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遺言書の検認、家庭裁判所へ行くのが不安なあなたへ
「遺言書の検認のために、家庭裁判所へ行かなければならない…」
そう考えただけで、なんだか胸がドキドキしたり、漠然とした不安を感じたりしていませんか?テレビドラマで見るような厳粛な雰囲気を想像して、「何か難しいことを聞かれたらどうしよう」「失敗してしまったら…」と緊張してしまうお気持ち、本当によく分かります。
でも、ご安心ください。この記事を最後までお読みいただければ、検認当日の具体的な流れや、裁判官から実際にどのような質問をされるのかが手に取るように分かります。事前に心の準備ができるので、きっと落ち着いて検認の日に臨めるはずです。
この記事は、単なる手続きの解説書ではありません。あなたの不安な心にそっと寄り添い、「安心」をお届けするためのガイドです。さあ、一緒に一歩ずつ確認していきましょう。
まず確認:遺言書検認とは?目的と基本の流れ
本番のシミュレーションに入る前に、まずは「遺言書検認」そのものについて、少しだけおさらいしておきましょう。この手続きの目的や全体像を知っておくだけで、心の負担がぐっと軽くなりますよ。
検認は遺言書の「現状確認」|有効性を判断する場ではない

多くの方が誤解されがちなのですが、検認は遺言書の内容が有効か無効かを判断する手続きではありません。また、相続人同士が遺産分割について話し合う場でもありません。
検認の最大の目的は、その日時点での遺言書の形状、日付、署名、訂正箇所の状態などを裁判官と相続人が一緒に確認し、その内容を公的に記録・保存することにあります。これにより、後から誰かが遺言書を偽造したり、勝手に書き換えたりすることを防ぐのです。
ですから、「遺言書の内容について何か追及されるのでは…」といった心配は全く必要ありません。あくまで「現状の確認」と捉え、リラックスして臨んでくださいね。
申立てから検認済証明書取得までの3ステップ
遺言書の検認手続きは、大きく分けて以下の3つのステップで進みます。
- 申立ての準備と提出
家庭裁判所に提出する申立書や、亡くなった方・相続人全員の戸籍謄本など、必要な書類を収集・作成します。 - 検認期日当日
家庭裁判所に出向き、裁判官や他の相続人と一緒に遺言書の現物を確認します。(この記事で詳しく解説するメインパートです) - 検認後の手続き
検認が終わった遺言書に「検認済証明書」を付けてもらい、それを使って預貯金の解約や不動産の名義変更など、本格的な相続手続きを開始します。
より詳しい申立て方法については、遺言書の検認の記事でも解説していますので、併せてご覧ください。
参考:遺言書の検認
【本番シミュレーション】検認期日当日の流れと所要時間

それでは、いよいよ検認期日当日の流れを、時間軸に沿って具体的に見ていきましょう。所要時間は裁判所や当日の進行状況、出席者の人数などによって異なります。詳しくは裁判所から届く検認期日通知書や、担当部署の案内をご確認ください。
①受付と待機(持ち物の最終確認)
家庭裁判所に到着したら、まずは受付へ向かいます。申立て後に裁判所から送られてきた「検認期日通知書(呼び出し状)」に、受付場所や部屋番号が記載されていますので、それに従って進みましょう。
受付で事件番号と氏名を伝えると、待合室へ案内されます。自分の番が来るまで少し時間がありますので、この間に持ち物を最終確認しておくと安心です。
【当日の持ち物リスト】
- 検認期日通知書(呼び出し状)
- 遺言書(原本)
- 申立人の印鑑(申立書に押印したもの)
- 申立人の本人確認書類(運転免許証やマイナンバーカードなど)
- 収入印紙150円分(検認済証明書の発行用)
- (必要に応じて)筆記用具やメモ帳
②検認の実施(入室から退室まで約15分)
時間になると、家庭裁判所の書記官が名前を呼びに来てくれます。いよいよ検認が行われる部屋(審判廷や面談室などと呼ばれます)に入室します。
部屋の中には、裁判官と書記官がおり、申立人と出席した相続人が向かい合う形で着席します。テレビで見るような法廷とは違い、小さな会議室のような部屋で行われることがほとんどです。
手続きは、以下のように粛々と進められます。
- 出席者の確認:裁判官が、出席している相続人の本人確認を行います。
- 遺言書の提出:申立人が持参した遺言書を裁判官に提出します。
- 遺言書の開封:封筒に入っている場合は、裁判官がその場で開封します。
- 内容の確認:裁判官が遺言書を読み上げ、出席者全員でその状態(筆跡、署名、日付、訂正箇所など)を確認します。
- 手続きの終了:確認が終われば、検認手続きは終了です。
全体を通して、とても事務的に進みます。時間にして10分~15分程度であっさりと終わることがほとんどです。
③検認済証明書の申請手続き
検認後、遺言の内容を実現(執行)するためには、遺言書に「検認済証明書」を付けてもらう必要があります。
検認が終わると、書記官から申請について案内があります。事前に用意しておいた収入印紙150円分を申請書に貼り、提出すれば手続きは完了です。いつ受け取れるかは裁判所の運用により異なりますので、書記官の案内に従ってください。
これで、検認期日当日のすべての手続きが完了です。お疲れ様でした。
【司法書士が解説】家庭裁判所で実際に聞かれる質問と回答のポイント
「手続きの流れは分かったけど、やっぱり何を質問されるかが一番心配…」
そうですよね。ここからは、この記事の核心部分として、私たち司法書士が実務で経験する、裁判官から実際に聞かれやすい質問とその意図、回答のポイントを詳しく解説します。事前に知っておけば、何も怖くありません。
質問①「遺言書はどこで、どのように保管していましたか?」

