Author Archive

登記簿謄本の取得方法を解説|法務局・オンライン・郵送を比較

2025-12-24

登記簿謄本(登記事項証明書)とは?基本をわかりやすく解説

ご家族が亡くなられて相続が始まると、「登記簿謄本(とうきぼとうほん)を取ってください」と言われることがあります。普段聞き慣れない言葉に、少し戸惑ってしまいますよね。でも、ご安心ください。これは、決して難しいものではありません。

登記簿謄本とは、一言でいえば「不動産のプロフィールが書かれた公的な証明書」のことです。その土地や建物が「どこにあって」「どれくらいの広さで」「誰が持っているのか」といった大切な情報が記録されています。

この書類があるおかげで、私たちは不動産を安心して売ったり買ったり、あるいは相続したりできるのです。

「登記簿謄本」と「登記事項証明書」は同じもの?

手続きを進めようとすると、「登記事項証明書(とうきじこうしょうめいしょ)」という言葉も目にするかもしれません。「どっちが正しいの?」と混乱されるかもしれませんが、現在では「登記簿謄本」と「登記事項証明書」はほぼ同じものと考えていただいて大丈夫です。

昔、法務局では不動産の情報を紙の帳簿(これを「登記簿」と呼びます)で管理していました。この登記簿をコピーしたものが「登記簿謄本」です。

しかし、現在ではその情報はすべてコンピューターで管理されています。そして、コンピューターのデータを印刷して証明書にしたものが「登記事項証明書」と呼ばれるようになりました。つまり、呼び方が変わっただけで、証明される内容は同じなのです。今でも昔ながらの「登記簿謄本」という呼び方が広く使われています。

この記事では、分かりやすさを優先し、「登記簿謄本(登記事項証明書)」と表記してお話しを進めていきますね。

どんな時に必要?相続登記から不動産売買まで

では、具体的にどのような場面で登記簿謄本(登記事項証明書)が必要になるのでしょうか。代表的なケースは以下の通りです。

  • 相続登記(不動産の名義変更)をするとき:亡くなった方から相続人へ不動産の名義を変える手続きです。現在の所有者が誰か、対象の不動産がどれかを正確に確認するために必須となります。
  • 不動産を売買するとき:売主が本当にその不動産の所有者なのか、他に権利を持つ人がいないかなどを買主が確認するために必要です。
  • 住宅ローンを組むとき:金融機関が、融資の担保として不動産に抵当権を設定する際に、不動産の情報を正確に把握するために提出を求めます。
  • 固定資産税の評価額を確認したいとき:不動産の詳細な情報が必要な場合に参考にします。

特に相続手続きにおいては、登記簿謄本(登記事項証明書)の取得が、不動産の名義変更に向けた第一歩となります。

登記簿謄本の取得方法3つを比較|あなたに合うのはどの方法?

登記簿謄本(登記事項証明書)を取得する方法は、大きく分けて3つあります。それぞれにメリット・デメリットがありますので、ご自身の状況に合わせて最適な方法を選びましょう。

まずは、それぞれの特徴を一覧表で比べてみましょう。

登記簿謄本の取得方法「窓口」「オンライン」「郵送」のメリット・デメリットを比較した図解
取得方法費用(1通あたり)取得までの時間メリットデメリット
① 法務局の窓口600円当日交付(所要時間は混雑状況により変動)・その日のうちに受け取れる・不明点を職員に質問できる・法務局に行く手間がかかる・手数料が最も高い・平日の日中しか開いていない
② オンライン郵送受取:520円窓口受取:490円(いずれも2025年4月1日以降)数日程度(目安。状況により前後)・手数料が最も安い・自宅のPCから申請可能(利用時間:平日8:30~21:00)・受け取りは郵送か窓口・初回は利用者登録が必要・電子納付の準備が必要
③ 郵送600円1週間〜10日程度・法務局に行かずに済む・時間がかかる・申請書や返信用封筒の準備が必要
登記簿謄本(登記事項証明書)の取得方法 比較表

この比較表から、あなたに合った方法が見えてきたのではないでしょうか。

  • とにかく急いでいる、直接質問したい方 → ① 法務局の窓口
  • 少しでも費用を抑えたい、日中忙しい方 → ② オンライン
  • 法務局に行くのは面倒だが、時間に余裕がある方 → ③ 郵送

このように、ご自身の優先順位に合わせて選ぶのがおすすめです。次の章では、それぞれの具体的な手順を詳しく見ていきましょう。

【パターン別】登記簿謄本の具体的な取得手順

ここでは、3つの取得方法について、それぞれの手順を分かりやすく解説していきます。ご自身が選んだ方法の項目を参考に、手続きを進めてみてください。

① 法務局の窓口で即日取得する方法

法務局の窓口で登記簿謄本の取得について相談している様子

メリット:
その場で取得でき、不明点も職員に直接聞けるので初心者の方でも安心です。

デメリット:
平日の日中(午前8時30分~午後5時15分)に法務局へ行く必要があります。手数料も600円と最も高くなります。

【取得手順】

  1. 最寄りの法務局へ行く
    登記簿謄本は、不動産の所在地を管轄する法務局のほか、全国の法務局・支局・出張所の窓口で取得できます。
  2. 申請書を記入する
    法務局に備え付けの「登記事項証明書交付申請書」に必要事項を記入します。記入するのは、ご自身の氏名・住所と、取得したい不動産の情報(地番・家屋番号など)です。もし分からないことがあれば、窓口の職員の方が親切に教えてくれますので、気軽に質問してみましょう。
  3. 手数料分の収入印紙を購入・貼付する
    手数料は1通あたり600円です。法務局内にある印紙販売窓口で収入印紙を購入し、申請書に貼り付けます。
  4. 窓口に提出し、受け取る
    申請書を「証明書発行窓口」に提出します。混雑状況にもよりますが、通常10分~15分ほどで名前が呼ばれ、登記簿謄本(登記事項証明書)を受け取ることができます。

② オンラインで請求し郵送または窓口で受け取る方法

メリット:
手数料が最も安く(郵送500円、窓口受取480円)、パソコンがあれば自宅から24時間いつでも申請できます。

デメリット:
受け取りまでに数日かかります。初めて利用する際は、申請者情報の登録が必要です。また、手数料はインターネットバンキングなどによる電子納付となります。

【取得手順】

  1. 「登記・供託オンライン申請システム」にアクセス
    法務省が運営する「登記ねっと」というシステムを利用します。初めての方は、まず「申請者情報登録」を行い、IDとパスワードを取得しましょう。
  2. ログインして請求情報を作成
    システムにログインし、「証明書請求」のメニューから不動産の登記事項証明書を選択します。画面の案内に従って、不動産の情報(地番・家屋番号など)を入力していきます。
  3. 受け取り方法を選択し、手数料を電子納付する
    証明書の受け取り方法を「郵送」または「指定の法務局での交付」から選びます。その後、インターネットバンキングやモバイルバンキング、Pay-easy(ペイジー)対応のATMを利用して手数料を納付します。
  4. 証明書を受け取る
    郵送を選択した場合は、2~3日後に自宅のポストに届きます。窓口交付を選択した場合は、指定した法務局へ本人確認書類(運転免許証など)を持参して受け取りに行きます。

参考:登記・供託オンライン申請システム 登記ねっと 供託ねっと

③ 郵送で申請し、郵送で受け取る方法

メリット:
一度も法務局へ行かずに、すべての手続きを自宅で完結できます。

デメリット:
申請書を送ってから証明書が返送されてくるまで、1週間~10日ほど時間がかかります。申請書や返信用封筒を自分で用意する必要があります。

【取得手順】

  1. 申請書をダウンロード・記入する
    法務局のウェブサイトから「登記事項証明書交付申請書」の様式をダウンロードして印刷します。窓口で記入する内容と同様に、ご自身の氏名・住所と不動産情報を記入します。
  2. 手数料分の収入印紙と返信用封筒を準備する
    手数料600円分の収入印紙を郵便局などで購入し、申請書に貼り付けます。また、ご自身の住所・氏名を記入し、切手を貼った返信用封筒も準備します。
  3. 法務局へ郵送する
    記入した申請書と返信用封筒を一つの封筒に入れ、不動産の所在地を管轄する法務局へ郵送します。管轄の法務局がどこか分からない場合は、インターネットで「(市区町村名) 不動産登記 管轄」と検索すると調べられます。
  4. 証明書を受け取る
    申請書が法務局に到着してから数日後、返信用封筒で登記簿謄本(登記事項証明書)が郵送されてきます。

参考:登記申請書・登記事項証明書等の様式のダウンロード – 法務局

登記簿謄本を取得する前の重要チェックポイント

実際に手続きを始める前に、いくつか知っておいていただきたい大切なポイントがあります。特に初めての方がつまずきやすい点ですので、しっかり確認しておきましょう。

誰でも取得できる?プライバシーは大丈夫?

「自分に関係ない不動産の登記簿謄本も取れるの?」と疑問に思う方もいらっしゃるかもしれません。答えは「はい、誰でも取得できます」です。

登記簿謄本は、不動産の権利関係を誰でも確認できるようにすることで、安全で円滑な取引を実現するという目的のために公開されています。そのため、手数料を支払えば、所有者でなくても、日本全国どこの不動産のものでも取得が可能です。

氏名や住所が記載されていることに不安を感じるかもしれませんが、これは制度の根幹に関わる部分です。もちろん、不正な目的での情報利用は法律で規制されていますので、その点はご安心ください。

必須情報「地番」「家屋番号」の調べ方

申請の際に最も重要なのが、「地番(ちばん)」と「家屋番号(かおくばんごう)」です。これは、私たちが普段使っている「住所(住居表示)」とは異なる、法務局が不動産を管理するための番号です。

では、どうやって調べればよいのでしょうか。以下の書類で確認するのが最も確実です。

  • 権利証(登記識別情報通知)
  • 固定資産税の納税通知書・課税明細書(毎年春頃に市区町村から送られてきます)

これらの書類がお手元にあれば、そこに記載されている「地番」「家屋番号」を申請書に書き写せば大丈夫です。もし書類が見当たらない場合は、その不動産を管轄する法務局に電話で問い合わせることもできます。その際は、住所(住居表示)と所有者名などを伝えて確認しましょう。

登記情報提供サービスとの違いに注意

オンラインで不動産の情報を調べる際、もう一つよく似たサービスがあります。それが「登記情報提供サービス」です。

このサービスは、登記簿謄本とほぼ同じ内容をインターネット上で「閲覧」できるものですが、決定的な違いがあります。

  • 登記情報提供サービス:閲覧用のデータ。法的な証明力はない。手数料は331円(全部事項情報・1件当たり。※提供情報の種類により異なる)と安い。
  • 登記・供託オンライン申請システム:法的な証明力がある「登記事項証明書」を取得するためのシステム。

相続登記の申請や金融機関への提出など、公的な証明書が必要な場面では、必ず「登記・供託オンライン申請システム」を利用して「登記事項証明書」を取得してください。間違えないように注意しましょう。

参考:登記情報提供サービス

相続登記で登記簿謄本を使う際の3つの注意点【司法書士が解説】

相続手続きのために登記簿謄本を取得される方へ、私たち司法書士が実務で特に気をつけているポイントを3つお伝えします。これを知っておくだけで、後の手続きがスムーズに進みますよ。

司法書士が登記簿謄本の内容を専門家の視点でチェックしている

注意点1:必ず「最新」の情報を取得する

ご自宅に、以前取得した古い登記簿謄本が保管されているかもしれません。しかし、相続登記を申請する際は、必ず手続きの直前に最新のものを取得し直してください。

なぜなら、ご自身が知らない間に、権利関係に変動(例えば、税金の滞納による差押えなど)が生じている可能性がゼロではないからです。最新の情報で不動産の状況を正確に把握することは、手戻りのないスムーズな相続登記の基本です。

注意点2:土地と建物は別々に取得が必要な場合がある

一戸建ての不動産の場合、登記は「土地」と「建物」で別々に管理されています。そのため、登記簿謄本も「土地」で1通、「建物」で1通、合計2通取得する必要があるのが一般的です。

申請の際は、土地の「地番」と建物の「家屋番号」の両方を調べて、それぞれ請求することを忘れないようにしましょう。なお、マンション(敷地権付き区分建物)の場合は、通常、建物の登記簿謄本に土地の情報も含まれているため、建物分だけで大丈夫です。

注意点3:登記上の住所が古いままの場合がある

これは非常によくあるケースなのですが、亡くなった方が生前に引っ越しをされていても、登記簿に記録されている住所を変更していないことがあります。

この場合、登記簿上の住所と、亡くなった時の最後の住所(住民票の除票などで証明します)が一致しません。そのままでは、法務局は「登記簿に載っている人と亡くなった人が同一人物だ」と判断できず、相続登記を受け付けてもらえません。

そのため、相続登記の前提として、亡くなった方の住所の変遷を証明する書類(戸籍の附票など)を添付したり、場合によっては「登記名義人住所変更登記」という別の手続きが追加で必要になったりします。これは手続きが少し複雑になるサインですので、専門家にご相談いただくことをお勧めします。

手続きが不安なら司法書士への依頼も検討しよう

ここまで登記簿謄本の取得方法について解説してきましたが、「自分でやるのはやっぱり少し不安…」「相続登記全体を考えると、何から手をつけていいか分からない」と感じられた方もいらっしゃるかもしれません。

登記簿謄本の取得自体はご自身でも可能ですが、その後の相続登記まで見据えると、手続きは格段に複雑になります。そんな時は、私たち相続の専門家である司法書士に頼るという選択肢もぜひご検討ください。

必要な書類を正確に取得し、内容を法的にチェック

私たち司法書士にご依頼いただければ、まず相続に必要な不動産を正確に調査し、漏れなく登記簿謄本を取得します。特に、ご自宅の他に私道(公衆用道路)の持分をお持ちだったり、複数の不動産があったりする場合、一般の方では見落としてしまうケースも少なくありません。

さらに、取得した登記簿謄本の内容を法的な観点から精査します。先ほどお話しした「登記上の住所が古い」といった問題点や、その他の権利関係の問題を早期に発見し、スムーズな手続きのための最適な手順をご提案することができます。

司法書士に相続手続きの相談をして安心している女性

相続登記までワンストップで任せられる安心感

登記簿謄本の取得は、相続手続きのほんの始まりに過ぎません。この後には、亡くなった方の出生から死亡までの戸籍謄本一式の収集、相続人全員での遺産分割協議、そして遺産分割協議書の作成、法務局への相続登記申請と、多くの時間と手間がかかる手続きが続きます。

司法書士は、これら一連の煩雑な手続きをすべて代行する国家資格者です。当事務所にご依頼いただいた場合、必要書類のご案内や作成、法務局への申請などを責任をもって行いますが、お手続きを進めるにあたり、お客様には書類のご準備や内容の確認などでご協力をお願いすることがございます。面倒な手続きから解放され、大切なご家族との時間やご自身の生活に専念できること、それが専門家に依頼する最大のメリットです。

いがり綜合事務所では、代表司法書士である私が最初のご相談から手続き完了まで、責任をもって一貫して対応させていただきます。平日夜間や土日祝のご相談も承っておりますので、お仕事で忙しい方でも安心です。相続のことで少しでもご不安な点がございましたら、どうぞお気軽に当事務所の無料相談をご利用ください。あなたのお悩みに、親身に寄り添い、円満な相続の実現を全力でサポートいたします。

いがり円満相続相談室へのお問い合わせはこちら

遺言書の検認で何を聞かれる?家庭裁判所での質問と当日の流れ

2025-12-23

遺言書の検認、家庭裁判所へ行くのが不安なあなたへ

「遺言書の検認のために、家庭裁判所へ行かなければならない…」

そう考えただけで、なんだか胸がドキドキしたり、漠然とした不安を感じたりしていませんか?テレビドラマで見るような厳粛な雰囲気を想像して、「何か難しいことを聞かれたらどうしよう」「失敗してしまったら…」と緊張してしまうお気持ち、本当によく分かります。

