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自筆証書遺言で相続登記|検認手続きを経て相続登記を申請した解決事例

2025-12-03

【司法書士の解決事例】父の遺品から自筆証書遺言が…相続人は疎遠な兄弟

「父が亡くなり、実家の遺品を整理していたら、便箋に書かれた遺言書らしきものが出てきたんです。どうすれば…」

先日、お父様を亡くされたご長男が、少し強張った表情でご相談にいらっしゃいました。

お母様はすでにお亡くなりになっており、相続人はご長男を含めた3人兄弟。お父様は実家で一人暮らしをされていました。ご相談者である長男と、同じ神奈川県内にお住まいの二男とは普段から交流があるものの、三男は九州で働いており、もう何年もほとんど連絡を取っていないとのこと。

発見された遺言書は封筒には入っておらず、誰にも知らされていなかったそうです。

「この遺言書を使って、実家の不動産の名義変更(相続登記)をしたいのですが、何から手をつければいいのか全く分かりません。特に、ほとんど付き合いのない弟に、どうやってこの話を切り出せばいいのか…」

突然見つかった遺言書と、疎遠なご兄弟の存在。手続きを進めたい気持ちと、どう動けばいいか分からない不安が入り混じっているご様子でした。

このようなケースは、決して珍しいことではありません。自筆証書遺言が見つかった場合、たとえご家族であっても、すぐに開封したり、手続きを進めたりすることはできません。法律で定められた正しい手順を踏む必要があります。

この記事では、このご相談事例のように、自宅で発見された自筆証書遺言を使って相続登記を進める手順と、多くの方がつまずきがちな「連絡が取れない相続人がいる」「遺言執行者がいない」といった壁の乗り越え方を、相続専門の司法書士が分かりやすく解説します。

まず落ち着いて!自筆証書遺言を発見したらやるべき最初の一歩

ご自宅などで自筆証書遺言を見つけたら、驚きや戸惑いから、すぐに中身を確認したくなるかもしれません。しかし、まず深呼吸をして、落ち着いて行動することが大切です。間違った対応をしてしまうと、後の手続きが複雑になったり、思わぬトラブルを招いたりする可能性があるからです。

注意:封筒入りの遺言書は、その場で開封しない

もし遺言書が封筒に入っていて、封がされている場合、絶対にその場で開封してはいけません。

法律(民法第1004条3項)では、封印のある遺言書は、家庭裁判所で相続人らの立会いのもとでなければ開封できないと定められています。これは、誰かが遺言書を偽造したり、書き換えたりすることを防ぎ、遺言書の状態をそのまま保全するための大切なルールです。

もし、家庭裁判所以外で開封してしまうと、5万円以下の過料(行政上のペナルティ)が科される可能性があります。ただし、万が一開封してしまったとしても、それだけで遺言書が無効になるわけではありませんので、過度に心配せず、正直に専門家へご相談ください。

封筒に入っていない遺言書の場合も、発見時の状態を保つことが重要です。スマートフォンなどで写真を撮っておくと、後々の手続きで役立つことがあります。

最初の手続きは家庭裁判所での「検認」申立て

自筆証書遺言(法務局で保管されていなかったもの)を発見した場合、最初に行うべき法的な手続きが、家庭裁判所での「検認(けんにん)」です。

検認とは、相続人に対し遺言の存在とその内容を知らせるとともに、遺言書の形状、日付、署名など、その時点での遺言書の状態を明確にして、偽造・変造を防ぐための手続きです。よく誤解されがちですが、検認は遺言の内容が有効か無効かを判断するものではありません。

この遺言書の検認手続きを経て、「検認済証明書」が付いた遺言書がなければ、不動産の相続登記や、預貯金の解約・名義変更など、ほとんどの相続手続きを進めることができません。つまり、検認は自筆証書遺言を使った相続手続きのスタートラインなのです。

申立ては、亡くなった方(被相続人)の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に対して行います。

【3ステップ】遺言書検認から相続登記までの全手順

ここからは、実際に家庭裁判所での検認申立てから、不動産の名義変更(相続登記)が完了するまでの流れを、3つのステップに分けて具体的に解説します。

ステップ1:家庭裁判所へ検認の申立て【約1〜2ヶ月】

検認手続きは、必要書類を揃えて家庭裁判所に申し立てることから始まります。

【主な必要書類】

  • 申立書
  • 当事者目録(相続人全員のリスト)
  • 遺言書のコピー(または原本)
  • 被相続人(亡くなった方)の出生から死亡までの連続した戸籍謄本(除籍謄本、改製原戸籍謄本)
  • 相続人全員の現在の戸籍謄本
  • 収入印紙、郵便切手 など

特に大変なのが、被相続人の出生まで遡る戸籍謄本の収集です。本籍地を何度も変えている方の場合、複数の役所から取り寄せなければならず、非常に手間と時間がかかります。

申立てが受理されると、家庭裁判所から相続人全員に対して、検認を行う日時(検認期日)が記載された通知書が郵送されます。申立てから検認期日までは、おおよそ1ヶ月〜2ヶ月程度かかるのが一般的です。

検認期日当日、申立人は遺言書の原本を持参して家庭裁判所へ行きます。他の相続人は出席してもしなくても構いません。裁判官と書記官の立会いのもと、遺言書が開封され、状態が確認されます。手続き自体は15〜30分程度で終了します。

ステップ2:検認済みの遺言書で相続手続きを開始

検認が終わると、遺言書の原本に「検認済証明書」を付けて返却してもらえます。この証明書付きの遺言書が、相続手続きにおける公的な証明書となります。

しかし、ここで安心してはいけません。前述の通り、検認はあくまで遺言書の「状態」を確認したに過ぎず、その「内容」の有効性を保証するものではありません。

例えば、

  • 財産の記載が曖昧で、どの不動産を指しているか特定できない
  • 日付や署名、押印がないなど、法律上の要件を満たしていない
  • 複数の解釈ができてしまうような表現が使われている

このような場合、せっかく検認を終えても、法務局での登記申請が通らなかったり、金融機関での手続きがストップしてしまったりする可能性があります。この段階で一度、相続の専門家である司法書士に遺言書の内容をチェックしてもらうことをお勧めします。

ステップ3:法務局へ相続登記を申請【約2〜3週間】

いよいよ最終目的である相続登記の申請です。不動産の所在地を管轄する法務局に、登記申請書と必要書類を提出します。

【主な必要書類(遺言書がある場合)】

  • 登記申請書
  • 検認済証明書付きの遺言書
  • 被相続人の死亡が記載された戸籍謄本、住民票の除票
  • 不動産を取得する相続人の戸籍謄本、住民票
  • 固定資産評価証明書
  • (場合によって)遺言執行者の印鑑証明書や、相続人全員の戸籍謄本など

ここで重要なのが、遺言執行者が指定されているかどうか、そして遺言書の文言です。

遺言書に「長男に〇〇の土地建物を相続させる」と書かれている場合、不動産を取得する相続人が単独で登記申請できます。しかし、「第三者に〇〇の土地建物を遺贈する」と書かれている場合は、原則として他の相続人全員(または遺言執行者)の協力が必要となり、手続きが複雑になります。

なお、2024年4月1日から相続登記の義務化が始まっていますので、遺言書で不動産を取得した方は、原則として3年以内に登記申請を行う必要があります。

参考:相続登記の義務化とは?罰則(過料)や期限を専門家が解説

司法書士が相談者の悩みに耳を傾けている様子

よくある2つの壁と司法書士による解決策

自筆証書遺言による相続手続きでは、多くの方が2つの大きな壁に直面します。それは「連絡が取れない相続人の存在」と「遺言執行者がいない」ことです。しかし、ご安心ください。どちらの壁も、専門家のサポートがあれば乗り越えることができます。

壁①:疎遠な相続人・連絡が取れない相続人がいる

冒頭の事例のように、相続人の中に疎遠な方や連絡先が分からない方がいると、「どうやって連絡すれば…」「協力してもらえなかったらどうしよう…」と大きな不安を感じると思います。

まず、検認手続きについては心配いりません。申立てに必要な戸籍謄本を収集する過程で、相続人全員の戸籍上の住所が判明します。そして、家庭裁判所がその住所宛に検認期日の通知書を発送してくれるため、申立人が直接連絡を取る必要はありません。相手が出席するかどうかにかかわらず、検認手続きは進められます。

問題は、検認後の手続きです。司法書士にご依頼いただければ、司法書士が専門家として、今後の手続きについて説明するお手紙を作成し、送付するサポートも行っています。

ご自身でいきなり連絡するよりも、専門家が間に入ることで、相手方も状況を冷静に理解し、スムーズに協力してくれるケースがほとんどです。連絡が取れない相続人がいてお悩みの方も、まずはご相談ください。

参考:連絡が取れない相続人がいる…相続登記義務化と相続人申告登記を解説

壁②:遺言書に遺言執行者の指定がない

自筆証書遺言では、遺言の内容を実現する「遺言執行者」が指定されていないことがよくあります。

「遺言執行者がいないと、手続きは進められないの?」と心配になるかもしれませんが、必ずしもそうではありません。

前述の通り、不動産について「相続させる」という内容の遺言であれば、財産を受け取る相続人が単独で登記申請できるため、遺言執行者は不要です。

一方で、「遺贈する」という内容の場合や、預貯金・株式などの手続きで金融機関から遺言執行者を立てるよう求められた場合は、対応が必要になります。この場合、選択肢は2つです。

  • 相続人全員で協力して手続きを行う
  • 家庭裁判所に「遺言執行者選任の申立て」を行う

相続人同士の関係が良好で、協力が得られるのであれば①の方法で進められます。しかし、疎遠な方がいる場合や、手続きが複雑な場合は、家庭裁判所に申立てを行い、司法書士などの専門家を遺言執行者の候補者として選任してもらう②の方法がスムーズです。

どちらの方法がご自身の状況にとって最適か、専門家が客観的な視点からアドバイスいたします。

【重要】遺言内容の通知は忘れずに!

手続きを進める上で、実務上とても大切でありながら、見落とされがちなことがあります。それは、遺言の内容を、財産をもらわない他の相続人にもきちんと知らせることです。

遺言執行者がいれば、その執行者が全相続人に通知する義務を負いますが、いない場合は、主に財産を取得する相続人がその役割を担うことになります。

「どうせ財産はもらえないのだから、知らせなくてもいいだろう」と考えて連絡を怠ると、後になってから「遺言書の存在を知らなかった」「自分の遺留分(最低限の相続分)が侵害されている」といった主張をされ、損害賠償請求などの思わぬトラブルに発展するリスクがあります。

トラブルを未然に防ぐためにも、遺言の内容や今後の手続きについて、誠意をもって通知しておくことが極めて重要です。どのような文面で、どのタイミングで通知すればよいかについても、専門家がしっかりとサポートしますのでご安心ください。

自筆証書遺言の相続登記、手続きは専門家に任せるべき?

ここまで読んで、「思ったより手続きが大変そうだ…」と感じた方も多いのではないでしょうか。「費用を抑えるために自分でできないか」と考える方もいらっしゃるかもしれませんが、そこにはいくつかのリスクが伴います。

相続手続きの書類の多さに困惑している男性

ご自身で手続きする際のリスクとは

ご自身で手続きを進めようとすると、以下のような壁にぶつかる可能性があります。

  • 複雑な戸籍収集:出生まで遡る戸籍の取得は、慣れていないと非常に時間がかかり、途中で挫折してしまう方も少なくありません。
  • 遺言書の有効性判断:法的な要件を満たしているかどうかの判断は難しく、不備に気づかないまま進めてしまい、後で手続きがやり直しになることも。
  • 相続人とのやり取り:疎遠な相続人との連絡や交渉は、精神的に大きなストレスがかかります。
  • 専門的な折衝:法務局や金融機関の担当者とのやり取りでは、専門用語が多く、話がスムーズに進まないことがあります。
  • 手続きの長期化:書類の不備や確認作業で何度も役所や法務局に足を運ぶことになり、結果的に時間と労力を大きく消耗してしまいます。

司法書士に依頼するメリットと費用の目安

相続を専門とする司法書士に依頼することで、これらのリスクを回避し、多くのメリットを得ることができます。

  • ワンストップで代行:面倒な戸籍収集から、検認申立書類の作成、法務局への登記申請まで、全ての手続きをまとめてお任せいただけます。
  • 法的なチェック機能:遺言書の内容を事前に精査し、スムーズに登記が完了するよう、万全の準備を整えます。
  • 精神的な負担の軽減:他の相続人への連絡なども、ご意向を伺いながらサポートしますので、精神的な負担が大幅に軽くなります。
  • 時間の節約:専門家が正確かつ迅速に手続きを進めるため、ご自身の貴重な時間を本業やお気持ちの整理に充てることができます。

当事務所の遺言書を使った相続登記サポートは、45,000円(税込)~より承っております。もちろん、事案の複雑さによって費用は変動しますが、無料相談の際に、必ず明確なお見積りを提示いたしますのでご安心ください。

司法書士・行政書士・社会保険労務士いがり綜合事務所
代表司法書士 猪狩 佳亮
所属:神奈川県司法書士会
住所:神奈川県川崎市川崎区宮前町12番14号 シャンボール川崎505号

まとめ:複雑な相続手続きは、まず専門家にご相談ください

今回は、ご自宅で発見された自筆証書遺言をもとに、相続登記を完了させるまでの道のりについて解説しました。

遺言書が見つかった場合、まずは慌てずに家庭裁判所の「検認」を受けることが第一歩です。そして、「連絡が取れない相続人がいる」「遺言執行者がいない」といった一見すると高いハードルも、司法書士のような専門家が介入することで、一つひとつ着実にクリアしていくことが可能です。

何より大切なのは、一人で抱え込まないことです。慣れない手続きや疎遠なご親族とのやり取りは、想像以上に心身に負担がかかるものです。

いがり綜合事務所では、代表である司法書士の猪狩が、あなたのお話をじっくりと伺い、不安な心に「安心」を届けられるよう、最適な解決策を一緒に考えます。平日夜間や土日祝のご相談にも対応しておりますので、お仕事でお忙しい方も、まずはお気軽にご連絡ください。

煩雑な手続きは私たち専門家にお任せいただき、あなたは故人を偲ぶ大切な時間をお過ごしください。円満な相続の実現に向けて、私たちが全力でサポートいたします。

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相続放棄したら生命保険金はもらえない?専門家が解説

2025-12-02

【ご相談事例】相続放棄をしたいけど、母が遺してくれた生命保険金は受け取れますか?

