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登記簿謄本の取得方法を解説|法務局・オンライン・郵送を比較
登記簿謄本(登記事項証明書)とは?基本をわかりやすく解説
ご家族が亡くなられて相続が始まると、「登記簿謄本(とうきぼとうほん)を取ってください」と言われることがあります。普段聞き慣れない言葉に、少し戸惑ってしまいますよね。でも、ご安心ください。これは、決して難しいものではありません。
登記簿謄本とは、一言でいえば「不動産のプロフィールが書かれた公的な証明書」のことです。その土地や建物が「どこにあって」「どれくらいの広さで」「誰が持っているのか」といった大切な情報が記録されています。
この書類があるおかげで、私たちは不動産を安心して売ったり買ったり、あるいは相続したりできるのです。
「登記簿謄本」と「登記事項証明書」は同じもの?
手続きを進めようとすると、「登記事項証明書(とうきじこうしょうめいしょ)」という言葉も目にするかもしれません。「どっちが正しいの?」と混乱されるかもしれませんが、現在では「登記簿謄本」と「登記事項証明書」はほぼ同じものと考えていただいて大丈夫です。
昔、法務局では不動産の情報を紙の帳簿(これを「登記簿」と呼びます)で管理していました。この登記簿をコピーしたものが「登記簿謄本」です。
しかし、現在ではその情報はすべてコンピューターで管理されています。そして、コンピューターのデータを印刷して証明書にしたものが「登記事項証明書」と呼ばれるようになりました。つまり、呼び方が変わっただけで、証明される内容は同じなのです。今でも昔ながらの「登記簿謄本」という呼び方が広く使われています。
この記事では、分かりやすさを優先し、「登記簿謄本(登記事項証明書)」と表記してお話しを進めていきますね。
どんな時に必要?相続登記から不動産売買まで
では、具体的にどのような場面で登記簿謄本(登記事項証明書)が必要になるのでしょうか。代表的なケースは以下の通りです。
- 相続登記(不動産の名義変更)をするとき:亡くなった方から相続人へ不動産の名義を変える手続きです。現在の所有者が誰か、対象の不動産がどれかを正確に確認するために必須となります。
- 不動産を売買するとき:売主が本当にその不動産の所有者なのか、他に権利を持つ人がいないかなどを買主が確認するために必要です。
- 住宅ローンを組むとき:金融機関が、融資の担保として不動産に抵当権を設定する際に、不動産の情報を正確に把握するために提出を求めます。
- 固定資産税の評価額を確認したいとき:不動産の詳細な情報が必要な場合に参考にします。
特に相続手続きにおいては、登記簿謄本(登記事項証明書)の取得が、不動産の名義変更に向けた第一歩となります。
登記簿謄本の取得方法3つを比較|あなたに合うのはどの方法?
登記簿謄本(登記事項証明書)を取得する方法は、大きく分けて3つあります。それぞれにメリット・デメリットがありますので、ご自身の状況に合わせて最適な方法を選びましょう。
まずは、それぞれの特徴を一覧表で比べてみましょう。

| 取得方法 | 費用(1通あたり) | 取得までの時間 | メリット | デメリット |
|---|---|---|---|---|
| ① 法務局の窓口 | 600円 | 当日交付(所要時間は混雑状況により変動) | ・その日のうちに受け取れる・不明点を職員に質問できる | ・法務局に行く手間がかかる・手数料が最も高い・平日の日中しか開いていない |
| ② オンライン | 郵送受取:520円窓口受取:490円(いずれも2025年4月1日以降) | 数日程度(目安。状況により前後) | ・手数料が最も安い・自宅のPCから申請可能(利用時間:平日8:30~21:00) | ・受け取りは郵送か窓口・初回は利用者登録が必要・電子納付の準備が必要 |
| ③ 郵送 | 600円 | 1週間〜10日程度 | ・法務局に行かずに済む | ・時間がかかる・申請書や返信用封筒の準備が必要 |
この比較表から、あなたに合った方法が見えてきたのではないでしょうか。
- とにかく急いでいる、直接質問したい方 → ① 法務局の窓口
- 少しでも費用を抑えたい、日中忙しい方 → ② オンライン
- 法務局に行くのは面倒だが、時間に余裕がある方 → ③ 郵送
このように、ご自身の優先順位に合わせて選ぶのがおすすめです。次の章では、それぞれの具体的な手順を詳しく見ていきましょう。
【パターン別】登記簿謄本の具体的な取得手順
ここでは、3つの取得方法について、それぞれの手順を分かりやすく解説していきます。ご自身が選んだ方法の項目を参考に、手続きを進めてみてください。
① 法務局の窓口で即日取得する方法

メリット:
その場で取得でき、不明点も職員に直接聞けるので初心者の方でも安心です。
デメリット:
平日の日中(午前8時30分~午後5時15分)に法務局へ行く必要があります。手数料も600円と最も高くなります。
【取得手順】
- 最寄りの法務局へ行く
登記簿謄本は、不動産の所在地を管轄する法務局のほか、全国の法務局・支局・出張所の窓口で取得できます。 - 申請書を記入する
法務局に備え付けの「登記事項証明書交付申請書」に必要事項を記入します。記入するのは、ご自身の氏名・住所と、取得したい不動産の情報(地番・家屋番号など)です。もし分からないことがあれば、窓口の職員の方が親切に教えてくれますので、気軽に質問してみましょう。 - 手数料分の収入印紙を購入・貼付する
手数料は1通あたり600円です。法務局内にある印紙販売窓口で収入印紙を購入し、申請書に貼り付けます。 - 窓口に提出し、受け取る
申請書を「証明書発行窓口」に提出します。混雑状況にもよりますが、通常10分~15分ほどで名前が呼ばれ、登記簿謄本(登記事項証明書)を受け取ることができます。
② オンラインで請求し郵送または窓口で受け取る方法
メリット:
手数料が最も安く(郵送500円、窓口受取480円)、パソコンがあれば自宅から24時間いつでも申請できます。
デメリット:
受け取りまでに数日かかります。初めて利用する際は、申請者情報の登録が必要です。また、手数料はインターネットバンキングなどによる電子納付となります。
【取得手順】
- 「登記・供託オンライン申請システム」にアクセス
法務省が運営する「登記ねっと」というシステムを利用します。初めての方は、まず「申請者情報登録」を行い、IDとパスワードを取得しましょう。 - ログインして請求情報を作成
システムにログインし、「証明書請求」のメニューから不動産の登記事項証明書を選択します。画面の案内に従って、不動産の情報(地番・家屋番号など)を入力していきます。 - 受け取り方法を選択し、手数料を電子納付する
証明書の受け取り方法を「郵送」または「指定の法務局での交付」から選びます。その後、インターネットバンキングやモバイルバンキング、Pay-easy(ペイジー)対応のATMを利用して手数料を納付します。 - 証明書を受け取る
郵送を選択した場合は、2~3日後に自宅のポストに届きます。窓口交付を選択した場合は、指定した法務局へ本人確認書類(運転免許証など)を持参して受け取りに行きます。
参考:登記・供託オンライン申請システム 登記ねっと 供託ねっと
③ 郵送で申請し、郵送で受け取る方法
メリット:
一度も法務局へ行かずに、すべての手続きを自宅で完結できます。
デメリット:
申請書を送ってから証明書が返送されてくるまで、1週間~10日ほど時間がかかります。申請書や返信用封筒を自分で用意する必要があります。
【取得手順】
- 申請書をダウンロード・記入する
法務局のウェブサイトから「登記事項証明書交付申請書」の様式をダウンロードして印刷します。窓口で記入する内容と同様に、ご自身の氏名・住所と不動産情報を記入します。 - 手数料分の収入印紙と返信用封筒を準備する
手数料600円分の収入印紙を郵便局などで購入し、申請書に貼り付けます。また、ご自身の住所・氏名を記入し、切手を貼った返信用封筒も準備します。 - 法務局へ郵送する
記入した申請書と返信用封筒を一つの封筒に入れ、不動産の所在地を管轄する法務局へ郵送します。管轄の法務局がどこか分からない場合は、インターネットで「(市区町村名) 不動産登記 管轄」と検索すると調べられます。 - 証明書を受け取る
申請書が法務局に到着してから数日後、返信用封筒で登記簿謄本(登記事項証明書)が郵送されてきます。
参考:登記申請書・登記事項証明書等の様式のダウンロード – 法務局
登記簿謄本を取得する前の重要チェックポイント
実際に手続きを始める前に、いくつか知っておいていただきたい大切なポイントがあります。特に初めての方がつまずきやすい点ですので、しっかり確認しておきましょう。
誰でも取得できる?プライバシーは大丈夫?
「自分に関係ない不動産の登記簿謄本も取れるの?」と疑問に思う方もいらっしゃるかもしれません。答えは「はい、誰でも取得できます」です。
登記簿謄本は、不動産の権利関係を誰でも確認できるようにすることで、安全で円滑な取引を実現するという目的のために公開されています。そのため、手数料を支払えば、所有者でなくても、日本全国どこの不動産のものでも取得が可能です。
氏名や住所が記載されていることに不安を感じるかもしれませんが、これは制度の根幹に関わる部分です。もちろん、不正な目的での情報利用は法律で規制されていますので、その点はご安心ください。
必須情報「地番」「家屋番号」の調べ方
申請の際に最も重要なのが、「地番(ちばん)」と「家屋番号(かおくばんごう)」です。これは、私たちが普段使っている「住所(住居表示)」とは異なる、法務局が不動産を管理するための番号です。
では、どうやって調べればよいのでしょうか。以下の書類で確認するのが最も確実です。
- 権利証(登記識別情報通知)
- 固定資産税の納税通知書・課税明細書(毎年春頃に市区町村から送られてきます)
これらの書類がお手元にあれば、そこに記載されている「地番」「家屋番号」を申請書に書き写せば大丈夫です。もし書類が見当たらない場合は、その不動産を管轄する法務局に電話で問い合わせることもできます。その際は、住所(住居表示)と所有者名などを伝えて確認しましょう。
登記情報提供サービスとの違いに注意
オンラインで不動産の情報を調べる際、もう一つよく似たサービスがあります。それが「登記情報提供サービス」です。
このサービスは、登記簿謄本とほぼ同じ内容をインターネット上で「閲覧」できるものですが、決定的な違いがあります。
- 登記情報提供サービス:閲覧用のデータ。法的な証明力はない。手数料は331円(全部事項情報・1件当たり。※提供情報の種類により異なる)と安い。
- 登記・供託オンライン申請システム:法的な証明力がある「登記事項証明書」を取得するためのシステム。
相続登記の申請や金融機関への提出など、公的な証明書が必要な場面では、必ず「登記・供託オンライン申請システム」を利用して「登記事項証明書」を取得してください。間違えないように注意しましょう。
参考:登記情報提供サービス
相続登記で登記簿謄本を使う際の3つの注意点【司法書士が解説】
相続手続きのために登記簿謄本を取得される方へ、私たち司法書士が実務で特に気をつけているポイントを3つお伝えします。これを知っておくだけで、後の手続きがスムーズに進みますよ。

注意点1:必ず「最新」の情報を取得する
ご自宅に、以前取得した古い登記簿謄本が保管されているかもしれません。しかし、相続登記を申請する際は、必ず手続きの直前に最新のものを取得し直してください。
なぜなら、ご自身が知らない間に、権利関係に変動(例えば、税金の滞納による差押えなど)が生じている可能性がゼロではないからです。最新の情報で不動産の状況を正確に把握することは、手戻りのないスムーズな相続登記の基本です。
注意点2:土地と建物は別々に取得が必要な場合がある
一戸建ての不動産の場合、登記は「土地」と「建物」で別々に管理されています。そのため、登記簿謄本も「土地」で1通、「建物」で1通、合計2通取得する必要があるのが一般的です。
申請の際は、土地の「地番」と建物の「家屋番号」の両方を調べて、それぞれ請求することを忘れないようにしましょう。なお、マンション(敷地権付き区分建物)の場合は、通常、建物の登記簿謄本に土地の情報も含まれているため、建物分だけで大丈夫です。
注意点3:登記上の住所が古いままの場合がある
これは非常によくあるケースなのですが、亡くなった方が生前に引っ越しをされていても、登記簿に記録されている住所を変更していないことがあります。
この場合、登記簿上の住所と、亡くなった時の最後の住所(住民票の除票などで証明します)が一致しません。そのままでは、法務局は「登記簿に載っている人と亡くなった人が同一人物だ」と判断できず、相続登記を受け付けてもらえません。
そのため、相続登記の前提として、亡くなった方の住所の変遷を証明する書類(戸籍の附票など)を添付したり、場合によっては「登記名義人住所変更登記」という別の手続きが追加で必要になったりします。これは手続きが少し複雑になるサインですので、専門家にご相談いただくことをお勧めします。
手続きが不安なら司法書士への依頼も検討しよう
ここまで登記簿謄本の取得方法について解説してきましたが、「自分でやるのはやっぱり少し不安…」「相続登記全体を考えると、何から手をつけていいか分からない」と感じられた方もいらっしゃるかもしれません。
登記簿謄本の取得自体はご自身でも可能ですが、その後の相続登記まで見据えると、手続きは格段に複雑になります。そんな時は、私たち相続の専門家である司法書士に頼るという選択肢もぜひご検討ください。
必要な書類を正確に取得し、内容を法的にチェック
私たち司法書士にご依頼いただければ、まず相続に必要な不動産を正確に調査し、漏れなく登記簿謄本を取得します。特に、ご自宅の他に私道(公衆用道路)の持分をお持ちだったり、複数の不動産があったりする場合、一般の方では見落としてしまうケースも少なくありません。
さらに、取得した登記簿謄本の内容を法的な観点から精査します。先ほどお話しした「登記上の住所が古い」といった問題点や、その他の権利関係の問題を早期に発見し、スムーズな手続きのための最適な手順をご提案することができます。

相続登記までワンストップで任せられる安心感
登記簿謄本の取得は、相続手続きのほんの始まりに過ぎません。この後には、亡くなった方の出生から死亡までの戸籍謄本一式の収集、相続人全員での遺産分割協議、そして遺産分割協議書の作成、法務局への相続登記申請と、多くの時間と手間がかかる手続きが続きます。
司法書士は、これら一連の煩雑な手続きをすべて代行する国家資格者です。当事務所にご依頼いただいた場合、必要書類のご案内や作成、法務局への申請などを責任をもって行いますが、お手続きを進めるにあたり、お客様には書類のご準備や内容の確認などでご協力をお願いすることがございます。面倒な手続きから解放され、大切なご家族との時間やご自身の生活に専念できること、それが専門家に依頼する最大のメリットです。
いがり綜合事務所では、代表司法書士である私が最初のご相談から手続き完了まで、責任をもって一貫して対応させていただきます。平日夜間や土日祝のご相談も承っておりますので、お仕事で忙しい方でも安心です。相続のことで少しでもご不安な点がございましたら、どうぞお気軽に当事務所の無料相談をご利用ください。あなたのお悩みに、親身に寄り添い、円満な相続の実現を全力でサポートいたします。