でも、ご安心ください。この記事を最後までお読みいただければ、検認当日の具体的な流れや、裁判官から実際にどのような質問をされるのかが手に取るように分かります。事前に心の準備ができるので、きっと落ち着いて検認の日に臨めるはずです。

この記事は、単なる手続きの解説書ではありません。あなたの不安な心にそっと寄り添い、「安心」をお届けするためのガイドです。さあ、一緒に一歩ずつ確認していきましょう。

まず確認:遺言書検認とは?目的と基本の流れ

本番のシミュレーションに入る前に、まずは「遺言書検認」そのものについて、少しだけおさらいしておきましょう。この手続きの目的や全体像を知っておくだけで、心の負担がぐっと軽くなりますよ。

検認は遺言書の「現状確認」|有効性を判断する場ではない

遺言書検認の目的を解説する図解。検認は遺言書の現状確認であり、有効性を判断する場ではないことを示している。

多くの方が誤解されがちなのですが、検認は遺言書の内容が有効か無効かを判断する手続きではありません。また、相続人同士が遺産分割について話し合う場でもありません。

検認の最大の目的は、その日時点での遺言書の形状、日付、署名、訂正箇所の状態などを裁判官と相続人が一緒に確認し、その内容を公的に記録・保存することにあります。これにより、後から誰かが遺言書を偽造したり、勝手に書き換えたりすることを防ぐのです。

ですから、「遺言書の内容について何か追及されるのでは…」といった心配は全く必要ありません。あくまで「現状の確認」と捉え、リラックスして臨んでくださいね。

申立てから検認済証明書取得までの3ステップ

遺言書の検認手続きは、大きく分けて以下の3つのステップで進みます。

  1. 申立ての準備と提出
    家庭裁判所に提出する申立書や、亡くなった方・相続人全員の戸籍謄本など、必要な書類を収集・作成します。
  2. 検認期日当日
    家庭裁判所に出向き、裁判官や他の相続人と一緒に遺言書の現物を確認します。(この記事で詳しく解説するメインパートです)
  3. 検認後の手続き
    検認が終わった遺言書に「検認済証明書」を付けてもらい、それを使って預貯金の解約や不動産の名義変更など、本格的な相続手続きを開始します。

より詳しい申立て方法については、遺言書の検認の記事でも解説していますので、併せてご覧ください。

参考:遺言書の検認

【本番シミュレーション】検認期日当日の流れと所要時間

家庭裁判所の待合室で書類を確認する男性。遺言書検認の期日当日、落ち着いて待機している様子。

それでは、いよいよ検認期日当日の流れを、時間軸に沿って具体的に見ていきましょう。所要時間は裁判所や当日の進行状況、出席者の人数などによって異なります。詳しくは裁判所から届く検認期日通知書や、担当部署の案内をご確認ください。

①受付と待機(持ち物の最終確認)

家庭裁判所に到着したら、まずは受付へ向かいます。申立て後に裁判所から送られてきた「検認期日通知書(呼び出し状)」に、受付場所や部屋番号が記載されていますので、それに従って進みましょう。

受付で事件番号と氏名を伝えると、待合室へ案内されます。自分の番が来るまで少し時間がありますので、この間に持ち物を最終確認しておくと安心です。

【当日の持ち物リスト】

  • 検認期日通知書(呼び出し状)
  • 遺言書(原本)
  • 申立人の印鑑(申立書に押印したもの)
  • 申立人の本人確認書類(運転免許証やマイナンバーカードなど)
  • 収入印紙150円分(検認済証明書の発行用)
  • (必要に応じて)筆記用具やメモ帳

②検認の実施(入室から退室まで約15分)

時間になると、家庭裁判所の書記官が名前を呼びに来てくれます。いよいよ検認が行われる部屋(審判廷や面談室などと呼ばれます)に入室します。

部屋の中には、裁判官と書記官がおり、申立人と出席した相続人が向かい合う形で着席します。テレビで見るような法廷とは違い、小さな会議室のような部屋で行われることがほとんどです。

手続きは、以下のように粛々と進められます。

  1. 出席者の確認:裁判官が、出席している相続人の本人確認を行います。
  2. 遺言書の提出:申立人が持参した遺言書を裁判官に提出します。
  3. 遺言書の開封:封筒に入っている場合は、裁判官がその場で開封します。
  4. 内容の確認:裁判官が遺言書を読み上げ、出席者全員でその状態(筆跡、署名、日付、訂正箇所など)を確認します。
  5. 手続きの終了:確認が終われば、検認手続きは終了です。

全体を通して、とても事務的に進みます。時間にして10分~15分程度であっさりと終わることがほとんどです。

③検認済証明書の申請手続き

検認後、遺言の内容を実現(執行)するためには、遺言書に「検認済証明書」を付けてもらう必要があります。

検認が終わると、書記官から申請について案内があります。事前に用意しておいた収入印紙150円分を申請書に貼り、提出すれば手続きは完了です。いつ受け取れるかは裁判所の運用により異なりますので、書記官の案内に従ってください。

これで、検認期日当日のすべての手続きが完了です。お疲れ様でした。

【司法書士が解説】家庭裁判所で実際に聞かれる質問と回答のポイント

「手続きの流れは分かったけど、やっぱり何を質問されるかが一番心配…」

そうですよね。ここからは、この記事の核心部分として、私たち司法書士が実務で経験する、裁判官から実際に聞かれやすい質問とその意図、回答のポイントを詳しく解説します。事前に知っておけば、何も怖くありません。

質問①「遺言書はどこで、どのように保管していましたか?」

相談者の話に耳を傾ける司法書士。専門家が親身にサポートする様子を表している。

これは、ほぼ間違いなく聞かれる質問です。裁判官は、遺言書が亡くなった方の意思に基づいて作成され、誰にも改ざんされていない状態で発見されたかを確認したいと考えています。

  • 質問の意図:遺言書の発見経緯と保管状況の真正性を確認するため。
  • 回答のポイント:「いつ、どこで、誰が、どのような状態で発見したか」を、事実に基づいて正直に、具体的に答えることが大切です。

【回答例】
「父の死後、実家の書斎にある鍵付きの引き出しを整理していたところ、長男である私(申立人)が、この封筒に入った状態の遺言書を発見しました。」

質問②「この筆跡は、故人(被相続人)のものに間違いありませんか?」

次に、遺言書が本当に亡くなったご本人の筆跡かどうかを確認するための質問です。

  • 質問の意図:遺言が本人の意思で作成されたものであることの確認。
  • 回答のポイント:ご自身の知っている範囲で答えれば大丈夫です。「はい、父の字に間違いありません。生前にもらった年賀状や手紙の筆跡と同じです」のように、なぜそう思うのか根拠を添えるとよりスムーズです。もし確信が持てない場合は、「おそらく父の字だと思いますが、断定はできません」と正直に答えても問題ありません。

質問③(申立人以外へ)「遺言書の存在はいつ知りましたか?」

申立人以外の相続人が出席している場合に、聞かれることがある質問です。

  • 質問の意図:他の相続人が遺言書の存在をいつ、どのように認識したかを確認するため。
  • 回答のポイント:これも事実をありのままに答えれば問題ありません。「申立人である兄から、遺品整理中に遺言書が見つかったと電話で連絡を受け、その時に初めて知りました」といった形で、正直に話しましょう。

いかがでしょうか。どの質問も、何かを試したり、問い詰めたりするようなものではなく、あくまで事実関係を確認するためのものだということがお分かりいただけたかと思います。

【事例】「何を聞かれるの?」検認手続きに不安を抱えたご相談者様

先日、当事務所にご相談に来られたBさんも、あなたと同じように検認手続きに大きな不安を抱えていらっしゃいました。

生涯独身だったAさんが亡くなり、相続人は近くに住むBさんと、遠方に住むCさん、Dさん、Eさんの4人兄弟。私たちは、Bさんからのご依頼で、生前にAさんが書かれ、貸金庫で大切に保管されていた自筆証-書遺言書の検認手続きをお手伝いすることになりました。

申立書の作成や戸籍謄本の収集は当事務所ですべて行い、無事に申立ては完了。後日、家庭裁判所から検認期日の呼び出し状が届いたBさんから、不安そうな声でこんなお電話がありました。

「先生、当日、裁判所で一体何を聞かれるのでしょうか…?なんだか怖くて…」

私たちはBさんの不安な気持ちを受け止め、こうお伝えしました。

「大丈夫ですよ。聞かれるのは、『誰が、どのようにこの遺言書を保管していましたか?』とか、『この字はAさん本人のものですか?』といった簡単な事実確認が中心です。時間は15分くらいですぐに終わりますし、テレビで見るような怖い場所ではありませんから、安心してくださいね。他のご兄弟にも裁判所から通知は行きますが、出席する義務はないので、来られないかもしれません。」

この事前のアドバイスで、Bさんの表情は少し和らいだように見えました。

そして検認期日当日。結果として、出席されたのはBさんお一人でした。手続きを終えたBさんからは、「先生の言う通り、思ったより全然大丈夫でした!あっという間に終わって拍子抜けです」と、安心した声でご報告をいただきました。その後、私たちはその検認済みの遺言書を使って、無事にすべての相続手続きを完了させることができました。

このように、事前に流れやポイントを知っておくだけで、不安は大きく和らぎます。一人で抱え込まず、私たち専門家を頼っていただければと思います。

遺言書検認に関するよくあるご質問

最後に、遺言書の検認に関して多くの方が疑問に思われる点をQ&A形式でまとめました。

Q. 申立人以外の相続人も出席すべきですか?欠席したら不利になりますか?

A. 申立人以外の相続人には、検認期日への出席義務はありません。したがって、欠席したからといって、相続分が減るなどの法的な不利益を被ることは一切ありません。欠席した場合の取り扱いについては、家庭裁判所の運用によって異なりますので、詳しくは裁判所から届く通知書などでご確認ください。

ただし、検認は故人が遺した遺言書の現物を直接その目で確認できる貴重な機会です。もし内容に疑問がある場合や、他の相続人と顔を合わせる良い機会だと考える場合は、出席を検討してもよいでしょう。

Q. 検認が終わったら、次は何をすればいいですか?

検認後の相続手続きの流れを示した図解。預貯金解約や不動産の名義変更など、次に何をすべきかがわかる。

A. 検認済証明書を受け取ったら、いよいよその遺言書を使って本格的な相続手続きを開始します。具体的には、以下のような手続きが必要です。

これらの手続きは、金融機関や法務局ごとに必要書類が異なり、非常に煩雑です。もし手続きにご不安があれば、私たち専門家がまとめて代行することも可能ですので、お気軽にご相談ください。

Q. 遺言書を間違って開封してしまったら、もう無効ですか?

A. 封印のある遺言書を、検認前に勝手に開封してしまっても、それだけで遺言書が無効になるわけではありません。

ただし、法律上、家庭裁判所以外で開封した場合は5万円以下の過料(行政上のペナルティ)に処せられる可能性があります。また、何より他の相続人から「内容を都合よく書き換えたのではないか?」とあらぬ疑いをかけられ、トラブルの原因になりかねません。

封印された遺言書を発見した場合は、絶対に開封せず、そのままの状態で家庭裁判所に提出するか、速やかに専門家へ相談するようにしましょう。

検認手続きの不安は専門家への相談で解消できます

ここまで、遺言書検認当日の流れや質問内容について詳しく解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。少しでもあなたの不安は和らぎましたか?

「頭では理解できたけど、やっぱり一人で裁判所へ行くのは心細い…」
「戸籍謄本を集めたり、申立書を作ったりする時間がない」

もしそう感じていらっしゃるなら、どうか一人で抱え込まないでください。私たち、いがり綜合事務所は、相続を専門とする司法書士事務所です。単に書類を作成して提出するだけでなく、あなたの不安な気持ちに寄り添い、手続きが終わるまでしっかりとサポートさせていただきます。

検認申立ての代行はもちろん、ご希望があれば当日の裁判所への同行も可能です。あなたが安心して故人の大切な想いを次へと繋げられるよう、私たちが全力でお手伝いします。

初回のご相談は無料にて承っております(ご予約制)。まずはお気軽にお気持ちをお聞かせください。

遺言書検認に関する無料相談はこちら

遺産承継業務の費用相場|司法書士の見積もり事例で解説

2025-12-22

相続手続き、丸ごと代行します。「遺産承継業務」とは?

ご家族が亡くなられた後、悲しむ間もなく、実に多くの手続きが待ち受けています。戸籍謄本を何通も集め、銀行や証券会社を一つひとつ回り、不動産の名義を変え…。平日しか開いていない窓口も多く、お仕事をされている方や、ご高齢の方にとっては、本当に大きな負担です。

「誰か、この大変な手続きを全部まとめてやってくれないだろうか…」

そんなお悩みにお応えするのが、私たち司法書士が提供する「遺産承継業務(遺産整理業務)」です。

遺産承継業務とは、相続人のご依頼に基づき、戸籍収集・財産調査・金融機関手続・相続登記など相続手続きを支援し、必要に応じて他士業(行政書士・社労士・税理士等)と連携して進めるサービスです。具体的には、以下のようなことをお手伝いします。

  • 相続人の調査(戸籍謄本の収集)
  • 相続財産の調査
  • 遺産分割協議書の作成
  • 預貯金・有価証券の解約、名義変更
  • 不動産の名義変更(相続登記)
  • 生命保険金の請求手続のサポート(必要書類の案内・作成支援等。実際の請求主体・代理可否は保険会社の取扱いによります)
  • 自動車の名義変更(当事務所は行政書士資格も有するためワンストップで対応可能です)

「司法書士は不動産の名義変更(相続登記)だけ」というイメージをお持ちの方もいらっしゃるかもしれませんが、実は相続登記をはじめ、相続手続で必要となる書類収集・作成や金融機関手続等を支援でき、必要に応じて税理士・社労士・行政書士等と連携して進めます。戸籍の収集から金融機関とのやり取りまで、法律知識を活かして正確かつスムーズに進めることができます。より詳しいサービス内容については「相続手続きの内容(遺産整理業務)」のページでも解説していますので、よろしければご覧ください。

このサービスをご利用いただくことで、あなたは煩雑な手続きから解放され、故人を偲ぶ大切な時間を取り戻すことができるのです。

遺産承継業務の費用、本当に高い?料金体系のカラクリ

「でも、専門家に全部任せると、費用がすごく高いんじゃないの?」

おそらく、これが一番のご心配事だと思います。インターネットで調べると「遺産総額の〇%」といった料金体系をよく見かけ、一体いくらかかるのか分からず、不安に感じていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。

実は、その「分かりにくさ」こそが、費用が高額になりがちな原因の一つなのです。

多くの専門家が採用する「財産額連動型」の報酬体系とは

多くの司法書士事務所や、特に信託銀行などが採用しているのが「財産額連動型」と呼ばれる料金体系です。これは、相続財産の総額に応じて報酬が決まる仕組みです。

【財産額連動型の計算例】

遺産総額5,000万円まで:報酬率 2.2%
遺産総額1億円まで:報酬率 1.65% + 27.5万円

例えば、遺産総額が4,000万円だった場合、報酬は 4,000万円 × 2.2% = 88万円 となります。

この方式には、財産額が分かれば報酬額もある程度予測できるというメリットはあります。しかし、大きなデメリットとして、手続きの手間と報酬額が必ずしも比例しないケースがあるのです。

例えば、相続財産が「自宅不動産(評価額3,500万円)と預金500万円」のAさんと、「預金4,000万円のみ」のBさん。遺産総額は同じ4,000万円ですが、不動産の名義変更があるAさんの方が手続きは煩雑です。しかし、この料金体系だと報酬は同じ88万円になってしまう可能性があります。これは、依頼者にとって必ずしも公平とは言えないかもしれません。

なぜ銀行の費用は高額になりがちなのか?