先日、お母様を亡くされた長女の方から、このようなご相談がありました。

「母が亡くなりました。母には借金こそありませんが、財産もそれほど多くありません。それに、正直なところ兄とあまり折り合いが良くなく、遺産分割の話し合いをするのが精神的に辛いので、相続放棄を考えています。

ただ、一つだけ気がかりなことがあります。母が、私のために生命保険をかけてくれていたようなのです。もし私が相続放棄をしてしまったら、この死亡保険金も受け取れなくなってしまうのでしょうか…?」

お兄様との関係や将来のことを考え、相続という手続き自体を避けたいというお気持ち。その一方で、お母様が遺してくれた最後の愛情ともいえる生命保険金は、何とか受け取りたい…。その切実な想いがひしひしと伝わってきました。

このようなご心配を抱えている方は、決して少なくありません。そして、このご相談に対する私の答えは、明確です。

ご安心ください。相続放棄をしても、お母様があなたを受取人に指定してくれていた生命保険金は、問題なく受け取ることができます。

ただし、注意すべき点もあります。特に、お母様が入院されていた場合に受け取れる「医療保険の給付金」などは、安易に受け取ってしまうと相続放棄ができなくなる可能性があります。

この記事では、相続放棄をしても生命保険金を受け取れる理由から、注意すべき保険金の種類、税金の問題まで、相続の専門家である司法書士が分かりやすく解説します。あなたの不安が少しでも軽くなるよう、丁寧にご説明しますので、ぜひ最後までお読みください。

ご安心ください。相続放棄をしても生命保険金は受け取れます

まず、読者の皆様が一番知りたい結論からお伝えします。亡くなった方の借金などの理由で相続放棄について手続きをしたとしても、ご自身が受取人に指定されている生命保険金(死亡保険金)は受け取ることができます。

「相続をすべて放棄するのだから、保険金ももらえなくなるのでは?」と心配されるお気持ちはよく分かります。しかし、法律上、生命保険金は特別な扱いを受けるため、相続放棄の影響を受けないのです。その理由を詳しく見ていきましょう。

生命保険金が相続財産にならない理由を示す図解。保険会社から受取人へ直接支払われるため、被相続人の財産を経由しないことを表している。

なぜ?生命保険金が「相続財産」にならない理由

生命保険金(死亡保険金)が相続放棄をしても受け取れる最大の理由は、それが「相続財産」ではなく、「受取人固有の財産」だからです。

少し難しく聞こえるかもしれませんが、仕組みはシンプルです。

  • 相続財産とは:亡くなった方(被相続人)が所有していた預貯金、不動産、株式などのプラスの財産や、借金などのマイナスの財産のことです。
  • 生命保険金とは:保険契約に基づいて、保険会社から「受取人」として指定された人に対して直接支払われるお金のことです。

つまり、生命保険金は、一度亡くなった方の財産になってから相続人に渡されるのではなく、保険会社から受取人へダイレクトに支払われます。亡くなった方の財産を経由しないため、そもそも「相続財産」にはあたらないのです。

相続放棄は、あくまで「相続財産」のすべてを引き継がないという手続きです。したがって、相続財産ではない生命保険金は、相続放棄をしても問題なく受け取ることができる、というわけです。

保険金を受け取った後でも相続放棄は可能です

「保険金を受け取る前に、相続放棄の手続きを済ませないといけないの?」というご質問もよくいただきます。この点もご安心ください。生命保険金を受け取った後からでも、相続放棄の手続きは問題なく行えます。

相続放棄ができなくなるのは、「相続財産を処分した」とみなされる行為をした場合です。例えば、亡くなった方の預金を解約して使ってしまったり、不動産を売却してしまったりすると、相続する意思があるとみなされ(法定単純承認)、原則として相続放棄は認められません。

しかし、先ほどご説明したとおり、生命保険金は受取人固有の財産です。そのため、これを受け取る行為は「相続財産の処分」にはあたりません。ですから、安心して保険金の請求手続きを進めていただいて大丈夫です。

要注意!受け取ると相続放棄できなくなる保険金とは?

「生命保険金は受け取れる」と聞いて安心されたかもしれませんが、ここで一つ、非常に重要な注意点があります。保険金の中には、受け取ってしまうと相続放棄ができなくなる可能性が高いものがあるのです。

この違いを知らずに手続きを進めてしまうと、「借金を放棄するはずが、できなくなってしまった」という取り返しのつかない事態になりかねません。どのようなケースに注意が必要か、具体的に見ていきましょう。

相続放棄時に受け取れる保険金とそうでない保険金の比較図。死亡保険金はOK、入院給付金はNGであることが示されている。

【要注意】医療保険の入院給付金・手術給付金

最も注意が必要なのが、医療保険から支払われる入院給付金や手術給付金です。

亡くなる前に入院や手術をされていた場合、これらの給付金を請求できる権利が発生していることがあります。しかし、この権利は誰のものでしょうか?

死亡保険金の受取人は相続人など特定の人が指定されていますが、医療保険の入院給付金などの受取人は、原則として「被保険者」、つまり亡くなった方ご本人です。

亡くなった方が受け取るはずだったお金(請求権)は、その方の「相続財産」となります。したがって、相続人がこの給付金を請求し、受け取ってしまうと、「相続財産を処分(取得)した」とみなされ、相続放棄が認められなくなる可能性が極めて高いのです。

死亡保険金と医療保険の給付金は、まったく性質が異なるものだとご理解ください。

保険金の受取人が「亡くなった本人」になっているケース

頻繁にあるケースではありませんが、死亡保険金の契約内容自体に注意が必要な場合もあります。それは、死亡保険金の受取人が「被相続人(亡くなった方)本人」と指定されているケースです。

この場合、死亡保険金はまず亡くなった方の財産となり、それを相続人が引き継ぐ形になるため、「相続財産」として扱われます。したがって、この保険金を受け取ってしまうと、相続放棄はできなくなります。

「そんな契約があるの?」と思われるかもしれませんが、保険契約を見直さないまま時間が経ってしまっている場合などに、このような設定になっている可能性もゼロではありません。保険金を受け取る前には、必ず保険証券などで「受取人」が誰になっているかを確認することが非常に重要です。

解約返戻金を受け取るのも「相続」とみなされます

亡くなった方が契約者となっていた保険を解約し、「解約返戻金」を受け取る行為も、相続財産の処分とみなされます。

解約返戻金は、保険契約という財産的な価値を持つ権利から生じるお金であり、これも「相続財産」の一部です。相続放棄を検討している場合は、絶対に保険の解約手続きを行ってはいけません。

もし保険料の引き落としが続いているなどの事情があっても、自己判断で解約するのではなく、まずは専門家にご相談ください。

生命保険金以外にも!相続放棄しても受け取れるお金

相続放棄をしても、相続人の生活を守るために受け取れるお金は、生命保険金だけではありません。ただし、これらは原則的な話であり、個別の契約内容や会社の規定によって取り扱いが異なる場合があるため、注意が必要です。法律上、相続財産とはみなされないものをいくつかご紹介します。ご自身の状況と照らし合わせてみてください。

司法書士に相続の相談をする夫婦。専門家が親身に対応している。

死亡退職金・弔慰金

亡くなった方が会社員だった場合、勤務先の会社から死亡退職金や弔慰金(ちょういきん)が支払われることがあります。

これらの金銭も、会社の規程などで「死亡した従業員の遺族(配偶者や子など)」が受取人として明確に定められている場合は、遺族固有の権利とされ、相続財産には含まれません。したがって、相続放棄をしても受け取ることができます。

ただし、会社の規程に受取人の定めがなく、「本人に支払う」とされている場合などは、相続財産と判断される可能性もあります。判断に迷う場合は、勤務先の規程を確認した上で、専門家に相談することをおすすめします。

遺族年金・未支給年金

遺族年金や未支給年金も、相続財産には含まれません。

  • 遺族年金:国民年金や厚生年金に加入していた方が亡くなったときに、その方によって生計を維持されていた遺族が受け取れる年金です。これは遺族の生活を保障するための制度であり、法律によって受給権者が定められているため、遺族固有の権利となります。
  • 未支給年金:亡くなった方が受け取るはずだったまだ受け取っていない年金のことです。これも年金法の規定に基づき、一定の範囲の遺族が自己の権利として請求できるものであり、相続財産ではありません。

当事務所の代表は司法書士・行政書士に加えて社会保険労務士の資格も有しておりますので、こうした年金関係の手続きについてもワンストップでサポートすることが可能です。

香典・葬祭費・埋葬料

お葬式の際に受け取る香典は、法律上、葬儀の主宰者(喪主)に対する贈与と解釈されるため、相続財産にはあたりません。

また、国民健康保険や社会保険から支払われる葬祭費・埋葬料なども、実際に葬儀を行った人(喪主など)に対して支払われる費用であり、亡くなった方の財産ではないため、相続放棄をしても受け取ることができます。

相続放棄後の生命保険金と税金の関係【知らないと損をします】

ここまで読んで、「相続放棄をしても生命保険金はもらえるし、相続財産じゃないなら税金もかからないんだな」と思われたかもしれません。しかし、ここにも大きな落とし穴があります。

民法上は「相続財産ではない」生命保険金ですが、税法上は「みなし相続財産」として、相続税の課税対象になるのです。そして、相続放棄をすることで、税金面で大きなデメリットが生じる場合があります。

相続税の対象になる「みなし相続財産」とは?

「みなし相続財産」とは、本来の相続財産ではないものの、被相続人の死亡を原因として相続人が受け取る財産であり、実質的に相続で財産を取得したのと同じ効果があることから、相続税の計算に含めましょう、という税法上の考え方です。生命保険金や死亡退職金は、この「みなし相続財産」の代表例です。

つまり、「民法(相続放棄のルール)」と「税法(相続税のルール)」では、財産の扱い方が違うという点を理解しておく必要があります。この複雑さが、専門家によるサポートが必要となる大きな理由の一つです。

【重要】相続放棄をすると生命保険金の非課税枠は使えない

ここが最も重要なポイントです。生命保険金には、相続人の生活保障などの観点から、税金の負担を軽くするための非課税枠が設けられています。

生命保険金の非課税限度額 = 500万円 × 法定相続人の数

しかし、この非課税枠を使えるのは、原則として「相続によって財産を取得した相続人」だけです。相続放棄をした人は、法律上「初めから相続人ではなかった」とみなされるため、原則としてこの非課税枠を適用することができません。個別の事案により詳細な判断が必要な場合は、税理士等の専門家にご確認ください。

具体例で見てみましょう。

【例】

  • 法定相続人:子2人(長男、長女)
  • 死亡保険金の受取人と金額:長女が2,000万円
  • 長男は相続し、長女は相続放棄をしたケース

<非課税枠の計算>
法定相続人は長男と長女の2人なので、非課税限度額は「500万円 × 2人 = 1,000万円」です。

<相続税の課税対象額>

  • もし長女が相続放棄をしなかった場合:
    受け取った保険金2,000万円から非課税枠1,000万円を差し引けるため、課税対象は1,000万円となります。
  • 長女が相続放棄をした場合
    非課税枠が使えないため、受け取った保険金2,000万円の全額が相続税の課税対象となります。

このように、相続放棄をするかどうかで、相続税の課税対象となる金額が大きく変わってしまう可能性があるのです。もちろん、相続財産全体の金額が基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)以下であれば相続税はかかりませんが、保険金の額が大きい場合や、他に財産がある場合には注意が必要です。

参考:No.4114 相続税の課税対象になる死亡保険金

自己判断は危険!相続放棄と保険金のご相談は専門家へ

ここまでお読みいただき、相続放棄と生命保険金の関係について、ご理解が深まったことと思います。しかし同時に、「受け取っていいお金とダメなお金の見極めが難しい」「税金のことが複雑でよく分からない」と感じられたのではないでしょうか。

その感覚は、まったくもって正しいものです。これらの判断を専門知識なしに行うことには、大きなリスクが伴います。大切なご家族が遺してくれた財産を確実に受け取り、ご自身の未来を守るためにも、ぜひ私たち専門家にご相談ください。

安全な財産の受け取りと確実な相続放棄を両立させるために

専門家にご相談いただく最大のメリットは、「うっかり財産に手をつけてしまい相続放棄が認められなくなる」というリスクを大幅に低減できることです。私たちは、どの保険金が受け取れるものなのかを法的な観点から正確に判断し、安全な手続きをナビゲートします。

当事務所は、相続手続きに関して豊富な相談・解決実績があり、同様のケースを数多く取り扱ってまいりました。あなたの「借金は放棄したいけれど、遺してくれた保険金は受け取りたい」という想いに寄り添い、その実現に向けて私たちが全力でサポートいたします。

複雑な税金計算や申告もワンストップで対応します

相続放棄後の生命保険金にかかる相続税の問題は、非常に専門的です。当事務所では、相続案件に精通した税理士と緊密に連携しておりますので、相続税の計算や申告が必要になった場合でも、ワンストップでスムーズに対応が可能です。

「司法書士に相談して、次は税理士を探して…」といったお手間は一切かかりません。法務から税務まで、安心してお任せいただける体制を整えています。

川崎・横浜で相続のご相談なら「いがり円満相続相談室」へ

司法書士・行政書士・社会保険労務士いがり綜合事務所(屋号:いがり円満相続相談室)は、川崎市・横浜市を中心に、これまで多くの皆様の相続手続きをお手伝いしてまいりました。私たちは、大量の案件を機械的に処理するのではなく、司法書士である代表の猪狩 佳亮(神奈川司法書士会所属)が、原則として最初のご相談から手続き完了まで一貫して担当し、お一人おひとりに寄り添った丁寧なサポートをお約束します。(事務所所在地:神奈川県川崎市川崎区宮前町12番14号 シャンボール川崎505号)

お仕事で日中お忙しい方のために、平日夜間や土日祝日のご相談にも柔軟に対応しております。

「こんなことを聞いてもいいのだろうか?」とためらう必要はまったくありません。どんな些細なご不安でも、まずはお気軽にお聞かせください。あなたの心が少しでも軽くなるよう、全力でサポートいたします。

まずは初回無料相談(60分)をご利用ください。ご連絡を心よりお待ちしております。

相続登記を司法書士に依頼するメリットは?自分でやる場合との違い

2025-12-01

相続登記、自分でやろうとしていませんか?実は9割の方が知らない落とし穴

「親が遺してくれた大切な不動産、相続登記の手続きが必要になった。でも、専門家に頼むと費用がかかりそうだし、なんとか自分でできないだろうか…」

このようにお考えになるのは、とても自然なことです。費用を少しでも抑えたいというお気持ちは、私もよく分かります。

しかし、その一歩を踏み出す前に、ぜひ知っておいていただきたいことがあります。実は、ご自身で相続登記を進めようとした方の多くが、予想外の壁にぶつかり、途中で挫折してしまうという現実があるのです。

相続登記は、単に書類を作成して提出するだけの簡単な作業ではありません。法律の専門知識を必要とする複雑な手続きであり、多くの時間と大変な労力がかかります。さらに、2024年4月からは相続登記が義務化され、正当な理由なく手続きを怠ると10万円以下の過料が科される可能性も出てきました。

この記事では、ご自身で手続きを進める場合と、私たち司法書士にご依頼いただく場合の違いを徹底的に比較し、司法書士に依頼する本当のメリットをお伝えします。この記事を読み終える頃には、あなたにとって最善の選択肢がきっと見つかるはずです。

「自分でやれば無料」は本当?自分でやる場合と司法書士依頼の費用・時間比較

多くの方が「自分でやれば費用はかからない」と思いがちですが、残念ながらそれは誤解です。ご自身で手続きを行う場合でも、必ず必要になる「実費」が存在します。ここでは、費用、時間、手間、そして精神的な負担という4つの観点から、両者を比較してみましょう。

相続登記の書類の多さに頭を抱える人物。自分で手続きを行うことの精神的負担を表現している。
比較項目自分でやる場合司法書士に依頼する場合
費用実費のみ(登録免許税、書類取得費など)実費 + 司法書士報酬(事案により異なりますが、目安として当事務所では7万円~15万円程度を想定するケースが多くあります。正確な金額は初回相談後に見積りします)
時間数十時間~(調査、書類収集、作成、法務局とのやり取りなど)数時間~(司法書士との打ち合わせ、書類への署名押印など)
手間非常に多い(役所・法務局への複数回の訪問、複雑な書類作成)非常に少ない(基本的に司法書士に任せられる)
精神的負担大きい(手続きの不安、不備への懸念、期限への焦り)小さい(専門家に任せる安心感)
自分でやる場合と司法書士に依頼する場合の比較

自分でやる場合の費用内訳と隠れたコスト

ご自身で相続登記を行う場合、司法書士への報酬はかかりませんが、以下の費用(実費)は必ず発生します。

  • 登録免許税:不動産の固定資産税評価額の0.4%
  • 書類取得費用:戸籍謄本、住民票、印鑑証明書、固定資産評価証明書など(数千円~数万円)
  • その他:法務局や役所への交通費、郵送費など

そして、最も見落とされがちなのが、「あなたの貴重な時間と労力」という目に見えないコストです。平日の昼間に何度も役所や法務局に足を運んだり、慣れない法律書類の作成に頭を悩ませたり…その時間は、本来、お仕事やご家族と過ごすために使えたはずの時間ではないでしょうか。単純な金額だけでは測れない、大きな負担が隠れているのです。

司法書士に依頼した場合の費用相場とサービス範囲

司法書士に相続登記を依頼した場合、上記の「実費」に加えて「司法書士報酬」が発生します。報酬額は事案の難易度によって異なりますが、一般的には7万円~15万円程度が目安です。

