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公正証書遺言のデジタル化がスタート 変更点と注意点を専門家が解説
【2025年10月1日開始】公正証書遺言のデジタル化とは?
「大切な家族のために、きちんと遺言書を残したい」とお考えの方にとって、とても重要な法改正のニュースです。2025年10月1日から、公正証書遺言の作成手続きがデジタル化されることになりました。
この変更により、これまで公証役場に直接出向いて行っていた手続きの一部が、ご自宅などからリモートで行えるようになります。
当事務所にも初めての方やデジタル機器に不慣れな方からの問い合わせが寄せられています。
この記事では、川崎市で相続を専門的に扱う「いがり円満相続相談室」の司法書士が、公正証書遺言のデジタル化について、
- いつから始まるのか?
- 具体的に何がどう変わるのか?
- どんなメリットや注意点があるのか?
といった疑問に、分かりやすくお答えしていきます。制度の概要を分かりやすく説明しますが、具体的な手続きや適用条件については公証役場の公式案内でご確認ください。
公正証書デジタル化の3つの主要な変更点
今回の法改正による大きな変更点は、主に次の3つです。これまでの手続きとどう変わるのか、ポイントをみていきましょう。
1. 自宅から作成可能に!リモート(ウェブ会議)方式の導入
最も大きな変更点は、公証人連合会が定める要件を満たすウェブ会議システムを用いて、リモートで公正証書遺言を作成できるようになったことです。
これまでは、遺言者ご本人と証人2名が必ず公証役場に出向く必要がありました。しかし今後は、インターネット環境とパソコン、カメラがあれば、ご自宅やご入所中の施設など、どこからでも手続きを進めることが可能になります。
私たち司法書士のような専門家から見ても、この変更は画期的です。例えば、お身体が不自由で外出が難しい方、遠方にお住まいで公証役場への移動が負担だった方など、これまで物理的な制約で遺言書作成を諦めていた方々にとって、非常に大きなメリットになると考えています。
2. 原本がデータになる!電子データでの作成・保管
これまでの公正証書は紙で作成され、その原本は公証役場で厳重に保管されていました。今回のデジタル化により、デジタル化により公正証書が電子的に作成・保管されることが原則となる場合があることになります。
これにより、紙の書類のように紛失したり、経年劣化したりするリスクがなくなります。また、遺言者にお渡しする「正本」や、相続手続きで必要になる「謄本」も、電子データで受け取ることができるようになり、管理がしやすくなるというメリットがあります。
作成された電子データは、関係機関のガイドラインに基づく情報管理・セキュリティ対策が講じられる予定ですが、具体的な運用・管理方法や想定されるリスクについては公証役場の案内や公的資料で確認してください。
3. ハンコは不要に!電子サインの利用
従来の公正証書遺言では、遺言者と証人が実印で押印し、印鑑証明書を提出する必要がありました。デジタル化後は、この実印と印鑑証明書の代わりに「電子サイン」が利用されます。
電子サインとは、公証人のパソコンの画面又は公証人のパソコンに接続されたペンタブレットにタッチペンで氏名を記載し、これを公正証書原本の所定の部分に画像として記録するものです。
ただ、「電子サインと言われても、やり方が分からない…」とご不安に思われる方も多いでしょう。無理にご自身で対応しようとせず、まずは専門家にご相談いただくのが安心です。
【ご安心ください】従来の対面での作成方法もなくなりません
「デジタル化は便利そうだけど、やっぱりパソコンは苦手…」「大切なことだから、直接公証人の先生と顔を合わせて話したい」
そのように感じられる方も、まったく心配はいりません。今回の法改正は、あくまで手続きの選択肢が増えるというものです。
これまで通り、公証役場に直接出向いて、公証人と対面で遺言書を作成する方法も、もちろん残ります。
もし、あなたが従来の対面方式を選ばれるのであれば、手続きの流れはこれまでとほとんど変わりません。紙ではなくタブレットに署名をする点以外、デジタル化は強制されるものではありませんので、ご自身が最も安心できる方法をお選びいただけます。