司法書士事務所と銀行の遺産承継業務に関する費用体系の比較図解

特に信託銀行の遺産整理業務は、司法書士事務所と比較して費用が高額になる傾向があります。

その理由の一つは、最低報酬額が高額に設定されていることです。例えば、遺産整理業務の報酬について、相続税評価額に料率を乗じ、最低報酬が110万円(税込)と定められている銀行商品もあります(各銀行の商品概要説明書・報酬表により異なります)。

さらに、注意が必要なのは、銀行の遺産整理業務では、相続登記の登録免許税や司法書士報酬が手数料に含まれず別途負担となる商品もあるということです。銀行は登記手続きができないため、提携先の司法書士に別途依頼することになり、結果として追加の費用が発生します。

銀行は大きな組織を維持するための人件費や広告宣伝費といったコストがかかるため、それがサービス料金に反映されやすいという構造的な違いもあるのです。

【費用で後悔しない】当事務所の「定額積み上げ方式」の料金

そこで、いがり綜合事務所では、そうした分かりにくい料金体系への不安を解消するため、財産額で報酬を決めません。

私たちは、実際にかかる手間や作業量に応じて費用を計算する「定額積み上げ方式」を採用しています。これは、一つひとつの手続きに必要な費用を明確に定め、ご依頼いただいた業務の分だけを合算して総額を算出する、非常に透明性の高い料金体系です。

詳しい料金は「料金一覧」ページにすべて掲載しておりますが、この方式なら、ご自身の状況に合わせて「何にいくらかかるのか」が一目瞭然です。

基本の考え方:必要な手続きだけの費用を合算

当事務所の料金は、以下のように個別の業務ごとに明確に設定されています。

業務内容報酬額
戸籍謄本等収集(相続人4名まで)33,000円
遺産分割協議書作成55,000円
預貯金・有価証券の名義変更・解約1金融機関あたり 66,000円
不動産の名義変更(相続登記)49,500円~
遺産承継業務 報酬の一例(税込)

例えば、相続人が3人で、不動産が1つ、預金口座が2つの銀行にある場合、これらの費用を積み上げて計算します。そのため、ご自身のケースに不要な手続きの費用をお支払いいただく必要は一切ありません。これが、私たちが考える最も公平で、お客様に納得していただける料金の形です。

ご安心ください。費用は相続財産からお支払いいただけます

「専門家に頼みたいけれど、まとまったお金をすぐに用意できない…」という方もご安心ください。

遺産承継業務にかかる司法書士報酬や、戸籍謄本取得などの実費は、報酬・実費のお支払いは、相続財産からの精算(預貯金解約後の清算等)により対応できる場合があります。可否・時期・方法は、ご状況と金融機関の取扱いにより異なるため事前にご説明します。

原則として相続財産からの精算により、お手元資金のご負担を抑えられる場合があります(ただし、事案により実費の事前預り等をお願いすることがあります)ので、費用の心配をせず、まずはお気軽にご相談いただければと思います。

【具体例で納得】ケース別・遺産承継業務の見積もり事例

「理屈は分かったけど、結局うちの場合はいくらになるの?」という疑問にお答えするため、ここからは具体的な見積もり事例を3つご紹介します。当事務所の「定額積み上げ方式」で計算すると、総額がいくらになるのか、ぜひご自身の状況と見比べてみてください。

事例①:預貯金と不動産が中心のシンプルな相続

最もご相談が多い、典型的なケースです。

  • 相続人:配偶者と子2人(計3名)
  • 財産:自宅不動産(評価額2,000万円)、預貯金3行(合計1,500万円)
  • 遺産総額:3,500万円

【当事務所のお見積もり(定額積み上げ方式)】

戸籍謄本等収集33,000円
遺産分割協議書作成55,000円
不動産の名義変更(相続登記)49,500円
預貯金解約(3行 × 66,000円)198,000円
司法書士報酬 合計335,000円(税込)

事例②:相続人が多く、金融機関の数も多いケース

相続人が兄弟姉妹になると、集める戸籍の範囲が広がり、手続きが少し複雑になります。

  • 相続人:亡くなった方の兄弟姉妹5名
  • 財産:預貯金5行(合計2,700万円)、証券会社1社(300万円)
  • 遺産総額:3,000万円

【当事務所のお見積もり(定額積み上げ方式)】

戸籍謄本等収集(相続人5名)38,500円
遺産分割協議書作成55,000円
預貯金解約(5社 × 66,000円)330,000円
証券口座解約88,000円
司法書士報酬 合計511,500円(税込)

事例③:年金手続きも含むフルサポートのケース

先日、奥様から「夫が亡くなったのですが、気持ちも落ち着かないし、手続きが山ほどあると聞いて不安で…」と、憔悴しきったご様子でお電話をいただきました。お話を伺うと、ご自身もご高齢で、複雑な手続きを一人で進めるのは難しいとのこと。そこで、当事務所の遺産承継業務で、生活に関わる手続きまで含めて丸ごとサポートさせていただきました。

  • ご依頼者:高齢の奥様
  • 相続人:奥様と、遠方に住むお子様1人
  • 財産:ご自宅不動産、預貯金2行、未支給年金

このケースでは、通常の相続手続きに加え、代表が社会保険労務士の資格も持っている強みを活かし、年金事務所での手続きも代行しました。

【当事務所のお見積もり(フルサポートプラン)】

遺産承継業務(戸籍、協議書、不動産、預金2行)308,000円
【社労士業務】未支給年金・遺族年金請求55,000円
【行政書士業務】葬祭費・埋葬料請求22,000円
司法書士・社労士・行政書士 報酬合計385,000円(税込)

手続き完了後、奥様から「何から手をつけていいか分からず、夜も眠れないほどでしたが、猪狩先生に全部お願いできて、本当に肩の荷が下りました。年金のことまで一度に相談できたのも、本当に助かりました」と、安堵の表情でお言葉をいただけた時は、私も心から嬉しく思いました。

このように、当事務所では司法書士・行政書士・社会保険労務士の3つの資格を活かし、相続に関する手続きを真にワンストップでサポートできるのが大きな強みです。窓口を一本化できるため、連絡・書類提出の負担を軽減できる場合があります。費用はご依頼内容により異なるため、事前にお見積もりをご提示します。

費用の不安を解消し、円満な相続を実現するために

大切なご家族を亡くされた後の相続手続きは、ただでさえ精神的に大きなご負担がかかります。それに加えて「費用がいくらかかるか分からない」という不安は、専門家への相談をためらわせる大きな壁になっていることでしょう。

しかし、その不安を抱えたまま手続きを先延ばしにしたり、無理にご自身で進めようとしたりすると、かえって時間や手間がかかり、ご家族間のトラブルに繋がってしまうことも少なくありません。

後悔のない円満な相続を実現するための第一歩は、費用の内訳を正直に、分かりやすく説明してくれる専門家を選ぶことです。

当事務所は、費用に対する皆様の不安な心に「安心」を届けることをお約束します。私たちの「定額積み上げ方式」なら、あなたのケースで本当に必要な手続きだけの、無駄のない費用をご提示できます。

「私の場合は、総額でいくらくらいになるんだろう?」
少しでもそう思われたなら、どうぞお気軽にご連絡ください。初回の面談は無料です。お話をお伺いし、詳細なお見積もりをお出しします。その内容にご納得いただいてから、正式なご依頼となりますので、安心してご相談いただければ幸いです。

まずは無料相談で、あなたのケースの費用を確認しませんか?

共有者が行方不明でも不動産売却は可能!新制度を専門家が解説

2025-12-19

共有者が行方不明…不動産を売却できずお困りではありませんか?

「親から相続した実家を兄弟で共有名義にしたものの、弟と何年も連絡が取れず、行方も分からない…」「空き家になった実家を売却して、固定資産税の負担から解放されたいのに、共有者の一人が行方不明で手続きが進まない」

このようなお悩みで、当事務所にご相談に来られる方は少なくありません。不動産を売却するには、原則として共有者全員の同意が必要です。そのため、共有者の一人でも行方が分からなくなると、不動産の売却(全体の処分)や一定の賃貸等の判断が進めにくくなり、『塩漬け』状態に陥ることがあります。

しかし、ご安心ください。このような八方ふさがりの状況を打開するため、令和3年改正で創設された制度が、2023年4月1日から施行されました。

この記事では、相続を専門とする司法書士の立場から、行方不明の共有者がいる不動産を売却するための新しい制度「所在等不明共有者の持分の譲渡」について、制度ができた背景から、具体的な手続きの流れ、費用や期間の目安まで、分かりやすく解説します。最後までお読みいただければ、長年の悩みを解決するための具体的な道筋が見えてくるはずです。

なぜ新制度が?従来の行方不明共有者問題と解決策の限界

今回の民法改正で新制度が作られた背景には、従来の法律では行方不明の共有者がいる不動産の取り扱いが非常に難しく、時間も費用もかかりすぎてしまうという深刻な問題がありました。

原則:不動産全体の売却には共有者全員の同意が必要

まず、大原則としてご理解いただきたいのは、共有名義の不動産全体を売却する行為は、法律上「処分行為」にあたるということです。そして民法では、この処分行為を行うには、持分の割合にかかわらず、共有者全員の同意がなければならないと定められています(民法第251条)。

たとえご自身の持分が99%であったとしても、残りの1%の持分を持つ共有者の同意がなければ、不動産全体を売却することはできません。この厳格なルールがあるからこそ、共有者の一人が行方不明になるだけで、すべての手続きが完全にストップしてしまうのです。

限界があった従来の解決策①:不在者財産管理人制度

これまで、行方不明の共有者がいる場合に不動産を売却するための方法として「不在者財産管理人制度」がありました。これは、行方不明者の代わりに財産を管理する「不在者財産管理人」を家庭裁判所に選任してもらう制度です。

選任された管理人(多くは弁護士などの専門家)が、家庭裁判所の許可を得て、行方不明者に代わって売却に同意することで、手続きを進めることができます。

しかし、この制度には大きなデメリットがありました。

  • 高額な費用:管理人の報酬として、数十万円から100万円以上になることもある「予納金」を裁判所に納める必要があります。
  • 長い時間:管理人の選任申立てから、売却の許可を得るまで、スムーズに進んでも半年から1年以上かかるケースも珍しくありませんでした。

このように、費用と時間の負担が非常に大きく、利用のハードルが高いのが実情でした。

限界があった従来の解決策②:共有物分割請求訴訟

もう一つの従来の方法が「共有物分割請求訴訟」です。これは、裁判を通じて共有状態そのものを解消する手続きです。

しかし、この方法も行方不明者がいる場合には課題がありました。訴訟の相手方である行方不明者に訴状を送達できないため、「公示送達」という特別な手続きが必要となり、時間と手間がかかります。また、裁判所が必ずしも「不動産全体を売却して代金を分ける(換価分割)」という判決を下すとは限らず、希望通りの結果にならない不確実性もデメリットでした。

【改正民法の新制度】所在等不明共有者の持分譲渡とは?

従来の制度が抱えていた「時間・費用・手続きの煩雑さ」といった課題を解決するために創設されたのが、「所在等不明共有者の持分の譲渡」制度(民法262条の3)です。

一言でいえば、「『裁判所の裁判(権限付与)を得て、一定の要件のもとで、所在等不明共有者の持分を特定の第三者に譲渡できる制度』」です。この制度の登場により、これまで「塩漬け」になっていた多くの共有不動産に、売却という出口が見えるようになりました。

制度の概要:行方不明者の持分ごと第三者に売却できる

この制度の仕組みは、以下のようになります。

  1. まず、行方不明者以外の共有者全員で、不動産の買主(特定の第三者)を見つけ、売買条件について合意します。
  2. その上で、共有者の一人が代表して、地方裁判所に「所在等不明共有者の持分を、合意した買主に譲渡する権限を与えてください」という申立てを行います。
  3. 裁判所が審査し、問題がなければ「譲渡権限付与」の決定を出します。
  4. この決定に基づき、申立人は行方不明者の代理人として売買契約を結び、不動産全体を買主へ売却することができます。

ポイントは、不在者財産管理人を選任することなく、直接的に売却手続きを進められる点にあり、これにより手続きの大幅な簡略化と迅速化が期待できます。

利用するための3つの要件

この便利な制度を利用するには、法律で定められた以下の3つの要件をすべて満たす必要があります。

  1. 共有者が「所在等不明」であること
    住民票や戸籍の附票を取得しても住所が分からない、登記簿上の住所に手紙を送っても届かない、現地を訪問しても誰も住んでいないなど、「相当な努力を尽くしても、その所在を知ることができない」状態を指します。
  2. 所在等不明共有者以外の共有者全員が、特定の第三者への売却に同意していること
    申立ての前に、連絡がつく共有者全員の間で「誰に、いくらで売るのか」という具体的な合意が固まっている必要があります。一人でも反対者がいる場合は、この制度は利用できません。
  3. 対象が不動産であること
    この制度の対象は、土地や建物といった不動産、または借地権などの不動産に関する権利に限られています。

【注意】相続した不動産には「10年ルール」が適用される

相続によって共有状態になった不動産の場合、一つ重要な注意点があります。それは、相続開始の時(被相続人が亡くなった時)から10年が経過していないと、原則としてこの制度は利用できないという特則です(民法262条の3第2項)。

これは、相続開始から10年以内は、遺産分割によって各相続人の最終的な取得分が変わる可能性があるため、その権利を保護するためのルールです。ご自身のケースがこの「10年ルール」に該当しないか、事前に確認が必要です。

なお、2024年4月1日から相続登記が義務化され、相続不動産の手続きはより重要になっています。放置していると、このような新制度の利用にも影響が出ることがありますのでご注意ください。

持分譲渡制度の手続きの流れと期間・費用の目安

では、実際にこの制度を利用する場合、どのような流れで進むのでしょうか。ここでは、申立ての準備から売却完了までの具体的なステップと、期間・費用の目安を解説します。

ステップ1:事前準備(所在調査・買主との交渉)

まず、裁判所への申立て前に、以下の準備を整える必要があります。

  • 所在調査:行方不明の共有者の住民票や戸籍の附票を取得し、登記簿上の住所への郵便物が返送されてくることなどを確認し、「相当な努力をしても所在が不明である」ことを客観的に証明できる資料を集めます。
  • 買主の決定と共有者間の合意:不動産会社などに仲介を依頼して買主を見つけ、売買価格や条件を交渉します。そして、行方不明者以外の共有者全員から、その条件で売却することへの同意を取り付けます。

この事前準備が、手続きをスムーズに進めるための最も重要な鍵となります。

ステップ2:地方裁判所への申立て

準備が整ったら、不動産の所在地を管轄する地方裁判所へ「所在等不明共有者持分譲渡権限付与申立」を行います。申立てには、主に以下の書類が必要です。

  • 申立書
  • 不動産の登記事項証明書
  • 固定資産評価証明書
  • 所在調査に関する報告書や資料
  • 売買契約書の案
  • 他の共有者全員の同意書

これらの書類作成や収集は専門的な知識を要するため、司法書士などの専門家へ依頼するのが一般的です。

ステップ3:裁判所による公告と決定(約3ヶ月~)

申立てが受理されると、裁判所は行方不明の共有者に対し、異議を申し立てる機会を与えるための公告を行います。異議申出のための期間は、原則として3ヶ月以上とされています。

この期間内に本人から異議の申出がなければ、裁判所は申立てを認め、譲渡を許可する決定(権限付与決定)を下します。申立てから決定までは、手続きが順調に進んだ場合でも、この公告期間があるため最低でも3ヶ月以上はかかると考えておくとよいでしょう。

