公証人連合会のウェブサイトも参考になります。

入院・入所中の遺言作成でよくある3つの疑問と解決策

特殊な状況下での遺言作成には、特有の疑問や不安がつきものです。ここでは、特にご相談の多い3つの質問について、専門家として明確な解決策をお答えします。

Q1. 証人が2人必要と聞いたが見つからない場合は?

公正証書遺言の作成には、必ず2名以上の証人の立ち会いが必要です。しかし、ご友人や知人に頼むのは気が引ける、そもそも頼める人がいない、という方は少なくありません。

まず、法律上、以下の人は証人になることができません。

  • 未成年者
  • 推定相続人(将来相続人になる予定の人)、受遺者(遺言で財産をもらう人)およびその配偶者、直系血族
  • 公証人の配偶者、四親等内の親族など

では、適切な証人が見つからない場合はどうすればよいのでしょうか。解決策は2つあります。

  1. 公証役場で紹介してもらう:公証役場に相談すれば、有料で証人を紹介してもらえます。費用は1人あたり1万円前後が相場です。
  2. 司法書士などの専門家に依頼する:遺言作成のサポートを依頼している司法書士やその事務所の職員が証人になることができます。守秘義務も徹底されているため、最も安心できる方法の一つです。私たちにご依頼いただければ、証人の手配もまとめてお引き受けします。

証人の役割は、遺言が本人の真意に基づいて作成されたことを証明する重要なものです。将来、遺言の内容を実現する遺言執行者をスムーズに指定するためにも、信頼できる人に依頼することが大切です。

Q2. 本人の判断能力が衰えているが作成できる?

遺言が法的に有効と認められるためには、作成時にご本人に「意思能力(遺言能力)」、つまり自分の行う遺言の内容やその結果を理解できるだけの判断能力が必要です。

公証人は作成当日、ご本人と直接会話し、「今日は何月何日ですか?」「ご自身の財産についてどうしたいですか?」といった質問を通じて、この意思能力の有無を慎重に確認します。受け答えがしっかりしていれば、たとえ身体が不自由でも問題なく作成できます。

もし、認知症の症状が見られるなど、判断能力に少しでも不安がある場合は、後々のトラブルを防ぐためにも、事前に主治医に相談し、「遺言作成に支障なし」という内容の診断書を取得しておくことを強くお勧めします。この診断書が、遺言の有効性を裏付ける客観的な証拠となります。

もし判断能力が著しく低下している場合は、成年後見制度の利用も検討する必要があります。

Q3. 家族に知られずに作成することは可能?

「遺言の内容を、相続人になる家族には知られたくない」というご相談もよくあります。ご安心ください。公正証書遺言の作成に、相続人となるご家族の同席は一切不要です。

作成当日に立ち会うのは、ご本人、公証人、そして証人2名のみです。公証人や証人には守秘義務があり、遺言の内容が外部に漏れるリスクを低減できます。

私たち司法書士のような専門家にご依頼いただければ、ご家族とのやり取りも含め、プライバシーに最大限配慮しながら、すべての手続きを円滑に進めることが可能です。相続が開始された後、遺言の内容を他の相続人に知らせる際も、遺言執行者として適切に対応いたします。

司法書士が相談者の自宅を訪問し、遺言作成に関する相談に乗っている。専門家への相談で不安が解消されるイメージ。

手続きが不安な方は専門家への相談が近道です

ここまでご自身で手続きを進める方法を解説してきましたが、体調がすぐれない中で、あるいはご家族が遠方にお住まいの場合など、これらの手続きをご自身たちだけで行うのは、心身ともに大きな負担となるかもしれません。そんな時は、決して無理をせず、私たちのような専門家を頼ってください。

司法書士が代行できること一覧

司法書士にご依頼いただければ、面倒で複雑な手続きの大部分を代行することが可能です。いわば、遺言作成の「総監督」として、あらゆる場面であなたをサポートします。

  • 遺言内容の法的な整理・助言:ご希望が法的に実現可能か、将来トラブルにならないかを専門家の視点でチェックし、最適な条文案を作成します。
  • 必要書類の収集代行:戸籍謄本や不動産の登記事項証明書など、手間のかかる書類の取得をすべて代行します。
  • 公証役場とのすべての調整:公証人との事前打ち合わせ、日程調整、遺言案のすり合わせなど、すべての連絡・交渉を代行します。
  • 証人の手配:信頼できる証人を2名手配いたします。ご自身で探す必要はありません。
  • 病院・施設との調整サポート:場所の確保など、デリケートな交渉についてもサポートします。

特にお忙しいご家族に代わって、相続手続きを丸ごと代行してきた豊富な経験を活かし、万全のサポートをお約束します。

残された家族の負担まで考えた遺言作成を

遺言書を作成することは、単なる財産の分配を決める手続きではありません。それは、残される大切なご家族への「最後のメッセージ」であり、「思いやり」の表れです。

専門家が関与することで、法的に有効なのはもちろんのこと、将来の相続トラブル、いわゆる「争続」の火種を未然に防ぎ、ご家族が円満に相続を乗り越えられるよう、道筋を整えることができます。これこそが、遺言書を作成しなくてはいけない本当の理由だと私たちは考えています。

残された時間が限られている中で、不安や焦りを感じていらっしゃるかもしれません。その貴重な時間を、煩雑な手続きに費やすのではなく、どうかご家族と穏やかに過ごすためにお使いください。手続きは、私たち専門家にお任せいただけませんか。

あなたの最後の想いを、最も確実で、最も優しい形で残すために、私たちが全力でサポートいたします。まずはお気軽にご状況をお聞かせください。

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