デジタル化のメリットと注意すべき点(リスク)
新しいリモート方式を選ぶべきか、従来の対面方式を選ぶべきか、迷われる方もいらっしゃるでしょう。ここで、専門家の視点からそれぞれのメリットと注意点を整理してみます。
メリット:遺言書作成のハードルが下がる
デジタル化、特にリモート方式の導入には、以下のような大きなメリットがあります。
- 場所を選ばずに作成できる: ご自宅や病院、施設など、どこからでも手続きが可能です。遠方にお住まいのお子様が、ウェブ会議に同席して内容を確認することも容易になります。
- 手続の時間が短縮される可能性: 公証役場への移動時間がなくなるため、トータルの負担が軽減されます。
- 書類管理が容易になる: 正本や謄本を電子データで受け取れるため、紙の書類のように保管場所に困ったり、紛失したりする心配が減ります。
特に、これまで遺言書作成のハードルとなっていた「移動」や「時間」の制約がなくなることで、より多くの方がご自身の想いを形にしやすくなるでしょう。
注意点:本人確認の厳格化とデジタル機器への対応
一方で、リモート方式を利用する際には、いくつか注意すべき点もあります。
・デジタル環境の準備: パソコンやスマートフォン、安定したインターネット回線、ウェブ会議システム(Teamsなど)の準備と、ある程度の操作に慣れていることが必要です。
IT機器の操作に少しでも不安がある場合は、無理にリモート方式を選ぶ必要はありません。ご自身の状況に合わせて、最適な方法を専門家と一緒に考えることが大切です。
【公式動画で確認】日本公証人連合会の解説が分かりやすい
今回のデジタル化について、日本公証人連合会が非常に分かりやすい解説動画を公開しています。
制度の全体像を正確に理解するために、まずは一度ご覧になることをお勧めします。公式の情報に触れることで、漠然とした不安が解消されることも多いはずです。
令和7年秋、公正証書の電子化がスタート!対面方式による電子公正証書の作成のポイントを解説
令和7年秋、公正証書の電子化がスタート!リモート方式による電子公正証書の作成手順
ただ、動画はあくまで一般的な説明です。「自分の場合はどうなるの?」「具体的に何から準備すればいい?」といった個別の疑問や、遺言内容そのものに関するお悩みは、動画だけでは解決が難しいかもしれません。そのような場合は、ぜひ私たちのような専門家にご相談ください。
手続きに不安な方は専門家への相談が安心です
公正証書遺言のデジタル化は、遺言書作成をより身近にする画期的な改正です。しかし、選択肢が増えたことで、かえって「どの方法が自分にとって一番良いのだろう?」と迷ってしまう方もいらっしゃるかもしれません。
特に、遺言はご自身の財産とご家族の将来に関わる、非常に大切な手続きです。手続きの方法で悩むだけでなく、肝心の遺言内容がご自身の想いを正確に反映したものでなければ意味がありません。
「何から始めたらいいかわからない」「自分に合った方法を教えてほしい」
もし少しでもご不安があれば、ぜひ一度、当事務所の無料相談をご利用ください。
いがり綜合事務所に依頼できること
当事務所にご相談いただければ、司法書士・行政書士が以下のようなサポートをワンストップでご提供します。
- ご家族への想いを形にするための遺言内容コンサルティング
- あなたに最適な遺言作成方式のご提案(対面orリモート)
- 公証役場との事前打ち合わせの代行
- リモート手続きの際のパソコン操作サポート
- 証人の手配を支援します(ただし、証人の同意取得や本人確認等の必要手続きは所定の手順に従います)
- 遺言作成後の財産の名義変更手続き(相続登記など)
私たちは、単に手続きを代行するだけでなく、ご相談に対して誠意をもって対応します。具体的な手続きや見通しについては個別にご説明します。どうぞお気軽にお問い合わせください。

司法書士・行政書士・社会保険労務士いがり綜合事務所の司法書士 猪狩 佳亮(いがり よしあき)です。神奈川県川崎市で生まれ育ち、現在は遺言や相続のご相談を中心に、地域の皆さまの安心につながるお手伝いをしています。8年の会社員経験を経て司法書士となり、これまで年間100件を超える相続案件に対応。実務書の執筆や研修の講師としても活動しています。どんなご相談も丁寧に伺いますので、気軽にお声がけください。
換価分割の手続きと流れ|税金・社会保険料への影響も解説
相続不動産を売って分ける「換価分割」とは?
「親が遺した実家を、きょうだいでどうやって公平に分けたらいいんだろう…」
「相続人が多くて、不動産をそのまま分けるのは難しそう…」
相続に直面された多くの方が、このような悩みを抱えていらっしゃいます。特に不動産は、預貯金のように物理的に分割するのが難しい財産の代表例です。そんなとき、有効な選択肢の一つとなるのが「換価分割(かんかぶんかつ)」という方法です。
換価分割とは、相続した不動産などの遺産を売却して現金に換え、その現金を相続人同士で分け合う方法を指します。現金にすることで1円単位で公平に分割できるため、相続人間の不公平感をなくし、トラブルを防ぎやすいという大きなメリットがあります。
しかし、その手続きは少し複雑で、不動産の売却によって利益が出た場合には税金がかかります。さらに、見落とされがちですが、翌年の社会保険料(国民健康保険料など)に影響が出る可能性もあり、事前に全体像を把握しておくことがとても大切です。
この記事では、相続手続きの専門家である司法書士が、換価分割の基本的な知識から、具体的な手続きの流れ、そして税金や社会保険料といった「お金」の問題まで、網羅的に分かりやすく解説します。この記事を読めば、換価分割の全体像を掴み、ご自身の状況に合った最適な選択をするための知識が身につくはずです。換価分割を検討する際の基本知識として参考にしてください。
まずは診断!あなたの状況は換価分割が向いている?
ご自身の状況が換価分割に適しているか、まずは簡単なチェックリストで確認してみましょう。一つでも当てはまるものがあれば、換価分割は有力な選択肢となります。
- 相続人の中に、その不動産に住みたい、または利用したいという人がいない。
- とにかく「公平性」を最優先したい。1円単位まできっちり分けたい。
- 相続税の納税資金や、今後の生活資金としてまとまった現金が必要。
- 不動産を共有名義のままにして、将来のトラブルにつながる状態を残したくない。
- 相続人が多く、物理的に不動産を分けることが難しい。
不動産の分け方で揉めてしまうと、不動産の評価額を巡る対立に発展し、家族関係が悪化してしまうことも少なくありません。換価分割は、そうした事態を避けるための有効な手段となり得ます。
他の分割方法(代償分割・現物分割)との違いを比較
換価分割の位置づけをより深く理解するために、他の遺産分割方法と比較してみましょう。遺産分割には主に「現物分割」「代償分割」「換価分割」の3つの方法があります。

| 分割方法 | 内容 | メリット | デメリット |
|---|---|---|---|
| 現物分割 | 遺産をそのままの形で分ける方法(例:長男が土地、次男が預貯金) | 手続きが比較的シンプル | 公平に分けるのが難しい。不動産は分けにくい |
| 代償分割 | 特定の相続人が遺産を取得する代わりに、他の相続人に「代償金」を支払う方法 | 不動産を売却せずに残せる | 遺産を取得する相続人に十分な資金力が必要 |
| 換価分割 | 遺産を売却して現金に換え、その現金を相続人で分ける方法 | 1円単位で公平に分けられる。納税資金を確保できる | 売却の手間と税金がかかる。社会保険料に影響する場合がある |
どの方法が最適かは、遺産の内容や相続人の状況によって異なります。特に「代償分割」は、不動産を残したい相続人がいて、その人に十分な自己資金があれば有効な方法です。後の章で詳しく解説しますが、代償分割で受け取る「代償金」は所得とはみなされないため、社会保険料に影響が出ないという重要な特徴があります。
相続において不動産を売却するメリット・デメリットについては、こちらの記事もご参照ください。相続不動産を売却するメリット・デメリット
換価分割の全手順を5ステップで徹底ガイド
「換価分割が良さそうだけど、具体的に何から始めればいいの?」という方のために、ここからは手続きの全体像を5つのステップに分けて解説します。