司法書士・行政書士・社会保険労務士いがり綜合事務所の司法書士 猪狩 佳亮(いがり よしあき)です。神奈川県川崎市で生まれ育ち、現在は遺言や相続のご相談を中心に、地域の皆さまの安心につながるお手伝いをしています。8年の会社員経験を経て司法書士となり、これまで年間100件を超える相続案件に対応。実務書の執筆や研修の講師としても活動しています。どんなご相談も丁寧に伺いますので、気軽にお声がけください。
遺言書の検認で何を聞かれる?家庭裁判所での質問と当日の流れ
遺言書の検認、家庭裁判所へ行くのが不安なあなたへ
「遺言書の検認のために、家庭裁判所へ行かなければならない…」
そう考えただけで、なんだか胸がドキドキしたり、漠然とした不安を感じたりしていませんか?テレビドラマで見るような厳粛な雰囲気を想像して、「何か難しいことを聞かれたらどうしよう」「失敗してしまったら…」と緊張してしまうお気持ち、本当によく分かります。
でも、ご安心ください。この記事を最後までお読みいただければ、検認当日の具体的な流れや、裁判官から実際にどのような質問をされるのかが手に取るように分かります。事前に心の準備ができるので、きっと落ち着いて検認の日に臨めるはずです。
この記事は、単なる手続きの解説書ではありません。あなたの不安な心にそっと寄り添い、「安心」をお届けするためのガイドです。さあ、一緒に一歩ずつ確認していきましょう。
まず確認:遺言書検認とは?目的と基本の流れ
本番のシミュレーションに入る前に、まずは「遺言書検認」そのものについて、少しだけおさらいしておきましょう。この手続きの目的や全体像を知っておくだけで、心の負担がぐっと軽くなりますよ。
検認は遺言書の「現状確認」|有効性を判断する場ではない

多くの方が誤解されがちなのですが、検認は遺言書の内容が有効か無効かを判断する手続きではありません。また、相続人同士が遺産分割について話し合う場でもありません。
検認の最大の目的は、その日時点での遺言書の形状、日付、署名、訂正箇所の状態などを裁判官と相続人が一緒に確認し、その内容を公的に記録・保存することにあります。これにより、後から誰かが遺言書を偽造したり、勝手に書き換えたりすることを防ぐのです。
ですから、「遺言書の内容について何か追及されるのでは…」といった心配は全く必要ありません。あくまで「現状の確認」と捉え、リラックスして臨んでくださいね。
申立てから検認済証明書取得までの3ステップ
遺言書の検認手続きは、大きく分けて以下の3つのステップで進みます。
- 申立ての準備と提出
家庭裁判所に提出する申立書や、亡くなった方・相続人全員の戸籍謄本など、必要な書類を収集・作成します。 - 検認期日当日
家庭裁判所に出向き、裁判官や他の相続人と一緒に遺言書の現物を確認します。(この記事で詳しく解説するメインパートです) - 検認後の手続き
検認が終わった遺言書に「検認済証明書」を付けてもらい、それを使って預貯金の解約や不動産の名義変更など、本格的な相続手続きを開始します。
より詳しい申立て方法については、遺言書の検認の記事でも解説していますので、併せてご覧ください。
参考:遺言書の検認
【本番シミュレーション】検認期日当日の流れと所要時間

それでは、いよいよ検認期日当日の流れを、時間軸に沿って具体的に見ていきましょう。所要時間は裁判所や当日の進行状況、出席者の人数などによって異なります。詳しくは裁判所から届く検認期日通知書や、担当部署の案内をご確認ください。
①受付と待機(持ち物の最終確認)
家庭裁判所に到着したら、まずは受付へ向かいます。申立て後に裁判所から送られてきた「検認期日通知書(呼び出し状)」に、受付場所や部屋番号が記載されていますので、それに従って進みましょう。
受付で事件番号と氏名を伝えると、待合室へ案内されます。自分の番が来るまで少し時間がありますので、この間に持ち物を最終確認しておくと安心です。
【当日の持ち物リスト】
- 検認期日通知書(呼び出し状)
- 遺言書(原本)
- 申立人の印鑑(申立書に押印したもの)
- 申立人の本人確認書類(運転免許証やマイナンバーカードなど)
- 収入印紙150円分(検認済証明書の発行用)
- (必要に応じて)筆記用具やメモ帳
②検認の実施(入室から退室まで約15分)
時間になると、家庭裁判所の書記官が名前を呼びに来てくれます。いよいよ検認が行われる部屋(審判廷や面談室などと呼ばれます)に入室します。
部屋の中には、裁判官と書記官がおり、申立人と出席した相続人が向かい合う形で着席します。テレビで見るような法廷とは違い、小さな会議室のような部屋で行われることがほとんどです。
手続きは、以下のように粛々と進められます。
- 出席者の確認:裁判官が、出席している相続人の本人確認を行います。
- 遺言書の提出:申立人が持参した遺言書を裁判官に提出します。
- 遺言書の開封:封筒に入っている場合は、裁判官がその場で開封します。
- 内容の確認:裁判官が遺言書を読み上げ、出席者全員でその状態(筆跡、署名、日付、訂正箇所など)を確認します。
- 手続きの終了:確認が終われば、検認手続きは終了です。
全体を通して、とても事務的に進みます。時間にして10分~15分程度であっさりと終わることがほとんどです。
③検認済証明書の申請手続き
検認後、遺言の内容を実現(執行)するためには、遺言書に「検認済証明書」を付けてもらう必要があります。
検認が終わると、書記官から申請について案内があります。事前に用意しておいた収入印紙150円分を申請書に貼り、提出すれば手続きは完了です。いつ受け取れるかは裁判所の運用により異なりますので、書記官の案内に従ってください。
これで、検認期日当日のすべての手続きが完了です。お疲れ様でした。
【司法書士が解説】家庭裁判所で実際に聞かれる質問と回答のポイント
「手続きの流れは分かったけど、やっぱり何を質問されるかが一番心配…」
そうですよね。ここからは、この記事の核心部分として、私たち司法書士が実務で経験する、裁判官から実際に聞かれやすい質問とその意図、回答のポイントを詳しく解説します。事前に知っておけば、何も怖くありません。
質問①「遺言書はどこで、どのように保管していましたか?」

これは、ほぼ間違いなく聞かれる質問です。裁判官は、遺言書が亡くなった方の意思に基づいて作成され、誰にも改ざんされていない状態で発見されたかを確認したいと考えています。
- 質問の意図:遺言書の発見経緯と保管状況の真正性を確認するため。
- 回答のポイント:「いつ、どこで、誰が、どのような状態で発見したか」を、事実に基づいて正直に、具体的に答えることが大切です。
【回答例】
「父の死後、実家の書斎にある鍵付きの引き出しを整理していたところ、長男である私(申立人)が、この封筒に入った状態の遺言書を発見しました。」
質問②「この筆跡は、故人(被相続人)のものに間違いありませんか?」
次に、遺言書が本当に亡くなったご本人の筆跡かどうかを確認するための質問です。
- 質問の意図:遺言が本人の意思で作成されたものであることの確認。
- 回答のポイント:ご自身の知っている範囲で答えれば大丈夫です。「はい、父の字に間違いありません。生前にもらった年賀状や手紙の筆跡と同じです」のように、なぜそう思うのか根拠を添えるとよりスムーズです。もし確信が持てない場合は、「おそらく父の字だと思いますが、断定はできません」と正直に答えても問題ありません。
質問③(申立人以外へ)「遺言書の存在はいつ知りましたか?」
申立人以外の相続人が出席している場合に、聞かれることがある質問です。
- 質問の意図:他の相続人が遺言書の存在をいつ、どのように認識したかを確認するため。
- 回答のポイント:これも事実をありのままに答えれば問題ありません。「申立人である兄から、遺品整理中に遺言書が見つかったと電話で連絡を受け、その時に初めて知りました」といった形で、正直に話しましょう。
いかがでしょうか。どの質問も、何かを試したり、問い詰めたりするようなものではなく、あくまで事実関係を確認するためのものだということがお分かりいただけたかと思います。
【事例】「何を聞かれるの?」検認手続きに不安を抱えたご相談者様
先日、当事務所にご相談に来られたBさんも、あなたと同じように検認手続きに大きな不安を抱えていらっしゃいました。
生涯独身だったAさんが亡くなり、相続人は近くに住むBさんと、遠方に住むCさん、Dさん、Eさんの4人兄弟。私たちは、Bさんからのご依頼で、生前にAさんが書かれ、貸金庫で大切に保管されていた自筆証-書遺言書の検認手続きをお手伝いすることになりました。
申立書の作成や戸籍謄本の収集は当事務所ですべて行い、無事に申立ては完了。後日、家庭裁判所から検認期日の呼び出し状が届いたBさんから、不安そうな声でこんなお電話がありました。
「先生、当日、裁判所で一体何を聞かれるのでしょうか…?なんだか怖くて…」
私たちはBさんの不安な気持ちを受け止め、こうお伝えしました。
「大丈夫ですよ。聞かれるのは、『誰が、どのようにこの遺言書を保管していましたか?』とか、『この字はAさん本人のものですか?』といった簡単な事実確認が中心です。時間は15分くらいですぐに終わりますし、テレビで見るような怖い場所ではありませんから、安心してくださいね。他のご兄弟にも裁判所から通知は行きますが、出席する義務はないので、来られないかもしれません。」
この事前のアドバイスで、Bさんの表情は少し和らいだように見えました。
そして検認期日当日。結果として、出席されたのはBさんお一人でした。手続きを終えたBさんからは、「先生の言う通り、思ったより全然大丈夫でした!あっという間に終わって拍子抜けです」と、安心した声でご報告をいただきました。その後、私たちはその検認済みの遺言書を使って、無事にすべての相続手続きを完了させることができました。
このように、事前に流れやポイントを知っておくだけで、不安は大きく和らぎます。一人で抱え込まず、私たち専門家を頼っていただければと思います。
遺言書検認に関するよくあるご質問
最後に、遺言書の検認に関して多くの方が疑問に思われる点をQ&A形式でまとめました。
Q. 申立人以外の相続人も出席すべきですか?欠席したら不利になりますか?
A. 申立人以外の相続人には、検認期日への出席義務はありません。したがって、欠席したからといって、相続分が減るなどの法的な不利益を被ることは一切ありません。欠席した場合の取り扱いについては、家庭裁判所の運用によって異なりますので、詳しくは裁判所から届く通知書などでご確認ください。
ただし、検認は故人が遺した遺言書の現物を直接その目で確認できる貴重な機会です。もし内容に疑問がある場合や、他の相続人と顔を合わせる良い機会だと考える場合は、出席を検討してもよいでしょう。
Q. 検認が終わったら、次は何をすればいいですか?

A. 検認済証明書を受け取ったら、いよいよその遺言書を使って本格的な相続手続きを開始します。具体的には、以下のような手続きが必要です。
- 預貯金の解約・名義変更
- 不動産の名義変更(不動産の名義変更(相続登記))
- 株式など有価証券の名義変更
- 自動車の名義変更
これらの手続きは、金融機関や法務局ごとに必要書類が異なり、非常に煩雑です。もし手続きにご不安があれば、私たち専門家がまとめて代行することも可能ですので、お気軽にご相談ください。
Q. 遺言書を間違って開封してしまったら、もう無効ですか?
A. 封印のある遺言書を、検認前に勝手に開封してしまっても、それだけで遺言書が無効になるわけではありません。
ただし、法律上、家庭裁判所以外で開封した場合は5万円以下の過料(行政上のペナルティ)に処せられる可能性があります。また、何より他の相続人から「内容を都合よく書き換えたのではないか?」とあらぬ疑いをかけられ、トラブルの原因になりかねません。
封印された遺言書を発見した場合は、絶対に開封せず、そのままの状態で家庭裁判所に提出するか、速やかに専門家へ相談するようにしましょう。
検認手続きの不安は専門家への相談で解消できます
ここまで、遺言書検認当日の流れや質問内容について詳しく解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。少しでもあなたの不安は和らぎましたか?
「頭では理解できたけど、やっぱり一人で裁判所へ行くのは心細い…」
「戸籍謄本を集めたり、申立書を作ったりする時間がない」
もしそう感じていらっしゃるなら、どうか一人で抱え込まないでください。私たち、いがり綜合事務所は、相続を専門とする司法書士事務所です。単に書類を作成して提出するだけでなく、あなたの不安な気持ちに寄り添い、手続きが終わるまでしっかりとサポートさせていただきます。
検認申立ての代行はもちろん、ご希望があれば当日の裁判所への同行も可能です。あなたが安心して故人の大切な想いを次へと繋げられるよう、私たちが全力でお手伝いします。
初回のご相談は無料にて承っております(ご予約制)。まずはお気軽にお気持ちをお聞かせください。

司法書士・行政書士・社会保険労務士いがり綜合事務所の司法書士 猪狩 佳亮(いがり よしあき)です。神奈川県川崎市で生まれ育ち、現在は遺言や相続のご相談を中心に、地域の皆さまの安心につながるお手伝いをしています。8年の会社員経験を経て司法書士となり、これまで年間100件を超える相続案件に対応。実務書の執筆や研修の講師としても活動しています。どんなご相談も丁寧に伺いますので、気軽にお声がけください。
遺産承継業務の費用相場|司法書士の見積もり事例で解説
相続手続き、丸ごと代行します。「遺産承継業務」とは?
ご家族が亡くなられた後、悲しむ間もなく、実に多くの手続きが待ち受けています。戸籍謄本を何通も集め、銀行や証券会社を一つひとつ回り、不動産の名義を変え…。平日しか開いていない窓口も多く、お仕事をされている方や、ご高齢の方にとっては、本当に大きな負担です。
「誰か、この大変な手続きを全部まとめてやってくれないだろうか…」
そんなお悩みにお応えするのが、私たち司法書士が提供する「遺産承継業務(遺産整理業務)」です。
遺産承継業務とは、相続人のご依頼に基づき、戸籍収集・財産調査・金融機関手続・相続登記など相続手続きを支援し、必要に応じて他士業(行政書士・社労士・税理士等)と連携して進めるサービスです。具体的には、以下のようなことをお手伝いします。
- 相続人の調査(戸籍謄本の収集)
- 相続財産の調査
- 遺産分割協議書の作成
- 預貯金・有価証券の解約、名義変更
- 不動産の名義変更(相続登記)
- 生命保険金の請求手続のサポート(必要書類の案内・作成支援等。実際の請求主体・代理可否は保険会社の取扱いによります)
- 自動車の名義変更(当事務所は行政書士資格も有するためワンストップで対応可能です)
「司法書士は不動産の名義変更(相続登記)だけ」というイメージをお持ちの方もいらっしゃるかもしれませんが、実は相続登記をはじめ、相続手続で必要となる書類収集・作成や金融機関手続等を支援でき、必要に応じて税理士・社労士・行政書士等と連携して進めます。戸籍の収集から金融機関とのやり取りまで、法律知識を活かして正確かつスムーズに進めることができます。より詳しいサービス内容については「相続手続きの内容(遺産整理業務)」のページでも解説していますので、よろしければご覧ください。
このサービスをご利用いただくことで、あなたは煩雑な手続きから解放され、故人を偲ぶ大切な時間を取り戻すことができるのです。
遺産承継業務の費用、本当に高い?料金体系のカラクリ
「でも、専門家に全部任せると、費用がすごく高いんじゃないの?」
おそらく、これが一番のご心配事だと思います。インターネットで調べると「遺産総額の〇%」といった料金体系をよく見かけ、一体いくらかかるのか分からず、不安に感じていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。
実は、その「分かりにくさ」こそが、費用が高額になりがちな原因の一つなのです。
多くの専門家が採用する「財産額連動型」の報酬体系とは
多くの司法書士事務所や、特に信託銀行などが採用しているのが「財産額連動型」と呼ばれる料金体系です。これは、相続財産の総額に応じて報酬が決まる仕組みです。
【財産額連動型の計算例】
遺産総額5,000万円まで:報酬率 2.2%
遺産総額1億円まで:報酬率 1.65% + 27.5万円
例えば、遺産総額が4,000万円だった場合、報酬は 4,000万円 × 2.2% = 88万円 となります。
この方式には、財産額が分かれば報酬額もある程度予測できるというメリットはあります。しかし、大きなデメリットとして、手続きの手間と報酬額が必ずしも比例しないケースがあるのです。
例えば、相続財産が「自宅不動産(評価額3,500万円)と預金500万円」のAさんと、「預金4,000万円のみ」のBさん。遺産総額は同じ4,000万円ですが、不動産の名義変更があるAさんの方が手続きは煩雑です。しかし、この料金体系だと報酬は同じ88万円になってしまう可能性があります。これは、依頼者にとって必ずしも公平とは言えないかもしれません。
なぜ銀行の費用は高額になりがちなのか?

