相続税申告は必要?司法書士ができる判断と税理士連携の重要性

相続税申告、自分で判断は危険?まずは司法書士にご相談ください

「親が亡くなったけれど、うちの場合は相続税の申告が必要なのだろうか…」
「遺産に不動産があるから、税金が心配…」

大切なご家族を亡くされた悲しみの中で、相続手続きを進めるだけでも大変な中、さらに「相続税」という大きな不安を抱えていらっしゃる方は少なくありません。

一般的に「相続手続きや不動産の名義変更(相続登記)は司法書士、税金のことは税理士」というイメージがあるかもしれません。しかし、実際には「そもそも相続税申告が必要なのかどうか」という最初の判断で迷われる方が非常に多いのが現実です。

遺産の総額はいくらなのか、不動産の価値はどう評価するのか、使える特例はあるのか…など、判断材料が複雑に絡み合うため、ご自身だけで結論を出すのはとても危険です。判断を誤ると、後から追徴課税などのペナルティを受けてしまう可能性もあります。

この記事では、相続を専門とする司法書士の視点から、

  • 相続税申告が必要になるかの基本的な判断基準
  • その判断過程で司法書士が果たす重要な役割
  • なぜ「相続に強い税理士」との連携が不可欠なのか

といった点を、分かりやすく解説していきます。この記事を最後までお読みいただければ、相続税に関する漠然とした不安が解消され、「まず何をすべきか」が明確になるはずです。どうぞご安心ください。

相続税の判断基準を説明するイメージ。遺産分割協議書と印鑑が写っている。

相続税申告が必要になるかの判断基準【基本を解説】

相続税申告が必要かどうかを判断するための、最初のステップとなる基本的な知識についてご説明します。複雑な税金のルールも、ポイントさえ押さえれば、ご自身の状況を大まかに把握することができます。

遺産総額が「基礎控除額」を超えるかどうかが第一の分岐点

相続税がかかるかどうかを判断する最も重要な基準が「基礎控除額」です。遺産の総額がこの基礎控除額よりも少なければ、原則として相続税はかからず、申告も不要です。

3,000万円 + (600万円 × 法定相続人の数)

例えば、法定相続人が「配偶者と子ども2人」の合計3人だった場合、基礎控除額は以下のようになります。

3,000万円 + (600万円 × 3人) = 4,800万円

このケースでは、亡くなった方の遺産総額(預貯金、不動産、有価証券などを合計した金額から、借金などの債務を差し引いたもの)が4,800万円以下であれば、相続税はかかりません。まずはご自身のケースで、法定相続人が何人になるかを確認し、基礎控除額を計算してみることが第一歩です。

【注意】特例利用で税額0円でも「申告義務」は残るケース

多くの方が誤解しやすい、非常に重要なポイントがあります。それは、特例を適用した結果、納める相続税が0円になったとしても、その特例の適用を受けるために「相続税申告そのものは必要」なケースがあるということです。

代表的な特例として、以下の2つが挙げられます。

  • 小規模宅地等の特例:亡くなった方が住んでいた土地などを相続する場合、一定の要件を満たせば土地の評価額を最大80%減額できる制度です。
  • 配偶者の税額軽減:配偶者が相続する遺産額が法定相続分または1億6,000万円のいずれか多い金額までであれば、相続税がかからない制度です。

これらの特例は非常に強力で、適用できれば納税額を大幅に減らしたり、0円にしたりすることが可能です。しかし、小規模宅地等の特例等は相続税の申告書への記載および必要書類の添付(例:計算の明細書、遺産分割協議書の写し等)が必要です(国税庁参照)。

つまり、「特例を使えばうちは税金が0円になるから、何もしなくていい」と自己判断してしまうと、特例自体が使えなくなり、本来払わなくてよかったはずの多額の税金が発生してしまうリスクがあるのです。これは絶対に避けなければなりません。

参考:No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)

司法書士が不動産の権利証を指さしながら、相続税申告の要否について相談者に説明している様子。

司法書士の役割は「相続税申告の要否」を見極める最初の水先案内人

「相続税のことは税理士に相談するもの」と思われているかもしれませんが、実は、相続手続きの専門家である司法書士が、その入口で非常に重要な役割を果たします。

もちろん、司法書士は税理士ではないため、具体的な税額計算や税務申告書の作成はできません。しかし、相続手続きを進める中で遺産全体を把握し、「このケースは相続税申告が必要そうだ」「特例の適用に注意が必要だ」といった初期判断を行い、適切な専門家へ繋ぐ「水先案内人」としての役割を担うことができるのです。

相続登記に必須の「財産調査」で課税ラインをチェック

ご自宅などの不動産を相続した場合、法務局で名義変更の手続き(相続登記)が必要になります。この相続登記をご依頼いただいた場合、司法書士はまず、戸籍を収集して相続人を確定させると同時に、亡くなった方の財産を調査します。

  • 不動産の固定資産税評価証明書を取得し、価値を把握する
  • 預貯金の残高証明書を各金融機関から取り寄せる
  • 有価証券や生命保険など、その他の財産についてもお話を伺う

これらの財産調査を通じて作成する「財産目録」は、遺産分割協議の土台となるだけでなく、集計した財産の概算額が基礎控除額を超えるかどうかのチェックにも直結します。つまり、相続登記という手続きを進める過程で、自然と相続税申告の必要性が見えてくるのです。最初に司法書士へご相談いただくことで、税務判断の第一歩をスムーズに踏み出すことができます。