ステップ1・2:相続人全員の合意と遺産分割協議書の作成
すべての手続きの出発点は、相続人全員での話し合い(遺産分割協議)です。遺産をどのように分けるかは、相続人全員の合意がなければ決定できません。一人でも「実家は売りたくない」という方がいれば、換価分割を進めることはできないのです。
まずは、なぜ換価分割が最善と考えるのか、それぞれの想いを丁寧に話し合い、全員の納得を得ることが重要です。時には、疎遠な兄弟との遺産分割など、当事者だけでは話し合いが難しいケースもあります。
相続人全員の合意が得られたら、その内容を「遺産分割協議書」という法的に有効な書面にまとめます。この書類は、後の相続登記や税務申告で必要となる非常に重要なものです。
換価分割の場合、遺産分割協議書には後々のトラブル、特に税務上のリスクを避けるために、以下の2点を必ず明記する必要があります。
- 不動産を売却して、その代金を分割する「換価分割」を行う旨
- 売却代金の具体的な「分配割合」(例:長男Aが2分の1、次男Bが2分の1)
これらの記載がないと、税務署から「代表者がいったん不動産をすべて相続し、他の相続人にお金を贈与した」とみなされ、思わぬ贈与税が課されるリスクがあります。必ず専門家のアドバイスのもと、適切な内容で作成しましょう。
【記載例】相続人全員は、下記不動産を換価分割することに合意し、相続人〇〇〇〇(代表者名)がこれを取得する。不動産の売却代金から諸費用を控除した残額を、下記の割合で分配する。
・相続人 〇〇 〇〇:2分の1
・相続人 △△ △△:2分の1
ステップ3:不動産の名義変更(相続登記)は単独?共有?
遺産分割協議書が完成したら、次はその内容に基づいて法務局で不動産の名義変更(相続登記)の手続きを行います。亡くなった方の名義のままでは不動産を売却できないため、この相続登記は必須です。
登記の方法には、主に2つのパターンがあり、それぞれにメリット・デメリットがあります。
1. 相続人全員の共有名義にする(共同登記)
法定相続分や遺産分割協議で決めた持分割合で、全員の名義に登記する方法です。公平性は高いですが、売却手続き(売買契約など)の際に相続人全員の実印や印鑑証明書が必要となり、手続きが煩雑になるのが大きなデメリットです。
2. 代表者一人の名義にする(単独登記)
遺産分割協議で代表者を一人決め、その方の名義に登記する方法です。売却手続きは代表者一人が窓口となって進められるため、他の相続人の手間が大幅に省け、スムーズに手続きが進みます。実務上はこちらの方法が選択されることが多いです。
どちらの方法を選ぶかは、相続人の関係性や居住地などを考慮して判断しますが、遠方にお住まいの相続人がいる場合などは、手続きの負担が少ない単独登記が現実的な選択となるでしょう。なお、相続登記には登録免許税という税金がかかります。
ステップ4・5:不動産売却から確定申告までの流れ
相続登記が完了し、不動産の名義が相続人に移ったら、いよいよ不動産会社に仲介を依頼して売却活動を開始します。買主が見つかり、売買契約、決済・引き渡しが完了すると、売却代金が支払われます。
受け取った売却代金から、不動産会社の仲介手数料や登記費用などの諸経費を差し引いた金額を、遺産分割協議書で定めた分配割合に従って、各相続人に分配します。
そして最後に、不動産を売却して利益が出た相続人は、原則として、売却した翌年の2月16日から3月15日までの間に、各自で確定申告を行い、譲渡所得税を納税する必要があります。これで換価分割の一連の手続きは完了です。
相続における不動産売却のより詳細な流れは、こちらの記事で解説しています。相続不動産を売却する際の具体的な流れ
相続手続き全般については、遺産整理業務もご検討ください。
【専門家が解説】換価分割の税金・社会保険料の落とし穴
換価分割を検討する上で最も重要な「お金」の問題、特に税金と社会保険料について専門家の視点から深く掘り下げます。多くの方が見落としがちな税金や社会保険料の負担を事前に把握することが、納得できる選択につながります。