特に信託銀行の遺産整理業務は、司法書士事務所と比較して費用が高額になる傾向があります。
その理由の一つは、最低報酬額が高額に設定されていることです。例えば、遺産整理業務の報酬について、相続税評価額に料率を乗じ、最低報酬が110万円(税込)と定められている銀行商品もあります(各銀行の商品概要説明書・報酬表により異なります)。
さらに、注意が必要なのは、銀行の遺産整理業務では、相続登記の登録免許税や司法書士報酬が手数料に含まれず別途負担となる商品もあるということです。銀行は登記手続きができないため、提携先の司法書士に別途依頼することになり、結果として追加の費用が発生します。
銀行は大きな組織を維持するための人件費や広告宣伝費といったコストがかかるため、それがサービス料金に反映されやすいという構造的な違いもあるのです。
【費用で後悔しない】当事務所の「定額積み上げ方式」の料金
そこで、いがり綜合事務所では、そうした分かりにくい料金体系への不安を解消するため、財産額で報酬を決めません。
私たちは、実際にかかる手間や作業量に応じて費用を計算する「定額積み上げ方式」を採用しています。これは、一つひとつの手続きに必要な費用を明確に定め、ご依頼いただいた業務の分だけを合算して総額を算出する、非常に透明性の高い料金体系です。
詳しい料金は「料金一覧」ページにすべて掲載しておりますが、この方式なら、ご自身の状況に合わせて「何にいくらかかるのか」が一目瞭然です。
基本の考え方:必要な手続きだけの費用を合算
当事務所の料金は、以下のように個別の業務ごとに明確に設定されています。
| 業務内容 | 報酬額 |
|---|---|
| 戸籍謄本等収集(相続人4名まで) | 33,000円 |
| 遺産分割協議書作成 | 55,000円 |
| 預貯金・有価証券の名義変更・解約 | 1金融機関あたり 66,000円 |
| 不動産の名義変更(相続登記) | 49,500円~ |
例えば、相続人が3人で、不動産が1つ、預金口座が2つの銀行にある場合、これらの費用を積み上げて計算します。そのため、ご自身のケースに不要な手続きの費用をお支払いいただく必要は一切ありません。これが、私たちが考える最も公平で、お客様に納得していただける料金の形です。
ご安心ください。費用は相続財産からお支払いいただけます
「専門家に頼みたいけれど、まとまったお金をすぐに用意できない…」という方もご安心ください。
遺産承継業務にかかる司法書士報酬や、戸籍謄本取得などの実費は、報酬・実費のお支払いは、相続財産からの精算(預貯金解約後の清算等)により対応できる場合があります。可否・時期・方法は、ご状況と金融機関の取扱いにより異なるため事前にご説明します。
原則として相続財産からの精算により、お手元資金のご負担を抑えられる場合があります(ただし、事案により実費の事前預り等をお願いすることがあります)ので、費用の心配をせず、まずはお気軽にご相談いただければと思います。
【具体例で納得】ケース別・遺産承継業務の見積もり事例
「理屈は分かったけど、結局うちの場合はいくらになるの?」という疑問にお答えするため、ここからは具体的な見積もり事例を3つご紹介します。当事務所の「定額積み上げ方式」で計算すると、総額がいくらになるのか、ぜひご自身の状況と見比べてみてください。
事例①:預貯金と不動産が中心のシンプルな相続
最もご相談が多い、典型的なケースです。
- 相続人:配偶者と子2人(計3名)
- 財産:自宅不動産(評価額2,000万円)、預貯金3行(合計1,500万円)
- 遺産総額:3,500万円
【当事務所のお見積もり(定額積み上げ方式)】
| 戸籍謄本等収集 | 33,000円 |
| 遺産分割協議書作成 | 55,000円 |
| 不動産の名義変更(相続登記) | 49,500円 |
| 預貯金解約(3行 × 66,000円) | 198,000円 |
| 司法書士報酬 合計 | 335,000円(税込) |
事例②:相続人が多く、金融機関の数も多いケース
相続人が兄弟姉妹になると、集める戸籍の範囲が広がり、手続きが少し複雑になります。
- 相続人:亡くなった方の兄弟姉妹5名
- 財産:預貯金5行(合計2,700万円)、証券会社1社(300万円)
- 遺産総額:3,000万円
【当事務所のお見積もり(定額積み上げ方式)】
| 戸籍謄本等収集(相続人5名) | 38,500円 |
| 遺産分割協議書作成 | 55,000円 |
| 預貯金解約(5社 × 66,000円) | 330,000円 |
| 証券口座解約 | 88,000円 |
| 司法書士報酬 合計 | 511,500円(税込) |
事例③:年金手続きも含むフルサポートのケース
先日、奥様から「夫が亡くなったのですが、気持ちも落ち着かないし、手続きが山ほどあると聞いて不安で…」と、憔悴しきったご様子でお電話をいただきました。お話を伺うと、ご自身もご高齢で、複雑な手続きを一人で進めるのは難しいとのこと。そこで、当事務所の遺産承継業務で、生活に関わる手続きまで含めて丸ごとサポートさせていただきました。
- ご依頼者:高齢の奥様
- 相続人:奥様と、遠方に住むお子様1人
- 財産:ご自宅不動産、預貯金2行、未支給年金
このケースでは、通常の相続手続きに加え、代表が社会保険労務士の資格も持っている強みを活かし、年金事務所での手続きも代行しました。
【当事務所のお見積もり(フルサポートプラン)】
| 遺産承継業務(戸籍、協議書、不動産、預金2行) | 308,000円 |
| 【社労士業務】未支給年金・遺族年金請求 | 55,000円 |
| 【行政書士業務】葬祭費・埋葬料請求 | 22,000円 |
| 司法書士・社労士・行政書士 報酬合計 | 385,000円(税込) |
手続き完了後、奥様から「何から手をつけていいか分からず、夜も眠れないほどでしたが、猪狩先生に全部お願いできて、本当に肩の荷が下りました。年金のことまで一度に相談できたのも、本当に助かりました」と、安堵の表情でお言葉をいただけた時は、私も心から嬉しく思いました。
このように、当事務所では司法書士・行政書士・社会保険労務士の3つの資格を活かし、相続に関する手続きを真にワンストップでサポートできるのが大きな強みです。窓口を一本化できるため、連絡・書類提出の負担を軽減できる場合があります。費用はご依頼内容により異なるため、事前にお見積もりをご提示します。
費用の不安を解消し、円満な相続を実現するために
大切なご家族を亡くされた後の相続手続きは、ただでさえ精神的に大きなご負担がかかります。それに加えて「費用がいくらかかるか分からない」という不安は、専門家への相談をためらわせる大きな壁になっていることでしょう。
しかし、その不安を抱えたまま手続きを先延ばしにしたり、無理にご自身で進めようとしたりすると、かえって時間や手間がかかり、ご家族間のトラブルに繋がってしまうことも少なくありません。
後悔のない円満な相続を実現するための第一歩は、費用の内訳を正直に、分かりやすく説明してくれる専門家を選ぶことです。
当事務所は、費用に対する皆様の不安な心に「安心」を届けることをお約束します。私たちの「定額積み上げ方式」なら、あなたのケースで本当に必要な手続きだけの、無駄のない費用をご提示できます。
「私の場合は、総額でいくらくらいになるんだろう?」
少しでもそう思われたなら、どうぞお気軽にご連絡ください。初回の面談は無料です。お話をお伺いし、詳細なお見積もりをお出しします。その内容にご納得いただいてから、正式なご依頼となりますので、安心してご相談いただければ幸いです。

司法書士・行政書士・社会保険労務士いがり綜合事務所の司法書士 猪狩 佳亮(いがり よしあき)です。神奈川県川崎市で生まれ育ち、現在は遺言や相続のご相談を中心に、地域の皆さまの安心につながるお手伝いをしています。8年の会社員経験を経て司法書士となり、これまで年間100件を超える相続案件に対応。実務書の執筆や研修の講師としても活動しています。どんなご相談も丁寧に伺いますので、気軽にお声がけください。
共有者が行方不明でも不動産売却は可能!新制度を専門家が解説
共有者が行方不明…不動産を売却できずお困りではありませんか?
「親から相続した実家を兄弟で共有名義にしたものの、弟と何年も連絡が取れず、行方も分からない…」「空き家になった実家を売却して、固定資産税の負担から解放されたいのに、共有者の一人が行方不明で手続きが進まない」
このようなお悩みで、当事務所にご相談に来られる方は少なくありません。不動産を売却するには、原則として共有者全員の同意が必要です。そのため、共有者の一人でも行方が分からなくなると、不動産の売却(全体の処分)や一定の賃貸等の判断が進めにくくなり、『塩漬け』状態に陥ることがあります。
しかし、ご安心ください。このような八方ふさがりの状況を打開するため、令和3年改正で創設された制度が、2023年4月1日から施行されました。
この記事では、相続を専門とする司法書士の立場から、行方不明の共有者がいる不動産を売却するための新しい制度「所在等不明共有者の持分の譲渡」について、制度ができた背景から、具体的な手続きの流れ、費用や期間の目安まで、分かりやすく解説します。最後までお読みいただければ、長年の悩みを解決するための具体的な道筋が見えてくるはずです。
なぜ新制度が?従来の行方不明共有者問題と解決策の限界
今回の民法改正で新制度が作られた背景には、従来の法律では行方不明の共有者がいる不動産の取り扱いが非常に難しく、時間も費用もかかりすぎてしまうという深刻な問題がありました。
原則:不動産全体の売却には共有者全員の同意が必要
まず、大原則としてご理解いただきたいのは、共有名義の不動産全体を売却する行為は、法律上「処分行為」にあたるということです。そして民法では、この処分行為を行うには、持分の割合にかかわらず、共有者全員の同意がなければならないと定められています(民法第251条)。
たとえご自身の持分が99%であったとしても、残りの1%の持分を持つ共有者の同意がなければ、不動産全体を売却することはできません。この厳格なルールがあるからこそ、共有者の一人が行方不明になるだけで、すべての手続きが完全にストップしてしまうのです。
限界があった従来の解決策①:不在者財産管理人制度
これまで、行方不明の共有者がいる場合に不動産を売却するための方法として「不在者財産管理人制度」がありました。これは、行方不明者の代わりに財産を管理する「不在者財産管理人」を家庭裁判所に選任してもらう制度です。
選任された管理人(多くは弁護士などの専門家)が、家庭裁判所の許可を得て、行方不明者に代わって売却に同意することで、手続きを進めることができます。
しかし、この制度には大きなデメリットがありました。
- 高額な費用:管理人の報酬として、数十万円から100万円以上になることもある「予納金」を裁判所に納める必要があります。
- 長い時間:管理人の選任申立てから、売却の許可を得るまで、スムーズに進んでも半年から1年以上かかるケースも珍しくありませんでした。
このように、費用と時間の負担が非常に大きく、利用のハードルが高いのが実情でした。
限界があった従来の解決策②:共有物分割請求訴訟
もう一つの従来の方法が「共有物分割請求訴訟」です。これは、裁判を通じて共有状態そのものを解消する手続きです。
しかし、この方法も行方不明者がいる場合には課題がありました。訴訟の相手方である行方不明者に訴状を送達できないため、「公示送達」という特別な手続きが必要となり、時間と手間がかかります。また、裁判所が必ずしも「不動産全体を売却して代金を分ける(換価分割)」という判決を下すとは限らず、希望通りの結果にならない不確実性もデメリットでした。
【改正民法の新制度】所在等不明共有者の持分譲渡とは?
従来の制度が抱えていた「時間・費用・手続きの煩雑さ」といった課題を解決するために創設されたのが、「所在等不明共有者の持分の譲渡」制度(民法262条の3)です。
一言でいえば、「『裁判所の裁判(権限付与)を得て、一定の要件のもとで、所在等不明共有者の持分を特定の第三者に譲渡できる制度』」です。この制度の登場により、これまで「塩漬け」になっていた多くの共有不動産に、売却という出口が見えるようになりました。
制度の概要:行方不明者の持分ごと第三者に売却できる
この制度の仕組みは、以下のようになります。
- まず、行方不明者以外の共有者全員で、不動産の買主(特定の第三者)を見つけ、売買条件について合意します。
- その上で、共有者の一人が代表して、地方裁判所に「所在等不明共有者の持分を、合意した買主に譲渡する権限を与えてください」という申立てを行います。
- 裁判所が審査し、問題がなければ「譲渡権限付与」の決定を出します。
- この決定に基づき、申立人は行方不明者の代理人として売買契約を結び、不動産全体を買主へ売却することができます。
ポイントは、不在者財産管理人を選任することなく、直接的に売却手続きを進められる点にあり、これにより手続きの大幅な簡略化と迅速化が期待できます。
利用するための3つの要件
この便利な制度を利用するには、法律で定められた以下の3つの要件をすべて満たす必要があります。
- 共有者が「所在等不明」であること
住民票や戸籍の附票を取得しても住所が分からない、登記簿上の住所に手紙を送っても届かない、現地を訪問しても誰も住んでいないなど、「相当な努力を尽くしても、その所在を知ることができない」状態を指します。 - 所在等不明共有者以外の共有者全員が、特定の第三者への売却に同意していること
申立ての前に、連絡がつく共有者全員の間で「誰に、いくらで売るのか」という具体的な合意が固まっている必要があります。一人でも反対者がいる場合は、この制度は利用できません。 - 対象が不動産であること
この制度の対象は、土地や建物といった不動産、または借地権などの不動産に関する権利に限られています。
【注意】相続した不動産には「10年ルール」が適用される
相続によって共有状態になった不動産の場合、一つ重要な注意点があります。それは、相続開始の時(被相続人が亡くなった時)から10年が経過していないと、原則としてこの制度は利用できないという特則です(民法262条の3第2項)。
これは、相続開始から10年以内は、遺産分割によって各相続人の最終的な取得分が変わる可能性があるため、その権利を保護するためのルールです。ご自身のケースがこの「10年ルール」に該当しないか、事前に確認が必要です。
なお、2024年4月1日から相続登記が義務化され、相続不動産の手続きはより重要になっています。放置していると、このような新制度の利用にも影響が出ることがありますのでご注意ください。
持分譲渡制度の手続きの流れと期間・費用の目安
では、実際にこの制度を利用する場合、どのような流れで進むのでしょうか。ここでは、申立ての準備から売却完了までの具体的なステップと、期間・費用の目安を解説します。
ステップ1:事前準備(所在調査・買主との交渉)
まず、裁判所への申立て前に、以下の準備を整える必要があります。
- 所在調査:行方不明の共有者の住民票や戸籍の附票を取得し、登記簿上の住所への郵便物が返送されてくることなどを確認し、「相当な努力をしても所在が不明である」ことを客観的に証明できる資料を集めます。
- 買主の決定と共有者間の合意:不動産会社などに仲介を依頼して買主を見つけ、売買価格や条件を交渉します。そして、行方不明者以外の共有者全員から、その条件で売却することへの同意を取り付けます。
この事前準備が、手続きをスムーズに進めるための最も重要な鍵となります。
ステップ2:地方裁判所への申立て
準備が整ったら、不動産の所在地を管轄する地方裁判所へ「所在等不明共有者持分譲渡権限付与申立」を行います。申立てには、主に以下の書類が必要です。
- 申立書
- 不動産の登記事項証明書
- 固定資産評価証明書
- 所在調査に関する報告書や資料
- 売買契約書の案
- 他の共有者全員の同意書
これらの書類作成や収集は専門的な知識を要するため、司法書士などの専門家へ依頼するのが一般的です。
ステップ3:裁判所による公告と決定(約3ヶ月~)
申立てが受理されると、裁判所は行方不明の共有者に対し、異議を申し立てる機会を与えるための公告を行います。異議申出のための期間は、原則として3ヶ月以上とされています。
この期間内に本人から異議の申出がなければ、裁判所は申立てを認め、譲渡を許可する決定(権限付与決定)を下します。申立てから決定までは、手続きが順調に進んだ場合でも、この公告期間があるため最低でも3ヶ月以上はかかると考えておくとよいでしょう。
ステップ4:供託金の納付
裁判所の決定が出たら、申立人は行方不明の共有者のために、その持分に相当する売却代金を法務局(供託所)に預ける「供託」という手続きを行います。
これは、将来行方不明者が現れた際に、本来受け取るべきだったお金を確保しておくための重要な手続きです。裁判所が定めた期間内に供託を完了させないと、決定が効力を失うため、注意が必要です。供託する金額は、不動産の時価額(不動産鑑定士の評価などを参考にします)に基づいて計算されます。
ステップ5:不動産の売買契約・登記
供託が無事に完了すれば、いよいよ最終段階です。申立人は、裁判所の許可に基づき、行方不明の共有者の代理人として買主と正式に売買契約を締結します。そして、司法書士が所有権移転登記を申請し、不動産の名義が買主へと変更されます。
これにより、行方不明者の持分も完全に買主へ移転し、売却手続きはすべて完了です。売却代金から供託した金額を差し引いた残りが、他の共有者の持分に応じて分配されます。
【費用の目安】裁判所費用と専門家報酬
この制度を利用する際にかかる費用は、大きく分けて以下の3つです。
- 裁判所に納める費用
申立ての印紙代、連絡用郵便切手代、官報公告費用(予納金)などが必要で、金額は裁判所・共有者数・対象持分数等により変動します(例:裁判所の案内に記載の印紙1,000円×対象持分数、郵便切手、官報公告費用〔予納金〕等)。 - 供託金
行方不明者の持分に相当する不動産の時価額です。これは売却代金から支払うことになりますが、一時的に立て替えが必要になる場合もあります。 - 専門家への報酬
司法書士や弁護士に申立てを依頼した場合の報酬です。事案の難易度や不動産の価格によって異なりますが、30万円~60万円程度が一般的な目安となるでしょう。
従来の不在者財産管理人制度で必要だった高額な予納金が不要になるため、トータルの費用を抑えられる可能性が高いです。
司法書士が解説!持分譲渡制度のメリットと注意点

