相続登記にかかる期間は?完了までの目安と遅れる原因・対策を解説

相続登記にかかる期間はケースにより数週間~数ヶ月

ご親族が亡くなられ、不動産の相続登記を考え始めたとき、多くの方が「この手続きは、一体いつ終わるのだろう?」という疑問と不安を感じられます。結論からお伝えすると、相続登記が完了するまでの期間は、状況により数週間~数ヶ月程度と幅があります

ただし、これはあくまで平均的なケースです。相続人の数や遺産の状況、話し合いの進み具合によっては、半年や1年以上かかることも珍しくありません。なぜこれほど期間に幅があるのでしょうか?それは、相続登記の手続きが大きく2つのステップに分かれているためです。

相続登記の期間は「準備期間」と「法務局での審査期間」の合計で決まることを示す図解。

手続きは「準備期間」と「法務局での審査期間」に大別される

相続登記にかかる全体の期間は、以下の2つの合計で決まります。

  • ① 書類などを準備する期間:相続人である皆様が主体となって進める期間です。戸籍謄本を集めたり、遺産の分け方を話し合ったりする時間で、相続の状況によって大きく変動します。
  • ② 法務局での審査期間:必要書類をすべて揃えて法務局に登記申請をしてから、審査が完了するまでの期間です。これは法務局の管轄や混雑状況によって左右されます。

この記事では、相続登記の各ステップで具体的にどれくらいの時間がかかるのか、手続きが遅れてしまう原因、そしてスムーズに進めるためのコツを、相続専門の司法書士が分かりやすく解説していきます。

相続登記の「3年ルール」と相続放棄の「3ヶ月ルール」は別物

相続手続きの期間について考えるとき、多くの方が「3年」や「3ヶ月」といった数字を耳にして混乱されることがあります。ここで専門家として明確に整理しておきましょう。この2つは全く別のルールです。

相続登記の義務化相続放棄
期限自己のために相続の開始があったことを知り、かつ、その不動産の所有権を取得したことを知った日から3年以内自己のために相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内
手続き先不動産を管轄する法務局被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所
内容不動産の名義変更の申請プラスの財産もマイナスの財産(借金など)も一切相続しないための申述
相続登記と相続放棄の期間ルールの違い

特に、借金などマイナスの財産が多い場合に検討する相続放棄の期限は3ヶ月と非常に短いため、注意が必要です。相続登記の3年という期間は、あくまで登記申請の義務に関するものであり、相続放棄の期限とは全く関係がないことを覚えておきましょう。

相続登記の流れと各ステップにかかる期間の内訳

それでは、相続登記が完了するまでの具体的な流れを4つのステップに分け、それぞれの期間の目安を見ていきましょう。ご自身の状況と照らし合わせながら、どこに時間がかかりそうかイメージしてみてください。

相続登記の手続きの流れを4つのステップ(戸籍収集、遺産分割協議、申請準備、法務局審査)と各期間の目安で示したフローチャート。

①戸籍収集・相続人調査:1週間~1ヶ月半

相続登記の第一歩は、「誰が相続人なのか」を公的に証明するために必要な戸籍謄本などを集めることです。

具体的には、亡くなられた方(被相続人)の出生から死亡までの一連の戸籍謄本(除籍謄本、改製原戸籍謄本)と、相続人全員の現在の戸籍謄本が必要になります。被相続人が転籍を繰り返している場合、全国の市区町村役場に郵送で請求する必要があり、すべての書類が手元に揃うまでに1ヶ月~1ヶ月半ほどかかることもあります。

最近では、本籍地以外の役所でも戸籍謄本を取得できる「戸籍の広域交付制度」も始まりましたが、一部取得できない戸籍があるなど、依然として時間がかかるケースは多いのが実情です。

②遺産分割協議・書類作成:1週間~数ヶ月以上

相続人が確定したら、次に相続人全員で「誰が、どの財産を、どれくらい相続するのか」を話し合います。これを遺産分割協議と呼びます。

相続人全員の意見がスムーズにまとまれば、1週間程度で完了することもあります。しかし、誰か一人でも納得しない人がいると、話し合いは長引きます。特にもめやすい不動産が含まれる場合などは、数ヶ月、場合によっては家庭裁判所での調停や審判に発展し、年単位の時間がかかることもあります。

話し合いがまとまったら、その内容を証明する「遺産分割協議書」を作成し、相続人全員が署名と実印の押印をします。この書類が、相続登記の重要な添付書類となります。

③法務局への申請準備:1日~2週間

戸籍謄本や遺産分割協議書など、必要な書類がすべて揃ったら、いよいよ法務局に提出する登記申請書を作成します。登記申請書には、不動産の情報を正確に記載し、法律のルールに従って作成する必要があります。