売却益にかかる「譲渡所得税」の計算方法と特例
不動産を売却して利益が出た場合、その利益(譲渡所得)に対して「譲渡所得税」が課税されます。計算式は以下の通りです。
譲渡所得 = 売却価格 ー (取得費 + 譲渡費用)
- 取得費:その不動産を被相続人(亡くなった方)が購入したときの代金や手数料など。
- 譲渡費用:売却にかかった仲介手数料や登記費用など。
相続した不動産の場合、特に注意が必要なのは「取得費」です。被相続人がいつ、いくらでその不動産を買ったかが分かる売買契約書などがあればその金額を使えますが、古い家などで取得費が不明な場合は、売却価格の5%を「概算取得費」として計算することになります。この場合、譲渡所得が大きくなり、税金の負担も増える傾向があります。
また、税率は不動産の所有期間(被相続人の所有期間を引き継ぎます)によって異なり、5年を超えて所有していた場合は税率が低くなります。
| 所有期間 | 区分 | 税率(所得税+住民税+復興特別所得税) |
|---|---|---|
| 5年以下 | 短期譲渡所得 | 39.63% |
| 5年超 | 長期譲渡所得 | 20.315% |
なお、一定の要件を満たせば、相続した空き家の売却について譲渡所得から最高3,000万円を控除できる特例があります。ただし、令和6年1月1日以後の譲渡で、この家屋・敷地を相続または遺贈により取得した相続人が3人以上いる場合は、各人の控除上限が2,000万円となります。
より詳しい情報については、国税庁のウェブサイトもご参照ください。
参照:No.3267 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例|国税庁
見落とし厳禁!国民健康保険料はいくら上がる?
税金と並んで、多くの方が見落としがちなのが「社会保険料」への影響です。会社員の方が加入する健康保険は給与を基に保険料が決まるため影響はありませんが、自営業者やフリーランス、年金生活者などが加入する公的医療保険は注意が必要です。
- 国民健康保険(自営業者など)
- 後期高齢者医療保険(75歳以上の方)
これらの保険料は、前年の所得(不動産売却による譲渡所得も含まれます)を基に計算されます。そのため、換価分割によって大きな利益が出た場合、翌年の保険料が年間上限額まで大幅に上がってしまうリスクがあるのです。また、後期高齢者医療制度では、所得の増加によって病院での窓口負担割合が1割から2割、または現役並み所得者に該当する場合は3割になる可能性もあります。国民健康保険や後期高齢者医療制度は、私たちの生活に密接に関わる制度だからこそ、こうした影響を事前に知っておくことが重要です。
【対策】税・社会保険料の負担を抑えるには代償分割も検討
もし、相続人の中に自営業の方やご高齢の方がいて、社会保険料の負担増が懸念される場合、対策はあるのでしょうか。その一つの解決策が、冒頭でご紹介した「代償分割」です。
代償分割で他の相続人から受け取る「代償金」は、適切に作成された遺産分割協議書に基づいている限り、通常は所得とはみなされません。そのため、社会保険料の算定基礎に含まれないのです。手続きを誤ると、予期せぬ贈与税の問題が発生することもありますが、正しく行えば有効な手段となります。
不動産を相続する方に十分な資金力が必要という条件はありますが、目先の公平性だけでなく、譲渡所得税や社会保険料という「隠れたコスト」まで含めて総合的に判断すると、代償分割が有利になるケースもあります。どの分割方法が最適か、専門家と相談しながら慎重に検討することが大切です。
また、相続財産の総額によっては相続税の申告が必要になることもありますので、注意が必要です。
【事例】相続人9名・遠方在住でも換価分割を成功させた方法
「私たちのケースはもっと複雑だから、うまく進められるか心配…」と感じている方もいらっしゃるかもしれません。ここで、当事務所で実際にサポートさせていただいた、少し複雑な事例をご紹介します。
ご相談は、亡くなったおじ様のマンションを相続人みんなで分けたい、というものでした。しかし、状況は簡単ではありませんでした。被相続人は生涯独身で、法定相続人はごきょうだい4人と、先に亡くなっていたきょうだいのお子さんである甥姪5人の、合計9名。さらに、その多くが遠方にお住まいでした。
一番の課題は、「どうすれば、遠方に住む相続人の負担を最小限にして、スムーズに手続きを進められるか?」という点でした。もし相続人全員の共有名義で登記してしまうと、売買契約や引き渡しの際に全員が立ち会わなければならず、現実的ではありません。
そこで私たちがご提案し、実行したのが「代表相続人を一人決め、その方の単独名義に相続登記をした上で、代表者が責任をもって売却手続きを進める」という換価分割の方法です。遺産分割協議書は郵送で皆様に署名・捺印いただき、手続きのためにわざわざ遠方からお越しいただくことなく、すべての手続きを完了させることができました。
いわゆる「おひとり様」の相続では、ご自宅が空き家となり、売却のニーズが高まる傾向にあります。今回のケースのように、相続人が多数であったり、海外在住の相続人がいる場合でも、適切な手順を踏めば、円満な解決が可能です。なお、本件では売却により譲渡所得が発生したため、提携の税理士事務所をご紹介し、相続人全員の確定申告も無事に完了いたしました。このように、法務と税務が連携することで、複雑な案件も安心して進めることができるのです。
換価分割の手続きは専門家への相談が安心です
ここまでご覧いただいたように、換価分割は相続不動産を公平に分けるための非常に有効な手段です。しかしその一方で、遺産分割協議から相続登記、不動産売却、そして税金の申告、さらには社会保険料への影響まで、非常に多岐にわたる専門知識が求められる複雑な手続きでもあります。
「自分たちの場合は、どの方法が一番いいんだろう?」
「手続きを間違えて、後から高額な税金を請求されたらどうしよう…」
もし少しでもご不安を感じたら、どうか一人で悩まずに、私たち相続の専門家にご相談ください。いがり円満相続相談室では、司法書士・行政書士・社会保険労務士の3つの資格を活かし、不動産の名義変更を中心に、税金については提携税理士と連携し、社会保険料の問題も含めて皆様をサポートいたします。
どの相続に強い司法書士に相談すべきか迷われている方も、まずはお気軽にお話をお聞かせください。私たちは、皆様のお心に寄り添い、円満な相続の実現に向けて全力でサポートすることをお約束します。

司法書士・行政書士・社会保険労務士いがり綜合事務所の司法書士 猪狩 佳亮(いがり よしあき)です。神奈川県川崎市で生まれ育ち、現在は遺言や相続のご相談を中心に、地域の皆さまの安心につながるお手伝いをしています。8年の会社員経験を経て司法書士となり、これまで年間100件を超える相続案件に対応。実務書の執筆や研修の講師としても活動しています。どんなご相談も丁寧に伺いますので、気軽にお声がけください。
相続人の中に未成年者がいる場合
未成年者は遺産分割協議に参加できるか?