「やっぱり高いな…」と感じるかもしれません。しかし、この費用には、以下のような専門的なサービスがすべて含まれています。

  • 相続人の調査・確定(複雑な戸籍謄本の収集)
  • 相続財産の調査
  • 法的に有効な遺産分割協議書の作成サポート
  • 正確な登記申請書の作成
  • 法務局への登記申請代理
  • 登記完了後の権利証(登記識別情報)の受け取り

つまり、相続登記に関わる煩雑で専門的な手続きのほぼすべてを、あなたに代わって正確かつ迅速に進めるための費用なのです。当事務所の具体的な費用については、料金一覧のページでも詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。

当事務所に寄せられる「自分でやろうとして挫折した」方のリアルな声

「費用を抑えたくて、自分で相続登記を始めたのですが…」

そう言って当事務所の無料相談にお越しになる方は、決して少なくありません。皆様、最初は「なんとかなるだろう」と思ってスタートされるのですが、現実の壁は想像以上に高く、厚いようです。

ある方は、平日に休みを取って法務局の相談窓口へ向かいました。しかし、そこで告げられたのは「相談は予約制です」という一言。その日は予約の案内だけで終わり、貴重な一日が無駄になってしまったそうです。しかも、次の予約が取れるのは数週間も先…。

また、別の方は、相続人がご兄弟や甥・姪にまで及ぶ複雑なケースでした。亡くなった方の出生から死亡までの戸籍謄本をすべて集めるだけでも一苦労。本籍地が全国に点在していたため、各役所とのやり取りに心身ともに疲れ果ててしまった、と話してくださいました。

「相続した不動産を早く売却したいのに、手続きが進まない」
「やっと書類を提出したと思ったら、法務局から何度も不備の連絡が…。電話で説明されても、何がどう間違っているのか全く理解できない」
「最近話題のAIに登記申請書を作らせてみたら、あっけなく補正(修正指示)になった」

これらは、すべて当事務所に寄せられたご相談からの一例です。皆様、貴重な時間と労力を費やした結果、途方に暮れて専門家のもとを訪れます。当事務所にご相談いただくことで、戸籍収集や法務局対応などの負担を軽減できる可能性があります。まずは状況を確認させてください。

時間だけじゃない!司法書士に依頼する5つの本質的なメリット

司法書士に依頼するメリットは、単に「時間が節約できる」だけではありません。手続きの正確性、精神的な負担の軽減、そして将来的なリスク回避といった、お金には代えがたい本質的な価値があります。

司法書士が複雑な戸籍謄本を調査している様子。専門家による正確な手続きを象徴している。

①複雑な戸籍収集から解放される

相続手続きの最初の関門が「戸籍謄本の収集」です。亡くなった方(被相続人)の「出生から死亡まで」の連続した戸籍謄本をすべて集めなければならず、これだけでも大変な作業です。

特に、相続人が兄弟姉妹や甥・姪になる場合は、さらに複雑になります。亡くなった方の両親の出生から死亡までの戸籍も必要になるなど、収集範囲が格段に広がり、数十通もの戸籍を集めるケースも珍しくありません。これらの膨大で煩雑な作業から、完全に解放されることは大きなメリットです。

②正確な遺産分割協議書で将来のトラブルを防ぐ

相続人が複数いる場合、誰がどの財産を相続するかを話し合い、「遺産分割協議書」を作成します。この書類は、単なる話し合いのメモではありません。法的に効力を持つ重要な契約書です。

例えば、不動産の所在や地番などを登記簿どおりに正確に記載しなければ、登記申請は受け付けてもらえません。記載内容に曖昧な点や不備があると、後になって「そんなつもりじゃなかった」と親族間のトラブルに発展する火種にもなりかねません。司法書士が作成する正確な遺産分割協議書は、円満な相続を実現し、将来の紛争を未然に防ぐための「お守り」にもなるのです。

③登記漏れや関連手続きのミスがなくなる

ご自身で手続きをすると、私道(公衆用道路)の持分や、登記されていない建物(未登記建物)など、見落としがちな財産の登記が漏れてしまうリスクがあります。私たちは、市区町村が管理する「名寄帳」などを取り寄せて財産調査を行うため、こうした登記漏れを確実に防ぎます。

また、相続登記には、亡くなった方の住所が登記簿上の住所と異なる場合の「住所変更登記」や、住宅ローンを完済している場合の「抵当権抹消登記」など、付随する手続きが必要になることがよくあります。これらの関連手続きもまとめてワンストップで対応できるため、手続きのミスや漏れがなくなります。

④法務局との煩雑なやり取りをすべて任せられる

法務局の窓口は平日の日中しか開いていません。お仕事をされている方にとっては、相談や申請のために時間を確保するだけでも一苦労です。また、無事に申請できたとしても、書類に不備があれば法務局から連絡があり、対応に追われることになります。

司法書士にご依頼いただければ、これらの法務局との専門的で煩雑なやり取りはすべて私たちが代理で行います。あなたは、平日の貴重な時間を削られることも、慣れない役所とのやり取りにストレスを感じることもありません。

⑤【専門家が解説】「補正力」こそが司法書士の真価

以前、ある法務局の登記官の方と話をする機会がありました。その方が、こんなことをおっしゃっていたのが非常に印象的です。

「ご本人で申請されるのと、司法書士の先生が代理で申請されるのとの一番の違いは、『補正力』にあるんですよ」

「補正」とは、提出した書類に不備があった場合に、法務局から来る修正指示のことです。ご自身で申請された場合、この補正の連絡があると、多くの方が混乱してしまいます。電話で説明を受けても内容が理解できず、再び平日に法務局へ出向かなければならないことも少なくありません。

一方で、私たち司法書士が代理申請した場合、万が一補正の指示があったとしても、登記官との専門用語でのやり取りが可能です。「先生、ここの書類のこの部分をこう直してください」と電話一本で連絡が来れば、私たちはその内容を即座に理解し、スムーズに対応できます。この迅速かつ的確な「補正力」こそが、手続きを滞りなく、最短で完了させるためのプロの技なのです。この安心感は、司法書士に依頼する大きな価値と言えるでしょう。

こんな方は司法書士への依頼を強くおすすめします

ご自身の状況と照らし合わせて、一つでも当てはまるものがあれば、司法書士への相談を積極的にご検討ください。それは、あなたにとって時間的にも精神的にも、そして結果的に経済的にもメリットの大きい選択となる可能性が高いです。

  • ✅ 平日は仕事が忙しく、役所や法務局に行く時間が取れない
  • ✅ 相続人の数が多かったり、疎遠な親族がいたりする
  • ✅ 法律の専門的な書類を読むことや作成することに苦手意識がある
  • ✅ 手続きに時間をかけず、できるだけ早く確実に終わらせたい
  • ✅ 相続した不動産の売却を考えている
  • ✅ 自分で手続きを進めることに少しでも不安やストレスを感じる
  • ✅ 相続登記以外にも、預貯金の解約など、やるべきことがたくさんある

いがり綜合事務所が選ばれる理由|円満相続への最短ルート

川崎市・横浜市を中心に数多くの相続手続きをお手伝いしてきた当事務所には、皆様に選んでいただける理由があります。それは、単に手続きを代行するだけでなく、お客様一人ひとりの心に寄り添い、円満な相続の実現を全力でサポートする姿勢です。

代表司法書士が一貫対応。安心のマンツーマンサポート

当事務所では、大量の案件を事務的に処理するようなことは決していたしません。最初のご相談から手続き完了まで、代表司法書士である猪狩が責任をもって一貫して対応いたします。途中で担当者が変わることはありませんので、どんな些細なことでも安心してご相談いただけます。

また、お仕事をされている方でもご相談しやすいよう、平日夜間(19時、20時開始)や土日祝日のご相談にも柔軟に対応しております。あなたのご都合に合わせて、じっくりとお話をお伺いします。

いがり綜合事務所の司法書士と依頼者が握手をしている。安心のマンツーマンサポートを表現。

費用を抑えたい方もご相談ください。柔軟なプランをご提案

「専門家に頼みたいけれど、やっぱり費用が心配…」という方も、どうぞご安心ください。

当事務所では、すべてをお任せいただく「フルサポートプラン」だけでなく、お客様のご希望やご状況に合わせて、柔軟なプランをご提案することが可能です。

例えば、「戸籍謄本の収集は自分で頑張ってみるので、その後の専門的な書類作成と申請だけをお願いしたい」といったご要望にもお応えできます。ご自身でできる部分を担っていただくことで、司法書士報酬を抑えることが可能です。

無料相談では、まず何から手をつけるべきか、どこまでを自分で行い、どこからを専門家に任せるのがベストなのか、といった手続き全体の「交通整理」をさせていただきます。費用についても明確にご提示しますので、まずはお気軽にお話をお聞かせください。

まとめ|相続登記の悩みは、まず無料相談から始めませんか?

相続登記は、今や法律で定められた「義務」です。しかし、それ以上に、ご家族が遺してくれた大切な財産をご自身の名義にし、未来へとつないでいくための重要な手続きです。

ご自身で進めることも不可能ではありませんが、そこには多くの時間と労力、そして専門的な知識の壁が立ちはだかります。もし少しでも不安を感じるなら、専門家である司法書士に任せるのが、最も安全・確実、そして結果的に効率的な解決策です。

当事務所は、あなたの不安な心に寄り添い、円満な相続が実現できるよう、誠心誠意サポートいたします。煩雑な手続きは私たちプロにお任せいただき、あなたは故人を偲ぶ大切な時間をお過ごしください。

「何から相談していいか分からない」という方も、もちろん大歓迎です。まずはお話をお伺いすることから始めましょう。
お電話またはお問い合わせフォームから、お気軽にご連絡ください。

まずは無料相談をご利用ください

【事務所情報】
司法書士・行政書士・社会保険労務士 いがり綜合事務所
代表司法書士:猪狩 佳亮
所属:神奈川県司法書士会
所在地:神奈川県川崎市川崎区宮前町12番14号 シャンボール川崎505号

連絡が取れない相続人がいる…相続登記義務化と相続人申告登記を解説

2025-11-28

【相談事例】連絡がつかない相続人が…相続登記できずお困りではありませんか?

「昭和の時代に亡くなった祖父の名義のままになっている、田舎の土地があるんです。相続人の一人とどうしても連絡が取れなくて、遺産分割協議が全く進みません…」

最近、このようなご相談が非常に増えています。多くの方が、2024年4月から始まった相続登記の義務化のニュースを見て、「3年以内に登記しないと10万円以下の過料(罰金)が科される」という点に、大きな不安と焦りを感じていらっしゃいます。

「価値がある土地ならまだしも、正直、誰も欲しがらないような田舎の土地。できれば相続放棄したかったけれど、亡くなってから何十年も経っていて、今さら放棄もできない。かといって、連絡のつかない相続人がいるせいで登記もできない。このままだと、私たちは罰金を払うしかないのでしょうか…?」

お気持ちは痛いほどよく分かります。ご自身ではどうにもできない状況で、法律上の義務だけが迫ってくる。本当に途方に暮れてしまいますよね。

でも、ご安心ください。まだ打つ手はあります。

この記事では、あなたと同じように連絡が取れない相続人がいてお困りの方のために、相続登記義務化の罰則を回避するための一つの有効な手段である「相続人申告登記」という制度について、専門家が分かりやすく解説します。

この記事を最後までお読みいただければ、今の不安な状況を乗り越えるための具体的な次の一歩が見えてくるはずです。一人で抱え込まず、一緒に解決策を探していきましょう。

相続登記の義務化とは?まず現状を正しく理解しましょう

まずは、皆さまの不安の根源となっている「相続登記の義務化」について、正確に理解することから始めましょう。制度を正しく知ることで、過度な不安が和らぎ、冷静に対処できるようになります。

いつから?何をしないといけないの?

相続登記の義務化は、2024年(令和6年)4月1日からスタートしました。これにより、不動産を相続した方は、「ご自身のために相続の開始があったことを知り、かつ、その不動産の所有権を取得したことを知った日から3年以内」に相続登記を申請することが法律上の義務となりました。

重要なポイントは、この義務は過去に発生した相続にも適用されるという点です。つまり、法律が施行された2024年4月1日より前に亡くなった方の不動産で、まだ相続登記が済んでいないものも対象となります。この場合、2027年(令和9年)3月31日までに相続登記を申請する必要があります。

より詳しい内容は「相続登記の義務化とは?罰則(過料)や期限を専門家が解説」のページでも解説していますので、併せてご覧ください。

本当に罰金(過料)を払うことになるの?

「3年以内に登記しないと10万円以下の過料」と聞くと、とても不安になりますよね。しかし、期限を過ぎたら即座に過料が科されるわけではありません。

法律では、「正当な理由」なく申請を怠った場合に、過料の対象となると定められています。

そして、法務省の見解では、この「正当な理由」には以下のようなケースが含まれるとされています。

  • 相続人が極めて多数に上り、戸籍謄本等の収集や他の相続人の把握に多くの時間を要するケース
  • 遺言の有効性や遺産の範囲等が争われているケース
  • 申請義務を負う相続人自身に重病等の事情があるケース
  • 他の相続人によるDVや、他の相続人から音信不通の状態にあり、協力を得られないケース

つまり、「相続人の一人と連絡が取れず、遺産分割協議ができない」という状況は、この「正当な理由」に該当する可能性が十分にあるのです。ですから、ただちに過料の心配をする必要はありません。まずは落ち着いて、できることから対策を始めましょう。

参考:【法務省/相続登記の義務化】不動産を相続したらかならず …

相続人申告登記とは?義務化を回避する一つの選択肢

「正当な理由」があるとはいえ、何もしないでいるのは不安ですよね。そこで、具体的な解決策の一つとして登場するのが「相続人申告登記」という新しい制度です。これは相続登記の義務化と同時にスタートしました。

この制度は、一言でいえば、「ひとまず、私が相続人の一人であることを法務局に申し出ておきます」という手続きです。この申出をしておくことで、相続登記の申請義務を履行する一つの手段とされ、過料を免れることができます。

遺産分割協議がまとまらない、連絡が取れない相続人がいる、といった事情で、すぐに相続登記ができない場合に利用できる、いわば「緊急避難的」な措置と考えると分かりやすいでしょう。

相続登記との違いは?

従来の「相続登記」と、新しい「相続人申告登記」は、目的も効果も全く異なります。その違いをしっかり理解しておくことが重要です。

相続登記(通常の登記)相続人申告登記
目的不動産の所有権を確定的に移転する相続登記の申請義務を一時的に履行する
効果権利関係が確定し、売却や担保設定が可能になる権利関係は確定しない(売却等は不可)
申請者相続人全員の協力が必要(遺言等除く)相続人が単独で申請可能
費用(登録免許税)かかる(固定資産税評価額の0.4%)かからない。ただし、戸籍や住民票の取得実費、専門家への報酬などは別途必要です。
相続登記と相続人申告登記の違い

一番の大きな違いは、相続登記が不動産の権利を確定させる「本番」の手続きであるのに対し、相続人申告登記はあくまで義務を果たすための「仮」の報告に過ぎないという点です。

連絡が取れない相続人がいても申請できる?