これは、ほぼ間違いなく聞かれる質問です。裁判官は、遺言書が亡くなった方の意思に基づいて作成され、誰にも改ざんされていない状態で発見されたかを確認したいと考えています。
- 質問の意図:遺言書の発見経緯と保管状況の真正性を確認するため。
- 回答のポイント:「いつ、どこで、誰が、どのような状態で発見したか」を、事実に基づいて正直に、具体的に答えることが大切です。
【回答例】
「父の死後、実家の書斎にある鍵付きの引き出しを整理していたところ、長男である私(申立人)が、この封筒に入った状態の遺言書を発見しました。」
質問②「この筆跡は、故人(被相続人)のものに間違いありませんか?」
次に、遺言書が本当に亡くなったご本人の筆跡かどうかを確認するための質問です。
- 質問の意図:遺言が本人の意思で作成されたものであることの確認。
- 回答のポイント:ご自身の知っている範囲で答えれば大丈夫です。「はい、父の字に間違いありません。生前にもらった年賀状や手紙の筆跡と同じです」のように、なぜそう思うのか根拠を添えるとよりスムーズです。もし確信が持てない場合は、「おそらく父の字だと思いますが、断定はできません」と正直に答えても問題ありません。
質問③(申立人以外へ)「遺言書の存在はいつ知りましたか?」
申立人以外の相続人が出席している場合に、聞かれることがある質問です。
- 質問の意図:他の相続人が遺言書の存在をいつ、どのように認識したかを確認するため。
- 回答のポイント:これも事実をありのままに答えれば問題ありません。「申立人である兄から、遺品整理中に遺言書が見つかったと電話で連絡を受け、その時に初めて知りました」といった形で、正直に話しましょう。
いかがでしょうか。どの質問も、何かを試したり、問い詰めたりするようなものではなく、あくまで事実関係を確認するためのものだということがお分かりいただけたかと思います。
【事例】「何を聞かれるの?」検認手続きに不安を抱えたご相談者様
先日、当事務所にご相談に来られたBさんも、あなたと同じように検認手続きに大きな不安を抱えていらっしゃいました。
生涯独身だったAさんが亡くなり、相続人は近くに住むBさんと、遠方に住むCさん、Dさん、Eさんの4人兄弟。私たちは、Bさんからのご依頼で、生前にAさんが書かれ、貸金庫で大切に保管されていた自筆証-書遺言書の検認手続きをお手伝いすることになりました。
申立書の作成や戸籍謄本の収集は当事務所ですべて行い、無事に申立ては完了。後日、家庭裁判所から検認期日の呼び出し状が届いたBさんから、不安そうな声でこんなお電話がありました。
「先生、当日、裁判所で一体何を聞かれるのでしょうか…?なんだか怖くて…」
私たちはBさんの不安な気持ちを受け止め、こうお伝えしました。
「大丈夫ですよ。聞かれるのは、『誰が、どのようにこの遺言書を保管していましたか?』とか、『この字はAさん本人のものですか?』といった簡単な事実確認が中心です。時間は15分くらいですぐに終わりますし、テレビで見るような怖い場所ではありませんから、安心してくださいね。他のご兄弟にも裁判所から通知は行きますが、出席する義務はないので、来られないかもしれません。」
この事前のアドバイスで、Bさんの表情は少し和らいだように見えました。
そして検認期日当日。結果として、出席されたのはBさんお一人でした。手続きを終えたBさんからは、「先生の言う通り、思ったより全然大丈夫でした!あっという間に終わって拍子抜けです」と、安心した声でご報告をいただきました。その後、私たちはその検認済みの遺言書を使って、無事にすべての相続手続きを完了させることができました。
このように、事前に流れやポイントを知っておくだけで、不安は大きく和らぎます。一人で抱え込まず、私たち専門家を頼っていただければと思います。
遺言書検認に関するよくあるご質問
最後に、遺言書の検認に関して多くの方が疑問に思われる点をQ&A形式でまとめました。
Q. 申立人以外の相続人も出席すべきですか?欠席したら不利になりますか?
A. 申立人以外の相続人には、検認期日への出席義務はありません。したがって、欠席したからといって、相続分が減るなどの法的な不利益を被ることは一切ありません。欠席した場合の取り扱いについては、家庭裁判所の運用によって異なりますので、詳しくは裁判所から届く通知書などでご確認ください。
ただし、検認は故人が遺した遺言書の現物を直接その目で確認できる貴重な機会です。もし内容に疑問がある場合や、他の相続人と顔を合わせる良い機会だと考える場合は、出席を検討してもよいでしょう。
Q. 検認が終わったら、次は何をすればいいですか?