上のイラストを見てください。
お父さんが若くして亡くなってしまい、遺されたのは妻と子ども、というケースです。この場合、法定相続人となるのは配偶者であるお母さん(故人の妻)と、ひとり息子の2人ですね。
さて、今回のケースでは遺言書がありませんでした。遺言書がない場合、相続人全員の遺産分割協議によって財産の分け方を決めます。そうすると、このケースでは、お母さん(妻)と息子が協議をして財産の分け方を決めることになりそうです。
ただ、相続人の息子は12才、すなわち未成年です。実は、法律では、未成年者は、単独で法律行為(遺産分割協議など)ができない ことになっています。民法という法律では、未成年者が法律行為をするには、原則として、法定代理人(一般的には、親権者である親)が代理して行うことになっています。
そうすると、「お母さんと息子が協議」と言っても、親権者であるお母さんが、息子の代理人として遺産分割協議をする(つまり、結果的に、お母さん1人だけで遺産分割協議をする)ことになりそうですが、それでいいのでしょうか?
実は、この場合、お母さんが子どもを代理することができません。 なぜかと言うと、この遺産分割協議について、お母さんが公平になれないからです(このことを、利益相反といいます)。

相続人が未成年の場合の遺産分割協議の方法
相続人の中に未成年者がいる場合、家庭裁判所で「特別代理人」を選任することになります。特別代理人とは、未成年者(ひとり息子)の代理人になる人です。
お母さんが公平になれないのだから、公平な立場でお母さんと協議ができる第三者を、家庭裁判所が代理人として選びます。 とはいっても、おじさんやおばさん、おじいちゃんやおばあちゃんなど、相続人でない、利害関係のない親戚であれば、この「特別代理人」になることが可能です。実務的にもそのようなケースが多いです。もちろん、我々のような専門家が特別代理人になることもあります。

家庭裁判所への申立てのポイント
特別代理人を選任してもらうには、家庭裁判所に申立書を提出します。
申立書には遺産分割協議書の文案(署名捺印していないもの)を添付し、その内容が不公平で無いことを裁判所に確認してもらいます。
そして、原則として、未成年者に法定相続分(上のケースでは、2分の1)以上の財産を相続する内容ないと、受理されません。これが柔軟な相続という観点からは、すこし厄介です。
申立から特別代理人の選任までは、通常2週間~1か月ほどかかります。裁判所から調査のアンケートが送られてきて回答しなければならないなど、結構面倒です。
遺言書があれば、家庭裁判所の手続きは不要
相続人に未成年者がいる場合でも、遺言書があれば、上記のような家庭裁判所での手続きは不要です。それは、遺言書がある場合は、遺言書の内容どおりに遺産を分けるからです。遺産分割協議をしないのですから、協議をするための特別代理人はいらないのです。時間もかからないし、裁判所との面倒なやり取りをする必要もありません。未成年者が相続人になることが見込まれる場合、遺言書を作成しておくことが有効な対策になります。
実務的に多いのは、相続対策として、未成年の孫と祖父・祖母が養子縁組するケースです。この場合、養子も法定相続人になります。相続対策が必要なケースですから、相続税の申告期限(10ヶ月)のことを考えると、少しでも早く手続きを進めたいはずです。遺言書作成が、スムーズかつスピーディな相続手続きを実現してくれることでしょう。

司法書士・行政書士・社会保険労務士いがり綜合事務所の司法書士 猪狩 佳亮(いがり よしあき)です。神奈川県川崎市で生まれ育ち、現在は遺言や相続のご相談を中心に、地域の皆さまの安心につながるお手伝いをしています。8年の会社員経験を経て司法書士となり、これまで年間100件を超える相続案件に対応。実務書の執筆や研修の講師としても活動しています。どんなご相談も丁寧に伺いますので、気軽にお声がけください。
当事務所から相続人である従姉弟(いとこ)へお手紙を送り、遺産分割協議を取りまとめた事例
ご相談内容
1 特別養護老人ホームに入所されていたおば様が亡くなったという姪のY様から、相続手続きで困っている、というご相談。
2 1番困っているのは、亡くなったおば様は6人きょうだいだったが全員が既に亡くなっていて、相続人はYさん含めた甥姪5人だと思うが、付き合いがないのでよく分からない、とのこと。
3 また、Y様のきょうだい2人以外の甥姪(Y様のいとこ)とは疎遠なので、あまり連絡を取りたくない。
4 銀行に行って相談してみたが戸籍謄本などが必要と言われ、途方に暮れている。
5 遺産は現金、預貯金のみで、不動産などは保有していない。
当事務所からのご提案
1 銀行の相続手続きには戸籍謄本が必要だが、甥姪のみが法定相続人となるケースでは、かなり複雑かつ大量の戸籍を取集しなければならない可能性が高いことをご説明した。
2 当事務所にご依頼いただければ、その戸籍収集をすべて代行することをお伝えした。
3 疎遠ないとこへは当事務所から手紙で連絡代行することが可能であるが、
①相続放棄を迫るなど交渉することはできないこと
②あくまで司法書士は中立的な立場で遺産分割協議を取り持つこと
など当事務所のサービス内容をご説明した。
4 遺産分割協議がまとまれば、遺産分割協議書の作成や銀行の相続手続きもすべて代行でき、Y様を含めた相続人の方には待っていていただければ相続手続きが完了することをご説明した。
解決までの流れ
1 当事務所の説明にご納得いただいた上で、戸籍収集、連絡の代行や遺産分割協議の調整役についてご依頼いただいた。
2 結果的に、25通の戸籍除籍謄本を取得し相続人を確定させた(当初お聞きしていた通り、法定相続人は甥姪の5人のみであった)。
3 当事務所からお手紙でY様のいとこに連絡を取ったところ、法定相続分どおりの遺産分割に応じると電話で当事務所に連絡が入った。おば様のお世話を近くでしていたY様としては納得できない部分もあるとのことだが、最終的にはご理解を示された。
4 そこで、当事務所にて遺産分割協議書を作成した。遠方の相続人もいらっしゃるので、当事務所から郵送にて遺産分割協議書をお送りし、相続人全員から署名捺印をいただいた。
5 銀行預金の相続手続きについてもご依頼をいただき、当事務所にて銀行をまわり、解約手続きを行った。
6 その後、あらかじめお聞きしていた各相続人の預金口座にご送金し、業務完了となった。
ポイント
この事例のように、特にきょうだいや甥姪が相続人となる場合、その関係性によっては連絡を取るのに躊躇してしまったり、話がまとまるか不安になるというお気持ちがあると思います。ご自身で連絡を取ってみても、当事者同士だとどうしても感情的になり、かえってトラブルになってしまうケースも少なくありません。
このような場合、当事務所の遺産承継業務サービス(相続フルサポートサービス)をご利用いただければ、面倒な戸籍収集から相続人間の調整、遺産分割協議書の作成、銀行の相続手続きまで、すべてお任せいただけます。お客様にお願いするのは、委任状などに署名捺印いただくことと、遺産の分け方についてご検討いただくことくらいです。