この新しい制度は非常に有用ですが、メリットと注意点の両方を正しく理解した上で利用を検討することが大切です。
メリット1:従来の方法より時間と費用を抑えられる
最大のメリットは、やはり手続きの効率性です。前述の通り、不在者財産管理人制度で必要だった高額な予納金が不要となり、選任手続きにかかる時間も短縮できます。また、共有物分割訴訟のように長期化するリスクも比較的少ないため、全体として迅速かつ低コストで問題を解決できる可能性が高まります。
メリット2:不動産全体を市場価格に近い価格で売却できる
ご自身の持分だけを専門の不動産業者に買い取ってもらう、という方法もあります。しかしこの場合、買い取った業者は他の共有者との交渉が必要になるなどリスクを負うため、買取価格は市場価格の半値以下になってしまうことも少なくありません。
一方で、本制度を利用すれば、不動産全体を一つの商品として一般の市場で売却できます。そのため、より市場価格に近い、有利な条件で売却できる可能性が高いのです。結果として、各共有者が最終的に手にする金額も大きくなることが期待できます。
注意点:事前に買主を見つけ、他の共有者全員の同意が必要
この制度を利用する上での最大のハードルは、裁判所に申し立てる前に、すでに「買主」と「他の共有者全員の売却への同意」が揃っている必要があるという点です。
- なかなか買主が見つからない
- 連絡がつく共有者の中に、一人でも売却に反対している人がいる
このようなケースでは、残念ながらこの制度を利用することはできません。この点が、他の共有者の意向にかかわらず最終的に共有関係を解消できる共有物分割請求訴訟との大きな違いです。
もう一つの新制度「持分取得制度」との違いは?
実は、2023年の民法改正では、もう一つよく似た制度「所在等不明共有者の持分の取得」制度(民法262条の2)が創設されました。この二つの制度の違いを理解し、ご自身の目的に合った方を選ぶことが重要です。

持分取得制度:他の共有者が行方不明者の持分を買い取る
「持分取得制度」は、不動産を第三者に売却するのではなく、他の共有者(申立人)が、行方不明者の持分を裁判所の決定を経て買い取る(取得する)ための制度です。
この制度の目的は、共有関係を整理・単純化することにあります。例えば、兄弟3人共有の実家に長男が住んでおり、行方不明の次男の持分を長男が買い取って、単独所有にしたい、といったケースで利用されます。
【ケース別】持分譲渡と持分取得、どちらを選ぶべきか
どちらの制度を選ぶべきか、目的別に整理すると以下のようになります。
- 不動産全体を第三者に売却して、共有者全員で現金を分けたい場合
→ 『持分譲渡制度』(民法262条の3)が適しています。 - 共有者の一人が不動産を単独で所有したい、または、まずは共有関係を整理してから将来の活用法(売却、賃貸など)を考えたい場合
→ 『持分取得制度』(民法262条の2)が適しています。
ご自身の希望がどちらに近いかによって、選択すべき手続きが変わってきます。
【解決事例】所在不明共有者がいる土地の売却サポート
ここで、当事務所で実際に「所在等不明共有者の持分の譲渡」制度を活用して問題解決に至った事例を、少し変えてご紹介します。この話は、多くの同じ悩みを抱える方々にとって、希望の光となるかもしれません。
ご相談に来られたのは、AさんとBさんというご兄弟でした。お二人は、数年前に亡くなられたお父様から相続した土地を、長年連絡が取れない親族Cさんと3人で共有していました。
「この土地を売って、そのお金で母の介護費用に充てたいんです。不動産業者X社も買い手として見つかっているのですが…」
AさんとBさんは、買主も売却価格の合意もできているのに、Cさんと連絡が取れないという一点だけで、契約に踏み切れずにいました。まさに、法律の壁に阻まれて途方に暮れているご様子でした。
私は、この状況を打開する最適な方法として、民法改正で新設された「所在等不明共有者の持分の譲渡」制度の利用をご提案しました。最初は「そんなことができるんですか?」と半信半疑だったお二人も、手続きの流れを丁寧にご説明すると、表情が明るくなっていきました。
当事務所のサポートで、早速手続きを開始しました。
- まず、私たちがCさんの所在調査を行い、戸籍や住民票を追っても現在の居所が不明であることを証明する報告書を作成しました。
- 次に、AさんとBさん、そして買主であるX社との売買契約書案を整え、地方裁判所への申立書類一式を作成・提出しました。
- 裁判所での3ヶ月間の公告期間が満了し、Cさんからの異議申立てもなく、無事に「譲渡権限付与」の決定が下りました。
- Aさんは、裁判所の指示に従い、Cさんの持分に相当する金額を法務局に供託しました。
- そして、決定の確定後、Aさん・Bさんと買主X社との間で正式に売買契約を締結。私たちが代理人として所有権移転登記を申請し、すべての手続きが完了しました。
ご相談から約半年後、AさんとBさんは無事に土地を売却し、目的だったお母様の介護費用を確保することができました。「もう諦めるしかないと思っていました。先生のおかげで、長年の胸のつかえが取れました」と涙ながらに感謝された時、この仕事のやりがいを改めて感じました。
まとめ:行方不明の共有者がいても、要件を満たせば売却できる場合があります
この記事では、共有者の一人が行方不明で行き詰ってしまった不動産の売却について、2023年の民法改正で新設された「所在等不明共有者の持分の譲渡」制度を中心に解説しました。
【この記事のポイント】
- 共有者が行方不明でも、新制度を使えば不動産全体を第三者に売却できる。
- 従来の方法(不在者財産管理人など)に比べ、時間と費用を抑えられる可能性が高い。
- 利用するには、事前に買主を見つけ、他の共有者全員の同意を得る必要がある。
- 手続きには所在調査や裁判所への申立てなど、専門的な知識と実務経験が不可欠。
長年「塩漬け」になっていた不動産問題も、法律の改正によって解決の道が開かれました。しかし、その手続きは複雑で、ご自身だけで進めるのは非常に困難です。どの制度が最適なのか、どのように手続きを進めればよいのか、判断に迷われることも多いでしょう。
そのような時は、ぜひ私たち相続と不動産の専門家にご相談ください。あなたの状況を丁寧にお伺いし、状況に応じた解決策の選択肢をご提案いたします。一人で悩まず、まずは第一歩を踏み出すことが、問題解決への一番の近道です。
当事務所では、平日夜間や土日祝のご相談にも対応しております。まずはお気軽にお問い合わせください。

司法書士・行政書士・社会保険労務士いがり綜合事務所の司法書士 猪狩 佳亮(いがり よしあき)です。神奈川県川崎市で生まれ育ち、現在は遺言や相続のご相談を中心に、地域の皆さまの安心につながるお手伝いをしています。8年の会社員経験を経て司法書士となり、これまで年間100件を超える相続案件に対応。実務書の執筆や研修の講師としても活動しています。どんなご相談も丁寧に伺いますので、気軽にお声がけください。
親族は成年後見人になれる?条件や手続きを専門家が解説
親のもしも…「成年後見人、家族でもなれる?」
「最近、親の物忘れがひどくなってきた…」「実家の預金管理や契約手続きが心配…」
大切なお父様、お母様の将来を考えたとき、多くの方が「成年後見制度」という言葉を思い浮かべるかもしれません。
そして同時に、こんな切実な疑問が湧いてくるのではないでしょうか。
「成年後見人って、私たち家族でもなれるのだろうか?」
弁護士や司法書士といった専門家がなるイメージが強いかもしれませんが、できれば一番身近で本人のことを理解している家族が支えてあげたい。そう願うのは、ごく自然なことです。しかし、その一方で「なれるとしても、どんな条件があるの?」「責任は重いのでは?」といった不安も尽きないことでしょう。
この記事では、そんなあなたの疑問や不安に一つひとつ丁寧にお答えしていきます。成年後見制度の専門家である私、司法書士の猪狩が、親族が成年後見人になるための条件や手続き、そして知っておくべきメリット・デメリットまで、分かりやすく解説します。この記事を読み終える頃には、ご家族にとって最善の道筋が見えてくるはずです。どうぞ、ご安心ください。
結論:親族も成年後見人になれます。ただし条件があります

まず、一番の疑問にお答えします。はい、ご家族などの親族も成年後見人になることは可能です。
ただし、誰が成年後見人になるかを最終的に決定するのは、申立てをした家族ではなく「家庭裁判所」です。候補者として「長男の〇〇を希望します」と申し立てることはできますが、その通りに選任されるとは限りません。
最高裁の統計によれば、令和5年(2023年)において親族が後見人等に選任された割合は約18.1%で、非親族が約81.9%を占めています(最高裁『成年後見関係事件の概況―令和5年1月~12月―』)。残りの約8割は、司法書士や弁護士、社会福祉士などの専門職が選ばれているのが現状です。
なぜ専門家が選ばれやすい?家庭裁判所の判断基準
なぜ、親族ではなく専門家が選ばれるケースが多いのでしょうか。それは、家庭裁判所が何よりも「ご本人の利益と財産を保護すること」を最優先に考えているからです。
その視点から、以下のようなケースでは、専門職後見人が選任されやすい傾向があります。
- ご本人の財産が多い、または複雑な場合
財産が相対的に多額で管理が複雑と判断される場合、専門職が選任されやすい傾向があります。具体的な金額に関する全国共通の基準は公表されていませんが、裁判所が個別具体的に判断します。 - 親族間に意見の対立がある場合
財産の使い道などを巡って親族間でもめている場合、中立的な立場の専門家が選ばれます。 - 後見人候補者である親族自身に、借金や経済的な問題がある場合
- 候補者とご本人の間で、過去に財産のやり取りなどで対立があった場合
また、申立て後の家庭裁判所調査官との面談での受け答えも、誰が後見人にふさわしいかを判断する上で重要な要素となります。
最高裁判所は「親族後見が望ましい」と考えている
専門職が選ばれやすいという現実がある一方で、実は最高裁判所は「ご本人の生活状況や気持ちを最もよく理解している、身近な親族が後見人になることが望ましい」という基本的な考え方を示しています。
私たち、いがり綜合事務所もその考え方に強く共感しています。専門家に任せきりにするのではなく、ご家族が主体となってご本人を支えていく形が理想だと考えています。だからこそ、私たちは「親族の方が後見人になりたい」というお気持ちを尊重し、家庭裁判所の理解を得られるよう、その実現を最大限サポートしたいと考えています。(司法書士・行政書士・社会保険労務士 いがり綜合事務所/代表 猪狩佳亮/神奈川県川崎市川崎区宮前町12-14/神奈川県司法書士会所属)
参考:成年後見関係事件の概況
【事例で解説】預金1200万円でも親族が後見人になれたケース

「うちは預金が1,000万円を超えているから、家族が後見人になるのは難しいかもしれない…」
そう思われた方もいらっしゃるかもしれません。しかし、諦めるのはまだ早いです。ここでは、実際に当事務所にご相談いただき、預金が1,200万円ありながらも、最終的にご長女様が後見人になることができた事例をご紹介します。(※この事例は、いくつかの事例を組み合わせたものです。)
ご相談者様(長女)が抱えていた不安
ある日、当事務所に一本のお電話がありました。お母様の認知症がだんだんと進み、成年後見制度の利用を考えているというご長女様からのご相談でした。
「母の財産は、預金が1200万円と自宅の不動産です。私がずっと母の世話をしてきたので、後見人にも私がなりたいと思っています。でも、預金が多いと家族はなれないと聞いて不安で…」
お話を伺うと、ご長女様は献身的にお母様を支えており、後見人としてお母様の財産を守っていきたいという強い意志をお持ちでした。しかし、まさに専門職が選任されやすい「預金額1,000万円以上」という基準に当てはまってしまいます。このまま申し立てても、ご長女様の希望が通らない可能性が高い状況でした。
当事務所からのご提案:解決の鍵は「後見制度支援信託」
そこで、私たちは一つの方法をご提案しました。
「まず、最初の申立て段階では私(司法書士)を後見人候補者とします。そして、家庭裁判所の許可を得て、財産の一部を信託銀行に預ける『後見制度支援信託』という仕組みを利用します。その手続きが完了すれば、後見人を司法書士からご長女様に引き継ぐことができる可能性が非常に高くなります。」
これは、いわば「最初の難しい部分だけ専門家が担当し、安全な管理体制を整えた上で、ご家族にバトンタッチする」という方法です。
結果:想いが叶い、ご長女様が後見人に
ご長女様はこの提案に納得され、当事務所がサポートさせていただくことになりました。
- まず、当事務所の司法書士を後見人候補者として、家庭裁判所に成年後見の申立てを行いました。
- 無事に司法書士が後見人に選任された後、家庭裁判所の指示のもと、1200万円の預金のうち1000万円を信託銀行に移す「後見制度支援信託」の契約を締結しました。
- これにより、大きな財産は信託銀行によって安全に保全され、日常的な支出の管理のみを行う体制が整いました。
- そして、家庭裁判所に後見人の変更を申し立て、当初の目的通り、ご長女様が新たにお母様の後見人に選任されました。当事務所の司法書士は、その役目を終え辞任しました。
ご長女様は、「希望が叶って本当に良かった。これからは安心して母のサポートができます」と、安堵の表情でおっしゃっていました。この事例のように、適切な手続きを踏むことで、財産が多い場合でも親族が後見人になる道は開かれています。
解決の鍵「後見制度支援信託」とは?
事例で登場した「後見制度支援信託」とは、どのような制度なのでしょうか。
簡単に言うと、「ご本人の財産のうち、日常的に使うお金は親族後見人が管理し、すぐに使う予定のないお金は信託銀行などが安全に管理する」という仕組みです。
この制度を利用すると、大きな財産は信託銀行が保全し、親族後見人が管理するのは日々の生活費などに限定されるため、家庭裁判所としても「これなら親族に任せても安心だ」と判断しやすくなります。高額な財産の使い込みや、管理の負担が原因で親族が疲弊してしまうといったリスクを減らすことができるのです。
財産が多くて親族後見を諦めかけていた方にとって、この制度は非常に有効な選択肢の一つと言えるでしょう。
参考:ご本人の財産の適切な管理・利用のための 後見制度支援信託 …
親族が後見人になるメリット・デメリット