はい、申請できます。これこそが、相続人申告登記の最大の利点です。

通常の相続登記は、遺産分割協議に基づいて行うため、原則として相続人全員の協力(実印と印鑑証明書)が必要です。だからこそ、連絡が取れない相続人が一人でもいると、手続きがストップしてしまうのです。

しかし、相続人申告登記は、ご自身の判断で、ご自身お一人だけで申請することができます。他の相続人の同意も、実印も、印鑑証明書も一切不要です。

「他の親族に迷惑はかけられない」「自分だけでも、まずやるべきことをやっておきたい」
そうお考えの方にとって、この制度はまさに希望の光となるはずです。

相続人申告登記のメリットと注意すべきデメリット

一人でも申請できる相続人申告登記は非常に便利な制度ですが、実行する前にはメリットとデメリットの両方をしっかり理解しておく必要があります。専門家として、良い面だけでなく注意すべき点も誠実にお伝えします。

司法書士が相談者へ相続人申告登記のメリット・デメリットを説明している様子。

メリット:まずは罰則(過料)のリスクを回避できる

相続人申告登記のメリットは、何と言ってもその手軽さにあります。

  • 過料のリスクを回避: この申出をすることで、相続登記の申請義務を果たしたとみなされ、ひとまず安心できます。
  • 手続きが比較的簡単: 後述しますが、通常の相続登記に比べて集める書類が少なく、手続きの負担が軽いのが特徴です。
  • 費用がかからない: 通常の相続登記で必要となる登録免許税(不動産の価格に応じた税金)が、相続人申告登記ではかかりません。戸籍謄本などの取得実費のみで手続きが可能です。

まずは3年という期限のプレッシャーから解放され、落ち着いて根本的な解決策に取り組むための時間を確保できるのが最大のメリットです。

【重要】デメリットと注意点

一方で、この制度はあくまで「一時しのぎ」であることから生じるデメリットも存在します。以下の点を必ずご理解ください。

  1. 根本的な解決にはならない: 相続人申告登記をしても、不動産の所有権が誰になるか決まったわけではありません。いずれ遺産分割協議を成立させ、最終的な相続登記を行う必要があります。いわば「二度手間」になる可能性はあります。
  2. 不動産の売却や担保設定はできない: この申出では、登記簿上の所有者は亡くなった方のままです。そのため、その不動産を売却したり、住宅ローンの担保に入れたりすることはできません。
  3. 固定資産税の通知が届く可能性がある: 相続人申告登記をすると、登記官から市町村役場へその旨が通知されます。これにより、これまで他の相続人に届いていた固定資産税の納税通知書が、申出をしたあなたに届くようになる可能性があります。

特に3点目は重要です。申出をする前に、その不動産の固定資産税が年間いくらくらいなのかを把握しておくことをお勧めします。

相続人申告登記の手続きの流れと必要書類

では、実際に相続人申告登記を行う場合、どのような流れで進めるのでしょうか。具体的なステップと必要書類を見ていきましょう。

ステップ1:必要書類を集める

相続人申告登記に必要な書類は、主に以下の3点です。

  • 申出書: 法務局のホームページからダウンロードできます。
  • 申出人が被相続人の相続人であることが分かる戸籍謄本等: ここがポイントですが、通常の相続登記に比べて戸籍収集の負担が軽くなる場合が多いものの、亡くなった方と申出人との関係性によっては、複数の戸籍謄本が必要になることもあります。亡くなった方の死亡が確認できる戸籍謄本と、申出をするご自身がその相続人であることが分かる戸籍謄本があれば足ります。通常の相続登記に比べ、戸籍収集の負担が大幅に軽減されています。最近では便利な「戸籍謄本の広域交付制度とは?相続手続きでの使い方と注意点」も利用できます。
  • 申出人の住所を証明する書類: 住民票の写しなどが必要です。

ステップ2:申出書を作成し、法務局へ提出する

書類が集まったら、申出書を作成します。申出書には、対象となる不動産の情報を正確に記入する必要があります。不動産の登記事項証明書(登記簿謄本)や、固定資産税の納税通知書に記載されている不動産の情報を見ながら、間違いのないように記載しましょう。

作成した申出書と必要書類を、不動産の所在地を管轄する法務局へ提出します。法務局の窓口へ直接持っていく方法のほか、郵送で提出することも可能です。

参考:相続人申告登記について

相続人申告登記はゴールではない!根本的な解決に向けて

相続人申告登記を無事に終え、過料の心配がなくなると、ひとまず肩の荷が下りるかと思います。しかし、これはあくまでスタートラインです。本当のゴールは、遺産分割協議をまとめて、不動産の名義をきちんと相続人へ移すことです。

相続人申告登記で確保した時間を使って、根本的な解決に向けて一歩ずつ進んでいきましょう。

相続問題の解決に向けて、専門家への相談という正しい道を選択することを示すイメージ。

連絡が取れない相続人を探す方法

まずは、連絡が取れない相続人の現在の住所を調べることから始めます。専門家は以下のような方法で調査を行います。

  • 戸籍の附票(ふひょう)を取得する: 戸籍の附票とは、その人の住所の履歴が記録されている書類です。本籍地のある役所で取得でき、現在の住民票上の住所を突き止めることができます。
  • 手紙を送ってみる: 住所が判明したら、まずは手紙を送って連絡を試みます。その際は、こちらの事情を丁寧に説明し、遺産分割協議への協力をお願いする内容にします。いきなり法律的な要求を突きつけるのではなく、あくまで「ご相談」という形でアプローチすることが大切です。普通郵便で反応がなければ、相手が受け取ったことが記録される内容証明郵便を利用することも有効です。

ご自身でこれらの調査を行うことも可能ですが、戸籍の読み解きや附票の取得は慣れていないと時間と手間がかかります。このような調査は、私たち司法書士のような専門家にご依頼いただくことも可能です。

どうしても連絡がつかない場合の法的手続き

手紙を送っても返信がない、あるいは住所地に住んでいる気配がないなど、どうしても連絡がつかない場合は、家庭裁判所を利用した法的な手続きを検討することになります。

  • 不在者財産管理人の選任申立て: 相続人が行方不明の場合に、その人の代わりに財産を管理し、遺産分割協議に参加する「不在者財産管理人」を家庭裁判所に選んでもらう手続きです。
  • 遺産分割調停の申立て: 相手の住所は分かっているものの、話し合いを無視されたり、協議がまとまらなかったりする場合に、家庭裁判所の調停委員を介して話し合いを進める手続きです。

これらの手続きは、申立てに専門的な書類作成が必要となり、時間も費用もかかります。どの手続きが最適かは状況によって異なるため、実行する前には必ず司法書士などの専門家にご相談ください。

まとめ:一人で悩まず、まずは専門家にご相談ください

連絡が取れない相続人がいる中での相続手続きは、精神的なご負担が本当に大きいものです。相続登記の義務化というプレッシャーも加わり、八方ふさがりのように感じてしまうかもしれません。

今回ご紹介した「相続人申告登記」は、そうした状況を打開するための、まず取り組むべき有効な一手です。この手続きでひとまず義務化の期限をクリアし、落ち着いて次のステップに進むことができます。

以前、当事務所にご相談に来られた方で、まさに同じような状況で悩んでいらっしゃるケースがありました。

【当事務所での解決事例】
ご相談者様は、何十年も前に亡くなった祖父名義の田舎の土地について、法定相続人が12名もいる上、そのうちの一人と全く連絡が取れない状況でした。相続放棄もできず、義務化の過料に怯えていらっしゃいました。

まず、私たちは「過料の適用時期は個々の事情で異なりますが、2024年4月1日より前に開始した相続については、2027年3月31日という一つの期限が設けられています。今から準備すれば十分間に合います」とお伝えし、安心いただくことから始めました。

その上で、まずは当事務所で相続人調査を行い、連絡が取れない方へ丁寧な手紙をお送りしましたが、残念ながらお返事はありませんでした。そこで、ご相談者様と連絡の取れた他の相続人様からご依頼をいただき、当事務所で相続人申告登記の手続きを代行しました。これにより、皆様の過料のリスクを低減することができました。

もちろん、これが根本的な解決ではないこと、将来的に固定資産税の通知が届く可能性があることなども丁寧にご説明し、ご納得いただいた上で手続きを進めました。今後は、不在者財産管理人の選任も視野に入れ、最終的な相続登記に向けたサポートを継続していく予定です。

このように、専門家が介入することで、複雑に絡み合った糸を一つひとつ解きほぐしていくことが可能です。

相続人申告登記はあくまで一時しのぎであり、その先の遺産分割協議や法的な手続きには、専門的な知識と経験が不可欠です。「自分の場合はどうすればいいんだろう?」と少しでも迷われたら、どうか一人で抱え込まず、私たちにご相談ください。

いがり綜合事務所(所在地:神奈川県川崎市川崎区宮前町12番14号 シャンボール川崎505号、代表司法書士:猪狩 佳亮、所属:神奈川県司法書士会)では、初回のご相談は無料で承っております。まずは現状をお話しいただくだけで、気持ちが楽になり、やるべきことが明確になるはずです。川崎市・横浜市を中心に、皆様からのご連絡を心よりお待ちしております。

いがり綜合事務所の無料相談はこちら

遺言書と生命保険を組み合わせた生前対策【司法書士の解決事例】

2025-11-27

「全財産を妻に」その想い、遺言書だけでは叶わないかもしれません

「私が生涯をかけて築いた財産は、すべて愛する妻に遺したい」
「特に、この思い出の詰まった自宅だけは、妻が安心して住み続けられるようにしてあげたい」

ご相談にいらっしゃる多くの方が、このような切実な想いを抱えていらっしゃいます。そして、その想いを実現するために「遺言書」を作成しようと考えられます。

しかし、もしあなたに離婚歴があり、前妻との間にお子さんがいらっしゃる場合、遺留分の影響で希望どおりにならない可能性があるため、個別状況の確認が必要です。

たとえ遺言で全財産を特定の人に遺しても、配偶者や子など法定の遺留分権利者は、基礎財産(相続財産のほか一定の贈与等を含む)をもとに遺留分を請求できます。具体的計算は個別事情により変わります。もし遺留分請求が行われた場合、現金が不足すれば不動産の換価(売却)などの対応が必要になり得ます。換価以外にも分割や交渉による解決方法があるため、早めの検討が重要です。

この記事では、そのような最悪の事態を避け、あなたの「遺す想い」と「遺されるご家族の生活」の両方を守るための具体的な対策について、当事務所で実際に解決した事例をもとに、専門家の視点から分かりやすく解説していきます。

【解決事例】遺留分請求で自宅売却の危機…生命保険で円満解決へ

遺言書と生命保険を組み合わせることで、どのように未来のトラブルを防ぐことができるのか。まずは当事務所にご相談くださったAさんの事例をご紹介します。

再婚相手と前妻の子との間で相続について悩む男性のイラスト

ご相談内容:離婚歴のあるAさん、後妻Bさんに全財産を遺したいが…

ご相談に来られたAさんは60代の男性。10年前にBさんと再婚し、穏やかな日々を過ごされていました。Aさんには離婚した前妻との間に息子Cさんがいますが、長年疎遠な状態が続いていました。

Aさんの財産は、現在Bさんと暮らしているご自宅(評価額4,000万円)と、預貯金(2,000万円)の合計6,000万円。Aさんはご自身の亡き後、Bさんがお金に困ることなく、今の自宅に住み続けてほしいと心から願っており、「全財産を妻Bに相続させる」という内容の遺言書を作成しようと考えていました。

しかし、Aさんには大きな不安がありました。

「もし私が亡くなった後、息子のCが遺留分を請求してきたらどうなるだろうか。預貯金だけでは支払いきれず、Bに家を売らせることになってしまうのではないか…」

このAさんの不安は、残念ながら現実になる可能性が非常に高いものでした。対策を何もしなかった場合、どのような未来が待っているのでしょうか。

対策なしの最悪シナリオ:遺言を書いても自宅を売るしかなくなる可能性

もしAさんが何の対策もしないまま亡くなられた場合、残されたBさんは非常に厳しい状況に立たされます。

【遺言書がない場合】
法定相続分に従い、妻Bさんが2分の1(3,000万円)、子Cさんが2分の1(3,000万円)を相続します。Aさんの預貯金は2,000万円しかないため、Cさんに3,000万円を渡すには、Bさんは自宅を売却して現金を作るしかありません。

【遺言書だけの対策をした場合】
「全財産を妻Bに相続させる」という遺言書は法的に有効です。しかし、子Cさんには遺留分(法定相続分のさらに2分の1)を請求する権利があります。Cさんの遺留分は、総財産6,000万円 × 法定相続分1/2 × 遺留分割合1/2 = 1,500万円となります。

(注)上記の計算は簡易例です。実際の遺留分額は『基礎財産』(相続財産に加え一定の贈与などを含む)を基に算定されるため、生前贈与や遺贈があると金額が変わります。

Cさんが遺留分侵害額請求を行うと、BさんはCさんに現金で1,500万円を支払わなければなりません。Aさんの遺産である預貯金は2,000万円ありますが、そこから1,500万円を支払うと、Bさんの手元に残る現金はわずか500万円。今後の生活費や固定資産税の支払いなどを考えると、とても心もとない金額です。

結局、Bさんは将来の生活不安から、Aさんが遺してくれた思い出の自宅を売却せざるを得なくなる可能性が極めて高いのです。Aさんの「妻に自宅で安心して暮らしてほしい」という一番の願いが、皮肉にも脅かされてしまうのです。

解決策:遺言書+生命保険で「遺す想い」と「遺される家族」両方を守る

そこで当事務所がAさんに提案したのは、遺言書の作成とあわせて、生命保険を活用するという方法でした。

当事務所が対応した事例(匿名化・抽象化しています)では、Aさんの状況を丁寧にお伺いした上で、具体的な対策をご提案しました。

専門家からの提案

まず、Aさんの「全財産を妻Bに相続させる」という想いを尊重し、その内容で公正証書遺言を作成することにしました。遺言書自体は有効ですし、もしCさんが遺留分請求をしてこなければ、Aさんの想い通りに実現できます。

その上で、万が一の遺留分請求に備えるため、預貯金2,000万円の一部(例えば1,000万円)を使って、Aさんを被保険者とする生命保険に加入することをお勧めしました。保険金の受取人は、妻Bさんに指定します。

この対策に期待できる主な効果は、以下の通りです。

遺留分の対象財産を減らせる
預貯金1,000万円が生命保険に変わることで、遺留分計算の基礎となる財産は、不動産4,000万円+預貯金1,000万円=5,000万円に減少します。これにより、Cさんが請求できる遺留分の額も「5,000万円 × 1/2 × 1/2 = 1,250万円」に減額できます。

遺言書と生命保険証券を手に持ち、自宅の前で安心した表情を浮かべる女性のイラスト

なぜ生命保険が遺留分対策の有効なツールなのか?

なぜ、生命保険がこれほどまでに有効な遺留分対策となるのでしょうか。その理由は、生命保険金が持つ法的な性質にあります。

ポイント1:死亡保険金は「受取人固有の財産」

相続が発生した際に支払われる死亡保険金は、亡くなった方(被相続人)の財産ではなく、保険金受取人に指定された人の「固有の財産」とされています。これは、保険契約に基づいて受取人が直接保険会社から受け取るお金だからです。

そのため、死亡保険金は原則として遺産分割協議の対象となる「相続財産」には含まれません。つまり、他の相続人に分ける必要がなく、受取人が全額を受け取ることができるのです。これが、遺留分対策において生命保険が極めて強力なツールとなる最大の理由です。

ポイント2:遺留分を支払う「現金」を準備できる

Aさんの事例のように、財産の大部分が不動産というケースは少なくありません。不動産は価値が大きい一方で、すぐに現金化できないというデメリットがあります。

遺留分侵害額請求をされると、原則として現金で支払わなければなりません。手元に現金がない場合、不動産を売却してでも支払う義務が生じます。

生命保険に加入しておくことで、相続発生と同時に、受取人はまとまった現金を手にすることができます。これにより、遺留分を請求されても不動産を売却することなく、スムーズに金銭で解決することが可能になるのです。まさに「転ばぬ先の杖」として、遺されるご家族の生活を守るための大切な資金となります。

注意点:保険金が遺留分の対象になる例外的なケースとは?

原則として遺留分の対象外となる生命保険金ですが、注意すべき例外的なケースも存在します。

過去の判例(最高裁平成16年10月29日判決)では、死亡保険金の額が相続財産全体に対してあまりにも大きく、相続人間で著しく不公平な結果を生む場合には、その保険金も「特別受益」に準ずるものとして、遺留分の計算に含めるべき、と判断される可能性が示されました。

例えば、相続財産が1,000万円しかないのに、特定の相続人を受取人とする1億円の生命保険がかけられていた、といった極端なケースが想定されます。

どの程度のバランスであれば問題ないかは、個別の事情によって判断が異なるため、一概には言えません。だからこそ、ご自身の状況に合わせた最適な保険金額を設定するためにも、自己判断で進めるのではなく、相続に詳しい専門家に相談することが非常に重要です。

遺言を確実に実現する「遺言執行者」の重要性

遺言書を作成し、生命保険にも加入した。これで万全だ、と思われるかもしれません。しかし、もう一つ、あなたの想いを確実に実現するために欠かせない重要な役割があります。それが「遺言執行者」です。

遺言執行者とは、その名の通り、遺言書に書かれた内容を法的に実現するために、必要な手続きを執行する権限を与えられた人のことです。

なぜ専門家を遺言執行者に指定すべきなのか?