A. 検認済証明書を受け取ったら、いよいよその遺言書を使って本格的な相続手続きを開始します。具体的には、以下のような手続きが必要です。
- 預貯金の解約・名義変更
- 不動産の名義変更(不動産の名義変更(相続登記))
- 株式など有価証券の名義変更
- 自動車の名義変更
これらの手続きは、金融機関や法務局ごとに必要書類が異なり、非常に煩雑です。もし手続きにご不安があれば、私たち専門家がまとめて代行することも可能ですので、お気軽にご相談ください。
Q. 遺言書を間違って開封してしまったら、もう無効ですか?
A. 封印のある遺言書を、検認前に勝手に開封してしまっても、それだけで遺言書が無効になるわけではありません。
ただし、法律上、家庭裁判所以外で開封した場合は5万円以下の過料(行政上のペナルティ)に処せられる可能性があります。また、何より他の相続人から「内容を都合よく書き換えたのではないか?」とあらぬ疑いをかけられ、トラブルの原因になりかねません。
封印された遺言書を発見した場合は、絶対に開封せず、そのままの状態で家庭裁判所に提出するか、速やかに専門家へ相談するようにしましょう。
検認手続きの不安は専門家への相談で解消できます
ここまで、遺言書検認当日の流れや質問内容について詳しく解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。少しでもあなたの不安は和らぎましたか?
「頭では理解できたけど、やっぱり一人で裁判所へ行くのは心細い…」
「戸籍謄本を集めたり、申立書を作ったりする時間がない」
もしそう感じていらっしゃるなら、どうか一人で抱え込まないでください。私たち、いがり綜合事務所は、相続を専門とする司法書士事務所です。単に書類を作成して提出するだけでなく、あなたの不安な気持ちに寄り添い、手続きが終わるまでしっかりとサポートさせていただきます。
検認申立ての代行はもちろん、ご希望があれば当日の裁判所への同行も可能です。あなたが安心して故人の大切な想いを次へと繋げられるよう、私たちが全力でお手伝いします。
初回のご相談は無料にて承っております(ご予約制)。まずはお気軽にお気持ちをお聞かせください。

司法書士・行政書士・社会保険労務士いがり綜合事務所の司法書士 猪狩 佳亮(いがり よしあき)です。神奈川県川崎市で生まれ育ち、現在は遺言や相続のご相談を中心に、地域の皆さまの安心につながるお手伝いをしています。8年の会社員経験を経て司法書士となり、これまで年間100件を超える相続案件に対応。実務書の執筆や研修の講師としても活動しています。どんなご相談も丁寧に伺いますので、気軽にお声がけください。