親族が後見人になることを目指すかどうか、冷静に判断するためには、そのメリットとデメリットの両方をしっかりと理解しておくことが大切です。ここでは、それぞれの側面を詳しく見ていきましょう。
メリット:費用を抑え、本人の気持ちに寄り添える
親族が後見人になることの大きなメリットは、主に2つあります。
- 専門家への報酬が不要になる
司法書士や弁護士などが後見人になると、家庭裁判所が決定する報酬(通常、月額2万円~)をご本人の財産から支払う必要があります。親族が後見人になった後は、この費用負担がなくなります。(ただし、後見監督人が選任された場合は、監督人への報酬が発生します) - 本人の気持ちに寄り添ったサポートができる
長年連れ添った配偶者や、ずっと面倒を見てきたお子様であれば、ご本人の性格や好み、何に喜びを感じ、何を嫌がるのかを誰よりも深く理解しているはずです。その理解があるからこそ、財産管理だけでなく、介護や医療に関する決定(身上監護)においても、ご本人の意思を最大限に尊重した、きめ細やかなサポートが可能になります。
デメリット:大きな責任と事務負担、親族間トラブルの火種にも
一方で、親族が後見人になることには、覚悟しておくべき厳しい側面もあります。
- 家庭裁判所への報告義務という事務負担
後見人は、年に一度、家庭裁判所にご本人の財産状況や生活の様子をまとめた報告書と、通帳のコピーなどの資料を提出する義務があります。この事務作業が、想像以上に大きな負担となることがあります。 - 親族間トラブルの火種になる可能性
「兄さん(後見人)は、親の金を自由に使っているんじゃないか?」など、他の親族からあらぬ疑いをかけられてしまうケースは少なくありません。財産管理を一人で背負うことで、かえって親族関係がこじれてしまうリスクがあります。 - 重い責任と精神的な負担
成年後見人の最も重要な責務は「本人の財産を守ること」です。常にその重い責任を背負い続けることは、大きな精神的プレッシャーとなります。「もし自分の判断が間違っていたら…」という不安が、常に付きまとうことになるかもしれません。
これらのデメリットを理解した上で、「それでも自分が」と思えるか、ご自身の状況や他のご家族の協力体制なども含めて、慎重に考えることが重要です。
親族が後見人になるための手続きと専門家のサポート
「親族後見人を目指したい」。そう決意された場合、家庭裁判所への申立て手続きを進めることになります。
手続きの大まかな流れは以下の通りです。
- 必要書類の収集・作成
申立書のほか、ご本人の戸籍謄本や財産目録、収支状況報告書、診断書など、多くの書類が必要になります。 - 家庭裁判所へ申立て
管轄の家庭裁判所に書類一式を提出します。 - 家庭裁判所調査官との面談
申立人や後見人候補者が家庭裁判所に呼ばれ、なぜ後見人が必要なのか、候補者が適任である理由などを説明します。 - 審判
家庭裁判所が後見を開始するかどうか、誰を後見人にするかを決定します。
これらの手続きは、一般の方がご自身だけで行うには複雑で、大きな負担がかかります。特に、親族が後見人に選ばれるためには、申立書類の書き方や面談での説明に工夫が必要です。
私たち司法書士は、こうした手続きの専門家です。複雑な書類の作成をお手伝いすることはもちろん、「なぜこの親族が後見人としてふさわしいのか」を、法的な観点から説得力のある形で家庭裁判所に伝えるためのサポートをすることができます。一人で抱え込まず、まずは成年後見をご検討中の方へのページもご覧いただき、専門家の力を頼ってください。
まとめ:親族後見人という選択肢、専門家と一緒に考えませんか?

今回は、ご家族が成年後見人になれるのか、というテーマについて詳しく解説してきました。
結論として、親族が成年後見人になることは可能であり、それはご本人にとっても素晴らしい選択肢です。しかし、そのためには家庭裁判所の判断基準を理解し、場合によっては「後見制度支援信託」のような専門的な仕組みを活用するなど、適切な準備が必要です。また、後見人になった後の重い責任や事務負担も覚悟しなければなりません。
もし、あなたが「親族として後見人になりたい」と強く願うのであれば、その想いを諦めないでください。私たち、いがり綜合事務所は、ご家族が後見人になることを何よりも望ましく考え、その実現のために全力でサポートしたいと願っています。
「うちのケースでも親族が後見人になれるだろうか?」
「手続きの進め方が分からなくて不安…」
どんな些細なことでも構いません。一人で悩まず、まずは私たち専門家にご相談ください。あなたとご家族にとって最善の道を見つけるお手伝いをさせていただきます。
まずは、お気軽に当事務所の無料相談をご利用ください。あなたからのご連絡を心よりお待ちしております。(無料相談の対象範囲や時間については、お問い合わせ時にご確認ください。)

司法書士・行政書士・社会保険労務士いがり綜合事務所の司法書士 猪狩 佳亮(いがり よしあき)です。神奈川県川崎市で生まれ育ち、現在は遺言や相続のご相談を中心に、地域の皆さまの安心につながるお手伝いをしています。8年の会社員経験を経て司法書士となり、これまで年間100件を超える相続案件に対応。実務書の執筆や研修の講師としても活動しています。どんなご相談も丁寧に伺いますので、気軽にお声がけください。
AI作成の相続登記申請書は間違いだらけ?司法書士が解説
AI作成の登記申請書で相続登記に失敗した相談事例
「AIを使えば、専門家に頼まなくても自分で相続登記ができるかもしれない」
最近、技術の進歩は目覚ましく、そうお考えになる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、その手軽さの裏には、思わぬ落とし穴が潜んでいることがあります。
先日、当事務所にこんなご相談が寄せられました。
【ご相談内容】
地方にお住まいだったお父様が亡くなり、長男である相談者様が、実家の不動産を相続することになりました。費用を抑えるため、ご自身で相続登記に挑戦しようと決意。
「今は便利なAIツールがある」と聞き、早速それを使って登記申請書や遺産分割協議書を作成。必要書類もなんとか揃え、遠方にある実家を管轄する法務局へ郵送で申請しました。
ところが数日後、法務局の登記官から一本の電話が。
「申請書のこの部分が違います」「添付書類が足りません」「ここをこう直してください」
矢継ぎ早に専門用語で指摘を受けましたが、電話口では何がどう違うのか、どう直せばいいのか、ほとんど理解できませんでした。
補正(書類の訂正)のためには、原則として法務局へ出向かなければならないとのこと。しかし、実家までは新幹線を使っても数時間かかります。補正のためだけに仕事を休んで遠くまで行くのは、時間的にも金銭的にも現実的ではありません。
ご自身で頑張って準備を進めてきたものの、完全に手詰まりになってしまい、途方に暮れて当事務所にご連絡をいただいた、というケースでした。
この事例は、決して特別なものではありません。便利なツールであるはずのAIですが、法律や実務の細かなルールまではカバーしきれず、結果的に時間と労力を無駄にしてしまう危険性があるのです。
【検証】AIはどこを間違える?登記の専門家が分析
では、AIが作成した相続登記申請書は、具体的にどのような点が問題になるのでしょうか。当事務所でも、実際にいくつかのAIツールを使い、登記申請書を作成させてみました。その結果、登記の専門家である司法書士から見ると、「これでは法務局から補正の連絡が来てしまうだろうな」と感じるポイントがいくつも見つかりました。
間違いポイント1:不動産の表示が登記簿と完全一致しない
相続登記の申請書には、対象となる不動産の情報を正確に記載する必要があります。この「正確に」というのがポイントで、登記事項証明書(登記簿)に書かれている情報を「一字一句違わずに」書き写さなければなりません。
しかし、AIはしばしばここで間違いを犯します。
- 「地番」と「住所(住居表示)」を混同する: 不動産を特定する「地番」と、郵便物が届く「住所」は全くの別物です。AIは、一般的な住所を入力してしまうことがあります。
- マンションの情報を正確に記載できない: マンションの場合、「専有部分の家屋番号」だけでなく、「敷地権の表示(土地の地番や持分割合など)」も正確に記載する必要がありますが、この部分が抜け落ちてしまうケースが見られました。
少しでも表記が異なれば、法務局は不動産を特定できず、登記申請は受け付けてもらえません。これは登記手続きの基本中の基本ですが、AIにとってはまだ難しいようです。
間違いポイント2:登記原因証明情報との整合性が取れていない
相続登記では、申請書だけでなく、なぜその登記が必要になったのかを証明する書類(登記原因証明情報)を添付します。具体的には、被相続人の死亡の事実や相続関係を証明する戸籍謄本一式や、遺産分割協議書などがこれにあたります。
登記官は、申請書とこれらの添付書類をすべて照らし合わせ、内容に矛盾がないか厳しくチェックします。AIが作成した書類では、この整合性が取れていないことがあります。
- 相続人の住所が違う: 遺産分割協議書に記載した相続人の住所と、申請書に記載した住所が異なっているケースです。例えば、引っ越し前の古い住所のままになっている、といった間違いが考えられます。
- 被相続人の情報が一致しない: 戸籍謄本からわかる死亡日と、申請書に記載した死亡日が違うなど、基本的な情報に食い違いが生じることもあります。
こうした書類間の不整合は、登記の正確性を揺るがす重大な問題とみなされ、必ず補正の対象となります。
間違いポイント3:登録免許税の計算が誤っている
相続登記を申請する際には、登録免許税という税金を国に納める必要があります。この税額は、不動産の固定資産評価額に一定の税率(相続の場合は0.4%)を掛けて算出します。
一見、単純な計算に見えますが、実は特定の条件を満たす場合に税が免除される特例措置が存在します。例えば、相続した土地の価額が100万円以下の場合などです。AIは、こうした個別の事情に応じた複雑な税制の特例までは考慮できず、本来であれば不要な税金を計算してしまったり、逆に必要な税額が不足してしまったりする可能性があります。
税額が1円でも間違っていれば、申請は受け付けられません。正確な税額の計算には、最新の法令に関する専門知識が不可欠なのです。
郵送申請で補正指示…なぜ自分で対応するのが難しいのか?
もし、AIが作成した申請書で郵送申請し、冒頭の事例のように法務局から補正の連絡が来てしまったらどうなるのでしょうか。「電話で言われた通りに直せばいいだけ」と思われるかもしれませんが、現実はそう簡単ではありません。個人で対応するのが難しい、3つの大きな壁が立ちはだかります。
理由1:電話口での専門用語による指示が理解できない
法務局の登記官からの補正指示は、多くの場合電話で行われます。しかし、登記官が使う言葉は法律や登記実務に基づいた専門用語ばかりです。
例えば、「被相続人の登記記録上の住所と死亡時の住所の沿革が付かないので、つながりを証明する書類を追加してください」といった指示を、電話口で一度聞いただけで正確に理解し、何をすべきか判断するのは、一般の方には極めて困難です。
何をどう直せばよいのかが分からなければ、対応のしようがありません。
理由2:原則として法務局へ出向いて訂正する必要がある
郵送で申請した場合でも、書類に不備があった際の訂正(補正)は、原則としてその法務局の窓口に出向いて行う必要があります。
申請書に押した印鑑と同じ印鑑を持参し、登記官の目の前で訂正箇所に二重線を引いて訂正印を押す、といった作業が求められます。冒頭の事例のように、相続した不動産が遠方にある場合、補正のためだけに交通費と時間をかけて移動するのは、大きな負担となります。
理由3:定められた期間内に対応できないと申請が却下される
補正の指示には、通常1〜2週間程度の期限が設けられています。この期限内に正しく補正を完了できない場合、提出した申請は「却下」されてしまいます。
却下されると、申請は初めからなかったことになります。つまり、せっかく集めた戸籍謄本などの書類は一度返却され、再度申請し直さなければなりません。支払った登録免許税は返還されますが、それまでの時間と労力は全て水の泡となってしまいます。安易に自分で進めた結果、かえって時間も手間もかかってしまう最悪のケースです。
正確な相続登記申請書の書き方【司法書士作成の見本】
では、一体どのように書けば正確な登記申請書になるのでしょうか。ここで、司法書士が作成する相続登記申請書の基本的な記載例をご紹介します。AIが作成したものと比較し、その正確性の違いをご確認ください。
もしご自身で作成される場合は、AIツールに頼るよりも、法務局のウェブサイトにある記載例などを参考に、こちらの見本と照らし合わせながら慎重に作成することをおすすめします。
登記申請書(記載例)
登記の目的
所有権移転
原因
令和○年○月○日 相続
相続人
(被相続人 A)
住所 〇〇県〇〇市〇〇町○丁目○番○号
氏名 (持分) B (実印)
連絡先の電話番号 ○○○-○○○-○○○○
添付情報
登記原因証明情報 住所証明情報
登記識別情報の通知
□ 希望しない
☑ 希望する
令和○年○月○日申請 ○○法務局(または地方法務局)○○支局(または出張所) 御中
課税価格
金 ○○○○円
登録免許税
金 ○○○○円
不動産の表示
【土地】
不動産番号 (分かる場合に記載)
所在 〇〇市〇〇町○丁目
地番 ○番○
地目 宅地
地積 ○○○・○○平方メートル
【建物】
不動産番号 (分かる場合に記載)
所在 〇〇市〇〇町○丁目 ○番地○
家屋番号 ○番○
種類 居宅
構造 木造かわらぶき2階建
床面積 1階 ○○・○○平方メートル
2階 ○○・○○平方メートル
結論:AIは下調べに便利。でも確実な登記は司法書士へ
ここまで見てきたように、AIは相続登記に関する一般的な情報収集や書類のひな形作成の「下調べ」としては便利なツールかもしれません。しかし、個別の事情が複雑に絡み合う実際の相続手続きにおいて、法的に完璧で、一発で受理される申請書類を作成するには、まだ力不足と言わざるを得ません。
特に、2024年4月1日から相続登記が義務化され、正当な理由なく期限内に登記をしないと過料の対象となる可能性があります。このような状況で、不確かな情報をもとに手続きを進めるのは非常にリスクが高いと言えるでしょう。
確実かつスムーズに相続登記を完了させるためには、やはり登記の専門家である司法書士にご依頼いただくのが最も賢明な選択です。詳しくは「相続登記を司法書士に依頼するメリットは?自分でやる場合との違い」の記事でも解説していますが、主なメリットは以下の通りです。
時間と労力の節約:煩雑な手続きはすべてお任せ
司法書士にご依頼いただければ、相続登記に必要な戸籍謄本の収集から、遺産分割協議書の作成、法務局への申請、登記完了後の書類受け取りまで、煩雑な手続きをすべて一括で代行いたします。相続人の皆様は、面倒な書類作成や役所とのやり取りに時間を費やすことなく、故人を偲ぶ時間やご自身の生活に集中していただけます。
ミスの防止:法的要件を満たした正確な書類作成
私たち司法書士は、日々登記実務に携わる国家資格者です。最新の法令や通達、各法務局の運用を踏まえて正確な書類作成を行います。補正や却下のリスクを低減するため、専門家の支援が有効です。当事務所は相続登記に多数の実績があります。
関連手続きのワンストップ対応
相続の問題は、不動産の名義変更(相続登記)だけで終わらないケースがほとんどです。当事務所の代表は、司法書士に加えて行政書士、社会保険労務士の資格も保有しています。そのため、相続放棄の手続き、預貯金の解約、未支給年金の請求など、相続登記に関連して発生する様々な手続きにもワンストップで対応することが可能です。あちこちの専門家を探す手間なく、一か所でご相談を完結できるのが大きな強みです。
まとめ:相続登記でお悩みなら、まずは無料相談へ
AIによる相続登記申請書の作成は、一見すると手軽で費用もかからない魅力的な選択肢に思えるかもしれません。しかし、その裏には専門家でなければ気づきにくい多くの落とし穴があり、特に郵送申請で補正指示を受けた場合の対応は極めて困難です。
「自分でやってみたけど、途中で分からなくなってしまった」
「法務局から補正の連絡が来て、どうしていいか分からない」
「そもそも、何から手をつけていいか見当もつかない」
少しでもこのような不安をお持ちでしたら、どうか一人で抱え込まず、私たち相続の専門家にご相談ください。当事務所では、ご依頼いただくかどうかに関わらず、皆様の状況を丁寧にお伺いする無料相談を実施しております。
【事務所情報】
いがり綜合事務所(代表:猪狩 佳亮)
所在地:神奈川県川崎市川崎区宮前町12番14号 シャンボール川崎505号
所属:神奈川県司法書士会
平日お忙しい方のために、平日夜間や土日祝日のご相談にも柔軟に対応しております(事前予約制)。円満な相続を実現し、皆様の心に「安心」をお届けするため、私たちが全力でサポートいたします。