遺言執行者は、遺言書の中で指定することができます。相続人の中から指定することも可能ですが、Aさんの事例のように相続人間で利害が対立する可能性があるケースでは、法律専門職(司法書士など)を指定しておくことを強くお勧めします。

なぜなら、遺言執行者は相続人への通知や財産の調査・分配手続きなど多くの手続きを行いますが、それらの手続きにはさまざまな法的知識が必要になるとともに、遺言執行者には多くの法的義務・責任が課されているからです。

また、財産を受け取る側の相続人(例えば妻Bさん)が遺言執行者を兼ねてしまうと、他の相続人(子Cさん)から「手続きを不当に進めているのではないか」と疑念を抱かれ、新たなトラブルの火種になりかねません。その点、第三者である専門家が遺言執行者であれば、感情的な対立を排し、法律に則って淡々と、かつ正確に手続きを進めることができます。これにより、残されたご家族の精神的な負担を大きく軽減し、円滑な相続を実現できるのです。

司法書士に依頼するメリットと費用相場

遺言執行者には、弁護士や司法書士といった法律の専門家が就任することが一般的です。特に、Aさんのように相続財産にご自宅などの不動産が含まれる場合、司法書士を遺言執行者に指定するメリットは非常に大きいと言えます。

なぜなら、司法書士は不動産登記の専門家であり、遺言執行手続きの最終段階で必要となる不動産の名義変更(相続登記)まで、ワンストップでスムーズに対応できるからです。他の専門家に依頼した場合、別途司法書士を探して登記を依頼する必要があり、手間も費用も余計にかかってしまいます。

遺言執行者に支払う報酬は、遺産の額や手続きの複雑さによって異なり、個別のお見積りとなります。決して安い金額ではありませんが、あなたの最後の想いを確実に実現し、遺されるご家族を未来の紛争から守るための必要不可欠なコストと考えることができます。

遺言執行者について司法書士から説明を受ける夫婦のイラスト

まとめ:最適な遺留分対策は専門家との二人三脚で

今回は、遺言書だけでは防ぎきれない「遺留分」のリスクと、その最も有効な対策である「生命保険」の活用法について、実際の事例をもとに解説しました。

  • 遺言書だけでは、遺留分請求によって自宅を売却せざるを得ない可能性がある。
  • 生命保険金は「受取人固有の財産」であり、原則として遺留分の対象にならない。
  • 遺留分相当額の生命保険に加入することで、不動産を守り、円満な相続が実現できる。
  • 遺言の内容を確実に実現するためには、中立的な専門家を「遺言執行者」に指定することが重要。

遺留分対策は、ご家族構成や財産状況によって、最適な方法が異なります。今回ご紹介した生命保険の活用も、保険金額の設定などを誤ると、かえってトラブルの原因となる可能性もゼロではありません。

あなたの想いを最も良い形で未来へ繋ぐために、そして何より、遺される大切なご家族が安心して暮らしていくために。ぜひ一度、相続の専門家にご自身の状況をお聞かせください。私たち専門家が、あなたと共に考え、最適な解決策をご提案させていただきます。

初回相談は無料です|川崎・横浜の相続は当事務所へご相談ください

いがり円満相続相談室は、川崎市・横浜市を中心に、相続手続き・生前対策のご相談に多数対応してまいりました。(運営:司法書士・行政書士・社会保険労務士いがり綜合事務所/代表 司法書士 猪狩 佳亮/神奈川県司法書士会所属/所在地:神奈川県川崎市川崎区宮前町12番14号 シャンボール川崎505号)

当事務所の特徴は、原則として司法書士である代表の猪狩が、お客様のご相談に最初から最後まで直接対応させていただくことです。流れ作業のような対応は一切いたしません。お一人おひとりのご事情や想いを丁寧にお伺いし、ご家族にとって最善の解決策をご提案いたします。

事前予約制にて、平日夜間(19時、20時開始など)や土日祝日のご相談にも対応しておりますので、お仕事でお忙しい方も、まずはお気軽にご連絡ください。ご家族の未来を守るための第一歩を、私たちが全力でサポートいたします。

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相続不動産の評価額で対立!解決策と放置するリスクを解説

2025-11-26

「実家の価値」で兄弟と対立…なぜ不動産の評価額は揉めるのか?

「兄さんは実家に住み続けるからいいけど、私たちは現金で公平にもらいたい」「この家の価値は、そんなに低いはずがない」

親御様が大切に残してくれたはずの実家をめぐり、相続人である兄弟姉妹の間で意見が食い違い、話し合いが前に進まなくなってしまう…。相続のご相談では、このようなケースが後を絶ちません。

なぜ、相続不動産の評価額はこれほどまでに揉めてしまうのでしょうか。その背景には、主に2つの根深い原因があります。ご自身の状況を客観的に見つめ直すためにも、まずはその原因から理解していきましょう。

立場が違えば希望額も違う「同床異夢」

相続不動産の評価額で対立が生まれる最大の原因は、相続人それぞれの立場によって、不動産に対する「思惑」がまったく異なるからです。

  • 不動産を相続して住み続けたい相続人(例:長男)
    他の相続人に対して、不動産の価値に応じた「代償金」を支払う必要があります。そのため、不動産の評価額はできるだけ低くしたいと考えます。評価額が低ければ、支払う代償金を抑えられるからです。
  • 不動産は不要で、現金で公平に分けたい相続人(例:長女・次男)
    不動産を相続する兄弟から受け取る「代償金」や、不動産を売却した場合の「売却代金」が自分の取り分になります。そのため、評価額はできるだけ高くしたいと考えます。評価額が高ければ、もらえるお金が増えるからです。

同じ不動産を見ているはずなのに、片や「安く」、片や「高く」と、真逆のゴールを目指している状態です。これでは、話し合いが平行線をたどってしまうのも無理はありません。

固定資産税評価額が書かれた書類と、不動産会社の査定書を指さす二つの手。相続不動産の評価基準が複数あることを示すイメージ。

どの数字を信じる?4つの異なる「不動産の価格」

対立をさらに複雑にするのが、不動産の価格には「唯一絶対の正解」がないという事実です。一般的に、不動産の価格を示す指標には、主に以下の4つがあります。

評価指標概要価格水準の目安
①実勢価格(時価)実際に市場で売買される価格。不動産会社が周辺の取引事例などを基に査定する。100%
②公示地価国が公表する土地の標準的な価格。公共事業の用地取得価格の基準になる。地域・時期により異なるが、一般に実勢価格に近い水準で公表されることが多い
③相続税路線価相続税や贈与税を計算するために国税庁が定める価格。一般に実勢価格より低めに設定される傾向があるが、比率は地域・年次で変動
④固定資産税評価額固定資産税などを計算するために市町村が定める価格。3年に1度見直される。一般に実勢価格より低めに評価されることが多いが、その差は地域・時期で変動
不動産の主な評価指標

このように、目的の異なる複数の「価格」が存在するため、「どの価格を基準にするか」で意見が分かれてしまうのです。例えば、家に住み続けたい相続人は「税金の計算に使う固定資産税評価額を基準にすべきだ」と主張し、現金が欲しい相続人は「実際に売れる価格である実勢価格を基準にすべきだ」と主張する、といった具合です。

評価額の対立を放置する末路|起こりうる3つの最悪シナリオ

「そのうち誰かが折れるだろう」「時間が解決してくれるかもしれない」
不動産評価額の対立は、精神的にも負担が大きく、つい問題を先送りにしたくなるかもしれません。しかし、この問題を放置することは、想像以上に深刻な事態を招く可能性があります。

シナリオ1:遺産分割協議が進まず、預貯金も引き出せない

不動産の評価額が決まらないと、遺産の総額が確定できません。その結果、遺産分割協議そのものが完全にストップしてしまいます。

これは、不動産だけの問題ではありません。亡くなった方の預貯金の解約・払戻しや、株式・投資信託の名義変更など、他の相続手続きも進めることが難しくなります。遺産分割協議書には、すべての相続財産の分け方を記載し、相続人全員の実印と印鑑証明書が必要だからです。

いつまでも預貯金が引き出せないままでは、ご自身の生活にも影響が出かねません。

シナリオ2:相続税の申告遅延で、無駄な税金(加算税・延滞税)が発生

相続に関する手続きで最も注意すべきなのが、相続税の申告・納付期限です。この期限は、相続の開始があったことを知った日の翌日から10ヶ月以内と定められており、遺産分割協議がまとまっていなくても待ってはくれません。

もし、この期限までに申告・納付が間に合わないと、

  • 本来の税額に加えて「無申告加算税」が課される
  • 納付が遅れた日数に応じて「延滞税」が課される

といったペナルティが発生し、本来払う必要のなかった税金を負担することになります。さらに、遺産分割が未了のまま申告(未分割申告)をすると、「配偶者の税額軽減」や「小規模宅地等の特例」といった大幅な節税につながる特例が使えません。

評価額の対立を長引かせた結果、数百万円、数千万円単位で損をしてしまう可能性もあるのです。

参考:No.9205 延滞税について

シナリオ3:感情的な対立が激化し、家族関係が崩壊

お金の問題以上に深刻なのが、家族関係の破綻です。最初は不動産の評価額という事務的な話だったはずが、話し合いが長引くにつれて、「昔から兄さんばかり優遇されていた」「お前は親の面倒を何も見てこなかったくせに」といった過去の不満や感情的なしこりが噴出し、収拾がつかなくなるケースは少なくありません。

お互いへの不信感が募り、やがて憎しみ合う関係にまで発展してしまうと、その亀裂を修復するのは非常に困難です。お金では決して取り戻すことのできない、最も悲しい結末と言えるでしょう。

【解決策】不動産評価額の対立を円満に解決する3ステップ

では、どうすればこの困難な状況を乗り越え、円満な解決に至ることができるのでしょうか。感情的な対立を避け、客観的な事実に基づいて冷静に話し合うための具体的なステップをご紹介します。

ステップ1:複数の不動産会社から査定書を取得する

まず、議論の土台となる客観的な判断材料を集めることが重要です。1社だけの査定では、その価格が妥当なのか判断が難しいため、できれば3社程度の不動産会社に査定を依頼し、査定価格とその根拠が記載された「査定書」を取得しましょう。

このとき、相続人がそれぞれバラバラに査定を依頼すると、「自分に都合の良い査定額を持ってきた」と相手に不信感を与えかねません。相続人同士で合意の上、代表者がまとめて依頼するか、全員立ち会いのもとで査定を依頼するなど、プロセスを共有することで公平性を保つことが大切です。

これにより、相続人全員が「おおよその相場観」を共有することができます。

ステップ2:客観的な資料を基に、評価額の着地点を探る

集めた複数の査定書や、固定資産評価証明書などの客観的な資料をすべてテーブルの上に並べ、相続人全員で冷静に話し合います。感情論ではなく、「どの資料を基準に、いくらと評価するのが最も合理的か」という視点で着地点を探っていきましょう。

例えば、以下のような方法が考えられます。

  • 複数の査定額の平均値を取る
  • 最も高い査定額と最も低い査定額の中間の金額で合意する
  • 査定額の平均と、固定資産税評価額などを考慮して調整する

遺産分割における不動産の評価方法に、法律上の決まりはありません。相続人全員が納得し、合意できれば、どのような価格を基準にしても良いのです。

とはいえ、当事者だけではどうしても感情的になりがちです。そんなときは、司法書士のような相続の専門家が第三者として間に入ることで、冷静な話し合いを促進し、法的な観点から公平な解決策をご提案することも可能です。

ステップ3:合意が難しい場合は不動産鑑定士に依頼する

どうしても当事者間での合意が難しい場合の最終手段として、国家資格者である不動産鑑定士による「鑑定評価」があります。

不動産鑑定士が作成する「不動産鑑定評価書」は、専門家による詳細な評価であり、裁判所や税務署等で重要な参考資料として扱われることが多いです。ただし、評価の前提や手法が争点となる場合には異論が出ることもあります。この評価額を基準とすることで、争いに終止符を打つ有力な材料となり得ます。

ただし、不動産鑑定の費用は通常30万円~50万円程度が相場とされますが、物件によって大きく変動します。作成期間も数週間から1ヶ月以上かかる場合があるため、これはあくまで最終手段と考え、できる限りステップ2までの話し合いで解決を目指すのが望ましいでしょう。

不動産鑑定士が専門的な道具を使って物件を調査している様子。相続トラブル解決の最終手段である不動産鑑定をイメージした写真。

【相談事例】評価額2,500万円と1,200万円の対立はどう解決した?

当事務所に寄せられた、実際の相談事例をご紹介します。理論だけでなく、具体的な解決プロセスを知ることで、ご自身の状況を乗り越えるヒントが見つかるかもしれません。

このケースは、長男Aさんと長女Bさんが相続人でした。遺産はご実家の土地建物と預貯金が数百万円。Aさんは「このまま実家に住み続けたい」と希望し、その代わりにBさんへ代償金を支払うことで話を進めようとしました。

しかし、その前提となる不動産の評価額について、二人の意見は真っ向から対立してしまったのです。

  • Aさんの主張:「固定資産評価額は1,200万円程度。市場で売っても同じくらいのはずだ」
  • Bさんの主張:「近所の不動産会社に聞いたら2,500万円と言われた。代償金として半分の1,250万円はもらわないと納得できない」

Aさんは「そんな高値で売れるはずがない」と反論し、Bさんも「査定は専門家の客観的な意見だ」と一歩も譲りません。お二人の主張の隔たりは1,000万円以上。これでは話が進むはずもなく、遺産分割協議は何ヶ月も停滞してしまいました。

ご相談を受け、私はまず、感情的になっているお二人を落ち着かせ、客観的な事実に基づいて着地点を探るための具体的なステップをご提案しました。

それは、先ほどご紹介した「解決策」のステップそのものです。まず、当事者間で信頼できる不動産会社を3社選び、共同で査定を依頼しました。その結果は、「2,100万円」「2,300万円」「2,400万円」という、Bさんの主張に近い数字でした。

この3社の査定書という客観的な資料を前にお話し合いの場を設けたところ、Aさんも当初の主張に固執することなく、冷静に現実を受け入れてくださいました。最終的には、3社の査定額の真ん中あたりである「2,300万円」で評価することに双方が納得され、無事に遺産分割協議書を作成することができたのです。

この事例の教訓は、感情的な言い争いをやめ、誰もが認めざるを得ない「客観的な材料」を揃えることが、解決への何よりの近道だということです。

争いを未然に防ぐために、今からできること

ここまで、すでに対立が起きてしまった場合の解決策についてお話ししてきました。しかし、最も望ましいのは、そもそもこのような争いが起きないようにしておくことです。

将来の相続で、大切な家族が不動産の評価額を巡って争うことを防ぐために、最も有効な対策は「遺言書を作成しておくこと」です。

遺言書で、「誰にどの不動産を相続させるか」を明確に指定しておくだけでも、争いの火種を大きく減らすことができます。さらに、「不動産の評価は、相続開始時点における固定資産税評価額を基準とする」といったように、評価の基準まで具体的に定めておくと、相続人たちが評価方法で揉める余地がなくなります。

遺言書は、残された家族への最後のメッセージであり、家族を争いから守るための強力なツールです。もしご自身の相続で家族に同じ思いをさせたくないとお考えでしたら、ぜひ遺言書を作成しなくてはいけない理由の記事もご覧ください。

不動産評価額の対立は、相続の専門家と一緒に解決しませんか?