また、登記を申請する際には、不動産の評価額に応じて「登録免許税」という税金を納める必要があり、その計算も行わなければなりません。

これらの作業に要する日数は案件により異なりますが、司法書士が受任する場合でも、調査・書類の状況によっては数日以上かかることがあります。一般の方が行う場合も、状況により期間は前後します。

④法務局での登記審査:1週間~1ヶ月以上【2025年最新情報】

登記申請書と添付書類一式を不動産の所在地を管轄する法務局に提出すると、登記官による審査が始まります。この審査期間は法務局や時期により差があり、数週間~1か月超となることもあります。

【専門家コラム】法務局の審査期間が長期化する傾向に

ここ数年の実務上の変化として、特に都市部の法務局で審査期間が長くなる傾向が見られます。これは、新しい制度の導入などが影響していると考えられます。

例えば、東京法務局が公表している「登記完了予定日」では、庁・登記種別・申請日によっては、申請から完了予定日まで概ね1か月超となっている例があります。一方で、法務局や時期によっては、申請から完了まで1~2週間程度の例もあります。

このように、申請先の法務局によって審査期間には大きな差があるのが実情です。ご自身の不動産を管轄する法務局のウェブサイトで完了予定日が公表されていることが多いので、確認してみるのもよいでしょう。

審査が無事に完了すると、法務局から「登記識別情報通知書(いわゆる権利証)」などの完了書類が発行され、これをもって相続登記手続きはすべて終了となります。

参照:東京法務局 – 登記完了予定日

要注意!相続登記の期間が長引く5つの原因

「平均は1~3ヶ月と聞いたのに、なぜ自分のケースはこんなに時間がかかるのだろう?」
相続登記がスムーズに進まず、長期化してしまうのには、いくつかの典型的な原因があります。ご自身の状況に当てはまるものがないか、確認してみましょう。

大量の古い戸籍謄本を前に、相続手続きの複雑さに頭を抱える男性。

①遺産分割協議がまとまらない・難航する

相続登記が遅れる最大の原因は、遺産分割協議の難航です。相続人同士の仲が良くなかったり、特定の相続人が不動産を一人で相続したいと主張したり、不動産の評価額で意見が対立したりすると、話し合いは平行線をたどりがちです。

当事者同士での解決が難しい場合は、家庭裁判所での調停や審判に移行しますが、そうなると解決までに1年以上かかることも珍しくありません。

②相続人が多い・連絡が取れない・海外在住

相続人の数が多ければ多いほど、全員の足並みを揃えるのは大変になります。中には、疎遠で連絡先が分からない相続人や、協力に非協力的な相続人がいるかもしれません。

また、相続人が海外に住んでいる場合、書類のやり取りに時間がかかったり、日本での手続きとは異なる書類(サイン証明書など)が必要になったりするため、手続きが複雑化し、期間が長引く原因となります。

さらに、親の相続手続きをしないうちに子が亡くなる「数次相続」が発生すると、相続人の数がネズミ算式に増え、関係がさらに複雑になるケースもあります。

③必要書類の収集に手間取る(戸籍が点在しているなど)

亡くなった方が生涯で何度も転籍(本籍地を移すこと)を繰り返していると、戸籍謄本が日本全国の役所に点在していることがあります。一つずつ郵送で取り寄せる作業は、非常に手間と時間がかかります。

また、古い戸籍は手書きで書かれており、達筆すぎて文字が読めなかったり、旧字体が使われていたりして、内容を正確に解読するのが難しいこともあります。こうした作業に慣れていないと、戸籍の収集だけで数ヶ月を要してしまうこともあります。

④登記簿上の住所・氏名が現在のものと違う

法務局で取得する不動産の登記簿(登記事項証明書)に記載されている所有者の住所や氏名が、亡くなった方の最後の住民票や戸籍と一致しない、というケースは実務上よくあります。

例えば、不動産を買った後に引っ越しをしたが住所変更の登記をしていなかった場合などです。この場合、相続登記の前提として、登記簿上の住所を現在の住所につなげるための変更登記が別途必要になり、その分の時間と手間が余計にかかってしまいます。

⑤申請書類の不備による補正(差し戻し)

ご自身で登記申請をした場合に起こりがちなのが、書類の不備です。申請書への記載ミス、必要な添付書類の不足、登録免許税の計算間違いなどがあると、法務局から「補正」の連絡が来ます。

補正とは、書類の不備を訂正することで、訂正が完了するまで審査はストップしてしまいます。電話で指示された箇所を修正するだけで済む軽微なものもありますが、根本的な不備がある場合は、一度申請を取り下げて再申請が必要になることも。そうなると、さらに数週間から1ヶ月以上の時間がかかってしまいます。