司法書士・行政書士・社会保険労務士いがり綜合事務所の司法書士 猪狩 佳亮(いがり よしあき)です。神奈川県川崎市で生まれ育ち、現在は遺言や相続のご相談を中心に、地域の皆さまの安心につながるお手伝いをしています。8年の会社員経験を経て司法書士となり、これまで年間100件を超える相続案件に対応。実務書の執筆や研修の講師としても活動しています。どんなご相談も丁寧に伺いますので、気軽にお声がけください。
相続放棄した後の注意点
相続放棄とは、被相続人(亡くなった方)が多額の借金をしているような場合に、その負債を引き継がないようにするための制度です。相続放棄をすると、もともと相続人でなかったものとみなされます。手続きについては詳しくは別の記事でご説明していますが、家庭裁判所に書類を提出する方法で行います。
その相続放棄について、ちょっと注意してほしいケースがありますので、ご説明したいと思います。
子ども全員が相続放棄したケース

上の事例を見てください。
相続放棄をした人は「最初から相続人でなかった(=いなかった)」ものとみなされる、というのが法律のルールです。 上の事例でいうと、「相続放棄をした子ども全員が、最初から相続人でなかった」、つまり「被相続人には子どもがいなかった」とみなされることになります。
問題はここからです。被相続人に子どもがおらず、かつ両親もすでに亡くなっている場合、第3順位である兄弟姉妹が法定相続人になります。 そうすると、被相続人の借金については、何もしないと兄弟姉妹の方が相続し、支払う義務を負うことになってしまうのです!
兄弟姉妹も、あわてずに相続放棄の手続きをすれば大丈夫
このような場合、兄弟姉妹の方も相続放棄してしまえば、同じように負債を相続することは無く、借金等の支払いはしなくてすみます。
そして、この兄弟姉妹の方については、「(先順位の)子ども全員が相続放棄をしたことを知ってから」3ヶ月以内であれば、何の問題もなく相続放棄ができます。亡くなってから3ヶ月ではありませんので、落ち着いて相続放棄の手続きをすれば大丈夫です。
このように、先順位者の相続放棄には要注意です。「自分は第3順位だから、相続放棄なんて関係ないよね~」と放置していると、場合によってはとんでもない結果になりかねませんので、ご注意ください。
相続放棄をしたら、知らせてあげるのがエチケット
被相続人の兄弟姉妹としては、被相続人の子ども(兄弟姉妹から見れば、おい・めい)が相続放棄をしたかどうかは、聞かなければ分からないですよね。子どもが相続放棄の手続きをした1年後の法要(一周忌)のときに、親戚である被相続人の兄弟姉妹に初めて相続放棄の話をした、なんてことになると、ちょっとドキッとしてしまうかもしれません。その後に相続放棄の手続きをするにしても、手続きが煩雑になる恐れもあります。
なので、相続放棄をした先順位の方(上の例では、子ども)は、後順位の方(上の例では、兄弟姉妹)に、相続放棄をしたことを知らせてあげると親切かもしれません。
当事務所では、相続放棄の手続きを依頼いただいた場合、後順位の相続人に対してお知らせするサービスをしていますので、よろしければご活用ください。