ステップ4:供託金の納付

裁判所の決定が出たら、申立人は行方不明の共有者のために、その持分に相当する売却代金を法務局(供託所)に預ける「供託」という手続きを行います。

これは、将来行方不明者が現れた際に、本来受け取るべきだったお金を確保しておくための重要な手続きです。裁判所が定めた期間内に供託を完了させないと、決定が効力を失うため、注意が必要です。供託する金額は、不動産の時価額(不動産鑑定士の評価などを参考にします)に基づいて計算されます。

ステップ5:不動産の売買契約・登記

供託が無事に完了すれば、いよいよ最終段階です。申立人は、裁判所の許可に基づき、行方不明の共有者の代理人として買主と正式に売買契約を締結します。そして、司法書士が所有権移転登記を申請し、不動産の名義が買主へと変更されます。

これにより、行方不明者の持分も完全に買主へ移転し、売却手続きはすべて完了です。売却代金から供託した金額を差し引いた残りが、他の共有者の持分に応じて分配されます。

【費用の目安】裁判所費用と専門家報酬

この制度を利用する際にかかる費用は、大きく分けて以下の3つです。

  1. 裁判所に納める費用
    申立ての印紙代、連絡用郵便切手代、官報公告費用(予納金)などが必要で、金額は裁判所・共有者数・対象持分数等により変動します(例:裁判所の案内に記載の印紙1,000円×対象持分数、郵便切手、官報公告費用〔予納金〕等)。
  2. 供託金
    行方不明者の持分に相当する不動産の時価額です。これは売却代金から支払うことになりますが、一時的に立て替えが必要になる場合もあります。
  3. 専門家への報酬
    司法書士や弁護士に申立てを依頼した場合の報酬です。事案の難易度や不動産の価格によって異なりますが、30万円~60万円程度が一般的な目安となるでしょう。

従来の不在者財産管理人制度で必要だった高額な予納金が不要になるため、トータルの費用を抑えられる可能性が高いです。

参考:所在等不明共有者持分譲渡の権限付与の申立てについて

司法書士が解説!持分譲渡制度のメリットと注意点

司法書士が持分譲渡制度のメリットと注意点を解説している様子

この新しい制度は非常に有用ですが、メリットと注意点の両方を正しく理解した上で利用を検討することが大切です。

メリット1:従来の方法より時間と費用を抑えられる

最大のメリットは、やはり手続きの効率性です。前述の通り、不在者財産管理人制度で必要だった高額な予納金が不要となり、選任手続きにかかる時間も短縮できます。また、共有物分割訴訟のように長期化するリスクも比較的少ないため、全体として迅速かつ低コストで問題を解決できる可能性が高まります。

メリット2:不動産全体を市場価格に近い価格で売却できる

ご自身の持分だけを専門の不動産業者に買い取ってもらう、という方法もあります。しかしこの場合、買い取った業者は他の共有者との交渉が必要になるなどリスクを負うため、買取価格は市場価格の半値以下になってしまうことも少なくありません。

一方で、本制度を利用すれば、不動産全体を一つの商品として一般の市場で売却できます。そのため、より市場価格に近い、有利な条件で売却できる可能性が高いのです。結果として、各共有者が最終的に手にする金額も大きくなることが期待できます。

注意点:事前に買主を見つけ、他の共有者全員の同意が必要

この制度を利用する上での最大のハードルは、裁判所に申し立てる前に、すでに「買主」と「他の共有者全員の売却への同意」が揃っている必要があるという点です。

  • なかなか買主が見つからない
  • 連絡がつく共有者の中に、一人でも売却に反対している人がいる

このようなケースでは、残念ながらこの制度を利用することはできません。この点が、他の共有者の意向にかかわらず最終的に共有関係を解消できる共有物分割請求訴訟との大きな違いです。

もう一つの新制度「持分取得制度」との違いは?

実は、2023年の民法改正では、もう一つよく似た制度「所在等不明共有者の持分の取得」制度(民法262条の2)が創設されました。この二つの制度の違いを理解し、ご自身の目的に合った方を選ぶことが重要です。

所在不明共有者の持分譲渡制度と持分取得制度の違いを比較する図解

持分取得制度:他の共有者が行方不明者の持分を買い取る

「持分取得制度」は、不動産を第三者に売却するのではなく、他の共有者(申立人)が、行方不明者の持分を裁判所の決定を経て買い取る(取得する)ための制度です。

この制度の目的は、共有関係を整理・単純化することにあります。例えば、兄弟3人共有の実家に長男が住んでおり、行方不明の次男の持分を長男が買い取って、単独所有にしたい、といったケースで利用されます。

【ケース別】持分譲渡と持分取得、どちらを選ぶべきか

どちらの制度を選ぶべきか、目的別に整理すると以下のようになります。

  • 不動産全体を第三者に売却して、共有者全員で現金を分けたい場合
    『持分譲渡制度』(民法262条の3)が適しています。
  • 共有者の一人が不動産を単独で所有したい、または、まずは共有関係を整理してから将来の活用法(売却、賃貸など)を考えたい場合
    『持分取得制度』(民法262条の2)が適しています。

ご自身の希望がどちらに近いかによって、選択すべき手続きが変わってきます。

【解決事例】所在不明共有者がいる土地の売却サポート

ここで、当事務所で実際に「所在等不明共有者の持分の譲渡」制度を活用して問題解決に至った事例を、少し変えてご紹介します。この話は、多くの同じ悩みを抱える方々にとって、希望の光となるかもしれません。

ご相談に来られたのは、AさんとBさんというご兄弟でした。お二人は、数年前に亡くなられたお父様から相続した土地を、長年連絡が取れない親族Cさんと3人で共有していました。

「この土地を売って、そのお金で母の介護費用に充てたいんです。不動産業者X社も買い手として見つかっているのですが…」

AさんとBさんは、買主も売却価格の合意もできているのに、Cさんと連絡が取れないという一点だけで、契約に踏み切れずにいました。まさに、法律の壁に阻まれて途方に暮れているご様子でした。

私は、この状況を打開する最適な方法として、民法改正で新設された「所在等不明共有者の持分の譲渡」制度の利用をご提案しました。最初は「そんなことができるんですか?」と半信半疑だったお二人も、手続きの流れを丁寧にご説明すると、表情が明るくなっていきました。

当事務所のサポートで、早速手続きを開始しました。

  1. まず、私たちがCさんの所在調査を行い、戸籍や住民票を追っても現在の居所が不明であることを証明する報告書を作成しました。
  2. 次に、AさんとBさん、そして買主であるX社との売買契約書案を整え、地方裁判所への申立書類一式を作成・提出しました。
  3. 裁判所での3ヶ月間の公告期間が満了し、Cさんからの異議申立てもなく、無事に「譲渡権限付与」の決定が下りました。
  4. Aさんは、裁判所の指示に従い、Cさんの持分に相当する金額を法務局に供託しました。
  5. そして、決定の確定後、Aさん・Bさんと買主X社との間で正式に売買契約を締結。私たちが代理人として所有権移転登記を申請し、すべての手続きが完了しました。

ご相談から約半年後、AさんとBさんは無事に土地を売却し、目的だったお母様の介護費用を確保することができました。「もう諦めるしかないと思っていました。先生のおかげで、長年の胸のつかえが取れました」と涙ながらに感謝された時、この仕事のやりがいを改めて感じました。

まとめ:行方不明の共有者がいても、要件を満たせば売却できる場合があります

この記事では、共有者の一人が行方不明で行き詰ってしまった不動産の売却について、2023年の民法改正で新設された「所在等不明共有者の持分の譲渡」制度を中心に解説しました。

【この記事のポイント】

  • 共有者が行方不明でも、新制度を使えば不動産全体を第三者に売却できる
  • 従来の方法(不在者財産管理人など)に比べ、時間と費用を抑えられる可能性が高い。
  • 利用するには、事前に買主を見つけ、他の共有者全員の同意を得る必要がある。
  • 手続きには所在調査や裁判所への申立てなど、専門的な知識と実務経験が不可欠

長年「塩漬け」になっていた不動産問題も、法律の改正によって解決の道が開かれました。しかし、その手続きは複雑で、ご自身だけで進めるのは非常に困難です。どの制度が最適なのか、どのように手続きを進めればよいのか、判断に迷われることも多いでしょう。

そのような時は、ぜひ私たち相続と不動産の専門家にご相談ください。あなたの状況を丁寧にお伺いし、状況に応じた解決策の選択肢をご提案いたします。一人で悩まず、まずは第一歩を踏み出すことが、問題解決への一番の近道です。

当事務所では、平日夜間や土日祝のご相談にも対応しております。まずはお気軽にお問い合わせください。

いがり円満相続相談室へのお問い合わせはこちら

親族は成年後見人になれる?条件や手続きを専門家が解説

2025-12-18

親のもしも…「成年後見人、家族でもなれる?」

「最近、親の物忘れがひどくなってきた…」「実家の預金管理や契約手続きが心配…」
大切なお父様、お母様の将来を考えたとき、多くの方が「成年後見制度」という言葉を思い浮かべるかもしれません。

そして同時に、こんな切実な疑問が湧いてくるのではないでしょうか。

「成年後見人って、私たち家族でもなれるのだろうか?」

弁護士や司法書士といった専門家がなるイメージが強いかもしれませんが、できれば一番身近で本人のことを理解している家族が支えてあげたい。そう願うのは、ごく自然なことです。しかし、その一方で「なれるとしても、どんな条件があるの?」「責任は重いのでは?」といった不安も尽きないことでしょう。

この記事では、そんなあなたの疑問や不安に一つひとつ丁寧にお答えしていきます。成年後見制度の専門家である私、司法書士の猪狩が、親族が成年後見人になるための条件や手続き、そして知っておくべきメリット・デメリットまで、分かりやすく解説します。この記事を読み終える頃には、ご家族にとって最善の道筋が見えてくるはずです。どうぞ、ご安心ください。

結論:親族も成年後見人になれます。ただし条件があります

成年後見人に親族が選ばれる割合を示す円グラフ。親族は約2割、専門職が約8割となっている。

まず、一番の疑問にお答えします。はい、ご家族などの親族も成年後見人になることは可能です。

ただし、誰が成年後見人になるかを最終的に決定するのは、申立てをした家族ではなく「家庭裁判所」です。候補者として「長男の〇〇を希望します」と申し立てることはできますが、その通りに選任されるとは限りません。

最高裁の統計によれば、令和5年(2023年)において親族が後見人等に選任された割合は約18.1%で、非親族が約81.9%を占めています(最高裁『成年後見関係事件の概況―令和5年1月~12月―』)。残りの約8割は、司法書士や弁護士、社会福祉士などの専門職が選ばれているのが現状です。

なぜ専門家が選ばれやすい?家庭裁判所の判断基準

なぜ、親族ではなく専門家が選ばれるケースが多いのでしょうか。それは、家庭裁判所が何よりも「ご本人の利益と財産を保護すること」を最優先に考えているからです。

その視点から、以下のようなケースでは、専門職後見人が選任されやすい傾向があります。

  • ご本人の財産が多い、または複雑な場合
    財産が相対的に多額で管理が複雑と判断される場合、専門職が選任されやすい傾向があります。具体的な金額に関する全国共通の基準は公表されていませんが、裁判所が個別具体的に判断します。
  • 親族間に意見の対立がある場合
    財産の使い道などを巡って親族間でもめている場合、中立的な立場の専門家が選ばれます。
  • 後見人候補者である親族自身に、借金や経済的な問題がある場合
  • 候補者とご本人の間で、過去に財産のやり取りなどで対立があった場合

また、申立て後の家庭裁判所調査官との面談での受け答えも、誰が後見人にふさわしいかを判断する上で重要な要素となります。

最高裁判所は「親族後見が望ましい」と考えている

専門職が選ばれやすいという現実がある一方で、実は最高裁判所は「ご本人の生活状況や気持ちを最もよく理解している、身近な親族が後見人になることが望ましい」という基本的な考え方を示しています。

私たち、いがり綜合事務所もその考え方に強く共感しています。専門家に任せきりにするのではなく、ご家族が主体となってご本人を支えていく形が理想だと考えています。だからこそ、私たちは「親族の方が後見人になりたい」というお気持ちを尊重し、家庭裁判所の理解を得られるよう、その実現を最大限サポートしたいと考えています。(司法書士・行政書士・社会保険労務士 いがり綜合事務所/代表 猪狩佳亮/神奈川県川崎市川崎区宮前町12-14/神奈川県司法書士会所属)

参考:成年後見関係事件の概況

【事例で解説】預金1200万円でも親族が後見人になれたケース

後見制度支援信託を利用して専門職後見人から親族後見人へ移行する流れを示した図解。

「うちは預金が1,000万円を超えているから、家族が後見人になるのは難しいかもしれない…」

そう思われた方もいらっしゃるかもしれません。しかし、諦めるのはまだ早いです。ここでは、実際に当事務所にご相談いただき、預金が1,200万円ありながらも、最終的にご長女様が後見人になることができた事例をご紹介します。(※この事例は、いくつかの事例を組み合わせたものです。)

ご相談者様(長女)が抱えていた不安

ある日、当事務所に一本のお電話がありました。お母様の認知症がだんだんと進み、成年後見制度の利用を考えているというご長女様からのご相談でした。

「母の財産は、預金が1200万円と自宅の不動産です。私がずっと母の世話をしてきたので、後見人にも私がなりたいと思っています。でも、預金が多いと家族はなれないと聞いて不安で…」

お話を伺うと、ご長女様は献身的にお母様を支えており、後見人としてお母様の財産を守っていきたいという強い意志をお持ちでした。しかし、まさに専門職が選任されやすい「預金額1,000万円以上」という基準に当てはまってしまいます。このまま申し立てても、ご長女様の希望が通らない可能性が高い状況でした。

当事務所からのご提案:解決の鍵は「後見制度支援信託」

そこで、私たちは一つの方法をご提案しました。

「まず、最初の申立て段階では私(司法書士)を後見人候補者とします。そして、家庭裁判所の許可を得て、財産の一部を信託銀行に預ける『後見制度支援信託』という仕組みを利用します。その手続きが完了すれば、後見人を司法書士からご長女様に引き継ぐことができる可能性が非常に高くなります。」

これは、いわば「最初の難しい部分だけ専門家が担当し、安全な管理体制を整えた上で、ご家族にバトンタッチする」という方法です。

結果:想いが叶い、ご長女様が後見人に

ご長女様はこの提案に納得され、当事務所がサポートさせていただくことになりました。

  1. まず、当事務所の司法書士を後見人候補者として、家庭裁判所に成年後見の申立てを行いました。
  2. 無事に司法書士が後見人に選任された後、家庭裁判所の指示のもと、1200万円の預金のうち1000万円を信託銀行に移す「後見制度支援信託」の契約を締結しました。
  3. これにより、大きな財産は信託銀行によって安全に保全され、日常的な支出の管理のみを行う体制が整いました。
  4. そして、家庭裁判所に後見人の変更を申し立て、当初の目的通り、ご長女様が新たにお母様の後見人に選任されました。当事務所の司法書士は、その役目を終え辞任しました。

ご長女様は、「希望が叶って本当に良かった。これからは安心して母のサポートができます」と、安堵の表情でおっしゃっていました。この事例のように、適切な手続きを踏むことで、財産が多い場合でも親族が後見人になる道は開かれています。

解決の鍵「後見制度支援信託」とは?