不動産の評価が鍵!司法書士が見るべきポイント

相続財産に不動産が含まれる場合、その評価が相続税額を大きく左右します。特に、単純な土地や建物だけでなく、以下のような複雑なケースでは注意が必要です。

  • 他人の土地に建てた家の権利(借地権)
  • 複数人で所有している不動産(共有不動産)
  • 形が歪な土地(不整形地)
  • 私道に面している土地

こうした不動産は、固定資産税評価額だけでは正確な価値を判断できず、専門的な評価が必要になることがあります。司法書士は不動産登記の専門家として、こうした複雑な権利関係を正確に把握し、整理することができます。そして、その情報を正確に税理士へ引き継ぐことで、適切な財産評価と税額計算の橋渡し役を担うのです。

当事務所の初回相談でのヒアリングと税理士連携の実例

当事務所では、相続登記のご相談でいらっしゃった方に対しても、必ずご遺産の全体像について大まかにお話を伺うようにしています(もちろん、お話しにくい場合は無理にお聞きすることはありません)。これは、私たちの責務が単に登記手続きを代行するだけでなく、お客様が抱える相続全体の課題を解決することにあると考えているからです。

実際に、お話を伺う中で、「相続税はかからないと思っていたけれど、概算してみると基礎控除を超えそうだ」「特例が使えるから大丈夫だと思っていたが、申告自体は必要なケースだった」「見落としていた借地権の評価額を加えると、課税対象になる可能性が高い」といったことが判明するケースは決して少なくありません。

そのような場合、当事務所ではすぐに提携している相続専門の税理士にお繋ぎし、スムーズに次のステップに進めるようサポートしています。初期段階でリスクを検知し、適切な専門家へ橋渡しをすること。これも、私たち相続専門司法書士の重要な役割なのです。

相続税申告は税理士の独占業務!司法書士との連携が重要な理由

ここまで司法書士の役割についてお話ししてきましたが、最終的な相続税の計算と申告書の作成・提出は、法律で定められた税理士の独占業務です。司法書士がこれらの業務を行うことはできません(税理士法第2条、第52条)。

だからこそ、相続手続きをスムーズに進め、お客様に余計な手間や心配をおかけしないためには、司法書士と税理士の緊密な連携が不可欠となります。

「相続に強い税理士」でなければならない本当の理由

ここで非常に大切なのは、「どの税理士でも同じではない」ということです。お医者さんに外科、内科、眼科といった専門分野があるように、税理士にもそれぞれ得意分野があります。

多くの税理士は、企業の顧問として法人税務をメインに扱っています。もちろん相続税申告に対応できる先生もいますが、相続税は土地の評価や特例適用の判断など、非常に専門的で複雑な知識と経験が求められる分野です。年に数件しか扱わない税理士と、日常的に相続案件を扱っている税理士とでは、そのノウハウの蓄積に大きな差が生まれます。

経験豊富な「相続に強い税理士」に依頼することで、適用できる特例を見逃さず、不動産評価を適切に行い、結果として納税額を適正に抑えることができる可能性が高まります。これは、お客様の財産を守る上で極めて重要なポイントです。

当事務所が提携する「相続専門税理士」の強み

「相続に強い税理士を自分で探すのは大変…」と感じられるのも無理はありません。そこで、当事務所の強みが活きてきます。

いがり綜合事務所では、相続を専門的に扱う経験豊富な税理士と提携しており、税務面の連携が可能です。

ご自身で一から税理士を探す手間が省けるだけでなく、専門外の税理士に依頼してしまうリスクを回避し、「相続のプロ」による質の高いサービスを確実に受けていただける安心感をご提供できます。

司法書士経由で税理士に依頼する3つのメリット

当事務所のような窓口に相続手続きと税務申告をまとめてご相談いただくことには、お客様にとって大きなメリットがあります。

  1. 情報の抜け漏れがなく安心:司法書士が財産調査で収集した資料や情報を税理士と共有するため、お客様が何度も同じ説明をする手間が省けます。情報が一元管理されることで、財産の申告漏れなどのミスを防ぎます。
  2. 手続きがスピーディーに進む:司法書士が作成した正確な財産目録や相続関係説明図を税理士が活用できるため、税理士はゼロから情報を集める必要がなく、税務申告の準備にスムーズに着手できます。
  3. 質の高い専門家を探す手間とリスクを回避:前述の通り、「相続に強い」専門家を確実に見つけられます。お客様は専門家探しに時間を費やすことなく、安心して手続き全体をお任せいただけます。
相続税申告の期限が迫っていることを示すカレンダーのイメージ。

相続税で損しないために。まずはお早めにご相談を

相続税の申告と納税には、「被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10ヶ月以内」という期限が定められています。この期限はあっという間に過ぎてしまいます。

また、遺産をどのように分けるか(遺産分割協議)によって、適用できる特例や各相続人の納税額が変わってくるため、申告期限までに遺産分割協議を終えておくのが理想です。不動産の名義変更(相続登記)や預貯金の解約など、相続手続きには時間がかかるものが多いため、判断に迷ったら一日でも早く専門家に相談することが重要です。

「うちは相続税がかかるのか?」「何から手をつければいいのかわからない」
そのような不安をお持ちでしたら、まずは私たち、いがり綜合事務所にご相談ください。

相続手続きの専門家として、そして相続税申告への適切な橋渡し役として、お客様一人ひとりの状況に寄り添い、円満な相続を実現するため全力でサポートいたします。初回のご相談は無料です。どうぞお気軽にお問い合わせください。
事務所名:司法書士・行政書士・社会保険労務士いがり綜合事務所
代表司法書士:猪狩 佳亮
所在地:神奈川県川崎市川崎区宮前町12番14号 シャンボール川崎505号
所属:神奈川県司法書士会

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