司法書士・行政書士・社会保険労務士いがり綜合事務所の司法書士 猪狩 佳亮(いがり よしあき)です。神奈川県川崎市で生まれ育ち、現在は遺言や相続のご相談を中心に、地域の皆さまの安心につながるお手伝いをしています。8年の会社員経験を経て司法書士となり、これまで年間100件を超える相続案件に対応。実務書の執筆や研修の講師としても活動しています。どんなご相談も丁寧に伺いますので、気軽にお声がけください。
遺言書の探し方|相次ぐ相続で判明した予備的遺言の重要性
【事例】ご両親が相次いで逝去、遺言書はあったが…
「父さんと母さん、二人で一緒に公証役場で遺言書を作ったんだよ」。生前、ご両親からそう聞かされていたAさんは、お母様が亡くなり、そのわずか1か月後にお父様も後を追うようにお亡くなりになった後、相続手続きのために遺言書を探し始めました。
ご自宅を探しても見つからなかったため、Aさんは「公証役場で作成した」という言葉を頼りに、お近くの公証役場へ向かいました。公証役場の遺言検索システムを利用したところ、お父様とお母様、それぞれが作成した公正証書遺言が無事に見つかり、Aさんは安堵しました。
しかし、その遺言書の内容を見て、Aさんとご兄弟は顔を見合わせることになります。お二人の遺言書には、それぞれこう書かれていました。
- お父様の遺言書:「全財産を妻(Aさんのお母様)に相続させる」
- お母様の遺言書:「全財産を夫(Aさんのお父様)に相続させる」
一見すると、ご夫婦がお互いを思いやる、ごく自然な内容に思えます。しかし、ここには大きな落とし穴がありました。
お父様より先にお母様が亡くなっていたため、お父様の遺言書にある「妻に相続させる」という部分は、相続する相手が既にこの世にいないため、効力を失ってしまっていたのです。
その結果、お父様の相続については遺言書がないのと同じ状態になり、Aさんたちご兄弟3人で「誰がどの財産を相続するか」を話し合う遺産分割協議を行い、その内容をまとめた遺産分割協議書を作成しなければなりませんでした。
「遺言書があったのに、どうして…」。もし、お父様の遺言書に「妻が先に亡くなっていた場合は、子供たちにこう分ける」という一文、すなわち「予備的遺言」が加えられていれば、多くの場合、Aさんたちが遺産分割協議をする必要はありませんでした。
このお話は、決して特別なケースではありません。この記事では、遺言書の探し方という基本的な知識から、Aさんのようなケースを防ぐための「予備的遺言」の重要性まで、相続の専門家である司法書士が分かりやすく解説します。
「遺言書があるはず」どこを探せばいい?主な探し方2つ
故人が遺言書を作成したと聞いていても、どこにあるか分からないケースは少なくありません。闇雲に探すのではなく、まずは公的な制度を利用して探すのが効率的です。ここでは、代表的な2つの探し方をご紹介します。

1. 公正証書遺言の場合:公証役場の「遺言検索システム」
故人が「公正証書遺言」を作成していた場合、その原本は公証役場に保管されています。全国の公証役場は「遺言検索システム」というデータベースで繋がっているため、お近くの公証役場で調べれば、日本全国どこの公証役場で作成された遺言書でも見つけ出すことができます。
手続きの流れ
- 必要書類を準備する: 相続人であることを証明する戸籍謄本など、下記の書類を集めます。
- 公証役場へ行く: 準備した書類を持参し、お近くの公証役場の窓口で遺言書の検索を依頼します。
- 検索と謄本の請求: 検索の結果、遺言書が見つかったら、その場で写しである「謄本」の交付を請求できます。
必要になる主な書類
- 遺言者が亡くなったことがわかる戸籍(除籍)謄本
- 請求者が相続人であることがわかる戸籍謄本
- 請求者の本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカードなど)
- 請求者の認印
※必要書類はケースによって異なる場合があるため、事前に公証役場へ確認するとスムーズです。
費用について
- 検索手数料: 無料
- 謄本交付手数料: 遺言書の枚数に応じて1枚250円程度
戸籍謄本の収集は、慣れていない方にとっては少し手間がかかる作業かもしれません。もしお困りの場合は、私たち司法書士が戸籍の収集から代行することも可能ですので、お気軽にご相談ください。
2. 自筆証書遺言の場合:法務局の「遺言書保管制度」
故人が自分で書いた「自筆証書遺言」を、法務局に預けている場合があります。これは2020年7月に始まった「自筆証書遺言書保管制度」を利用したもので、この制度を使っている場合は、法務局で遺言書の有無を確認できます。
手続きの流れ
- 必要書類を準備する: 公正証書遺言の場合と同様に、戸籍謄本などを準備します。
- 法務局へ請求する: 遺言書保管所となっている法務局の窓口で「遺言書情報証明書」の交付を請求します。(郵送も可)
- 証明書の受け取り: 遺言書情報証明書には、遺言書の内容や作成年月日などが記載されています。この証明書があれば、家庭裁判所での「検認」手続きは不要で、そのまま相続手続きに使用できます。
必要になる主な書類
- 遺言者が亡くなったことがわかる戸籍(除籍)謄本
- 相続人全員の戸籍謄本(または法定相続情報一覧図の写し)
- 請求者の住民票の写し
- 請求者の本人確認書類
費用について
- 遺言書情報証明書の交付手数料: 1通 1,400円(収入印紙で納付)
注意点として、この制度を利用せずに作成された自筆証書遺言(自宅や貸金庫などで保管されているもの)は、法務局で検索しても見つかりません。その場合は、故人の自宅のタンスや金庫、親しいご友人や専門家(司法書士、弁護士など)に預けていないかなどを探す必要があります。
なぜ遺言書が無効に?「おしどり遺言」の落とし穴
さて、冒頭のAさんの事例に戻りましょう。なぜ、せっかく作成したお父様の遺言書は効力を失ってしまったのでしょうか。
それは、民法という法律に次のようなルールがあるからです。
(遺言の効力)第九百九十四条
遺言は、遺言者の死亡以前に受遺者が死亡したときは、その効力を生じない。
少し難しい言葉ですが、「受遺者」とは遺言によって財産を受け取る人のことです。Aさんのケースでは、お父様(遺言者)が亡くなる前に、財産を受け取るはずだったお母様(受遺者)が亡くなってしまいました。そのため、この条文により、お父様の遺言のうち「妻に相続させる」と書かれた部分は、無効になってしまったのです。
Aさんのご両親が作成したような、夫婦がお互いに全財産を遺す内容の遺言は、通称「おしどり遺言」とも呼ばれます。仲睦まじいご夫婦が、残されるパートナーの生活を心配して作成するケースが多いのですが、この「どちらかが先に亡くなったら無効になる」という落とし穴に気づかないまま作成されていることが少なくありません。
結果として、残された子供たちは遺産分割協議が必要となり、かえって手間や負担が増えてしまう可能性があるのです。

トラブルを防ぐ「予備的遺言」とは?書き方と文例
では、「おしどり遺言」の落とし穴を回避し、遺言者の意思を確実に実現するにはどうすれば良いのでしょうか。その答えが「予備的遺言(よびてきゆいごん)」です。
予備的遺言の基本的な考え方と役割
予備的遺言とは、簡単に言えば「もしもの場合に備えた、第二の相続先の指定」です。遺言に「予備的条項」として、次のような内容を書き加えておきます。
「私が指定したAさんが、もし私より先に亡くなっていたら、代わりにBさんに財産を渡してください」
このように、第一候補の相続人が財産を受け取れない場合に備えて、第二候補を指定しておくことで、遺言が無効になるのを防ぐことができます。これは、相続人が遺言者より先に(または同時に)死亡した場合だけでなく、相続放棄をした場合や、何らかの理由で相続する資格を失った(相続欠格・廃除)場合にも備えることができます。
予備的遺言は、遺言者の最後の意思を確実に実現するための、いわば「大切な保険」のような役割を果たしてくれるのです。

【文例】「おしどり遺言」に予備的条項を加える場合
予備的遺言の書き方は、決して難しくありません。Aさんのご両親のケースで、お父様の遺言書に予備的条項を加えるとしたら、以下のようになります。
【基本的な文例】
第〇条 遺言者は、遺言者の有する全財産を、妻・猪狩花子(昭和〇年〇月〇日生)に相続させる。
第〇条 前条の定めにかかわらず、妻・猪狩花子が遺言者より先に、又は遺言者と同時に死亡した場合には、遺言者の有する全財産を、長男・猪狩太郎(平成〇年〇月〇日生)に相続させる。
太字の部分が予備的条項です。この一文があるだけで、もし妻の花子さんが先に亡くなっていても、遺言が無効になることはなく、遺言者の意思通りに長男の太郎さんへ全財産が引き継がれます。これにより、Aさんの事例で必要となった遺産分割協議は不要になります。
【応用的な文例(子供2人に分ける場合)】
第〇条 (上記と同様)
第〇条 前条の定めにかかわらず、妻・猪狩花子が遺言者より先に、又は遺言者と同時に死亡した場合には、遺言者の有する全財産を、長男・猪狩太郎(平成〇年〇月〇日生)と二男・猪狩次郎(平成〇年〇月〇日生)に、各2分の1の割合で相続させる。
このように、第二の相続先を複数人にしたり、財産ごとに相続人を指定したりと、ご自身の希望に合わせて柔軟に内容を決めることができます。
確実な遺言書作成は相続専門家への依頼が安心です
「予備的遺言、なるほど。これなら自分でも書けそうだな」と思われたかもしれません。確かに、文例自体はシンプルです。しかし、本当にご自身の意思を確実に、そして将来のトラブルなく実現するためには、専門家への相談をおすすめします。
なぜなら、
- ご自身の家族構成や財産状況に、本当にその書き方で合っているのか?
- 将来起こりうる、あらゆる可能性(子供が先に亡くなる、孫がいる、相続放棄するなど)を想定できているか?
- 不動産や預貯金、有価証券など、財産の特定方法は法的に有効か?
など、専門家でなければ見落としてしまいがちなポイントが数多く存在するからです。せっかく作った遺言書が、わずかな不備で無効になってしまったり、かえって家族間の争いの種になったりしては元も子もありません。
私たち、いがり綜合事務所は、川崎市・横浜市を中心に、相続に関するご相談を数多くお受けしている司法書士事務所です。豊富な経験と知識に基づき、お客様一人ひとりのご希望やご家族への想いを丁寧にお伺いし、将来にわたって安心できる、最適な遺言書の作成をサポートいたします。当事務所の遺言書作成業務についても、ぜひご覧ください。
初回のご相談は無料です。「まずは話だけ聞いてみたい」という方も、どうぞご安心ください。平日夜間や土日祝のご相談にも対応しておりますので、まずはお気軽にいがり円満相続相談室へのお問い合わせはこちらからご連絡ください。あなたと、あなたの大切なご家族のために、私たちが全力でサポートいたします。

司法書士・行政書士・社会保険労務士いがり綜合事務所の司法書士 猪狩 佳亮(いがり よしあき)です。神奈川県川崎市で生まれ育ち、現在は遺言や相続のご相談を中心に、地域の皆さまの安心につながるお手伝いをしています。8年の会社員経験を経て司法書士となり、これまで年間100件を超える相続案件に対応。実務書の執筆や研修の講師としても活動しています。どんなご相談も丁寧に伺いますので、気軽にお声がけください。
相続登記の費用はいくら?司法書士の見積り事例を公開
相続登記の費用、総額でいくら?費用の内訳を解説
「親から相続した実家の名義変更(相続登記)をしたいけど、司法書士に頼むと一体いくらかかるんだろう…」
多くの方が、専門家への依頼を考えたときに、まず費用のことで不安に思われるのではないでしょうか。料金が不透明だと、相談するのもためらってしまいますよね。
ご安心ください。相続登記にかかる費用は、大きく分けて次の2つの要素で構成されています。この仕組みさえ分かれば、費用の全体像がクリアになります。
- ①司法書士への報酬:手続きを代行する専門家へ支払う手数料
- ②登録免許税などの実費:ご自身で手続きしても必ずかかるお金
総額費用は、この「①司法書士報酬」と「②実費」を合計した金額になります。まずは、それぞれの内容について詳しく見ていきましょう。

①司法書士への報酬:手続き代行にかかる専門家費用
司法書士の報酬は、相続登記という専門的で煩雑な手続きを、あなたに代わって正確かつスムーズに進めるための「代行手数料」です。具体的には、以下のような業務に対する対価となります。
- 亡くなった方の出生から死亡までの戸籍謄本などの収集
- 相続人を確定させるための相続関係説明図(または法定相続情報一覧図)の作成
- 誰がどの財産を相続するかを決める遺産分割協議書の作成
- 法務局へ提出する登記申請書の作成
- 法務局とのやり取り、登記申請の代行
相続登記の司法書士報酬の一般的な相場は、5万円~15万円程度と言われることが多いですが、これはあくまで目安です。不動産の数や評価額、相続人の人数、手続きの複雑さなどによって変動します。
当事務所では、お客様に安心してご依頼いただけるよう、基本報酬の算定基準を明確にしております。詳しい料金については、料金一覧のページもご参照ください。
②登録免許税などの実費:ご自身でやっても必ずかかる費用
実費は、司法書士の利益になるものではなく、手続きを進める上で必ず発生する経費です。これは、たとえご自身ですべての手続きをされたとしても、同じようにかかります。
実費の中で最も大きな割合を占めるのが「登録免許税」です。これは、不動産の名義変更をする際に、法務局へ納める税金です。
登録免許税の計算方法は、以下の通りです。
登録免許税 = 不動産の固定資産税評価額 × 0.4%
例えば、固定資産税評価額が2,000万円の土地と建物を相続した場合、登録免許税は「2,000万円 × 0.4% = 8万円」となります。
その他にも、以下のような実費がかかります。
- 戸籍謄本・住民票などの取得費用:1通あたり数百円程度
- 登記事項証明書(登記簿謄本)の取得費用:1通あたり600円程度
- 郵送費・交通費など:数千円程度
これらの実費は、司法書士が手続きを進める中で立て替え、最終的に報酬と合わせてご請求させていただくのが一般的です。
【事例で見る】当事務所の相続登記お見積り例を公開
「費用の仕組みは分かったけど、結局うちの場合はいくらになるの?」
そう思われる方のために、当事務所でよくご相談いただくケースを基にしたお見積り例を具体的にご紹介します。ご自身の状況と見比べながら、費用の目安として参考にしてみてください。
※ご注意:以下のお見積りは司法書士報酬のみです。別途、登録免許税や戸籍謄本取得手数料、登記事項証明書、郵送代などの実費が必要となります。当事務所のお見積りは無料ですので、正確な費用が知りたい方はお気軽にお問い合わせください。