相続不動産の評価額をめぐる対立は、当事者だけで解決しようとすると、どうしても感情的になりやすく、問題をこじらせてしまいがちです。

そんなときこそ、私たち司法書士のような相続の専門家にご相談ください。第三者である専門家が間に入ることで、冷静な話し合いの場を設け、円満な解決へのお手伝いができます。

司法書士が間に入る3つのメリット

  1. 公平な立場での資料収集と情報整理
    対立する相続人のどちらか一方の味方をするのではなく、中立・公平な立場で、不動産査定書の手配など客観的な資料収集をサポートします。複雑な情報を整理し、話し合いの土台を整えます。
  2. 冷静な話し合いの進行役
    専門家が同席することで、感情的な発言が抑えられ、建設的な話し合いがしやすくなります。法的な観点から、それぞれの主張の妥当性を判断し、お互いが納得できる落としどころをご提案します。
  3. 合意内容を法的に有効な「遺産分割協議書」に
    話し合いでまとまった内容は、法的に有効な「遺産分割協議書」として正確に文書化する必要があります。登記の専門家である司法書士が作成することで、後の不動産名義変更(相続登記)までスムーズに進めることができます。

いがり円満相続相談室が選ばれる理由

川崎市・横浜市を中心に活動する当事務所は、「円満な相続」の実現を第一に、多数の相続手続きをお手伝いしています。

当事務所の最大の特徴は、司法書士である代表の猪狩佳亮(いがり よしあき)が、最初のご相談から手続き完了まで一貫して直接対応させていただくことです。流れ作業のような対応は一切せず、お客様一人ひとりのお気持ちに丁寧に寄り添い、最適な解決策を一緒に考えます。

また、お仕事でお忙しい方でもご相談いただきやすいよう、平日夜間や土日祝日のご相談にも柔軟に対応(要予約)しております。

不動産の評価額で兄弟と対立し、どうすればよいか分からずお悩みでしたら、どうか一人で抱え込まないでください。あなたの不安な心に「安心」を届け、円満な相続が実現できるよう、私たちが全力でサポートいたします。

まずは無料相談からはじめてみませんか?お気軽にご連絡ください。

成年後見人の報酬は一生払う?費用を抑えるリレー型後見とは

2025-11-25

「成年後見人の報酬を一生払う?」ネット情報の不安を解消します

「親の認知症が進んできたので、実家を売却して施設入所の費用にあてたい…」「でも、そのためには成年後見制度を利用しないといけないらしい…」

そうお考えになったとき、多くの方がインターネットで情報を検索されることでしょう。そして、こんな言葉を目にして不安になっていませんか?

  • 「専門家が後見人になると、報酬が高額になる」
  • 「一度始まったら、本人が亡くなるまで報酬を“一生”払い続けなければならない」
  • 「年間30万円以上かかることもあり、10年、20年と続けば数百万円にもなる…」

大切なご家族のためとはいえ、これほど大きな経済的負担が長期間続くかもしれないと考えると、制度の利用をためらってしまうのも無理はありません。

しかし、どうかご安心ください。ネットの断片的な情報だけでは見えてこない、専門家への報酬負担を大きく軽減できる具体的な方法が存在します。

この記事では、相続と成年後見を専門とする司法書士が、成年後見人の報酬に関する皆様の不安を一つひとつ丁寧に解消していきます。そして、特に不動産の売却が関わるケースで有効な「リレー型後見」という解決策について、実際の事例を交えながら分かりやすく解説します。

最後までお読みいただければ、「成年後見制度=高額な費用が一生続く」というイメージが覆り、安心して次の一歩を踏み出すための知識が身についているはずです。

まず知っておきたい成年後見人の報酬の基本

漠然とした不安を解消するためには、まず成年後見人の報酬が「どのように決まるのか」という基本的な仕組みを正しく理解することが大切です。報酬は後見人が勝手に決めるものではなく、すべての手続きが終わった後に家庭裁判所が決定します。

報酬の相場は月額2万~6万円が目安

家庭裁判所は、報酬額の目安を公表しています。報酬には、日常的な財産管理に対する「基本報酬」と、特別な業務に対する「付加報酬」の2種類があります。付加報酬は裁判所が具体的な事務の内容・労力を踏まえて個別に認定するため、必ずしも一定の割合で算定されるものではありません。

家庭裁判所が示す目安では、管理財産額に応じて一般的に月額おおむね2万円から6万円程度の範囲が示されることがありますが、最終的な金額は事案ごとの業務量や裁判所の判断で決まります。

管理財産額基本報酬額のめやす
1,000万円以下2万円
1,000万円を超え5,000万円以下3万円~4万円
5,000万円を超える場合5万円~6万円
成年後見人等の基本報酬額のめやす(月額)

例えば、管理する財産が預貯金1,000万円とご自宅(不動産)の場合、基本報酬は月額3万円~4万円程度になる可能性が高い、と大まかに予測することができます。

不動産売却など特別な業務には「付加報酬」が発生

「基本報酬」に加えて、通常の後見業務の範囲を超えるような特別な行為を行った場合には、その労力に応じて「付加報酬」が上乗せされます。これが、報酬総額が変動する大きな要因です。

付加報酬が発生する典型的なケースが、不動産の売却です。

ご本人のご自宅などを売却するには、家庭裁判所から「居住用不動産処分許可」を得る必要があります。この許可を得るための申立てや、不動産業者とのやり取り、売買契約の締結、登記手続きなど、一連の複雑な手続きを後見人が行います。こうした特別な業務に対して、基本報酬とは別に、不動産売却に伴う付加報酬が認められる場合があり、裁判所の事案ごとの判断により金額や割合が異なります(裁判所の目安が参考になることがありますが、必ずしも一律ではありません)。

その他にも、遺産分割協議や保険金の請求、訴訟対応などを行った場合にも付加報酬が発生する可能性があります。

「売家」の看板が立てられた日本の住宅。成年後見制度を利用した不動産売却をイメージさせます。

報酬はいつまで?誰が払う?

「報酬は一生払い続けるの?」というご質問に対しては、一般に、後見が終了するまで報酬が発生しますが、後見が解除される(例えば本人の判断能力が回復する等)場合や家庭裁判所の判断で終了する場合もありますので、必ずしも死亡まで継続すると断定できるわけではありません。

通常は、家庭裁判所の審判に基づいて本人の財産から報酬が支払われますが、事案によっては別の取扱いがなされる場合もあり、裁判所の審理・許可が必要です。

後見人は、年に一度、家庭裁判所に財産管理の状況を報告し、その際に報酬付与の申立てを行います。そして、裁判所が決定した報酬額を、ご本人の預貯金から受け取ることになります。ご家族がご自身の生活費から直接負担するわけではない、という点はぜひ覚えておいてください。

参考:成年後見人等の報酬額のめやす

【解決策】不動産売却後の「リレー型後見」で費用を抑える

「報酬が本人の財産から支払われるのは分かった。でも、大切な親の財産が報酬でどんどん減っていくのはやっぱり避けたい…」

そう思われるのは当然のことです。特に、不動産売却のような大きな目的がある場合、その目的が達成された後も専門家への報酬がずっと続くことに疑問を感じる方もいらっしゃるでしょう。

そこで私たちがご提案しているのが、「リレー型後見」という手法です。これは、専門家への報酬支払いを必要な期間だけに限定し、その後の負担を大幅に軽減できる、非常に有効な選択肢です。

リレー型後見とは?専門職から親族へバトンタッチ

リレー型後見とは、その名の通り、後見人の役割をリレーのように引き継ぐ方法です。

具体的には、まず不動産の売却といった専門的な知識や手続きが必要な期間だけ、司法書士などの専門家が後見人に就任します。そして、売却手続きや代金の管理体制の構築といった最も重要なミッションが完了した時点で、後見人の役割をご家族(親族)にバトンタッチするのです。

一般的な流れは以下のようになります。

  1. 後見開始の申立て:司法書士などの専門家を後見人候補者として、家庭裁判所に申立てを行います。
  2. 専門家による後見業務:選任された専門家が、家庭裁判所の許可を得て不動産を売却します。
  3. 財産管理の仕組みづくり:売却で得た大きなお金を安全に管理するため、信託銀行などを活用する「後見制度支援信託」や「後見制度支援預貯金」といった仕組みを利用します。これにより、日常的に使うお金以外は信託銀行等が管理するため、親族後見人の方の負担が減り、財産の安全性も高まります。
  4. 親族後見人へ交代:専門家が行うべき業務が完了した段階で、専門家は家庭裁判所の許可を得て後見人を辞任し、あらかじめ候補者としていたご家族(子など)に後見人を交代します。

専門家が行う業務を限定して交代することで報酬負担を短期化できる場合がありますが、具体的な期間は事案によって異なり必ず1年以内とは限りません。親族後見人に交代した場合でも、必要があれば裁判所への申立てで報酬が認められることがあります(※)。

(※親族後見人でも、特別な事情があれば家庭裁判所に報酬付与の申立てをすることは可能です)

【当事務所の事例】リレー型で報酬負担を軽減できたケース

「リレー型後見」がどれほど効果的か、当事務所で実際にあったご相談事例(複数の事案を組み合わせ、個人の特定ができないように変更しています)をもとにご説明します。

【ご相談のきっかけ】
ある日、娘さんから切羽詰まったご様子でお電話がありました。「母の認知症が進み、このまま一人暮らしをさせるのは心配です。母名義の実家を売却して、施設の入居費用にしたいと考えています。でも、母はもう自分で契約できる状態ではありません。ネットで調べたら、成年後見制度を使わないといけないと…。でも、『司法書士が後見人になったら、母が亡くなるまでずっと報酬を払い続けなければいけない』って書いてあって…」

娘さんは、お母様の将来にわたる費用を心配され、「専門家への報酬を長期間払い続けなければならないのでしょうか?」と、その声は不安で震えていました。

【当事務所からのご提案】
私たちは、娘さんの不安に深く共感し、こうご提案しました。
「お気持ちはよく分かります。ですが、ご安心ください。ずっと専門家が後見人を続ける必要はありません。今回のように『不動産を売却する』という明確な目的がある場合、その専門的な手続きが終われば、後見人をお母様のことを一番よく分かっている娘さんにバトンタッチする『リレー型後見』という方法があります。専門家への報酬は、不動産売却が終わるまでの一時的なものになりますから、総額を大きく抑えられますよ」

このご提案に、娘さんの表情がぱっと明るくなったのを今でも覚えています。

【解決までの流れと結果】
ご依頼後、私たちは迅速に手続きを進めました。

  1. 当事務所の司法書士を後見人候補者として後見開始の申立てを行い、無事に選任されました。
  2. 複数の不動産業者から見積もりを取り、最も高い価格を提示した業者と契約し、家庭裁判所の許可審判を得たうえで、実家を売却しました。
  3. 売却代金は、安全のため信託銀行に預ける「後見制度支援信託」を設定しました。
  4. 今後の生活に必要な分だけを普通預金口座に移し、専門家としての役割を完了。後見人を辞任し、娘さんを後任の後見人として選任してもらう申立てを行い、無事にバトンタッチが完了しました。

最終的に、家庭裁判所が決定した当事務所への報酬(付加報酬を含む)は、数十万円台となりました。この金額だけを見ると高く感じられるかもしれませんが、これは不動産売却という大きな業務に対する一度きりの報酬です。事例の試算では大きな差が生じる場合があることが示されましたが、将来の費用は事案ごとに異なるため、個別の見積・裁判所の判断が必要です。

最も大変な手続きを専門家に任せ、その後の財産管理はご家族の手に戻ったことで、娘さんには大変ご安心いただくことができました。

報酬が払えない場合は?公的な助成制度も

ここまで読んで、「リレー型後見は魅力的だけど、そもそも本人の財産が少なくて、最初の専門家への報酬も払えるか心配…」と感じた方もいらっしゃるかもしれません。

ご本人の収入や資産が一定の基準を下回る場合など、経済的な理由で後見人の報酬を支払うことが困難な場合には、市区町村が費用を助成してくれる「成年後見制度利用支援事業」という制度があります。

助成を受けられる条件や金額はお住まいの自治体によって異なりますが、例えば「生活保護を受給している」「住民税が非課税である」といった方が対象となることが多いです。この制度により、経済的な理由だけで制度の利用を諦める必要はありません。

ご自身の状況が対象になるか分からない場合は、お住まいの市区町村の福祉担当窓口や、私たちのような専門家にご相談ください。

参考:成年後見制度利用支援事業の適切な実施について

まとめ:後見人の報酬は工夫次第。まずは専門家にご相談ください

今回は、多くの方が不安に感じる成年後見人の報酬について、その仕組みと費用を抑えるための具体的な方法を解説しました。

この記事のポイントを振り返ってみましょう。

  • 成年後見人の報酬は、家庭裁判所が決定する(基本報酬は月額2~6万円が目安)。
  • 報酬は、原則として本人が亡くなるまで、本人の財産から支払われる。
  • 不動産売却など特別な業務には「付加報酬」が上乗せされる。
  • 不動産売却が目的の場合、「リレー型後見」で専門家への報酬支払いを一時的なものにできる。
  • 経済的に困難な場合は、公的な助成制度を利用できる可能性がある。

ネット情報には事実と誤解が混在しているため、具体的なケースについては専門家に相談して、制度の仕組みと選択肢を確認することが重要です。

特に、不動産の売却が関わるようなケースでは、最初から最後まで専門家が後見人を務めるのではなく、必要な業務が終わればご家族にバトンタッチする、という考え方は、ご本人のためにも、ご家族の経済的・精神的な負担を軽くするためにも、非常に合理的だと私たちは考えています。

司法書士・行政書士・社会保険労務士いがり綜合事務所(神奈川県司法書士会所属、代表者:猪狩佳亮、所在地:神奈川県川崎市川崎区宮前町12番14号 シャンボール川崎505号)では、成年後見制度に関する豊富な知識と実績をもとに、ご家族ごとのお悩みや状況に合わせてご相談の上で個別にプランを提案します。もし、あなたが成年後見制度の利用や費用について少しでも不安や疑問をお持ちでしたら、一人で悩まずに、まずは当事務所の無料相談をご利用ください。あなたとご家族が安心して未来へ進むためのお手伝いをさせていただきます。

詳しくは「成年後見をご検討中の方へ」のページもご覧ください。

どうぞお気軽にいがり綜合事務所の無料相談はこちらからお問い合わせください。

相続の預金手続き、銀行が教えない口座凍結と引出しの裏側

2025-11-21

【要注意】ご家族が亡くなっても、すぐに銀行へ連絡してはいけません

大切なご家族が亡くなられた後、やらなければならない手続きは山のようにあります。その中でも、故人の預貯金の解約手続きは避けて通れないものの一つです。多くの方が、「まずは銀行に死亡したことを連絡しなければ」と考えがちですが、実はその行動が、かえってご自身を苦しめてしまう可能性があることをご存知でしょうか?