相続登記を早く終わらせるための3つのコツ

では、どうすれば相続登記をスムーズに、そして早く終わらせることができるのでしょうか。専門家として、特に重要だと考える3つのコツをご紹介します。

①相続が発生したらすぐに戸籍収集に着手する

最も効果的なのは、相続が開始したら、他の何よりもまず戸籍収集を始めることです。なぜなら、相続人調査(戸籍収集)は、遺産分割協議、預貯金の解約、相続税申告など、あらゆる相続手続きのスタートラインになるからです。

誰が相続人なのかが確定しないことには、話し合いも始められません。時間がかかる可能性が高いこのステップを最初に終わらせておくことで、その後の手続きをスムーズに進めることができます。戸籍謄本の取得は、司法書士に代行を依頼することも可能です。

②遺言書や権利証など関係書類を事前に探しておく

亡くなった方が遺言書を遺していないか、必ず探しましょう。公正証書遺言など、法的に有効な遺言書があれば、原則として遺産分割協議は不要となり、手続きにかかる期間を大幅に短縮できます。

また、不動産の権利証(登記識別情報)や、毎年春に送られてくる固定資産税の納税通知書なども手元にあれば、不動産の特定がスムーズになり、財産調査の時間を短縮できます。相続が始まる前から、こうした重要書類の保管場所を家族で共有しておくことが理想です。

③手続きが複雑なら早めに司法書士へ相談する

私たちが相続のご相談をお受けする際、ご依頼者様からほぼ必ず聞かれるのが「費用はいくらかかりますか?」そして「期間はどのくらいかかりますか?」という2つの質問です。それだけ、皆様にとって手続きの見通しが立たないことが大きな不安なのだと、日々実感しています。

もし、ご自身のケースで「相続人が多くて大変そう」「遺産分割で揉めるかもしれない」「平日は仕事で役所に行く時間がない」など、少しでも不安を感じたら、できるだけ早い段階で私たち司法書士にご相談ください。

専門家に依頼することで、戸籍収集から遺産分割協議書作成、登記申請までをワンストップで、かつ並行して効率的に進めることができます。司法書士に依頼することで、書類不備による補正リスクを低減でき、手続全体がスムーズに進む可能性があります。ただし、法務局の審査や個別事情により、追加対応や期間の延長が生じる場合があります。詳しくは「相続登記を司法書士に依頼するメリット」のページでも解説していますので、ぜひご覧ください。

期間内に登記が難しい場合の「相続人申告登記」とは

「遺産分割協議が長引いて、どうしても3年の期限に間に合いそうにない…」
このような場合でも、ご安心ください。相続登記の義務化に合わせて、救済策となる新しい制度が設けられています。それが「相続人申告登記」です。

これは、遺産分割協議がまとまる前に、相続人の一人から「私が相続人の一人です」と法務局に申し出ることで、ひとまず相続登記の申請義務を果たしたとみなしてもらえる制度です。この申出により、(期限内に相続登記の申請をすることが難しい場合の)申請義務を簡易に履行するための手続として利用できます。なお、制裁は刑罰の「罰金」ではなく「過料」です。遺産分割が成立した場合などは、別途、正式な相続登記が必要になります。

ただし、これはあくまで一時的な措置です。不動産を売却したり、担保に入れて融資を受けたりするためには、後日、遺産分割協議がまとまった段階で、正式な相続登記を改めて申請する必要があります。連絡が取れない相続人がいる場合など、期限内の登記が難しいときの選択肢として覚えておくとよいでしょう。

参照:法務省 – 相続人申告登記について

相続登記の期間に関するご相談は「いがり円満相続相談室」へ

ここまで見てきたように、相続登記にかかる期間は、ご家族の状況によって大きく変わります。スムーズに進めば1ヶ月で終わることもあれば、複雑なケースでは1年以上かかることもあり、ご自身だけで正確な見通しを立てるのは非常に難しいのが現実です。

「自分の場合は、あとどれくらいかかるんだろう?」
「3年の期限に間に合うか心配…」
「とにかく早く手続きを終わらせて、安心したい」

もしあなたがこのような不安をお持ちでしたら、ぜひ一度、私たち「いがり円満相続相談室」へご相談ください。相続を専門とする司法書士が、あなたの状況を丁寧にお伺いし、手続き完了までの具体的な流れと期間の目安を分かりやすくご説明いたします。

私たちは、単に手続きを代行するだけでなく、皆様の不安な心に寄り添い、「安心」をお届けすることを使命としています。初回のご相談は無料ですので、どうぞお気軽にお問い合わせください。

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