事例1:ご自宅不動産のみを相続(相続人3名)
まず、最もご相談の多い一般的なケースです。
<ご相談の状況>
- 亡くなったお父様名義のご自宅(土地・建物)を相続した。
- 遺言書はない。
- 相続人は、お母様と子2人の合計3名。
- 家族で話し合い、ご自宅はお母様が相続することで合意している。
- 預貯金などの相続手続きは自分たちで行う予定。
このケースでは、お客様が「どこまでご自身で手続きされるか」によって、3つのプランでお見積りをご提示できます。
| プラン | 報酬内訳 | 合計(税込) |
|---|---|---|
| すべて丸投げプラン | 戸籍取得(33,000円) 法定相続情報(11,000円) 遺産分割協議書(55,000円) 相続登記(49,500円) | 148,500円 |
| 戸籍は自分で取得プラン | 法定相続情報(11,000円) 遺産分割協議書(55,000円) 相続登記(49,500円) | 115,500円 |
| 戸籍・法定相続情報一覧図は 自分で取得プラン | 遺産分割協議書(55,000円) 相続登記(49,500円) | 104,500円 |
| 登記申請だけお任せプラン | 相続登記(49,500円) | 49,500円 |
このように、ご自身で一部の手続きを行っていただくことで、司法書士報酬を抑えることが可能です。もちろん、面倒な手続きはすべて専門家に任せたいというご要望にもしっかりお応えします。
事例2:複数の不動産を相続(相続人5名)
次に、相続人が多く、不動産も複数ある少し複雑なケースを見てみましょう。
<ご相談の状況>
- 亡くなったお父様名義のご自宅(川崎市)と、投資用不動産(都内)を相続した。
- 遺言書はない。
- 相続人は、お母様と子4人の合計5名。
- 話し合いの結果、ご自宅はお母様が、投資用不動産は長男が相続することになった。
- 預貯金などの手続きは自分たちで行う予定。
このケースでも、お客様のご希望に合わせてプランをお選びいただけます。
| プラン | 報酬内訳 | 合計(税込) |
|---|---|---|
| すべて丸投げプラン | 戸籍取得(38,500円) 法定相続情報(13,200円) 遺産分割協議書(55,000円) 相続登記2か所(99,000円) | 205,700円 |
| 戸籍は自分で取得プラン | 法定相続情報(13,200円) 遺産分割協議書(55,000円) 相続登記2か所(99,000円) | 167,200円 |
| 戸籍・法定相続情報一覧図は 自分で取得プラン | 遺産分割協議書(55,000円) 相続登記2か所(99,000円) | 154,000円 |
| 登記申請だけお任せプラン | 相続登記2か所(99,000円) | 99,000円 |
相続人の人数が増えたり、不動産の管轄法務局が複数にまたがったりすると、その分手続きが複雑になるため報酬が加算されますが、当事務所では一つひとつの業務内容を明確にご提示し、ご納得いただいた上で手続きを進めてまいります。
費用が不安な方へ。専門家に依頼する3つのメリット
具体的な費用を見て、「やっぱり専門家に頼むと結構かかるな…」と感じた方もいらっしゃるかもしれません。しかし、費用を支払ってでも専門家に依頼することには、それを上回る大きなメリットがあります。

1. 面倒な戸籍集めや書類作成から解放される
相続手続きで多くの方が最初につまずくのが「戸籍謄本の収集」です。亡くなった方の出生から死亡までの一連の戸籍を集める必要があり、本籍地が何度も変わっている場合は、全国各地の役所に請求しなければなりません。
平日の日中に役所の窓口へ行ったり、郵送での請求手続きをしたり…お仕事をされている方にとっては、かなりの時間と労力がかかります。司法書士に依頼すれば、こうした煩雑な作業をすべて代行しますので、あなたは本来やるべき仕事やご自身の生活に集中することができます。
2. 法務局とのやり取りもスムーズでミスなく完了する
相続登記の申請書類は専門性が高く、少しでも不備があると法務局から補正(修正)の指示があり、そのたびに手続きが止まってしまいます。何度も法務局に足を運ぶことになり、完了までに予想以上の時間がかかってしまうケースも少なくありません。
登記の専門家である司法書士に任せれば、法的な要件をすべて満たした完璧な書類を作成し、申請から完了までスムーズに進めることができます。2024年4月からは相続登記が義務化され、正当な理由なく放置すると過料の対象となる可能性もあります。確実な手続きのためにも、専門家の活用をご検討ください。
3. 相続手続きの不安やストレスから解放される
大切なご家族を亡くされた悲しみの中で、慣れない手続きを進めるのは精神的にも大きな負担です。「この書類で合っているのだろうか」「手続きの進め方が分からない」といった不安やストレスは、想像以上に大きいものです。
そんなとき、専門家が羅針盤のように進むべき道を示し、正確に手続きをリードしてくれる存在がいることは、何よりの「安心」に繋がります。私たち司法書士は、単に手続きを代行するだけでなく、お客様の心に寄り添い、不安を和らげることも大切な役割だと考えています。
相続登記の費用でお悩みなら、まずは無料相談をご利用ください
この記事を読んで、相続登記の費用について、少しでもクリアになったでしょうか。
具体的な見積もり事例をご紹介しましたが、相続は一つとして同じケースはありません。あなたの状況に合わせた正確な費用を知ることが、不安を解消する一番の近道です。
「まずは概算費用だけ知りたい」
「うちのケースだと総額でいくらくらいになる?」
そんなご要望にお応えするため、当事務所では相続に関する初回のご相談・お見積りを無料で承っております。費用が不安で相談をためらっている方こそ、ぜひ一度ご連絡ください。無理にご依頼を勧めることは一切ありませんので、安心してご利用いただけます。
当事務所は、司法書士である代表の猪狩 佳亮が原則として最初から最後まで直接ご対応し、お一人おひとりに寄り添ったサポートをお約束します。平日夜間や土日祝のご相談にも対応しておりますので、お仕事でお忙しい方もお気軽にお問い合わせください。
あなたの相続手続きが円満に進むよう、全力でサポートさせていただきます。

司法書士・行政書士・社会保険労務士いがり綜合事務所の司法書士 猪狩 佳亮(いがり よしあき)です。神奈川県川崎市で生まれ育ち、現在は遺言や相続のご相談を中心に、地域の皆さまの安心につながるお手伝いをしています。8年の会社員経験を経て司法書士となり、これまで年間100件を超える相続案件に対応。実務書の執筆や研修の講師としても活動しています。どんなご相談も丁寧に伺いますので、気軽にお声がけください。
相続登記の書類に有効期限は?戸籍・印鑑証明書はいつまで有効
相続登記の必要書類に有効期限はある?【結論】
「相続登記に必要な戸籍謄本や印鑑証明書には、有効期限があるのでしょうか?」
相続手続きを進める中で、多くの方がこのような疑問を抱かれます。特に、ご自身で書類を集めようとされている方や、以前の相続で取得した古い書類が手元にある方は、期限切れで使えないのではないかとご不安に思われることでしょう。
まず結論からお伝えします。不動産の相続登記(名義変更)のために法務局へ提出する戸籍等について、法令上「発行後の有効期限」は定められていません。ただし、実務上は相続開始時点以降に取得された戸籍や、内容の変更がないことが重要であり、法務局の判断により新しい書類の提出を求められる場合もあります。
原則、戸籍謄本や印鑑証明書に有効期限はない
相続登記では、亡くなられた方(被相続人)の出生から死亡までの戸籍謄本や、相続人全員の現在の戸籍謄本、印鑑証明書、住民票など、多くの公的な書類が必要となります。
これらの書類について、法務局は「発行後〇ヶ月以内のもの」といった有効期限を定めていません。戸籍謄本等の過去の身分関係を証明する書類は、内容に変更がなければ古いものでも使用できることが多いです。
ただし、これはあくまで「法務局での相続登記」に限った話です。預貯金の解約など、金融機関での手続きでは有効期限が設けられている場合がほとんどですので、その点は注意が必要です。この記事で詳しく解説していきます。
なぜ有効期限がないのか?その理由を解説
「どうして相続登記では、書類の有効期限が定められていないの?」と不思議に思われるかもしれませんね。これには、それぞれの書類が持つ「証明する目的」に理由があります。
- 戸籍謄本・除籍謄本・改製原戸籍
これらの書類は、「いつ誰が生まれ、誰と結婚し、いつ亡くなったか」といった過去の身分関係の事実を証明するためのものです。過去の事実は未来永劫変わることがないため、何年前に発行されたものであっても、その証明力は失われません。 - 印鑑証明書
遺産分割協議書に押印された実印が本人のものであることを証明するために印鑑証明書を添付します。実務上は、遺産分割協議を行った時点の印鑑証明書を添付するのが一般的です。相続登記では発行日からの期限はありません。
このように、法務局での手続きは、過去から現在に至るまでの権利関係を正確に記録することが目的であるため、書類の鮮度よりも内容の正確性が重視されるのです。
【書類別】有効期限はないが注意が必要なケース
「有効期限はない」というのが大原則ですが、実務上は「事実上、新しいものでないと使えない」というケースがいくつか存在します。書類集めで失敗しないために、以下のポイントをしっかり押さえておきましょう。

相続人の戸籍謄本:被相続人の死亡日以降に取得
相続人の現在の戸籍謄本は、有効期限こそありませんが、「被相続人が亡くなった日以降に取得したもの」でなければなりません。
なぜなら、この戸籍謄本は「相続が開始した時点(=被相続人が亡くなった時点)で、その相続人が確かに生存していたこと」を証明するために必要だからです。万が一、被相続人より先に相続人が亡くなっていた場合、相続関係が変わってきます。そのため、亡くなった日よりも前に取得した古い戸籍謄本は使えず、取り直しが必要になります。
固定資産評価証明書:登記申請年度のものを使用
不動産の相続登記を申請する際には、登録免許税という税金を納める必要があります。この税額は、不動産の評価額を基に計算されます。
その評価額を証明するのが「固定資産評価証明書」ですが、これは登録免許税の算定基礎となるため、登記を申請する年度の評価額が記載された証明書を用いるのが一般的です。自治体によって発行時期や「年度」の定義が異なる場合があるため、申請前に管轄の市区町村役場で最新の証明書の取得時期をご確認ください。
なお、役所でいう「年度」は、毎年4月1日から翌年3月31日までが一区切りとなります。例えば、2025年5月に登記申請をする場合は、2025年度(令和7年度)の証明書が必要です。
住民票・戸籍の附票:現住所が記載されていること
不動産を相続する新しい名義人の方の住民票(または戸籍の附票)も必要です。これにも有効期限はありませんが、「現在の正しい住所が記載されていること」が絶対条件です。
登記簿には、新しい所有者の氏名と住所が記録されます。もし引っ越し前の古い住所が記載された住民票を提出してしまうと、誤った情報が登記されてしまうため、受け付けてもらえません。必ず、最新の住所が記載されたものを準備しましょう。
ニ次相続で古い書類は使える?実際の相談事例
「以前の相続で使った書類が、今回の相続でも使えますか?」
これは、特にお父様が亡くなり相続手続きが済んだのちに、お母様に相続が発生した(このようなケースを「ニ次相続」といいます)ご家庭からよくいただくご質問です。先日も、まさにこのようなご相談がありました。
司法書士・猪狩の経験談:10年越しの相続登記で直面した書類の疑問
ご相談に来られたのは、10年前にお父様が亡くなった際の相続登記を当事務所でお手伝いしたAさんでした。このたびお母様が亡くなられ、再びご実家の不動産について相続登記のご依頼をいただいたのです。
Aさんは、「10年前の相続で集めた戸籍謄本一式が手元にあるのですが、今回の母の相続で使えるものはありますか?あと、遺産分割協議で使う印鑑証明書が、もうすぐ発行から5ヶ月経ってしまうのですが、期限は大丈夫でしょうか?」と、書類の有効期限について心配されていました。
Aさんのように、過去の相続で取得した書類が手元にある場合、どれが流用できて、どれが取り直しになるのか、判断に迷われるのは当然のことです。この事例をもとに、具体的に解説していきましょう。(※本事例は、依頼者のプライバシー保護のため、個人が特定できないよう内容を一部変更・一般化しております。)

使える書類:除籍謄本・改製原戸籍は流用可能
Aさんのケースでは、10年前のお父様の相続で取得した書類のうち、以下のものは今回の相続登記でもそのまま流用できます。
- お母様の婚姻からお父様の死亡時までの戸籍謄本
- その他、内容に変更がない過去の戸籍(改製原戸籍など)
先ほどご説明した通り、戸籍は過去の事実を証明するものであり、その内容は変わりません。お父様が亡くなられた時点で取得した戸籍は、今回の「お母様の相続人」を確定させる過程でも必要となるため、10年前に取得したものであっても問題なく使えるのです。これにより、書類の再取得にかかる手間と費用を節約することができます。
使えない・取り直しが必要な書類
一方で、Aさんには以下の書類を新たに取り直していただく必要がありました。
- お母様の出生から婚姻までのすべての戸籍謄本・除籍謄本
今回の相続の被相続人はお母様ですので、お母様の生涯を証明する戸籍一式が必要となります。婚姻後のものはお父様のものと共通なのですが、お母様の出生~婚姻前の取得が必要になりました。 - 相続人(Aさん)の現在の戸籍謄本
前述の通り、「お母様が亡くなった日以降」に発行された、Aさんが生存していることを証明するための戸籍謄本が必要です。 - 不動産を相続する方の住民票
現在の住所を証明するため、最新のものが必要です。 - 最新年度の固定資産評価証明書
登記申請年度の登録免許税を計算するために必要です。
また、Aさんが心配されていた印鑑証明書については、「相続登記に限っては有効期限がないので、5ヶ月前のものでも大丈夫ですよ」とお伝えしました。ただし、銀行手続きを先に行う場合は注意が必要なため、次の章で詳しく解説します。
相続登記とその他の手続きでの期限の違い
「相続登記では有効期限がない」と聞いて安心されたかもしれませんが、一つ大きな注意点があります。それは、他の相続手続きでは、厳しい有効期限が設けられていることが多いという点です。特に金融機関での手続きは、法務局とはルールが全く異なります。