事例で登場した「後見制度支援信託」とは、どのような制度なのでしょうか。

簡単に言うと、「ご本人の財産のうち、日常的に使うお金は親族後見人が管理し、すぐに使う予定のないお金は信託銀行などが安全に管理する」という仕組みです。

この制度を利用すると、大きな財産は信託銀行が保全し、親族後見人が管理するのは日々の生活費などに限定されるため、家庭裁判所としても「これなら親族に任せても安心だ」と判断しやすくなります。高額な財産の使い込みや、管理の負担が原因で親族が疲弊してしまうといったリスクを減らすことができるのです。

財産が多くて親族後見を諦めかけていた方にとって、この制度は非常に有効な選択肢の一つと言えるでしょう。

参考:ご本人の財産の適切な管理・利用のための 後見制度支援信託 …

親族が後見人になるメリット・デメリット

親族が成年後見人になるメリット(費用抑制、本人への寄り添い)とデメリット(事務負担、親族トラブル、精神的負担)を比較した図解。

親族が後見人になることを目指すかどうか、冷静に判断するためには、そのメリットとデメリットの両方をしっかりと理解しておくことが大切です。ここでは、それぞれの側面を詳しく見ていきましょう。

メリット:費用を抑え、本人の気持ちに寄り添える

親族が後見人になることの大きなメリットは、主に2つあります。

  1. 専門家への報酬が不要になる
    司法書士や弁護士などが後見人になると、家庭裁判所が決定する報酬(通常、月額2万円~)をご本人の財産から支払う必要があります。親族が後見人になった後は、この費用負担がなくなります。(ただし、後見監督人が選任された場合は、監督人への報酬が発生します)
  2. 本人の気持ちに寄り添ったサポートができる
    長年連れ添った配偶者や、ずっと面倒を見てきたお子様であれば、ご本人の性格や好み、何に喜びを感じ、何を嫌がるのかを誰よりも深く理解しているはずです。その理解があるからこそ、財産管理だけでなく、介護や医療に関する決定(身上監護)においても、ご本人の意思を最大限に尊重した、きめ細やかなサポートが可能になります。

デメリット:大きな責任と事務負担、親族間トラブルの火種にも

一方で、親族が後見人になることには、覚悟しておくべき厳しい側面もあります。

  1. 家庭裁判所への報告義務という事務負担
    後見人は、年に一度、家庭裁判所にご本人の財産状況や生活の様子をまとめた報告書と、通帳のコピーなどの資料を提出する義務があります。この事務作業が、想像以上に大きな負担となることがあります。
  2. 親族間トラブルの火種になる可能性
    「兄さん(後見人)は、親の金を自由に使っているんじゃないか?」など、他の親族からあらぬ疑いをかけられてしまうケースは少なくありません。財産管理を一人で背負うことで、かえって親族関係がこじれてしまうリスクがあります。
  3. 重い責任と精神的な負担
    成年後見人の最も重要な責務は「本人の財産を守ること」です。常にその重い責任を背負い続けることは、大きな精神的プレッシャーとなります。「もし自分の判断が間違っていたら…」という不安が、常に付きまとうことになるかもしれません。

これらのデメリットを理解した上で、「それでも自分が」と思えるか、ご自身の状況や他のご家族の協力体制なども含めて、慎重に考えることが重要です。

親族が後見人になるための手続きと専門家のサポート

「親族後見人を目指したい」。そう決意された場合、家庭裁判所への申立て手続きを進めることになります。

手続きの大まかな流れは以下の通りです。

  1. 必要書類の収集・作成
    申立書のほか、ご本人の戸籍謄本や財産目録、収支状況報告書、診断書など、多くの書類が必要になります。
  2. 家庭裁判所へ申立て
    管轄の家庭裁判所に書類一式を提出します。
  3. 家庭裁判所調査官との面談
    申立人や後見人候補者が家庭裁判所に呼ばれ、なぜ後見人が必要なのか、候補者が適任である理由などを説明します。
  4. 審判
    家庭裁判所が後見を開始するかどうか、誰を後見人にするかを決定します。

これらの手続きは、一般の方がご自身だけで行うには複雑で、大きな負担がかかります。特に、親族が後見人に選ばれるためには、申立書類の書き方や面談での説明に工夫が必要です。

私たち司法書士は、こうした手続きの専門家です。複雑な書類の作成をお手伝いすることはもちろん、「なぜこの親族が後見人としてふさわしいのか」を、法的な観点から説得力のある形で家庭裁判所に伝えるためのサポートをすることができます。一人で抱え込まず、まずは成年後見をご検討中の方へのページもご覧いただき、専門家の力を頼ってください。

まとめ:親族後見人という選択肢、専門家と一緒に考えませんか?

司法書士に相談し、安心した表情を浮かべる相談者

今回は、ご家族が成年後見人になれるのか、というテーマについて詳しく解説してきました。

結論として、親族が成年後見人になることは可能であり、それはご本人にとっても素晴らしい選択肢です。しかし、そのためには家庭裁判所の判断基準を理解し、場合によっては「後見制度支援信託」のような専門的な仕組みを活用するなど、適切な準備が必要です。また、後見人になった後の重い責任や事務負担も覚悟しなければなりません。

もし、あなたが「親族として後見人になりたい」と強く願うのであれば、その想いを諦めないでください。私たち、いがり綜合事務所は、ご家族が後見人になることを何よりも望ましく考え、その実現のために全力でサポートしたいと願っています。

「うちのケースでも親族が後見人になれるだろうか?」
「手続きの進め方が分からなくて不安…」

どんな些細なことでも構いません。一人で悩まず、まずは私たち専門家にご相談ください。あなたとご家族にとって最善の道を見つけるお手伝いをさせていただきます。

まずは、お気軽に当事務所の無料相談をご利用ください。あなたからのご連絡を心よりお待ちしております。(無料相談の対象範囲や時間については、お問い合わせ時にご確認ください。)

お問い合わせ

原野商法の土地を相続…負動産の対処法を専門家が解説

2025-12-17

もしかして「負動産」?親が遺した謎の土地に悩んでいませんか

「親の遺品を整理していたら、見たこともない土地の権利証が出てきた…」
「住所を調べてみたら、北海道や栃木県の山林。Googleマップで見ても、ただの森にしか見えない…」
「もしかして、昔流行ったという『原野商法』なのだろうか…」

突然現れた謎の土地の存在に、どう対処すればよいか分からず、途方に暮れてはいませんか?

価値があるのかどうかも分からない土地のために、手続きを進めるのは気が重いですよね。固定資産税や管理費がかかるなら、むしろマイナスの財産、いわゆる「負動産」かもしれません。ご自身の代で何とかしたい、子どもたちにこの厄介な問題を残したくない、と考えるのは当然のことです。

ご安心ください。この記事では、相続を専門とする司法書士が、あなたと同じように悩む多くの方々からご相談を受けてきた経験をもとに、原野商法の土地をはじめとする「負動産」を相続してしまった場合の対処法を、順を追って分かりやすく解説します。

この記事を最後までお読みいただければ、ご自身の状況を正しく理解し、これから何をすべきか、具体的な解決策の選択肢を知ることができます。一人で抱え込まず、まずは一緒に問題解決への第一歩を踏み出しましょう。

まず落ち着いて現状把握を。その土地はどんな土地ですか?

漠然とした不安を解消するためには、まずご自身が相続した土地がどのようなものなのかを客観的に把握することが大切です。よく耳にする「原野商法」とは一体何なのか、そしてそれ以外に「負動産」と呼ばれるものにはどんな種類があるのかを見ていきましょう。

原野商法の仕組みを解説する図解。悪徳業者から価値のない土地を買わされ、数十年後に相続人が困る様子が描かれている。

「原野商法」とは?なぜ今、問題になっているのか

原野商法とは、「将来必ず値上がりする」「ここに道路やリゾート施設ができる計画がある」といった、将来性を期待させる巧みなセールストークで、実際にはほとんど資産価値のない山林や原野を高値で売りつける悪質な商法のことです。

1970年代から80年代の高度経済成長期に流行しましたが、当時はインターネットもなく、現地を確認せずに契約してしまう方が多くいました。そして数十年が経ち、当時土地を購入した世代の方々が亡くなり、相続が発生することで、その子ども世代である私たちが「価値のない土地」という形で問題に直面しているのです。

さらに注意が必要なのは、二次被害です。一度原野商法の被害に遭った方の名簿が出回っており、「あなたの土地を高値で買いたい人がいる」などと別の業者が連絡してきて、測量費用やコンサルティング料といった名目で新たにお金をだまし取ろうとするケースもあります。うまい話には十分にご注意ください。

原野だけじゃない。「負動産」と呼ばれる不動産の例

「負動産」とは、持っていても利益を生まず、むしろ固定資産税や管理費などの維持費がかかるだけで、売ることも貸すことも難しい、お荷物になってしまった不動産の総称です。原野商法の土地以外にも、以下のようなものが該当します。

  • 管理費がかかるリゾートマンションや別荘地の土地:バブル期に開発されたものの、今では利用価値が低く、買い手がつかない。しかし、管理費や修繕積立金の負担だけが重くのしかかります。軽井沢などの有名避暑地でも、場所によってはこうした物件が見られます。
  • 再建築が難しい土地:建築基準法の道路に接していない(接道義務を満たさない)土地や、市街化調整区域内の土地など、新たな建物を建てることが制限されているため、買い手がほとんど現れません。
  • 買い手がつかない地方の空き家:人口減少や過疎化が進む地域にある空き家は、たとえ建物がしっかりしていても、需要がなく売却が困難なケースが多くあります。

このように、「資産」だと思っていた不動産が、時代の変化とともに「負債」に変わってしまう可能性があるのです。

相続登記は必須!負動産でも名義変更が必要な理由

「価値がないどころか、マイナスになるかもしれない土地なのに、わざわざ費用をかけてまで自分の名義に変更しないといけないの?」

これは、ご相談者様から最も多く寄せられる疑問の一つです。お気持ちは非常によく分かります。しかし、専門家として明確にお伝えしなければなりません。たとえ負動産であっても、相続登記(相続による名義変更)は必ず行う必要があります。

2024年4月1日から相続登記の義務化とは?罰則(過料)や期限を専門家が解説で詳しく解説している通り、不動産を相続したことを知った日から3年以内に正当な理由なく相続登記を行わない場合、法務局の手続に基づき10万円以下の過料の対象となる可能性があります(個別の事情により過料が科されない場合もあります)。

しかし、理由はそれだけではありません。最も重要なのは、「相続登記をしなければ、次の一歩に全く進めない」という事実です。

例えば、後ほど解説する「国に土地を引き取ってもらう制度」の利用や、「専門業者に引き取ってもらう」といった処分を検討するにしても、その土地の登記上の所有者が亡くなった方のままでは、誰も手続きに応じてくれません。相続登記を完了させ、ご自身が正式な所有者になって初めて、その土地を手放すためのスタートラインに立てるのです。

面倒に感じるかもしれませんが、相続登記は避けて通れない、問題解決のための最初のステップだとご理解ください。

参考:【法務省/相続登記の義務化】不動産を相続したらかならず相続登記をしましょう!

司法書士に負動産相続の相談をしている夫婦のイメージ。専門家のアドバイスで安心している様子。

【司法書士の相談事例】父が遺した北海道の土地、どうすれば?

ここで、当事務所に実際に寄せられたご相談の中から、多くの方が共感できる事例を一つご紹介します。これは、あなたの悩みを解決するヒントになるかもしれません。

【ご相談者様の状況】
「父が亡くなり、自宅の相続手続きを進めていたところ、全く知らなかった北海道の土地を所有していることが登記簿で判明しました。母に聞いてみると、『昔、将来値上がりすると言われて買わされた土地だ』と…。Googleマップで見てみましたが、一面の森林で、今後開発される見込みもなさそうです。父が騙された原野商法の土地のようです。」

【ご相談者様の悩み】
「このままでは、この価値のない土地を私たちが引き継ぐことになります。相続登記は義務だと聞きましたが、名義変更したとして、その後どうにかして手放す方法はないのでしょうか?国が引き取ってくれる制度(国庫帰属制度)があると聞いたのですが、この土地でも使えるのでしょうか?」

このご相談は、まさに原野商法の土地を相続した方の典型的なお悩みです。私はまず、ご相談者様の不安な気持ちに寄り添い、状況を整理することから始めました。

そして、専門家として以下のようにお答えしました。

【司法書士からのアドバイス】

  1. まず、相続登記は必ず必要です。これを済ませないと、手放すための選択肢を検討することさえできません。
  2. ご期待の国庫帰属制度ですが、お話を伺う限り、樹木が生い茂っている状況とのこと。残念ながら、国が管理に手間がかかると判断する土地は引き取ってもらえないため、この土地で制度を利用するのは難しい可能性が高いです。
  3. しかし、諦める必要はありません。費用はかかりますが、こうした土地を専門に引き取ってくれる民間業者も存在します。もしご希望があれば、当事務所で提携しているわけではありませんが、過去の実績等から参考として業者に関する情報を提供することは可能です。ただし、契約はお客様ご自身の判断と責任でお願いいたします。
  4. この土地は固定資産税がかかっていないようですので、急いで処分せず、ひとまずそのまま保有するという選択肢もあります。ただし、場所によっては管理費がかかるケースもあるため、その点は確認が必要です。

まずは相続登記を済ませ、その上でどの選択肢がご家族にとって最善か、一緒に考えていきましょう。

このように、専門家が介入することで、漠然とした不安が具体的な選択肢に変わります。「どうしようもない」と諦める前に、まずは現状を整理し、どのような道筋があるのかを知ることが何よりも大切なのです。

負動産を手放すための4つの選択肢を徹底比較

相続登記を終えた後、具体的にどのような選択肢があるのでしょうか。ここでは、考えられる4つの方法について、それぞれのメリット・デメリットを比較しながら解説します。ご自身の状況に合った最適な方法を見つけるための参考にしてください。

負動産を手放すための4つの選択肢(相続放棄、国庫帰属制度、引き取り業者、寄付・売却)のメリット・デメリットを比較した図解。

①相続放棄:他の財産もすべて手放す覚悟が必要

相続放棄とは、家庭裁判所に申し立てることで、初めから相続人ではなかったことになる手続きです。負動産を引き継がなくて済むという強力な効果がありますが、最大の注意点は「特定の財産だけを選んで放棄することはできない」という点です。

つまり、原野商法の土地だけを放棄し、預貯金やご実家といったプラスの財産だけを受け継ぐことはできません。相続放棄をする場合は、すべての財産を手放すことになります。また、原則として「相続の開始を知った時から3ヶ月以内」という期限があります。

他にめぼしい財産がなく、借金などマイナスの財産の方が多い場合に有効な選択肢ですが、慎重な判断が必要です。詳しくは「相続放棄について」のページもご覧ください。

②相続土地国庫帰属制度:原野商法の土地では難しい現実

相続土地国庫帰属制度は、一定の要件を満たす土地を、国に引き取ってもらう制度です。まさに夢のような制度に聞こえますが、利用するためのハードルは非常に高いのが現実です。

国は、管理しやすい「きれいな土地」しか引き取ってくれません。法律では、以下のような土地は却下または不承認となる可能性があると定められています。

  • 建物や工作物が存在する土地
  • 担保権などが設定されている土地
  • 境界が明らかでない土地
  • 崖や擁壁があり、管理に過分な費用・労力がかかる土地
  • 土壌汚染がある土地
  • 樹木が生い茂っているなど、通常の管理を妨げるものが存在する土地

残念ながら、原野商法の対象となる山林や原野の多くは、最後の「樹木が生い茂っている土地」に該当するため、この制度の利用は極めて難しいと言わざるを得ません。また、承認された場合、申請手数料や10年分の土地管理費相当額などの負担金を国に納める必要があります。負担金の額は土地の状況に応じて算定されるため、具体的な金額については法務局の窓口で確認が必要です。

参考:相続土地国庫帰属制度において引き取ることができない土地の類型について

③引き取り業者への依頼:現実的な選択肢だが注意が必要

国庫帰属制度の利用が難しい場合に、最も現実的な選択肢となるのが、費用を支払って負動産を引き取ってもらう専門業者への依頼です。

メリットは、国のような厳しい条件がなく、スピーディーに手放すことができる点です。手続きも業者が代行してくれることが多く、手間がかかりません。

一方、デメリットは費用がかかることと、中には悪徳業者が存在することです。費用は土地の場所や状況によって大きく異なりますが、数十万円から百万円以上かかるケースも珍しくありません。複数の業者から見積もりを取り、慎重に検討することが重要です。