司法書士・行政書士・社会保険労務士いがり綜合事務所の司法書士 猪狩 佳亮(いがり よしあき)です。神奈川県川崎市で生まれ育ち、現在は遺言や相続のご相談を中心に、地域の皆さまの安心につながるお手伝いをしています。8年の会社員経験を経て司法書士となり、これまで年間100件を超える相続案件に対応。実務書の執筆や研修の講師としても活動しています。どんなご相談も丁寧に伺いますので、気軽にお声がけください。
外国に住む相続人がいる場合の相続手続きの方法①
転勤による海外勤務や、外国人との結婚、あるいは移住などによって、日本人の方が海外にお住いのケースがあります。最近、相続人の方が外国在住というご相談が立て続けにあり、日本と異なる制度に戸惑う方が多くいらっしゃいました。当事務所ではよく取り扱うケースなのですが、通常の相続手続きと少し異なる点があるため、まとめてご説明したいと思います。
ほとんどの国には「印鑑証明書」の制度はない
一般的な相続手続きでは、遺産分割協議書を作成し、相続人全員が「実印」を捺印します。また、不動産の相続登記や銀行・証券会社などさまざまな相続手続きにおいて、相続人の「印鑑証明書」を提出する必要があります。
ところが、一部の国を除いて、外国では基本的に「実印」という概念はないし、「印鑑証明書」という書類も存在しません。印鑑の文化というのは、日本特有のものとも言えます。
日本領事館などで署名証明書を取得する
印鑑証明書に代わるものとして、「署名証明書(サイン証明書)」という制度があります。日本人であれば、現地にある日本領事館、あるいは公証役場などに行って、「このサインは本人のものに間違いありません」という証明書を発行してもらうことができます。
外国はサイン文化ですから、言われてみればそうかな、という気がしますよね。
参考までに、アメリカのロサンゼルス日本領事館の例を以下にリンクを張っておきますが、お住まいの地域の日本領事館のホームページを見ると、同様の情報が得られると思います。 申請書の記入例や必要書類、手数料などについても書かれています。
署名(および拇印)証明(在ロサンゼルス日本国総領事館HPより)
署名証明書には2種類ある
ここからは、ちょっと混み入った話をします(詳しいことは、ご相談いただく際に説明しますので、よく分からなければ読み飛ばしてください)。
上記のLA日本領事館のホームページにも書いてありますが、サイン証明書には、いわゆる「貼付型」と「単独型」の2種類があります。
1 貼付型
遺産分割協議書など、署名証明が必要な書類を領事館等に持参します。
その書類に、領事館等の職員がいる目の前で署名拇印します。
すると、その書類(遺産分割協議書など)と署名証明書の2通をホッチキス留めし、領事館の公印で本人の署名であることの証明書として発行してもらえます。
2 単独型
日本の印鑑証明書に近いイメージです。印鑑の代わりに本人の署名がされ、その署名について「本人がサインに間違いない」旨の領事館の証明がなされます。
きわめて大雑把な言い方になりますが、印鑑証明書の印影の部分が、署名(サイン)になっている、と思ってください(実際の様式はちょっと違いますが)。
「単独型」を利用する場合、役所や銀行には署名証明書と遺産分割協議書の合計2通の書類を提出し、遺産分割協議書などの筆跡と、署名証明書の筆跡が同一人のものであるかどうかを審査することになります。
遺産分割協議書などに署名する際には、署名証明書の筆跡となるべく似せて署名する必要があるので、ちょっと注意が必要になります。 印鑑の場合と違って、人間がするサインというのは、毎回毎回おなじように書けるわけではありませんよね。体調や、丁寧に書くか雑に書くか、などの事情で、筆跡が多少変わってきます。もし同一人が書いたサインでも、あまりに筆跡が違うとなると、「この遺産分割協議書のサイン、他人がなりすまして書いたんじゃないの?」という疑義が生じることになりかねません。 なので、「単独型」の場合には、なるべくでいいので、筆跡をサイン証明書のものと似せて書いてください。
まとめ
相続人が外国に住んでいる場合の相続手続きについてご説明してきました。
・印鑑証明書の代わりに「署名証明書」を取得する
・署名証明書は、現地の領事館や公証役場で取得できる
・署名証明書には単独型と貼付型の2種類がある。単独型の場合は筆跡に注意
これまで署名証明書を取得されたお客様のお話を聞くと、領事館が遠方にしかなくて片道2時間かかったなど、取得するには一苦労のようです。日本のようにコンビニで印鑑証明書を取得できることを考えると、少し不便、また取得するのに時間がかかるかもしれません。
当事務所では、このようなケースも多く経験しておりますので、ご自身の状況にあてはまる方がいらっしゃいましたら、お気軽に当事務所の無料相談をご利用いただければと思います。

司法書士・行政書士・社会保険労務士いがり綜合事務所の司法書士 猪狩 佳亮(いがり よしあき)です。神奈川県川崎市で生まれ育ち、現在は遺言や相続のご相談を中心に、地域の皆さまの安心につながるお手伝いをしています。8年の会社員経験を経て司法書士となり、これまで年間100件を超える相続案件に対応。実務書の執筆や研修の講師としても活動しています。どんなご相談も丁寧に伺いますので、気軽にお声がけください。
法定相続人とは?図を使って分かりやすく解説②(代襲相続編)
被相続人に子どもがいたが、その子どもが先に亡くなっている場合は、法定相続人の決め方に注意が必要な場合があります。事例を交えながらご説明していきたいと思います。
【ケース1】被相続人の子が先に亡くなっている場合

このたびお父さんが亡くなったのですが、法定相続人となるはずだった長男が、実はお父さんより先に亡くなっている、という例です。亡くなった長男には、妻とひとり息子(被相続人の孫)がいました。
この場合、長男が相続すべきだった権利(相続人の地位)は、孫に引き継がれます。 このことを「代襲相続(だいしゅうそうぞく)」、相続人となる孫のことを「代襲相続人」といいます。
前回のコラムで「子どもがいない場合は第2順位の親が法定相続人」とご説明しましたが、この「子どもがいない場合」というのは、「生涯子どもがいなかった場合」のことを指しています。
「かつて子供はいたけど先立たれて、相続の時に子どもはいなかった」という上図のようなケースでは、(代襲相続する)孫がいれば、第2順位、第3順位には進みません。
ちなみに、上のケースでは、亡くなった長男の妻は相続人になりません(代襲相続しません)。ちょっとややこしいですね。
【ケース2】相続人となるべききょうだいが既に亡くなっている場合

代襲相続は、第3順位の相続の場合(兄弟姉妹が相続人になる場合)にも起こり得ます。
上の図を見てください。子どものいない夫婦の夫が亡くなりました。法定相続人は本来、第3順位の兄弟姉妹ですが、その兄弟姉妹が被相続人より先に亡くなっていました。
この場合、法定相続人となるべきだった兄弟姉妹の子、つまり被相続人のおい、めいが代襲相続人になります。
この【ケース2】のような事例は、【ケース1】(孫が代襲相続する例)よりも、現実には多いと思います。兄弟姉妹は年齢が近いので、先に亡くなっているケースも十分あり得るからです。
そして、おい、めいが相続人となる場合、結果として相続人の人数が増え、遺産分割協議をまとめるのがなかなか難しくなります。疎遠な場合や相続人が遠方にお住いの場合はなおさらです。
疎遠、ご遠方の相続人への連絡代行もお任せください
上の【ケース2】のような事例では、遺言書がないと相続人間での遺産分割協議になり、疎遠あるいは遠方の相続人と連絡を取るのも一苦労かもしれません。
当事務所では、このようなケースでも相続人への連絡を代行したり、遺産分割協議の中立な調整役を務めることが可能です。当事者同士だと相続の話を切り出すのが難しくても、司法書士のような第三者を間に入れるとスムーズに話が進む可能性は比較的高いといえます(当事務所で扱った事例、別のコラムで後日ご紹介したいと思います)。
普段あまりお付き合いのない親族へ、いきなり相続のことで連絡するのをためらわれている方は、お気軽に当事務所の無料相談でご相談いただければと思います。