銀行に死亡の事実が届くと、銀行は通常速やかに口座を利用停止(いわゆる凍結)にする手続きを取ります。そうなると、葬儀費用の支払いや、残されたご家族の当面の生活費に充てようと思っていたお金が引き出せず、途方に暮れてしまうケースが後を絶ちません。

この記事では、相続専門の司法書士が、銀行が教えてくれない口座凍結の「裏側」と、知らずに行うと後で大きなトラブルになりかねない預金引き出しのリスク、そしてそれらを回避するための正しい知識と方法を、分かりやすく解説します。

銀行口座はいつ凍結される?その仕組みと実態

まず、最も気になる「口座はいつ凍結されるのか?」という疑問にお答えします。結論から言うと、口座が凍結されるのは「銀行が口座名義人の死亡の事実を知った時点」です。現時点では、一般に市区町村役場が金融機関へ個別に死亡情報を一斉自動連携する仕組みはありません(※制度や取扱いは将来的に変わる可能性があるため、最新情報は公的機関で確認してください)。

では、銀行はどのようにして死亡の事実を知るのでしょうか。主なケースは以下の通りです。

  • 相続人(家族)から電話や窓口で連絡があった
  • 新聞のお悔やみ欄に掲載されていた
  • 近所の方や会社の関係者など、第三者からの情報提供があった

これらのケースの中でも、圧倒的に多いのが「相続人からの連絡」です。つまり、ご家族が行動を起こさない限り、すぐに口座が凍結されることはほとんどないのが実態なのです。

死亡届を出しても口座は凍結されない

一般には、役所に死亡届を出しただけで銀行へ自動的に情報が渡り直ちに口座が凍結されるわけではありません。ただし、年金機構等の他機関を介して金融機関が死亡を把握するケースはあり得ます。

そのため、死亡届を提出したからといって、即座に預金が引き出せなくなるわけではありません。この点を正しく理解しておくことが、慌てずに行動するための第一歩となります。

凍結の合図は「相続人からの連絡」がほとんど

最も典型的な失敗例は、相続手続きの進め方を聞こうと銀行に電話した際、うっかり「父が亡くなったのですが…」と伝えてしまうケースです。その一言で、銀行は通常、確認を行ったうえで口座を利用停止にする対応を取る場合があります。その結果、電話を切った後にはもうATMでお金をおろすことができなくなり、「葬儀代が払えない!」とパニックに陥ってしまうのです。

善意からの行動が、かえって状況を悪化させてしまう。これが、預貯金相続の最初に待ち受けている大きな落とし穴です。

銀行の窓口に置かれた「お手続き」の案内。相続手続きの煩雑さを象徴している。

凍結前の預金引き出しは可能?知っておくべき3つの重大リスク

「凍結される前なら、キャッシュカードで引き出してしまえばいいのでは?」と考える方もいらっしゃるでしょう。物理的には、ATMで現金を引き出すことは可能です。しかし、その行為には、あなたの将来を左右しかねない、3つの重大なリスクが潜んでいます。

リスク1:借金も相続する「単純承認」とみなされる

故人の預金を引き出して用途不明のまま使用すると、民法上『相続財産の処分』と判断され単純承認となる可能性があります。ただし、葬儀費用など社会通念上妥当な支出は処分に当たらないと判断される場合もあるため(裁判例あり)、相続放棄の可能性がある場合は一切手を付けないのが安全です。

もし後から故人に多額の借金が発見された場合、「私は財産を承認したので、借金は放棄します」という都合の良い主張は認められません。本来であれば相続放棄についての手続きをすれば借金を背負わずに済んだはずが、軽い気持ちで預金を引き出したばかりに、故人の借金まで全て相続しなければならなくなるのです。これは最も避けなければならない最悪のシナリオです。

リスク2:「使い込み」を疑われ、相続が泥沼の争いに発展する

他の相続人に相談なく預金を引き出す行為は、たとえ葬儀費用などの正当な目的であったとしても、非常に危険です。他の兄弟姉妹などから見れば、それは「財産の使い込み」と疑われても仕方ありません。

「なぜ黙ってお金をおろしたんだ」「本当に葬儀代に使ったのか証拠を見せろ」「自分の懐に入れたんじゃないか」…一度生まれた不信感は、簡単には拭えません。これがきっかけで相続人同士の関係が悪化し、本来スムーズに進むはずだった遺産分割協議が紛糾し、家庭裁判所での調停や審判といった「争続」に発展するケースは、残念ながら数多くあります。

リスク3:税務署に「贈与」や「相続財産隠し」を指摘される

税務署は、亡くなる直前の口座の動きを厳しくチェックしています。特に、亡くなる直前に多額の現金が引き出されている場合、「これは相続税を逃れるための財産隠しではないか?」あるいは「生前に贈与されたものではないか?」と疑いの目を向けられる可能性があります。

もし相続財産として申告しなければ、後日の税務調査で指摘され、本来の相続税に加えて重いペナルティ(過少申告加算税や延滞税)が課されることになりかねません。税務の観点からも、安易な引き出しは絶対に避けるべきです。

故人の預金通帳をめぐり、険悪な雰囲気で話し合う相続人たち。無断の引き出しが原因で相続トラブルに発展する様子。

専門家が教える!トラブルを防ぐための引き出し方【相談事例】

リスクを理解した上で、それでも「葬儀費用など、どうしても支払わなければならないお金がある場合はどうすれば?」という切実な声があるのも事実です。当事務所にも、そうした不安を抱えた方が多く相談に来られます。

【ご相談事例(内容は個人が特定できないよう変更しています)】

先日、お父様を亡くされたという方から、ご相談がありました。
「主人が亡くなったら、銀行口座は凍結されてしまうんですよね…? 葬儀代やお寺へのお布施、これからの支払いをどうしたらいいのか。お金の管理は全部主人がしていたので、手元に現金がなくて…凍結されたら本当に払えません。どうしましょう…」

その不安な心に寄り添い、私はまず落ち着いていただくことから始めました。そして、口座凍結の仕組みと、今やるべきことを具体的にお伝えしました。

「多くの場合、銀行が死亡を把握するまでは直ちに口座が利用停止にならないことがありますが、年金や保険、公共料金の処理など個別の事情により早めに連絡が必要なこともあります。不安な場合はまず専門家に相談してください」

続けて、どうしても現金が必要な場合の注意点について、こうアドバイスさせていただきました。

「実は、亡くなる前後にATMの限度額いっぱいまで毎日引き出しているご家庭は少なくありません。ただし、絶対に守ってほしいルールが2つあります。1つは、他の相続人全員に『葬儀費用として〇〇円引き出します』と事前に伝え、同意を得ること。もう1つは、引き出したお金の使い道を証明できるよう、全ての領収書を必ず保管しておくことです。この2つを守れば、後でトラブルになることは防げます」

このアドバイスを聞き、ご相談者は心から安堵されたご様子で、「知らなかった…相談して本当に良かったです」とおっしゃっていました。専門家として、不安を安心に変えるお手伝いができたと感じた瞬間でした。

このように、やむを得ず預金を引き出す場合は、

  1. 他の相続人全員から事前に同意を得る
  2. 何のためにいくら使ったか、領収書などの証拠を必ず残す

この2点を鉄則として守ってください。これが、ご自身の身を守り、円満な相続を実現するための最低限のルールです。

凍結されても大丈夫!預金の正式な相続手続きと2つの方法

「すでに銀行に連絡して口座が凍結されてしまった…」という方も、ご安心ください。正しい手順を踏めば、預金は必ず相続できます。ここからは、凍結された口座を解約するための正式な手続きについて解説します。

必要書類を揃えて銀行窓口で手続きする

預貯金の相続手続きの基本的な流れは以下の通りです。

  1. 銀行の窓口に連絡し、相続が発生した旨を伝え、手続きに必要な書類(相続届など)を取り寄せる。
  2. 故人の出生から死亡までの一連の戸籍謄本(除籍謄本、改製原戸籍謄本)を収集する。
  3. 相続人全員の戸籍謄本と印鑑証明書を用意する。
  4. 遺言書がない場合は、相続人全員で遺産の分け方を話し合い、「遺産分割協議書」を作成する。
  5. 銀行所定の相続届と遺産分割協議書に、相続人全員が署名し、実印を押印する。
  6. 収集した全ての書類を銀行に提出する。

書類に不備がなければ、通常1〜2週間ほどで指定の口座に解約金が振り込まれます。この手続きで最も大変なのが「戸籍謄本の収集」と「相続人全員の協力」です。特に相続人が遠方に住んでいたり、関係が疎遠だったりすると、書類のやり取りだけで大変な時間と労力がかかります。

【緊急時】預貯金の仮払い制度を利用する

遺産分割協議がなかなかまとまらない場合でも、当面の費用を支払えるように、2019年の民法改正で「預貯金の仮払い制度」が創設されました。これにより、他の相続人の同意がなくても、家庭裁判所の手続きを経ずに、相続人の一人が単独で一定額の預金を引き出すことが可能になりました。

引き出せる金額には「(相続開始時の預金額)× 1/3 ×(仮払いを受ける相続人の法定相続分)」という上限があり、さらに一つの金融機関からは150万円までという制限もあります。緊急時には非常に便利な制度ですが、必要書類の準備や計算が煩雑なため、やはり最終的には専門家を通じて正式な遺産分割手続きを進めるのが最も確実な方法と言えるでしょう。

参考:相続された預貯金債権の払戻しを認める制度について(法務省)

司法書士が遺産分割協議書や戸籍謄本など、相続手続きに必要な書類を整理している様子。専門家による正確な手続きを表現。

預貯金の相続手続きは司法書士に任せるのが一番確実な理由

ここまで読んで、「思ったより手続きが大変そうだ…」と感じられた方も多いのではないでしょうか。故人を亡くした悲しみの中で、不慣れな手続きをご自身で進めるのは、心身ともに大きな負担となります。そんな時こそ、私たち相続の専門家である司法書士にご相談ください。

司法書士は「遺産承継業務」として、ご遺族の代理人となり、預貯金の解約手続きを含むあらゆる相続手続きを代行することができます。専門家に依頼することは、単に「楽ができる」以上の大きなメリットがあります。

面倒な戸籍収集から銀行とのやり取りまで全て代行

相続手続きで最も時間と手間がかかるのが、故人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本を集める作業です。本籍地が何度も変わっている場合は、全国の役所に請求しなければならず、大変な労力を要します。司法書士にご依頼いただければ、この膨大な戸籍収集から、金融機関ごとの複雑な手続き、必要書類の作成、窓口でのやり取りまで、全てを代行いたします。ご遺族の方は、煩雑な作業から解放され、故人を偲ぶ時間に専念していただけます。

中立な専門家として相続人間のトラブルを防ぐ

相続手続きを特定の相続人が一人で進めると、「本当に正しくやっているのか?」「自分に不利なように進められていないか?」といった疑念や不満が他の相続人から出てくることがあります。司法書士が中立な専門家として間に入ることで、全ての手続きを法律に則って公平に進めることができます。財産目録を作成し、全員に状況を透明性をもって報告することで、相続人間の無用な対立を防ぎ、円満な相続の実現をサポートします。

当事務所の預貯金解約代行サービスと費用

相続手続きの代行を承ります。まずは事前相談で手続きの内容や費用を説明します。

当事務所のサービスは、ご依頼者様のお話をじっくりと伺い、丁寧に対応し、手続きの代理や支援を行うものです。

  • 預貯金解約代行サービス:基本料金 1銀行あたり 66,000円(税込)~ 
    ※表示料金は必要書類が揃っていることを前提とした基本的な解約手続きに対する基本報酬の金額であり、戸籍収集手数料、郵券実費、法定書類取得費用、追加手続きが発生する場合の加算は別途実費を申し受けます。正式な報酬は事前見積りにて提示します。また、ゆうちょ銀行は基本料金88,000円(税込)~になります。

不動産の名義変更(相続登記)や、相続放棄、遺言書の作成など、他の相続手続きもまとめてご依頼いただくことが可能です。相続に関するお悩みは、ワンストップで対応できる当事務所にお任せください。

まとめ|預貯金の相続は専門家へ相談し、円満・確実に進めましょう

ご家族が亡くなられた後の預貯金手続きには、口座凍結のタイミングや、安易な引き出しによるトラブルなど、多くの落とし穴が潜んでいます。正しい知識がないまま行動してしまうと、取り返しのつかない事態を招きかねません。

大切なのは、慌てて自己判断で動く前に、まずは専門家に相談することです。相続のプロである司法書士に任せることで、法的なリスクを回避し、煩雑な手続きから解放され、何よりもご家族間の円満な関係を守ることができます。

いがり綜合事務所では、川崎市・横浜市を中心に、相続に関する無料相談を承っております。平日夜間や土日祝日のご相談にも対応しておりますので、お仕事でお忙しい方も、まずはお気軽にご連絡ください。あなたの不安を「安心」に変えるお手伝いをさせていただきます。

まずは無料相談から。預貯金の相続手続きは当事務所へお任せください

事務所名:司法書士・行政書士・社会保険労務士いがり綜合事務所
所在地:〒210-0012 神奈川県川崎市川崎区宮前町12番14号 シャンボール川崎505号
代表者:司法書士・行政書士・社会保険労務士 猪狩 佳亮
所属:神奈川県司法書士会、神奈川県行政書士会、神奈川県社会保険労務士会

相続税申告は必要?司法書士ができる判断と税理士連携の重要性

2025-11-20

相続税申告、自分で判断は危険?まずは司法書士にご相談ください

「親が亡くなったけれど、うちの場合は相続税の申告が必要なのだろうか…」
「遺産に不動産があるから、税金が心配…」

大切なご家族を亡くされた悲しみの中で、相続手続きを進めるだけでも大変な中、さらに「相続税」という大きな不安を抱えていらっしゃる方は少なくありません。

一般的に「相続手続きや不動産の名義変更(相続登記)は司法書士、税金のことは税理士」というイメージがあるかもしれません。しかし、実際には「そもそも相続税申告が必要なのかどうか」という最初の判断で迷われる方が非常に多いのが現実です。

遺産の総額はいくらなのか、不動産の価値はどう評価するのか、使える特例はあるのか…など、判断材料が複雑に絡み合うため、ご自身だけで結論を出すのはとても危険です。判断を誤ると、後から追徴課税などのペナルティを受けてしまう可能性もあります。

この記事では、相続を専門とする司法書士の視点から、

  • 相続税申告が必要になるかの基本的な判断基準
  • その判断過程で司法書士が果たす重要な役割
  • なぜ「相続に強い税理士」との連携が不可欠なのか

といった点を、分かりやすく解説していきます。この記事を最後までお読みいただければ、相続税に関する漠然とした不安が解消され、「まず何をすべきか」が明確になるはずです。どうぞご安心ください。

相続税の判断基準を説明するイメージ。遺産分割協議書と印鑑が写っている。

相続税申告が必要になるかの判断基準【基本を解説】

相続税申告が必要かどうかを判断するための、最初のステップとなる基本的な知識についてご説明します。複雑な税金のルールも、ポイントさえ押さえれば、ご自身の状況を大まかに把握することができます。

遺産総額が「基礎控除額」を超えるかどうかが第一の分岐点

相続税がかかるかどうかを判断する最も重要な基準が「基礎控除額」です。遺産の総額がこの基礎控除額よりも少なければ、原則として相続税はかからず、申告も不要です。

3,000万円 + (600万円 × 法定相続人の数)

例えば、法定相続人が「配偶者と子ども2人」の合計3人だった場合、基礎控除額は以下のようになります。

3,000万円 + (600万円 × 3人) = 4,800万円

このケースでは、亡くなった方の遺産総額(預貯金、不動産、有価証券などを合計した金額から、借金などの債務を差し引いたもの)が4,800万円以下であれば、相続税はかかりません。まずはご自身のケースで、法定相続人が何人になるかを確認し、基礎控除額を計算してみることが第一歩です。

【注意】特例利用で税額0円でも「申告義務」は残るケース

多くの方が誤解しやすい、非常に重要なポイントがあります。それは、特例を適用した結果、納める相続税が0円になったとしても、その特例の適用を受けるために「相続税申告そのものは必要」なケースがあるということです。

代表的な特例として、以下の2つが挙げられます。

  • 小規模宅地等の特例:亡くなった方が住んでいた土地などを相続する場合、一定の要件を満たせば土地の評価額を最大80%減額できる制度です。
  • 配偶者の税額軽減:配偶者が相続する遺産額が法定相続分または1億6,000万円のいずれか多い金額までであれば、相続税がかからない制度です。

これらの特例は非常に強力で、適用できれば納税額を大幅に減らしたり、0円にしたりすることが可能です。しかし、小規模宅地等の特例等は相続税の申告書への記載および必要書類の添付(例:計算の明細書、遺産分割協議書の写し等)が必要です(国税庁参照)。

つまり、「特例を使えばうちは税金が0円になるから、何もしなくていい」と自己判断してしまうと、特例自体が使えなくなり、本来払わなくてよかったはずの多額の税金が発生してしまうリスクがあるのです。これは絶対に避けなければなりません。

参考:No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)

司法書士が不動産の権利証を指さしながら、相続税申告の要否について相談者に説明している様子。

司法書士の役割は「相続税申告の要否」を見極める最初の水先案内人

「相続税のことは税理士に相談するもの」と思われているかもしれませんが、実は、相続手続きの専門家である司法書士が、その入口で非常に重要な役割を果たします。

もちろん、司法書士は税理士ではないため、具体的な税額計算や税務申告書の作成はできません。しかし、相続手続きを進める中で遺産全体を把握し、「このケースは相続税申告が必要そうだ」「特例の適用に注意が必要だ」といった初期判断を行い、適切な専門家へ繋ぐ「水先案内人」としての役割を担うことができるのです。