④寄付・売却:可能性は低いが検討の価値あり

最後の選択肢として、寄付や売却も考えられます。例えば、隣の土地の所有者が「自分の土地と一体で利用したい」と考えていれば、安価で買い取ってくれる可能性があります。また、自治体や近隣の法人が何らかの目的で土地を探していれば、寄付を受け付けてくれるかもしれません。

しかし、これはあくまで可能性の話です。資産価値の低い原野商法の土地の場合、買い手や寄付先を見つけるのは極めて困難であり、現実的な解決策になりにくいことを正直に伝えておいた方がよいでしょう。

悪徳業者に注意!信頼できる引き取り業者の見分け方

引き取り業者への依頼を検討する際、最も気をつけたいのが悪徳業者の存在です。せっかくお金を払って手放したつもりが、後でトラブルに巻き込まれては元も子もありません。信頼できる業者を見分けるために、以下の点を必ずチェックしましょう。

信頼できる負動産引き取り業者を見分けるためのチェックリストを図解したもの。
  • 契約内容を書面で明確に示してくれるか?
    費用やサービス内容、引き渡し後の責任の所在など、契約内容を曖昧にせず、きちんと書面(契約書)で交付してくれる業者を選びましょう。
  • 「高値で売れる」など、うまい話をしてこないか?
    「この土地は実は価値がある」「売却できる可能性がある」などと期待を持たせ、測量費や広告費といった名目で高額な費用を請求してくるのは、二次被害を狙った悪徳業者の典型的な手口です。
  • 不動産の取引形態と許認可を確認する
    不動産の売買を仲介(媒介)する場合には、宅地建物取引業の免許が必要です。仲介を依頼する際は、業者が免許を持っているか確認しましょう。一方で、業者が自ら買主となって直接土地を買い取る場合は、宅建業の免許は必須ではありません。取引の形態をよく確認することが大切です。
  • 登記手続きまで責任を持って行ってくれるか?
    「引き取る」と言いながら、名義変更の登記手続きをせず、固定資産税の納税義務があなたの元に残り続けるという最悪のケースもあります。契約内容に、所有権移転登記までを責任を持って行うことが明記されているかを確認しましょう。

どの業者が信頼できるか判断がつかない場合は、私たちのような相続の専門家にご相談ください。過去の実績などから、信頼できる業者をご紹介することも可能です。

まとめ:一人で悩まず、まずは専門家にご相談ください

親御さんが遺した、価値の分からない土地。その存在は、あなたの心に大きな不安と負担をもたらしていることでしょう。しかし、この記事を読んで、決して「打つ手がない」わけではないことをご理解いただけたのではないでしょうか。

負動産の問題を解決するためのステップを、最後にもう一度確認しましょう。

  1. まずは相続登記を必ず済ませる。これが問題解決のスタートラインです。
  2. 土地の状況を把握し、手放すための選択肢を検討する。(相続放棄、国庫帰属、業者への依頼など)
  3. それぞれのメリット・デメリットを比較し、ご自身の状況に最適な方法を選択する。

どの選択肢がベストなのかは、土地の状況はもちろん、他の相続財産の状況や、ご家族の意向によっても大きく異なります。「自分たちの場合はどうすればいいのだろう?」「手続きが複雑で、何から手をつければいいか分からない」と感じたら、どうか一人で悩みを抱え込まないでください。

私たち、いがり円満相続相談室(司法書士・行政書士・社会保険労務士いがり綜合事務所)は、相続分野に注力している司法書士事務所です。あなたの状況を丁寧にお伺いし、専門家の視点から最適な解決策を一緒に考え、煩雑な手続きを代行することで、あなたの不安を「安心」に変えるお手伝いをいたします。

まずは、お気軽にご相談ください。あなたのその一歩が、問題解決の大きな前進に繋がります。


【事務所情報】
名称: 司法書士・行政書士・社会保険労務士いがり綜合事務所(屋号:いがり円満相続相談室)
代表者: 司法書士 猪狩 佳亮(神奈川県司法書士会所属)
所在地: 〒210-0012 神奈川県川崎市川崎区宮前町12番14号 シャンボール川崎505号

いがり円満相続相談室へのお問い合わせはこちら

AI作成の相続登記申請書は間違いだらけ?司法書士が解説

2025-12-16

AI作成の登記申請書で相続登記に失敗した相談事例

「AIを使えば、専門家に頼まなくても自分で相続登記ができるかもしれない」
最近、技術の進歩は目覚ましく、そうお考えになる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、その手軽さの裏には、思わぬ落とし穴が潜んでいることがあります。

先日、当事務所にこんなご相談が寄せられました。

【ご相談内容】
地方にお住まいだったお父様が亡くなり、長男である相談者様が、実家の不動産を相続することになりました。費用を抑えるため、ご自身で相続登記に挑戦しようと決意。

「今は便利なAIツールがある」と聞き、早速それを使って登記申請書や遺産分割協議書を作成。必要書類もなんとか揃え、遠方にある実家を管轄する法務局へ郵送で申請しました。

ところが数日後、法務局の登記官から一本の電話が。
「申請書のこの部分が違います」「添付書類が足りません」「ここをこう直してください」
矢継ぎ早に専門用語で指摘を受けましたが、電話口では何がどう違うのか、どう直せばいいのか、ほとんど理解できませんでした。

補正(書類の訂正)のためには、原則として法務局へ出向かなければならないとのこと。しかし、実家までは新幹線を使っても数時間かかります。補正のためだけに仕事を休んで遠くまで行くのは、時間的にも金銭的にも現実的ではありません。

ご自身で頑張って準備を進めてきたものの、完全に手詰まりになってしまい、途方に暮れて当事務所にご連絡をいただいた、というケースでした。

この事例は、決して特別なものではありません。便利なツールであるはずのAIですが、法律や実務の細かなルールまではカバーしきれず、結果的に時間と労力を無駄にしてしまう危険性があるのです。

【検証】AIはどこを間違える?登記の専門家が分析

では、AIが作成した相続登記申請書は、具体的にどのような点が問題になるのでしょうか。当事務所でも、実際にいくつかのAIツールを使い、登記申請書を作成させてみました。その結果、登記の専門家である司法書士から見ると、「これでは法務局から補正の連絡が来てしまうだろうな」と感じるポイントがいくつも見つかりました。

間違いポイント1:不動産の表示が登記簿と完全一致しない

相続登記の申請書には、対象となる不動産の情報を正確に記載する必要があります。この「正確に」というのがポイントで、登記事項証明書(登記簿)に書かれている情報を「一字一句違わずに」書き写さなければなりません。

しかし、AIはしばしばここで間違いを犯します。

  • 「地番」と「住所(住居表示)」を混同する: 不動産を特定する「地番」と、郵便物が届く「住所」は全くの別物です。AIは、一般的な住所を入力してしまうことがあります。
  • マンションの情報を正確に記載できない: マンションの場合、「専有部分の家屋番号」だけでなく、「敷地権の表示(土地の地番や持分割合など)」も正確に記載する必要がありますが、この部分が抜け落ちてしまうケースが見られました。

少しでも表記が異なれば、法務局は不動産を特定できず、登記申請は受け付けてもらえません。これは登記手続きの基本中の基本ですが、AIにとってはまだ難しいようです。

間違いポイント2:登記原因証明情報との整合性が取れていない

相続登記では、申請書だけでなく、なぜその登記が必要になったのかを証明する書類(登記原因証明情報)を添付します。具体的には、被相続人の死亡の事実や相続関係を証明する戸籍謄本一式や、遺産分割協議書などがこれにあたります。

登記官は、申請書とこれらの添付書類をすべて照らし合わせ、内容に矛盾がないか厳しくチェックします。AIが作成した書類では、この整合性が取れていないことがあります。

  • 相続人の住所が違う: 遺産分割協議書に記載した相続人の住所と、申請書に記載した住所が異なっているケースです。例えば、引っ越し前の古い住所のままになっている、といった間違いが考えられます。
  • 被相続人の情報が一致しない: 戸籍謄本からわかる死亡日と、申請書に記載した死亡日が違うなど、基本的な情報に食い違いが生じることもあります。

こうした書類間の不整合は、登記の正確性を揺るがす重大な問題とみなされ、必ず補正の対象となります。

間違いポイント3:登録免許税の計算が誤っている

相続登記を申請する際には、登録免許税という税金を国に納める必要があります。この税額は、不動産の固定資産評価額に一定の税率(相続の場合は0.4%)を掛けて算出します。

一見、単純な計算に見えますが、実は特定の条件を満たす場合に税が免除される特例措置が存在します。例えば、相続した土地の価額が100万円以下の場合などです。AIは、こうした個別の事情に応じた複雑な税制の特例までは考慮できず、本来であれば不要な税金を計算してしまったり、逆に必要な税額が不足してしまったりする可能性があります。

税額が1円でも間違っていれば、申請は受け付けられません。正確な税額の計算には、最新の法令に関する専門知識が不可欠なのです。

参考:相続登記の登録免許税の免税措置について – 法務局

郵送申請で補正指示…なぜ自分で対応するのが難しいのか?

もし、AIが作成した申請書で郵送申請し、冒頭の事例のように法務局から補正の連絡が来てしまったらどうなるのでしょうか。「電話で言われた通りに直せばいいだけ」と思われるかもしれませんが、現実はそう簡単ではありません。個人で対応するのが難しい、3つの大きな壁が立ちはだかります。

理由1:電話口での専門用語による指示が理解できない

法務局の登記官からの補正指示は、多くの場合電話で行われます。しかし、登記官が使う言葉は法律や登記実務に基づいた専門用語ばかりです。

例えば、「被相続人の登記記録上の住所と死亡時の住所の沿革が付かないので、つながりを証明する書類を追加してください」といった指示を、電話口で一度聞いただけで正確に理解し、何をすべきか判断するのは、一般の方には極めて困難です。

何をどう直せばよいのかが分からなければ、対応のしようがありません。

理由2:原則として法務局へ出向いて訂正する必要がある

郵送で申請した場合でも、書類に不備があった際の訂正(補正)は、原則としてその法務局の窓口に出向いて行う必要があります。

申請書に押した印鑑と同じ印鑑を持参し、登記官の目の前で訂正箇所に二重線を引いて訂正印を押す、といった作業が求められます。冒頭の事例のように、相続した不動産が遠方にある場合、補正のためだけに交通費と時間をかけて移動するのは、大きな負担となります。

理由3:定められた期間内に対応できないと申請が却下される

補正の指示には、通常1〜2週間程度の期限が設けられています。この期限内に正しく補正を完了できない場合、提出した申請は「却下」されてしまいます。

却下されると、申請は初めからなかったことになります。つまり、せっかく集めた戸籍謄本などの書類は一度返却され、再度申請し直さなければなりません。支払った登録免許税は返還されますが、それまでの時間と労力は全て水の泡となってしまいます。安易に自分で進めた結果、かえって時間も手間もかかってしまう最悪のケースです。

正確な相続登記申請書の書き方【司法書士作成の見本】

では、一体どのように書けば正確な登記申請書になるのでしょうか。ここで、司法書士が作成する相続登記申請書の基本的な記載例をご紹介します。AIが作成したものと比較し、その正確性の違いをご確認ください。

もしご自身で作成される場合は、AIツールに頼るよりも、法務局のウェブサイトにある記載例などを参考に、こちらの見本と照らし合わせながら慎重に作成することをおすすめします。

登記申請書(記載例)

登記の目的
所有権移転

原因
令和○年○月○日 相続

相続人
(被相続人 A)
住所 〇〇県〇〇市〇〇町○丁目○番○号
氏名 (持分) B (実印)
連絡先の電話番号 ○○○-○○○-○○○○

添付情報
登記原因証明情報 住所証明情報

登記識別情報の通知
□ 希望しない
☑ 希望する

令和○年○月○日申請 ○○法務局(または地方法務局)○○支局(または出張所) 御中

課税価格
金 ○○○○円

登録免許税
金 ○○○○円

不動産の表示
【土地】
不動産番号 (分かる場合に記載)
所在 〇〇市〇〇町○丁目
地番 ○番○
地目 宅地
地積 ○○○・○○平方メートル

【建物】
不動産番号 (分かる場合に記載)
所在 〇〇市〇〇町○丁目 ○番地○
家屋番号 ○番○
種類 居宅
構造 木造かわらぶき2階建
床面積 1階 ○○・○○平方メートル
    2階 ○○・○○平方メートル

結論:AIは下調べに便利。でも確実な登記は司法書士へ

ここまで見てきたように、AIは相続登記に関する一般的な情報収集や書類のひな形作成の「下調べ」としては便利なツールかもしれません。しかし、個別の事情が複雑に絡み合う実際の相続手続きにおいて、法的に完璧で、一発で受理される申請書類を作成するには、まだ力不足と言わざるを得ません。

特に、2024年4月1日から相続登記が義務化され、正当な理由なく期限内に登記をしないと過料の対象となる可能性があります。このような状況で、不確かな情報をもとに手続きを進めるのは非常にリスクが高いと言えるでしょう。

確実かつスムーズに相続登記を完了させるためには、やはり登記の専門家である司法書士にご依頼いただくのが最も賢明な選択です。詳しくは「相続登記を司法書士に依頼するメリットは?自分でやる場合との違い」の記事でも解説していますが、主なメリットは以下の通りです。

時間と労力の節約:煩雑な手続きはすべてお任せ

司法書士にご依頼いただければ、相続登記に必要な戸籍謄本の収集から、遺産分割協議書の作成、法務局への申請、登記完了後の書類受け取りまで、煩雑な手続きをすべて一括で代行いたします。相続人の皆様は、面倒な書類作成や役所とのやり取りに時間を費やすことなく、故人を偲ぶ時間やご自身の生活に集中していただけます。

ミスの防止:法的要件を満たした正確な書類作成

私たち司法書士は、日々登記実務に携わる国家資格者です。最新の法令や通達、各法務局の運用を踏まえて正確な書類作成を行います。補正や却下のリスクを低減するため、専門家の支援が有効です。当事務所は相続登記に多数の実績があります。

関連手続きのワンストップ対応

相続の問題は、不動産の名義変更(相続登記)だけで終わらないケースがほとんどです。当事務所の代表は、司法書士に加えて行政書士、社会保険労務士の資格も保有しています。そのため、相続放棄の手続き、預貯金の解約、未支給年金の請求など、相続登記に関連して発生する様々な手続きにもワンストップで対応することが可能です。あちこちの専門家を探す手間なく、一か所でご相談を完結できるのが大きな強みです。

まとめ:相続登記でお悩みなら、まずは無料相談へ

AIによる相続登記申請書の作成は、一見すると手軽で費用もかからない魅力的な選択肢に思えるかもしれません。しかし、その裏には専門家でなければ気づきにくい多くの落とし穴があり、特に郵送申請で補正指示を受けた場合の対応は極めて困難です。

「自分でやってみたけど、途中で分からなくなってしまった」
「法務局から補正の連絡が来て、どうしていいか分からない」
「そもそも、何から手をつけていいか見当もつかない」

少しでもこのような不安をお持ちでしたら、どうか一人で抱え込まず、私たち相続の専門家にご相談ください。当事務所では、ご依頼いただくかどうかに関わらず、皆様の状況を丁寧にお伺いする無料相談を実施しております。
【事務所情報】
いがり綜合事務所(代表:猪狩 佳亮)
所在地:神奈川県川崎市川崎区宮前町12番14号 シャンボール川崎505号
所属:神奈川県司法書士会

平日お忙しい方のために、平日夜間や土日祝日のご相談にも柔軟に対応しております(事前予約制)。円満な相続を実現し、皆様の心に「安心」をお届けするため、私たちが全力でサポートいたします。