金融機関(銀行・証券会社):3ヶ月~6ヶ月の期限が多い
預貯金の解約や株式の名義変更といった手続きでは、ほとんどの金融機関が「発行後3ヶ月以内」または「発行後6ヶ月以内」の戸籍謄本や印鑑証明書の提出を求めてきます。
これは、金融機関が取引の安全性を非常に重視するためです。時間が経つと相続関係に変動(相続人の誰かが亡くなるなど)が生じる可能性もゼロではないため、できる限り最新の情報で本人確認と相続関係の確認を行いたいと考えているのです。
もし相続手続きを「まず預貯金の解約から始めて、不動産はその後で」と考えている場合は、書類の有効期限に注意し、計画的に進める必要があります。
税務署(相続税申告):有効期限の定めはないが注意
相続税の申告のために税務署へ提出する書類については、相続登記と同様に、国税庁が定める「有効期限」は明示されていません。ただし、申告内容を証明する重要な書類ですので、内容が明確に読み取れる状態であることはもちろん、実務上、最新の情報を求められる場合もあります。ご不明な点は、税務署や税理士にご確認ください。
【注意】書類の有効期限と「登記申請の期限」は別物です
ここまで「書類の有効期限」について解説してきましたが、これと混同してはいけないのが「相続登記の申請期限」です。
2024年4月1日に施行された改正不動産登記法により相続登記が義務化され、「自己のために相続の開始があったことを知り、かつ、当該所有権を取得したことを知った日から3年以内」に相続登記を申請することが義務付けられました。正当な理由なくこの義務を怠った場合、10万円以下の過料が科される可能性があります。詳細は法務省のウェブサイト等でご確認ください。
つまり、「提出する書類に有効期限はないから、いつでもいいや」というわけでは決してありません。相続が発生したら、3年という期限内に登記を完了させる必要があるのです。この点については、相続登記の義務化とは?罰則(過料)や期限を専門家が解説の記事でも詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。
参考:【法務省/相続登記の義務化】不動産を相続したらかならず …
書類の期限や集め方で迷ったら専門家へ相談を
この記事では、相続登記における書類の有効期限について、詳しく解説してきました。
原則として有効期限はないものの、実務上は注意が必要な書類があること、金融機関の手続きとはルールが違うこと、そして登記申請自体には3年という期限があることなど、ご理解いただけたかと思います。
特に、ニ次相続のように複数の相続が重なっているケースでは、「この戸籍は使えるのか」「新たに取り直すべきか」といった判断が非常に複雑になりがちです。ご自身で判断して進めた結果、法務局で不備を指摘されてしまい、何度も役所に足を運ぶことになっては、時間も労力も無駄になってしまいます。
相続登記の書類集めや有効期限の判断で少しでもご不安な点があれば、お近くの司法書士にご相談ください。どの書類が必要で、どれが流用できるのかを正確に判断し、煩雑な手続きの代行を依頼することも可能です。お客様の心のご負担を軽くし、円満な相続の実現に向けた支援をさせていただきます。
当事務所では、相続に関する初回のご相談は無料でお受けしております。どうぞお気軽にお問い合わせください。
【事務所情報】
事務所名:司法書士・行政書士・社会保険労務士いがり綜合事務所
代表司法書士:猪狩 佳亮(神奈川県司法書士会所属)
所在地:神奈川県川崎市川崎区宮前町12番14号 シャンボール川崎505号

司法書士・行政書士・社会保険労務士いがり綜合事務所の司法書士 猪狩 佳亮(いがり よしあき)です。神奈川県川崎市で生まれ育ち、現在は遺言や相続のご相談を中心に、地域の皆さまの安心につながるお手伝いをしています。8年の会社員経験を経て司法書士となり、これまで年間100件を超える相続案件に対応。実務書の執筆や研修の講師としても活動しています。どんなご相談も丁寧に伺いますので、気軽にお声がけください。
権利証(登記識別情報)がない!紛失時の対処法を専門家が解説
権利証をなくした…!まず落ち着いて状況を確認しましょう
「家の権利証が見当たらない…」「どこを探してもない、もしかして盗まれた?」
大切な不動産の権利証(登記識別情報)が見つからないと、血の気が引くような思いがして、夜も眠れないほど不安になりますよね。悪用されて、知らない間に家を乗っ取られてしまうのではないかと、悪い想像ばかりが膨らんでしまうかもしれません。
でも、どうか少し落ち着いてください。権利証をなくしたからといって、すぐに不動産の所有者としての権利を失うわけではありません。
この記事では、相続専門の司法書士である私が、権利証を紛失してしまったときの正しい対処法を、順を追って分かりやすく解説します。この記事を最後までお読みいただければ、今あなたが何をすべきで、今後どのような手続きが必要になるのかが明確になり、きっと安心していただけるはずです。
司法書士が解説!権利証紛失でよくあるご相談事例
先日、10年以上前に相続手続きをお手伝いしたお客様から、慌てたご様子で一本のお電話がありました。
「先生、大変です!権利証(登記識別情報通知)がどこにもないんです。警察に届けた方がいいでしょうか?」
お話を伺うと、最後に見たのがいつかもはっきりせず、5年以上前かもしれないとのこと。鍵のかからないタンスに保管していたはずが、忽然と消えてしまったというのです。ご不安な気持ちがひしひしと伝わってきました。
私はまず、お客様に落ち着いていただくために、次のようにお伝えしました。
「最近ご自宅に誰かが侵入した形跡などがない限り、今すぐ警察に行っても、紛失届として受理されるだけで、積極的な捜査は期待できないかもしれません。もっと大切なのは、万が一に備えて、権利証が悪用されないように手を打つことです。」
そして、重要な事実を説明しました。
「実は、権利証(登記識別情報通知)だけでは、不動産の名義を勝手に変えることは難しいです。通常の売買や贈与といった名義変更では、ご本人様の実印と印鑑証明書が必要になるからです。ただし、登記の種類や手続きによっては必要書類が異なる場合もありますので、一概には言えませんが、まずはご安心ください。」
この言葉に、お客様は電話口でほっと息をつかれたようでした。
「ただ…」と私は続けます。
「最近は巧妙な手口で印鑑証明書を偽造するような犯罪グループもいます。もし、どうしてもご心配で、夜も眠れないということであれば、権利証の暗号部分を無効にする『失効申出』という手続きがあります。これをすれば、たとえ権利証が誰かの手に渡っても、悪用される心配はなくなります。」
ただし、この手続きには注意点もあります。
「一度失効させると、後から権利証が見つかっても二度と元には戻せません。将来、ご自宅を売却したり、お子様に贈与したりする際には、別の方法で本人確認をする必要があり、少し費用がかかります。まずはもう一度、心当たりのある場所をよく探してみてから判断されても遅くはありませんよ。」
このご説明の結果、お客様は「やはり不安なので」と、登記識別情報の失効申出をご依頼されました。手続きを終えた後、「これで安心して眠れます」と仰っていただけたのが、何よりでした。
このように、権利証の紛失は誰にでも起こりうることです。大切なのは、パニックにならず、正しい知識を持って、適切な対応をとることなのです。
「権利証」と「登記識別情報」は何が違う?基本を整理
「権利証」と一括りにされがちですが、実は年代によって形式が異なります。ご自身がどの書類をなくしたのかを把握するためにも、ここで基本を整理しておきましょう。
不動産登記法が改正された2005年(平成17年)を境に、従来の「登記済証(いわゆる権利証)」から、新しい「登記識別情報」へと切り替わりました。

| 種類 | 通称 | 発行時期 | 見た目の特徴 |
|---|---|---|---|
| 登記済証 | 権利証 | 2005年(平成17年)頃まで | 登記申請書の副本に「登記済」という赤いハンコが押されている書類。法務局の受付印などがある。 |
| 登記識別情報通知 | (新しい権利証) | 2005年(平成17年)頃から現在まで | A4サイズの緑色の紙で、下部に目隠しシールが貼られている。シールを剥がすと12桁の英数字(パスワード)が記載されている。 |
昔からお持ちの不動産であれば「登記済証」、比較的最近に不動産を取得(購入、相続、贈与など)したのであれば「登記識別情報通知」のはずです。どちらも不動産の所有者であることを示す大切な書類ですが、紛失した場合の対応は基本的に同じです。
【重要】権利証や登記識別情報は再発行できません
まず、最も大切なことをお伝えします。登記済証も登記識別情報も、一度紛失してしまうと、絶対に再発行することはできません。
これは、銀行のキャッシュカードの暗証番号と同じで、もし簡単に再発行できてしまうと、なりすましによる不正な不動産取引に使われるリスクが高まってしまうためです。
「再発行できないなんて、どうすれば…」と不安に思われたかもしれません。でも、ご安心ください。再発行はできませんが、権利証がなくても不動産の手続きを進めるための代替手段がきちんと用意されています。詳しくは後ほど解説しますので、まずは「再発行はされない」という事実だけ、しっかり覚えておいてください。
紛失・盗難による悪用を防ぐ2つの公的制度
権利証を紛失した場合、最も心配なのは「誰かに悪用されてしまうのではないか」という点だと思います。その不安を解消し、不正な登記を防ぐために、法務局には2つの公的な制度が用意されています。
ご自身の状況に合わせて、どちらの制度を利用すべきか検討しましょう。
【選択肢1】登記識別情報を無効化する「失効申出」
「失効申出」とは、その名の通り、登記識別情報が持つパスワードとしての効力を完全に失わせる(無効化する)手続きです。
この申出をすると、たとえ後から紛失した登記識別情報通知が見つかったとしても、その12桁のパスワードは二度と登記手続きに使うことができなくなります。これにより、当該登記識別情報を用いた登記手続きが悪用されるリスクを大幅に減らすことができます。
- こんな方におすすめ:
- 盗難された可能性が高い、または情報が漏洩した不安が強い方
- とにかく悪用されるリスクをゼロにして、精神的な安心を得たい方
- 手続き: 不動産の所有者本人またはその代理人(司法書士など)が、管轄の法務局に申し出ます。
- 注意点: 一度失効させると、いかなる理由があっても取り消すことはできません。後から見つかっても、その登記識別情報は使えなくなりますので、慎重に判断する必要があります。
【選択肢2】不審な動きを監視する「不正登記防止申出」
「不正登記防止申出」とは、自分の不動産について、不審な登記申請がなされた場合に、法務局から連絡をもらえるように申し出ておく制度です。
この申出をしておくと、申出後3ヶ月以内に、あなたを登記義務者とする登記申請(例:売買による所有権移転など)があった場合、法務局からその旨の通知が届きます。身に覚えのない申請であれば、すぐに不正な動きを察知し、対応することができます。
- こんな方におすすめ:
- 権利証だけでなく、実印や印鑑証明書も一緒に盗まれたなど、不正な登記がされる差し迫った危険性が高い方
- とりあえずの監視体制を敷いておきたい方
- 手続き: 不動産の所有者本人が、管轄の法務局に出頭して申し出る必要があります。警察への被害届なども求められる場合があります。
- 注意点: 効果は原則として申出から3ヶ月間です。不正な登記申請を直接止める効力はなく、あくまで「通知が来る」という制度です。
参考:不動産登記に関するよくある質問:松山地方法務局 – 法務省
失効申出と不正登記防止申出、どちらを選ぶべき?
どちらの制度を利用すべきか、迷われる方も多いでしょう。判断のポイントを比較表にまとめました。

| 失効申出 | 不正登記防止申出 | |
|---|---|---|
| 目的 | 登記識別情報を完全に無効化する | 不審な登記申請を監視・察知する |
| 効果 | 恒久的(一度手続きすると元に戻せない) | 原則3ヶ月間 |
| おすすめの状況 | ・盗難の可能性が高い・精神的な安心を優先したい | ・実印なども同時に紛失した・差し迫った危険がある |
| 手続き | 司法書士による代理申請が可能 | 原則、本人が法務局に出頭する必要がある |
実務的な観点から申し上げると、「ただ見つからないだけで、盗難の可能性は低い」という場合には、急いでどちらかの手続きをする必要はないケースが多いです。しかし、冒頭の事例のお客様のように、「万が一」を考えて精神的な安心を優先したいという方は、「失効申出」を選択されるのが良いでしょう。
一方で、「不正登記防止申出」は、実印なども含めて危険が迫っている場合の緊急避難的な措置という側面が強い制度です。
どちらがご自身の状況に適しているか、判断に迷う場合は、ぜひ一度専門家にご相談ください。
権利証なしで売却や贈与はできる?3つの代替手段と費用
「権利証がないと、この家はもう売れないの?」
「子どもに家を贈与したいのに、手続きできないの?」
ご安心ください。権利証(登記識別情報)がなくても、不動産の売却、贈与、相続などの登記手続きを行うことは可能です。そのための代替手段が3つ用意されています。

方法1:司法書士による「本人確認情報」の作成
これは、最も一般的で確実な方法です。司法書士が、登記を申請する方が「間違いなく不動産の所有者ご本人である」ことを証明する書類(=本人確認情報)を作成し、権利証の代わりに法務局へ提出します。
司法書士は、運転免許証などの本人確認書類の確認に加え、ご本人との面談を通じて、不動産を取得した経緯や不動産に関する情報などを質問させていただき、ご本人に間違いないことを確認します。この厳格なプロセスにより、登記の安全性が担保されるのです。
- メリット: 手続きがスムーズで確実。特に不動産売買のように、決済日(代金の支払い日)に確実に名義変更を完了させる必要がある場面では、ほぼこの方法が使われます。
- デメリット: 司法書士への報酬(費用)がかかります。
- 費用の目安: 5万円~10万円程度が一般的ですが、不動産の評価額や事案の複雑さによって変動します。
方法2:法務局からの通知を待つ「事前通知制度」
これは、権利証がない状態で登記申請を行った後、法務局から不動産の所有者本人に対して、「このような登記申請がありましたが、間違いありませんか?」という確認の通知を送ってもらう制度です。
通知は「本人限定受取郵便」という特殊な郵便で届きます。受け取った書類に記載された方法に従い、期限内(通常2週間以内)に法務局へ申し出をすることで、登記手続きが進みます。この際、通知書に署名し、実印を押して返送するよう求められることが一般的です。
- メリット: 司法書士への本人確認情報の作成費用がかからないため、コストを抑えられます。
- デメリット:
- 通知の発送・返送に時間がかかり、手続き完了まで日数を要します。
- 不動産売買の決済(代金授受と同時に名義変更)には、時間的な問題で利用できません。
- 期限内に返送し忘れると、登記申請が却下されてしまいます。
方法3:公証役場での「委任状等の認証」
これは、公証役場に出向き、公証人の面前で司法書士への委任状などに署名・押印し、その書類が「本人の意思によって作成されたものである」という認証を受ける方法です。
この認証を受けた書類を、権利証の代わりに法務局へ提出します。
- メリット: 司法書士による本人確認情報の作成よりは、費用が安価になる場合があります。
- デメリット: ご本人が公証役場まで出向く手間がかかります。また、この方法に対応している司法書士が限られる場合もあります。
どの方法が最適かは、ご状況や今後のご予定によって異なります。特に不動産取引を控えている場合は、安全かつスムーズに進めるためにも、方法1の「司法書士による本人確認情報の作成」を選択するのが一般的です。
権利証の紛失でお困りなら、まずは専門家にご相談ください
権利証(登記識別情報)を紛失した際の対応は、ただ書類が見つからないだけなのか、盗難の可能性があるのか、近々不動産を売却する予定があるのかなど、お客様一人ひとりの状況によって最適な選択肢が変わってきます。
ご自身で判断して手続きを進めることも不可能ではありませんが、誤った対応をしてしまうと、後で余計な手間や費用がかかってしまう可能性もあります。
私たち、司法書士・行政書士・社会保険労務士いがり綜合事務所(神奈川県川崎市川崎区宮前町12番14号)は、川崎市・横浜市を中心に、これまで数多くの不動産登記や相続手続きに携わってまいりました。代表の猪狩佳亮(神奈川県司法書士会所属)が、皆様からのご相談をお受けします。
例えば、相続が発生した際に権利証が見つからないというケースは非常によくあります。そのような場合でも、相続人様の確定から遺産分割協議書の作成、そして権利証がない状態での相続登記を含む各種相続手続きまで、私たちがワンストップで対応することが可能です。
「どうしたらいいか分からない」「話だけでも聞いてほしい」
そんな時は、一人で抱え込まずに、どうぞお気軽に当事務所の無料相談をご利用ください。あなたの不安な心に寄り添い、最善の道筋を一緒に見つけさせていただきます。

司法書士・行政書士・社会保険労務士いがり綜合事務所の司法書士 猪狩 佳亮(いがり よしあき)です。神奈川県川崎市で生まれ育ち、現在は遺言や相続のご相談を中心に、地域の皆さまの安心につながるお手伝いをしています。8年の会社員経験を経て司法書士となり、これまで年間100件を超える相続案件に対応。実務書の執筆や研修の講師としても活動しています。どんなご相談も丁寧に伺いますので、気軽にお声がけください。