司法書士・行政書士・社会保険労務士いがり綜合事務所の司法書士 猪狩 佳亮(いがり よしあき)です。神奈川県川崎市で生まれ育ち、現在は遺言や相続のご相談を中心に、地域の皆さまの安心につながるお手伝いをしています。8年の会社員経験を経て司法書士となり、これまで年間100件を超える相続案件に対応。実務書の執筆や研修の講師としても活動しています。どんなご相談も丁寧に伺いますので、気軽にお声がけください。
法定相続人とは?図を使って分かりやすく解説①
人が亡くなったとき、その遺産を相続できる人のことを「法定相続人」といいます。誰が法定相続人になるか?は、法律でルールが決まっています。
・私は相続人なのだろうか?
・相続手続きのために、誰のハンコをもらえばいいの?
そんなお悩みにお答えするため、法定相続人の決め方について解説していきます。
配偶者は、必ず相続人!
まず、配偶者は、どんな場合であっても必ず相続人になります。夫婦のきずなと言うのは深いもので、法律も夫婦関係は最重要視しています。
少し注意なのは、ここでいう配偶者とは、あくまで「亡くなった時点で」戸籍上の配偶者だった人のこと。離婚した元配偶者(元夫、元妻)や、籍を入れていない内縁の配偶者 などは対象外ですのでご注意ください。
また、結婚後の期間は関係ありません。極端な話、結婚して1週間後に夫が亡くなれば、妻は相続人になります(籍を入れてから遺言書を書かせ、その後・・・そんな怖いテレビドラマもありました。)
配偶者は必ず相続人になる。ぜひ知っておいてください。
第1順位の相続人は、子ども
第1順位の法定相続人は、子どもです。
たとえば、両親と長男、長女の4人家族のケースで、お父様が亡くなったとき、相続人になるのは
- 配偶者である妻
- 子どもである長男、長女
の、合計3人になります。

離婚した前妻の子がいる場合
前妻の子であっても、血がつながっている以上、相続人になります。前妻は相続人にならないのですが(お父さんがなくなった時点で配偶者ではないから)、要注意です。場合によっては、お父さんが亡くなってから判明する、いわゆる「隠し子」の事例も、実務では割とよく経験します。
生前に交流の無かった異母兄弟どうしで協議を進めることになる訳ですが、協議をまとめるのが難しい事例の1つです。

第2順位は、親
亡くなった方に(生涯)子どもがいなかった場合は、故人の親が相続人となります。 このケースは、子どもが病気や不慮の事故などで先立ってしまう悲しいケースや、親が100歳を超えるような長寿の方であるような場合です。実務上は、あまり多い事例ではありません。

第3順位は、兄弟姉妹
(生涯)子どもがおらず、既に親も亡くなっているという場合、兄弟姉妹が法定相続人になります。

きょうだい相続のケースは増加傾向。手続きが複雑になりがち
これは実務的にはよくあるケースであり、かつ相続手続きが複雑になりやすい典型例です。
上図のケースでは、故人の妻と、(妻から見れば)義理の兄弟姉妹とが遺産分割協議をすることになります。実際には、被相続人の兄弟姉妹が複数人いて、全員で話し合いをまとめるのが難しい相談例が、最近増えてきているように感じます。
遺言書がない場合、相続手続きを進めるには兄弟姉妹全員からハンコ(実印)をもらう必要があるのですが、1人でも連絡が取れなかったり反対されたりすると、家庭裁判所での調停など、相続手続きはかなり長期化・複雑化します。 子どものいらっしゃらないご夫婦の場合、遺言書など生前対策が特に重要となります。
まとめ
法定相続人の決め方についてご説明してきました。
・配偶者は、必ず相続人になる
・第1順位は子ども、子どもが(生涯)いなければ親、親もいなければ兄弟姉妹
・兄弟姉妹が相続人になるケースは、ハンコをもらう等の手続きが複雑になりがち
というのが基本的なルールです。
これ以外にも、たとえば親より子が先に亡くなっているが孫がいる場合など、複雑なケースにおける法定相続人の決め方に関するルール(代襲相続といいます)がありますので、そちらは次回以降にご説明したいと思います。

司法書士・行政書士・社会保険労務士いがり綜合事務所の司法書士 猪狩 佳亮(いがり よしあき)です。神奈川県川崎市で生まれ育ち、現在は遺言や相続のご相談を中心に、地域の皆さまの安心につながるお手伝いをしています。8年の会社員経験を経て司法書士となり、これまで年間100件を超える相続案件に対応。実務書の執筆や研修の講師としても活動しています。どんなご相談も丁寧に伺いますので、気軽にお声がけください。
ホームページリニューアルのお知らせ
いがり円満相続相談室のホームページをご覧いただきありがとうございます。
このたび、相続や生前対策に関する情報量を増やし、より快適にご覧いただけるよう、ホームページの大幅なリニューアルを行いました。
今後ともご愛顧のほどよろしくお願い致します。
代表司法書士 猪狩佳亮

司法書士・行政書士・社会保険労務士いがり綜合事務所の司法書士 猪狩 佳亮(いがり よしあき)です。神奈川県川崎市で生まれ育ち、現在は遺言や相続のご相談を中心に、地域の皆さまの安心につながるお手伝いをしています。8年の会社員経験を経て司法書士となり、これまで年間100件を超える相続案件に対応。実務書の執筆や研修の講師としても活動しています。どんなご相談も丁寧に伺いますので、気軽にお声がけください。