いがり綜合事務所の無料相談はこちら

遺言書の探し方|相次ぐ相続で判明した予備的遺言の重要性

2025-12-15

【事例】ご両親が相次いで逝去、遺言書はあったが…

「父さんと母さん、二人で一緒に公証役場で遺言書を作ったんだよ」。生前、ご両親からそう聞かされていたAさんは、お母様が亡くなり、そのわずか1か月後にお父様も後を追うようにお亡くなりになった後、相続手続きのために遺言書を探し始めました。

ご自宅を探しても見つからなかったため、Aさんは「公証役場で作成した」という言葉を頼りに、お近くの公証役場へ向かいました。公証役場の遺言検索システムを利用したところ、お父様とお母様、それぞれが作成した公正証書遺言が無事に見つかり、Aさんは安堵しました。

しかし、その遺言書の内容を見て、Aさんとご兄弟は顔を見合わせることになります。お二人の遺言書には、それぞれこう書かれていました。

  • お父様の遺言書:「全財産を妻(Aさんのお母様)に相続させる」
  • お母様の遺言書:「全財産を夫(Aさんのお父様)に相続させる」

一見すると、ご夫婦がお互いを思いやる、ごく自然な内容に思えます。しかし、ここには大きな落とし穴がありました。

お父様より先にお母様が亡くなっていたため、お父様の遺言書にある「妻に相続させる」という部分は、相続する相手が既にこの世にいないため、効力を失ってしまっていたのです。

その結果、お父様の相続については遺言書がないのと同じ状態になり、Aさんたちご兄弟3人で「誰がどの財産を相続するか」を話し合う遺産分割協議を行い、その内容をまとめた遺産分割協議書を作成しなければなりませんでした。

「遺言書があったのに、どうして…」。もし、お父様の遺言書に「妻が先に亡くなっていた場合は、子供たちにこう分ける」という一文、すなわち「予備的遺言」が加えられていれば、多くの場合、Aさんたちが遺産分割協議をする必要はありませんでした。

このお話は、決して特別なケースではありません。この記事では、遺言書の探し方という基本的な知識から、Aさんのようなケースを防ぐための「予備的遺言」の重要性まで、相続の専門家である司法書士が分かりやすく解説します。

「遺言書があるはず」どこを探せばいい?主な探し方2つ

故人が遺言書を作成したと聞いていても、どこにあるか分からないケースは少なくありません。闇雲に探すのではなく、まずは公的な制度を利用して探すのが効率的です。ここでは、代表的な2つの探し方をご紹介します。

公正証書遺言と自筆証書遺言(法務局保管制度)の探し方の違いを比較した図解。

1. 公正証書遺言の場合:公証役場の「遺言検索システム」

故人が「公正証書遺言」を作成していた場合、その原本は公証役場に保管されています。全国の公証役場は「遺言検索システム」というデータベースで繋がっているため、お近くの公証役場で調べれば、日本全国どこの公証役場で作成された遺言書でも見つけ出すことができます。

手続きの流れ

  1. 必要書類を準備する: 相続人であることを証明する戸籍謄本など、下記の書類を集めます。
  2. 公証役場へ行く: 準備した書類を持参し、お近くの公証役場の窓口で遺言書の検索を依頼します。
  3. 検索と謄本の請求: 検索の結果、遺言書が見つかったら、その場で写しである「謄本」の交付を請求できます。

必要になる主な書類

  • 遺言者が亡くなったことがわかる戸籍(除籍)謄本
  • 請求者が相続人であることがわかる戸籍謄本
  • 請求者の本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカードなど)
  • 請求者の認印

※必要書類はケースによって異なる場合があるため、事前に公証役場へ確認するとスムーズです。

費用について

  • 検索手数料: 無料
  • 謄本交付手数料: 遺言書の枚数に応じて1枚250円程度

戸籍謄本の収集は、慣れていない方にとっては少し手間がかかる作業かもしれません。もしお困りの場合は、私たち司法書士が戸籍の収集から代行することも可能ですので、お気軽にご相談ください。

2. 自筆証書遺言の場合:法務局の「遺言書保管制度」

故人が自分で書いた「自筆証書遺言」を、法務局に預けている場合があります。これは2020年7月に始まった「自筆証書遺言書保管制度」を利用したもので、この制度を使っている場合は、法務局で遺言書の有無を確認できます。

手続きの流れ

  1. 必要書類を準備する: 公正証書遺言の場合と同様に、戸籍謄本などを準備します。
  2. 法務局へ請求する: 遺言書保管所となっている法務局の窓口で「遺言書情報証明書」の交付を請求します。(郵送も可)
  3. 証明書の受け取り: 遺言書情報証明書には、遺言書の内容や作成年月日などが記載されています。この証明書があれば、家庭裁判所での「検認」手続きは不要で、そのまま相続手続きに使用できます。

必要になる主な書類

  • 遺言者が亡くなったことがわかる戸籍(除籍)謄本
  • 相続人全員の戸籍謄本(または法定相続情報一覧図の写し)
  • 請求者の住民票の写し
  • 請求者の本人確認書類

費用について

  • 遺言書情報証明書の交付手数料: 1通 1,400円(収入印紙で納付)

注意点として、この制度を利用せずに作成された自筆証書遺言(自宅や貸金庫などで保管されているもの)は、法務局で検索しても見つかりません。その場合は、故人の自宅のタンスや金庫、親しいご友人や専門家(司法書士、弁護士など)に預けていないかなどを探す必要があります。

参考:自筆証書遺言書保管制度について

なぜ遺言書が無効に?「おしどり遺言」の落とし穴

さて、冒頭のAさんの事例に戻りましょう。なぜ、せっかく作成したお父様の遺言書は効力を失ってしまったのでしょうか。

それは、民法という法律に次のようなルールがあるからです。

(遺言の効力)第九百九十四条
遺言は、遺言者の死亡以前に受遺者が死亡したときは、その効力を生じない。

少し難しい言葉ですが、「受遺者」とは遺言によって財産を受け取る人のことです。Aさんのケースでは、お父様(遺言者)が亡くなる前に、財産を受け取るはずだったお母様(受遺者)が亡くなってしまいました。そのため、この条文により、お父様の遺言のうち「妻に相続させる」と書かれた部分は、無効になってしまったのです。

Aさんのご両親が作成したような、夫婦がお互いに全財産を遺す内容の遺言は、通称「おしどり遺言」とも呼ばれます。仲睦まじいご夫婦が、残されるパートナーの生活を心配して作成するケースが多いのですが、この「どちらかが先に亡くなったら無効になる」という落とし穴に気づかないまま作成されていることが少なくありません。

結果として、残された子供たちは遺産分割協議が必要となり、かえって手間や負担が増えてしまう可能性があるのです。

遺言書の内容について不安を感じている様子の老夫婦。

トラブルを防ぐ「予備的遺言」とは?書き方と文例

では、「おしどり遺言」の落とし穴を回避し、遺言者の意思を確実に実現するにはどうすれば良いのでしょうか。その答えが「予備的遺言(よびてきゆいごん)」です。

予備的遺言の基本的な考え方と役割

予備的遺言とは、簡単に言えば「もしもの場合に備えた、第二の相続先の指定」です。遺言に「予備的条項」として、次のような内容を書き加えておきます。

「私が指定したAさんが、もし私より先に亡くなっていたら、代わりにBさんに財産を渡してください」

このように、第一候補の相続人が財産を受け取れない場合に備えて、第二候補を指定しておくことで、遺言が無効になるのを防ぐことができます。これは、相続人が遺言者より先に(または同時に)死亡した場合だけでなく、相続放棄をした場合や、何らかの理由で相続する資格を失った(相続欠格・廃除)場合にも備えることができます。

予備的遺言は、遺言者の最後の意思を確実に実現するための、いわば「大切な保険」のような役割を果たしてくれるのです。

予備的遺言がある場合とない場合の効果の違いを比較した図解。

【文例】「おしどり遺言」に予備的条項を加える場合

予備的遺言の書き方は、決して難しくありません。Aさんのご両親のケースで、お父様の遺言書に予備的条項を加えるとしたら、以下のようになります。

【基本的な文例】

第〇条 遺言者は、遺言者の有する全財産を、妻・猪狩花子(昭和〇年〇月〇日生)に相続させる。
第〇条 前条の定めにかかわらず、妻・猪狩花子が遺言者より先に、又は遺言者と同時に死亡した場合には、遺言者の有する全財産を、長男・猪狩太郎(平成〇年〇月〇日生)に相続させる。

太字の部分が予備的条項です。この一文があるだけで、もし妻の花子さんが先に亡くなっていても、遺言が無効になることはなく、遺言者の意思通りに長男の太郎さんへ全財産が引き継がれます。これにより、Aさんの事例で必要となった遺産分割協議は不要になります。

【応用的な文例(子供2人に分ける場合)】

第〇条 (上記と同様)
第〇条 前条の定めにかかわらず、妻・猪狩花子が遺言者より先に、又は遺言者と同時に死亡した場合には、遺言者の有する全財産を、長男・猪狩太郎(平成〇年〇月〇日生)と二男・猪狩次郎(平成〇年〇月〇日生)に、各2分の1の割合で相続させる。

このように、第二の相続先を複数人にしたり、財産ごとに相続人を指定したりと、ご自身の希望に合わせて柔軟に内容を決めることができます。

確実な遺言書作成は相続専門家への依頼が安心です

「予備的遺言、なるほど。これなら自分でも書けそうだな」と思われたかもしれません。確かに、文例自体はシンプルです。しかし、本当にご自身の意思を確実に、そして将来のトラブルなく実現するためには、専門家への相談をおすすめします。

なぜなら、

  • ご自身の家族構成や財産状況に、本当にその書き方で合っているのか?
  • 将来起こりうる、あらゆる可能性(子供が先に亡くなる、孫がいる、相続放棄するなど)を想定できているか?
  • 不動産や預貯金、有価証券など、財産の特定方法は法的に有効か?

など、専門家でなければ見落としてしまいがちなポイントが数多く存在するからです。せっかく作った遺言書が、わずかな不備で無効になってしまったり、かえって家族間の争いの種になったりしては元も子もありません。

私たち、いがり綜合事務所は、川崎市・横浜市を中心に、相続に関するご相談を数多くお受けしている司法書士事務所です。豊富な経験と知識に基づき、お客様一人ひとりのご希望やご家族への想いを丁寧にお伺いし、将来にわたって安心できる、最適な遺言書の作成をサポートいたします。当事務所の遺言書作成業務についても、ぜひご覧ください。

初回のご相談は無料です。「まずは話だけ聞いてみたい」という方も、どうぞご安心ください。平日夜間や土日祝のご相談にも対応しておりますので、まずはお気軽にいがり円満相続相談室へのお問い合わせはこちらからご連絡ください。あなたと、あなたの大切なご家族のために、私たちが全力でサポートいたします。

故人の隠れた財産?通帳記録から死亡保険金を見つけた事例

2025-12-12

「財産は100万円のはずが…」通帳から数百万の保険金が判明した事例

相続財産の調査において、通帳の取引履歴を精査することは非常に重要です。実際にあったご相談で、当初は預金のみが財産だと思われていたケースでも、通帳の定期的な引き落とし記録から、ご遺族も知らなかった生命保険契約の存在が判明したことがあります。

記帳されていない期間の取引履歴を確認したところ、毎月決まった日に保険会社と思われる宛先への引き落としが続いていました。そこで、保険会社に照会を行った結果、ご遺族が受取人となる死亡保険金や、故人が受け取るはずだった医療保険金(入院給付金)が残されていることがわかったのです。

入院給付金などの請求権は、被保険者本人が亡くなった場合、その相続人に引き継がれます。このケースでは、最終的に数百万円もの保険金が見つかり、ご遺族は故人が遺してくれた想いを改めて感じることができました。

この事例のように、故人様が遺してくれた大切な想いが、気づかれないまま眠っているケースは決して珍しくありません。この記事では、そんな「隠れた財産」を見つけ出し、後悔のない相続を実現するための方法を、私たち専門家の視点から具体的にお伝えします。

故人の隠れた財産、まず何から手をつけるべき?

ご家族が亡くなられた直後は、悲しみに暮れる中でさまざまな手続きに追われ、財産の全体像まで正確に把握するのは本当に難しいことです。「何がどれだけあるのかわからない…」という不安は、多くのご遺族が抱える共通の悩みです。

しかし、焦る必要はありません。まずは落ち着いて、故人様が遺した「お金の足跡」を探すことから始めましょう。その最も重要な手がかりが、ご自宅に残された書類なのです。

故人の部屋で財産の手がかりとなる書類を探している遺族の様子

ステップ1:故人の部屋から「お金の足跡」を探す

財産調査の第一歩は、故人様のご自宅を丁寧に確認することです。遺品整理というと感傷的になりがちですが、ここでは「宝探し」のような気持ちで、お金に関わる書類やヒントを探してみましょう。

特に、以下のような場所や物を重点的に確認してみてください。

  • 机の引き出し、本棚、金庫、仏壇など:通帳、印鑑、権利証、保険証券といった重要書類が保管されていることが多い場所です。
  • 郵便物:銀行、証券会社、保険会社、カード会社からの封筒はすべて手がかりになります。固定資産税の納税通知書や、確定申告書の控えも重要な情報源です。
  • カレンダーや手帳:金融機関名が入った粗品(カレンダー、タオルなど)や、保険料の支払日などのメモ書きが見つかることもあります。
  • 財布やカードケース:キャッシュカード、クレジットカード、ポイントカードなどから取引のある金融機関が判明します。

一見関係なさそうな物でも、思わぬヒントに繋がることがあります。すぐに処分せず、一度は目を通すようにしましょう。

ステップ2:見つけた通帳、司法書士は「ココ」を見る

数ある手がかりの中でも、私たちが特に重視するのが「通帳」です。しかし、ただ最終残高を見るだけでは不十分。本当の宝は、その「取引履歴」に隠されています。

当事務所では、預金の相続手続きをご依頼いただいた際、最低でも過去3年分の取引履歴を丁寧に確認し、隠れた財産がないかチェックするよう心がけています。

具体的に、プロが注目するポイントは以下の通りです。

  • 定期的な引き落とし:「〇〇セイメイ」「〇〇キョウサイ」「〇〇ホケン」といった記載があれば、生命保険や共済に加入していた可能性が非常に高いです。金額や引き落とし日から、保険の種類を推測できることもあります。
  • 定額の自動送金:毎月決まった日に決まった金額がどこかに送金されていれば、それは家賃収入の管理会社への送金かもしれませんし、あるいは別の銀行にある本人名義の口座への積立かもしれません。
  • 見慣れない会社からの入金:「〇〇ショウケン」からの入金は株の配当金、「〇〇(会社名)」からの定期的な入金は、個人で契約していた不動産の賃料収入などの可能性があります。
  • クレジットカードの引き落とし:カードの利用明細を取り寄せれば、ネット証券やネット保険の契約が判明することがあります。

もし記帳がしばらくされていない通帳が見つかったら、まずはATMで記帳してみてください。冒頭の事例のように、そこからすべてが始まることもあるのです。

司法書士が解説する、故人の隠し財産を見つけるための通帳チェックポイントを図解したインフォグラフィック。

【財産別】自分でできる!隠れた財産の探し方ガイド

手元の資料から手がかりが見つかったら、次はその情報を元に具体的な調査を進めていきます。ここでは、財産の種類別に、ご自身でできる調査方法の基本を解説します。

預貯金:取引銀行の特定と残高証明書の取得方法

通帳やキャッシュカードから取引のあった金融機関が判明したら、その金融機関の窓口で相続手続きをしたい旨を伝えます。まずは、亡くなった日時点での残高を正確に証明する「残高証明書」や、過去の「取引履歴」を取得しましょう。

手続きには、通常以下の書類が必要となります。

  • 被相続人(故人)の死亡が確認できる戸籍謄本(除籍謄本)
  • 請求者が相続人であることがわかる戸籍謄本
  • 請求者の本人確認書類(運転免許証など)と印鑑

ゆうちょ銀行やネット銀行なども基本的な流れは同じですが、必要な書類や手続き方法が異なる場合があるため、事前に各金融機関のウェブサイトや電話で確認しておくとスムーズです。

生命保険:保険証券がなくても諦めない「生命保険契約照会制度」

保険証券が見つからない、でも通帳の引き落としから保険に入っていたはず…。そんな時に非常に有効なのが「生命保険契約照会制度」です。

これは、生命保険協会に加盟している全ての保険会社に対し、故人が契約者または被保険者となっている保険契約がないかを一括で調査してもらえる制度です。法定相続人であれば、1照会あたり3,000円(税込)の手数料で利用できます。

これにより、故人が契約していた保険の有無はもちろん、どの保険会社と契約していたかまで判明します。契約の存在がわかれば、あとはその保険会社に直接連絡を取り、保険金請求の手続きを進めることができます。諦める前に、ぜひ活用を検討してみてください。

不動産:「名寄帳」で故人の所有不動産を一覧化する

「自宅以外にも不動産を持っていたかもしれない」という場合は、「名寄帳(なよせちょう)」を取得することで解決できる可能性があります。

名寄帳とは、ある特定の市区町村内において、同一人物が所有している不動産を一覧にしたものです。固定資産税の納税通知書が見当たらない場合でも、市区町村役場の資産税課などで相続人であることを証明すれば取得できます。

これにより、その市区町村内での故人の所有不動産をすべて把握できます。もし不動産の存在が判明したら、次は法務局で「登記事項証明書」を取得し、正確な情報を確認します。その後の不動産の名義変更(相続登記)手続きも、私たち司法書士の専門分野です。

借金・ローン:マイナスの財産も見落とさないために

財産調査では、預貯金や不動産といったプラスの財産だけでなく、借金やローンなどの「マイナスの財産」も見落とさないことが極めて重要です。

もし、プラスの財産よりもマイナスの財産の方が多い場合は、家庭裁判所で相続放棄についての手続きを検討する必要があります。この手続きは、原則として相続の開始を知った時から3ヶ月以内に行わなければなりません。

借金の有無を調べるには、信用情報機関(JICC、CIC、KSC)に情報開示請求を行うのが最も確実な方法です。故人宛の督促状や、通帳からのローン返済の引き落としなども重要な手がかりとなります。少しでも心当たりがあれば、早急に調査に着手しましょう。

参考:信用情報機関のご案内 – 大阪府

調査が難しい…そんな時は司法書士への代行依頼が近道です

ここまでご自身でできる調査方法をご紹介してきましたが、「平日は仕事で役所や銀行に行く時間がない」「必要な書類が複雑でよくわからない」「そもそも、何から手をつけていいか途方に暮れている」と感じる方も少なくないでしょう。

そんな時は、一人で抱え込まずに専門家に頼ることで、手続きがよりスムーズに進む場合があります。私たち司法書士は、相続に関する手続きのプロフェッショナルです。

いがり円満相続相談室で、司法書士に相続財産調査の相談をしているお客様の様子

司法書士に依頼できる「遺産承継業務」とは?

司法書士と聞くと、「不動産の名義変更(相続登記)の専門家」というイメージが強いかもしれません。しかし、私たちの仕事はそれだけではありません。

「遺産承継業務」として、相続人の皆様の代理人となり、以下のような煩雑な相続手続きをまとめて代行することが可能です。

  • 相続人確定のための戸籍謄本の収集
  • 相続財産(預貯金、不動産、有価証券など)の調査・特定
  • 遺産分割協議書の作成
  • 金融機関での預貯金の解約・払戻し手続き
  • 保険会社への死亡保険金の請求手続き
  • 不動産の名義変更(相続登記)

つまり、財産調査から各種名義変更、現金化まで、相続に関する一連の手続きをワンストップでお任せいただけるのです。これにより、皆様の心身のご負担を大幅に軽減することができます。

弁護士との違いは?司法書士を選ぶメリット

「相続の相談は弁護士にするべきでは?」と考える方もいらっしゃるかもしれません。もちろん弁護士も相続の専門家ですが、役割には少し違いがあります。

弁護士の最も得意とする分野は、相続人間で争い(紛争)が起きてしまった場合の交渉や裁判です。一方、司法書士は、争いのない円満な相続における「手続き」のプロフェッショナルです。

もし、ご親族間で特に揉めているわけではなく、煩雑な手続きを正確かつスムーズに進めたいという状況であれば、司法書士への依頼が非常に適しています。費用面でも、一般的に弁護士に依頼するよりも抑えられる傾向にあります。

私たち「いがり円満相続相談室」(司法書士・行政書士・社会保険労務士いがり綜合事務所/所在地:神奈川県川崎市川崎区宮前町12番14号 シャンボール川崎505号、代表司法書士:猪狩 佳亮、所属:神奈川県司法書士会)は、その名の通り、ご家族が円満に相続を乗り越えられるよう、手続き面から全力でサポートすることを使命としています。

まとめ:通帳の再確認と専門家への相談で、後悔のない相続を

故人様の遺した財産がわからないという不安は、とても辛いものです。しかし、諦めてしまう前に、できることはまだあります。

まずは、この記事を参考にして、もう一度故人様の通帳の取引履歴を丁寧に確認してみてください。そこには、思いがけない「宝物」が眠っているかもしれません。

そして、もし少しでも「自分だけでは難しい」「何から手をつけていいかわからない」と感じたら、どうか一人で悩まないでください。私たち専門家は、あなたの不安に寄り添い、複雑な手続きを代行するために存在します。

当事務所では、相続に関する初回のご相談は無料でお受けしています。川崎市・横浜市を中心に、平日夜間や土日祝のご相談にも柔軟に対応しております。故人様が遺してくれた大切な想いをしっかりと受け継ぐために、私たちが全力でサポートいたします。どうぞ、お気軽にご連絡ください。

財産調査に関する無料相談はこちら

相続登記の費用はいくら?司法書士の見積り事例を公開

2025-12-11

相続登記の費用、総額でいくら?費用の内訳を解説

「親から相続した実家の名義変更(相続登記)をしたいけど、司法書士に頼むと一体いくらかかるんだろう…」

多くの方が、専門家への依頼を考えたときに、まず費用のことで不安に思われるのではないでしょうか。料金が不透明だと、相談するのもためらってしまいますよね。

ご安心ください。相続登記にかかる費用は、大きく分けて次の2つの要素で構成されています。この仕組みさえ分かれば、費用の全体像がクリアになります。

  • ①司法書士への報酬:手続きを代行する専門家へ支払う手数料
  • ②登録免許税などの実費:ご自身で手続きしても必ずかかるお金

総額費用は、この「①司法書士報酬」と「②実費」を合計した金額になります。まずは、それぞれの内容について詳しく見ていきましょう。

相続登記の総費用は「司法書士報酬」と「登録免許税などの実費」の合計であることを示す図解

①司法書士への報酬:手続き代行にかかる専門家費用

司法書士の報酬は、相続登記という専門的で煩雑な手続きを、あなたに代わって正確かつスムーズに進めるための「代行手数料」です。具体的には、以下のような業務に対する対価となります。

  • 亡くなった方の出生から死亡までの戸籍謄本などの収集
  • 相続人を確定させるための相続関係説明図(または法定相続情報一覧図)の作成
  • 誰がどの財産を相続するかを決める遺産分割協議書の作成
  • 法務局へ提出する登記申請書の作成
  • 法務局とのやり取り、登記申請の代行

相続登記の司法書士報酬の一般的な相場は、5万円~15万円程度と言われることが多いですが、これはあくまで目安です。不動産の数や評価額、相続人の人数、手続きの複雑さなどによって変動します。

当事務所では、お客様に安心してご依頼いただけるよう、基本報酬の算定基準を明確にしております。詳しい料金については、料金一覧のページもご参照ください。

②登録免許税などの実費:ご自身でやっても必ずかかる費用

実費は、司法書士の利益になるものではなく、手続きを進める上で必ず発生する経費です。これは、たとえご自身ですべての手続きをされたとしても、同じようにかかります。

実費の中で最も大きな割合を占めるのが「登録免許税」です。これは、不動産の名義変更をする際に、法務局へ納める税金です。

登録免許税の計算方法は、以下の通りです。

登録免許税 = 不動産の固定資産税評価額 × 0.4%

例えば、固定資産税評価額が2,000万円の土地と建物を相続した場合、登録免許税は「2,000万円 × 0.4% = 8万円」となります。

その他にも、以下のような実費がかかります。

  • 戸籍謄本・住民票などの取得費用:1通あたり数百円程度
  • 登記事項証明書(登記簿謄本)の取得費用:1通あたり600円程度
  • 郵送費・交通費など:数千円程度

これらの実費は、司法書士が手続きを進める中で立て替え、最終的に報酬と合わせてご請求させていただくのが一般的です。

参考:No.7190 登録免許税のあらまし

【事例で見る】当事務所の相続登記お見積り例を公開

「費用の仕組みは分かったけど、結局うちの場合はいくらになるの?」

そう思われる方のために、当事務所でよくご相談いただくケースを基にしたお見積り例を具体的にご紹介します。ご自身の状況と見比べながら、費用の目安として参考にしてみてください。

※ご注意:以下のお見積りは司法書士報酬のみです。別途、登録免許税や戸籍謄本取得手数料、登記事項証明書、郵送代などの実費が必要となります。当事務所のお見積りは無料ですので、正確な費用が知りたい方はお気軽にお問い合わせください。

司法書士が相続登記の見積もりを作成している様子

事例1:ご自宅不動産のみを相続(相続人3名)

まず、最もご相談の多い一般的なケースです。

<ご相談の状況>

  • 亡くなったお父様名義のご自宅(土地・建物)を相続した。
  • 遺言書はない。
  • 相続人は、お母様と子2人の合計3名。
  • 家族で話し合い、ご自宅はお母様が相続することで合意している。
  • 預貯金などの相続手続きは自分たちで行う予定。

このケースでは、お客様が「どこまでご自身で手続きされるか」によって、3つのプランでお見積りをご提示できます。

プラン報酬内訳合計(税込)
すべて丸投げプラン戸籍取得(33,000円)
法定相続情報(11,000円)
遺産分割協議書(55,000円)
相続登記(49,500円)
148,500円
戸籍は自分で取得プラン法定相続情報(11,000円)
遺産分割協議書(55,000円)
相続登記(49,500円)
115,500円
戸籍・法定相続情報一覧図は
自分で取得プラン
遺産分割協議書(55,000円)
相続登記(49,500円)
104,500円
登記申請だけお任せプラン相続登記(49,500円)49,500円
相続登記(不動産1か所・相続人3名)のお見積り例

このように、ご自身で一部の手続きを行っていただくことで、司法書士報酬を抑えることが可能です。もちろん、面倒な手続きはすべて専門家に任せたいというご要望にもしっかりお応えします。

事例2:複数の不動産を相続(相続人5名)

次に、相続人が多く、不動産も複数ある少し複雑なケースを見てみましょう。

<ご相談の状況>

  • 亡くなったお父様名義のご自宅(川崎市)と、投資用不動産(都内)を相続した。
  • 遺言書はない。
  • 相続人は、お母様と子4人の合計5名。
  • 話し合いの結果、ご自宅はお母様が、投資用不動産は長男が相続することになった。
  • 預貯金などの手続きは自分たちで行う予定。

このケースでも、お客様のご希望に合わせてプランをお選びいただけます。

プラン報酬内訳合計(税込)
すべて丸投げプラン戸籍取得(38,500円)
法定相続情報(13,200円)
遺産分割協議書(55,000円)
相続登記2か所(99,000円)
205,700円
戸籍は自分で取得プラン法定相続情報(13,200円)
遺産分割協議書(55,000円)
相続登記2か所(99,000円)
167,200円
戸籍・法定相続情報一覧図は
自分で取得プラン
遺産分割協議書(55,000円)
相続登記2か所(99,000円)
154,000円
登記申請だけお任せプラン相続登記2か所(99,000円)99,000円
相続登記(不動産2か所・相続人5名)のお見積り例

相続人の人数が増えたり、不動産の管轄法務局が複数にまたがったりすると、その分手続きが複雑になるため報酬が加算されますが、当事務所では一つひとつの業務内容を明確にご提示し、ご納得いただいた上で手続きを進めてまいります。

費用が不安な方へ。専門家に依頼する3つのメリット

具体的な費用を見て、「やっぱり専門家に頼むと結構かかるな…」と感じた方もいらっしゃるかもしれません。しかし、費用を支払ってでも専門家に依頼することには、それを上回る大きなメリットがあります。

司法書士に相続登記を依頼し、安心した表情で握手をする男性

1. 面倒な戸籍集めや書類作成から解放される

相続手続きで多くの方が最初につまずくのが「戸籍謄本の収集」です。亡くなった方の出生から死亡までの一連の戸籍を集める必要があり、本籍地が何度も変わっている場合は、全国各地の役所に請求しなければなりません。

平日の日中に役所の窓口へ行ったり、郵送での請求手続きをしたり…お仕事をされている方にとっては、かなりの時間と労力がかかります。司法書士に依頼すれば、こうした煩雑な作業をすべて代行しますので、あなたは本来やるべき仕事やご自身の生活に集中することができます。

2. 法務局とのやり取りもスムーズでミスなく完了する

相続登記の申請書類は専門性が高く、少しでも不備があると法務局から補正(修正)の指示があり、そのたびに手続きが止まってしまいます。何度も法務局に足を運ぶことになり、完了までに予想以上の時間がかかってしまうケースも少なくありません。

登記の専門家である司法書士に任せれば、法的な要件をすべて満たした完璧な書類を作成し、申請から完了までスムーズに進めることができます。2024年4月からは相続登記が義務化され、正当な理由なく放置すると過料の対象となる可能性もあります。確実な手続きのためにも、専門家の活用をご検討ください。

3. 相続手続きの不安やストレスから解放される

大切なご家族を亡くされた悲しみの中で、慣れない手続きを進めるのは精神的にも大きな負担です。「この書類で合っているのだろうか」「手続きの進め方が分からない」といった不安やストレスは、想像以上に大きいものです。

そんなとき、専門家が羅針盤のように進むべき道を示し、正確に手続きをリードしてくれる存在がいることは、何よりの「安心」に繋がります。私たち司法書士は、単に手続きを代行するだけでなく、お客様の心に寄り添い、不安を和らげることも大切な役割だと考えています。

相続登記の費用でお悩みなら、まずは無料相談をご利用ください

この記事を読んで、相続登記の費用について、少しでもクリアになったでしょうか。

具体的な見積もり事例をご紹介しましたが、相続は一つとして同じケースはありません。あなたの状況に合わせた正確な費用を知ることが、不安を解消する一番の近道です。

「まずは概算費用だけ知りたい」
「うちのケースだと総額でいくらくらいになる?」

そんなご要望にお応えするため、当事務所では相続に関する初回のご相談・お見積りを無料で承っております。費用が不安で相談をためらっている方こそ、ぜひ一度ご連絡ください。無理にご依頼を勧めることは一切ありませんので、安心してご利用いただけます。

当事務所は、司法書士である代表の猪狩 佳亮が原則として最初から最後まで直接ご対応し、お一人おひとりに寄り添ったサポートをお約束します。平日夜間や土日祝のご相談にも対応しておりますので、お仕事でお忙しい方もお気軽にお問い合わせください。

あなたの相続手続きが円満に進むよう、全力でサポートさせていただきます。

まずは無料相談で概算費用を確認する

« Older Entries Newer Entries »

keyboard_arrow_up

0447426194 問い合わせバナー 無料法律相談について