相続登記に必須の「財産調査」で課税ラインをチェック

ご自宅などの不動産を相続した場合、法務局で名義変更の手続き(相続登記)が必要になります。この相続登記をご依頼いただいた場合、司法書士はまず、戸籍を収集して相続人を確定させると同時に、亡くなった方の財産を調査します。

  • 不動産の固定資産税評価証明書を取得し、価値を把握する
  • 預貯金の残高証明書を各金融機関から取り寄せる
  • 有価証券や生命保険など、その他の財産についてもお話を伺う

これらの財産調査を通じて作成する「財産目録」は、遺産分割協議の土台となるだけでなく、集計した財産の概算額が基礎控除額を超えるかどうかのチェックにも直結します。つまり、相続登記という手続きを進める過程で、自然と相続税申告の必要性が見えてくるのです。最初に司法書士へご相談いただくことで、税務判断の第一歩をスムーズに踏み出すことができます。

不動産の評価が鍵!司法書士が見るべきポイント

相続財産に不動産が含まれる場合、その評価が相続税額を大きく左右します。特に、単純な土地や建物だけでなく、以下のような複雑なケースでは注意が必要です。

  • 他人の土地に建てた家の権利(借地権)
  • 複数人で所有している不動産(共有不動産)
  • 形が歪な土地(不整形地)
  • 私道に面している土地

こうした不動産は、固定資産税評価額だけでは正確な価値を判断できず、専門的な評価が必要になることがあります。司法書士は不動産登記の専門家として、こうした複雑な権利関係を正確に把握し、整理することができます。そして、その情報を正確に税理士へ引き継ぐことで、適切な財産評価と税額計算の橋渡し役を担うのです。

当事務所の初回相談でのヒアリングと税理士連携の実例

当事務所では、相続登記のご相談でいらっしゃった方に対しても、必ずご遺産の全体像について大まかにお話を伺うようにしています(もちろん、お話しにくい場合は無理にお聞きすることはありません)。これは、私たちの責務が単に登記手続きを代行するだけでなく、お客様が抱える相続全体の課題を解決することにあると考えているからです。

実際に、お話を伺う中で、「相続税はかからないと思っていたけれど、概算してみると基礎控除を超えそうだ」「特例が使えるから大丈夫だと思っていたが、申告自体は必要なケースだった」「見落としていた借地権の評価額を加えると、課税対象になる可能性が高い」といったことが判明するケースは決して少なくありません。

そのような場合、当事務所ではすぐに提携している相続専門の税理士にお繋ぎし、スムーズに次のステップに進めるようサポートしています。初期段階でリスクを検知し、適切な専門家へ橋渡しをすること。これも、私たち相続専門司法書士の重要な役割なのです。

相続税申告は税理士の独占業務!司法書士との連携が重要な理由

ここまで司法書士の役割についてお話ししてきましたが、最終的な相続税の計算と申告書の作成・提出は、法律で定められた税理士の独占業務です。司法書士がこれらの業務を行うことはできません(税理士法第2条、第52条)。

だからこそ、相続手続きをスムーズに進め、お客様に余計な手間や心配をおかけしないためには、司法書士と税理士の緊密な連携が不可欠となります。

「相続に強い税理士」でなければならない本当の理由

ここで非常に大切なのは、「どの税理士でも同じではない」ということです。お医者さんに外科、内科、眼科といった専門分野があるように、税理士にもそれぞれ得意分野があります。

多くの税理士は、企業の顧問として法人税務をメインに扱っています。もちろん相続税申告に対応できる先生もいますが、相続税は土地の評価や特例適用の判断など、非常に専門的で複雑な知識と経験が求められる分野です。年に数件しか扱わない税理士と、日常的に相続案件を扱っている税理士とでは、そのノウハウの蓄積に大きな差が生まれます。

経験豊富な「相続に強い税理士」に依頼することで、適用できる特例を見逃さず、不動産評価を適切に行い、結果として納税額を適正に抑えることができる可能性が高まります。これは、お客様の財産を守る上で極めて重要なポイントです。

当事務所が提携する「相続専門税理士」の強み

「相続に強い税理士を自分で探すのは大変…」と感じられるのも無理はありません。そこで、当事務所の強みが活きてきます。

いがり綜合事務所では、相続を専門的に扱う経験豊富な税理士と提携しており、税務面の連携が可能です。

ご自身で一から税理士を探す手間が省けるだけでなく、専門外の税理士に依頼してしまうリスクを回避し、「相続のプロ」による質の高いサービスを確実に受けていただける安心感をご提供できます。

司法書士経由で税理士に依頼する3つのメリット

当事務所のような窓口に相続手続きと税務申告をまとめてご相談いただくことには、お客様にとって大きなメリットがあります。

  1. 情報の抜け漏れがなく安心:司法書士が財産調査で収集した資料や情報を税理士と共有するため、お客様が何度も同じ説明をする手間が省けます。情報が一元管理されることで、財産の申告漏れなどのミスを防ぎます。
  2. 手続きがスピーディーに進む:司法書士が作成した正確な財産目録や相続関係説明図を税理士が活用できるため、税理士はゼロから情報を集める必要がなく、税務申告の準備にスムーズに着手できます。
  3. 質の高い専門家を探す手間とリスクを回避:前述の通り、「相続に強い」専門家を確実に見つけられます。お客様は専門家探しに時間を費やすことなく、安心して手続き全体をお任せいただけます。
相続税申告の期限が迫っていることを示すカレンダーのイメージ。

相続税で損しないために。まずはお早めにご相談を

相続税の申告と納税には、「被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10ヶ月以内」という期限が定められています。この期限はあっという間に過ぎてしまいます。

また、遺産をどのように分けるか(遺産分割協議)によって、適用できる特例や各相続人の納税額が変わってくるため、申告期限までに遺産分割協議を終えておくのが理想です。不動産の名義変更(相続登記)や預貯金の解約など、相続手続きには時間がかかるものが多いため、判断に迷ったら一日でも早く専門家に相談することが重要です。

「うちは相続税がかかるのか?」「何から手をつければいいのかわからない」
そのような不安をお持ちでしたら、まずは私たち、いがり綜合事務所にご相談ください。

相続手続きの専門家として、そして相続税申告への適切な橋渡し役として、お客様一人ひとりの状況に寄り添い、円満な相続を実現するため全力でサポートいたします。初回のご相談は無料です。どうぞお気軽にお問い合わせください。
事務所名:司法書士・行政書士・社会保険労務士いがり綜合事務所
代表司法書士:猪狩 佳亮
所在地:神奈川県川崎市川崎区宮前町12番14号 シャンボール川崎505号
所属:神奈川県司法書士会

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孤独死した叔父の相続|多数の相続人と連絡を取り預金解約した事例

2025-11-19

突然の孤独死…疎遠な叔父の相続、9名の相続人と連絡を取り預金解約を終えた事例

「役所から連絡があり、疎遠だった叔父が自宅で亡くなっているのが見つかった、と…」

ある日、一本のお電話からご相談は始まりました。お電話口の女性は、突然の訃報に動揺しながらも、ご自身がやらなければならないという責任感から、必死に状況を説明してくださいました。

警察の現場検証後、お部屋に入ると、汚れてしまった現金約40万円と、濡れて判読が難しい通帳が数冊見つかったそうです。通帳の最後の記載などから、預金は2,000万円ほどあるかもしれない、とのことでした。

叔父様には配偶者もお子様もいらっしゃらなかったため、相続人はご自身の親を含む兄弟姉妹、そしてすでに亡くなっている兄弟姉妹の子どもである甥や姪たち。ほとんどの方が北関東や四国、九州にお住まいで、長年顔も合わせていないとのことでした。

「これだけの人数に、私が一人で連絡を取って事情を説明し、手続きを進めるのは精神的にも物理的にも無理だと感じています。先生の方から、専門家として皆様に連絡を取ってもらえないでしょうか…」

その切実な思いを受け、当事務所でお手伝いさせていただくことになりました。

まず、私の方で戸籍謄本を全国の役所から取り寄せ、相続人様が9名であることを正式に確定させました。そして、お一人おひとりに、突然のご連絡で驚かれないよう配慮しながら、事情を説明するお手紙をお送りしました。

幸い、遺産額が明確で多額であったこともあり、相続人の皆様全員から「手続きに協力します」と前向きなお返事をいただくことができました。相談者様が最も心配されていた「連絡が取れない」「協力してもらえない」という壁を、まず乗り越えることができたのです。

見つかった現金については銀行に持ち込みましたが、数枚は汚れがひどく、日本銀行での鑑定が必要となりました。これも当事務所が代理人として銀行に依頼し、無事に交換手続きを終えました。通帳も損傷していましたが、相続手続きは通帳がなくても進められます。残高証明書と取引履歴を取得し、解約・払戻しの手続きを代行しました。

最終的に、遺産の分け方は相続人の皆様で均等に、という形で穏やかに話がまとまりました。当事務所で作成した遺産分割協議書にご署名と実印をいただき、無事に各相続人様の口座へのお振込みまで完了させることができました。

相続人同士が疎遠であればあるほど、かえって感情的なしがらみがなく、法律に則った分け方(法定相続分や均等割)でスムーズに合意できるケースは少なくありません。

「相続人が全国に散らばっていて、どうなることかと本当に不安でした。先生が間に入ってくれたおかげで、自分では到底できなかったことがスムーズに進み、本当に感謝しています」

最後にいただいた相談者様の安堵の表情が、何よりの励みとなった案件です。

孤独死の相続でまず直面する「3つの困難」とは?

突然の孤独死の知らせは、ご遺族にとって精神的なショックが大きいだけでなく、その後の相続手続きにおいても特有の難しさが伴います。一般的な相続と比べて、なぜこれほどまでに大変なのでしょうか。多くの方が直面する「3つの困難」について解説します。もしかしたら、あなた様が今抱えている不安も、この中のどれかに当てはまるかもしれません。

孤独死の現場を思わせる、遺品が残されたままの部屋。相続手続きの困難さを象徴している。

困難1:相続人が誰で、どこにいるか分からない

孤独死の場合、故人との関係が疎遠であることが多く、「相続人が誰なのか」「全部で何人いるのか」「どこに住んでいるのか」すら正確に把握できていないケースがほとんどです。

特に、亡くなった方に配偶者や子どもがいない場合、相続人は親、あるいは兄弟姉妹や甥・姪になります。兄弟姉妹や甥・姪が相続人となるケースでは、関係性が希薄になっていることが多く、連絡先を知らないどころか、お名前すら分からないということも珍しくありません。

法的に相続手続きを進めるには、亡くなった方の出生から死亡までの連続した戸籍謄本をすべて集め、法的な相続人全員を確定させる必要があります。この戸籍収集は、本籍地が各地に点在していることも多く、非常に手間と時間がかかる作業です。この最初のステップでつまずいてしまう方が非常に多いのが実情です。

困難2:財産も借金も、何がどれだけあるか不明

故人と生前の交流が少なかったため、どのような財産を持っていたのか、あるいは借金を抱えていたのか、全く見当がつかないというのも大きな困難です。

預貯金、不動産、株式といったプラスの財産だけでなく、カードローンや消費者金融からの借入、未払いの税金や家賃といったマイナスの財産が存在する可能性も十分にあります。これらの情報は、遺品整理を進める中で見つかる通帳や郵便物、督促状などから一つひとつ探していくしかありません。

もしプラスの財産よりマイナスの財産の方が多い場合は、家庭裁判所で「相続放棄について」の手続きを検討する必要があります。この手続きは原則として「自己のために相続の開始があったことを知った時から3箇月以内」という期限があるため、迅速な財産調査が極めて重要になります。

困難3:面識のない相続人への連絡と協力依頼

戸籍調査によって相続人全員が判明したとしても、次なる大きな壁が待っています。それは、「会ったこともない、あるいは何十年も連絡を取っていない親族」に、突然連絡をして相続の話を切り出さなければならないという、精神的なハードルです。

「いきなり電話して、お金の話なんてできるだろうか…」
「怪しまれて、話も聞いてもらえないかもしれない…」
「協力してほしいと頼んだら、かえって関係がこじれないだろうか…」

このような不安を感じるのは、当然のことです。実際に、相続人の中には協力を拒否する方や、非現実的な要求をされる方がいらっしゃる可能性もゼロではありません。当事者同士で直接やり取りをすることで、かえって感情的な対立を生んでしまうリスクもあります。

このような場合、司法書士という国家資格を持つ第三者が、中立的な立場から丁寧な手紙で事情をご説明することで、相手方も冷静に話を聞き入れやすくなります。専門家が介在することが、円満な話し合いへの第一歩となるのです。

司法書士が一つずつ解決へ導きます|孤独死相続の具体的な手続きの流れ

複雑に絡み合った孤独死の相続問題も、一つひとつ手順を踏んで解きほぐしていくことで、解決の道筋が見えることがあります。ここでは、当事務所にご依頼いただいた場合に、どのような流れで手続きを進めていくのかを具体的にご紹介します。

司法書士が戸籍謄本を整理し、複雑な相続関係説明図を作成している様子。専門家による正確な調査を表している。

STEP1:戸籍収集による相続人の確定調査

まず、ご依頼者様から委任状をいただき、当事務所が代理人として、亡くなられた方の出生から死亡までの全ての戸籍謄本(除籍謄本、改製原戸籍謄本)を全国の市区町村役場から取り寄せます。これにより、法的に相続権を持つ方を一人も漏れなく確定させます。

収集した戸籍情報をもとに、誰が相続人であるかを一覧にした「相続関係説明図」を作成します。この書類によって、相続関係が誰の目にも明らかになり、後の金融機関や法務局での手続きがスムーズに進みます。

ご自身でやろうとすると非常に煩雑なこの作業も、専門家にお任せいただくことで、正確かつスピーディーに完了させることができます。

STEP2:財産・負債の調査と相続放棄の検討

相続人調査と並行して、故人の財産調査を進めます。遺品の中から見つかった通帳やキャッシュカードを手がかりに、各金融機関へ残高証明書の発行を請求します。不動産については、役所で名寄帳や評価証明書を取得して所有状況を確認します。

同時に、信用情報機関への情報開示請求などを通じて、借入金などのマイナスの財産がないかも徹底的に調査します。すべての財産状況が明らかになった段階で、財産目録を作成し、相続人の皆様にご報告します。その内容に基づき、相続手続きを進めるか、あるいは相続放棄を選択するかを、3ヶ月の期限を意識しながら慎重に検討していきます。

STEP3:全相続人への連絡と遺産分割協議の調整

相続人と財産が確定したら、いよいよ相続人の皆様へご連絡します。当事務所がご依頼者様の代理人として、お一人おひとりに宛ててお手紙を作成し、郵送します。お手紙には、以下の内容を分かりやすく記載します。

  • 亡くなられた方のこと、ご自身が相続人であること
  • 判明した相続財産の内容
  • 今後の手続きの流れについてのご説明
  • 遺産の分け方についてのご意向の確認

突然のことで驚かれないよう、また、怪しい手紙だと思われないよう、司法書士の職印を押印した正式な書面としてお送りします。その後、お電話や郵送でのやり取りを通じて、全員が納得できる遺産の分け方について合意形成を目指します。当事務所が間に入ることで、当事者の負担軽減に寄与することがあります。

STEP4:遺産分割協議書の作成と各種名義変更・解約手続き

相続人全員の合意が得られたら、その内容を法的に有効な書面にするため、当事務所が「遺産分割協議書」を作成します。この協議書に、相続人全員が署名し、実印を押印していただくことで、遺産分割協議が正式に成立します。

その後は、完成した遺産分割協議書とその他の必要書類(戸籍謄本、印鑑証明書など)を用いて、金融機関での預貯金の解約・払戻し手続きや、不動産の名義変更(相続登記)を、すべて当事務所が代行します。事例のように汚損した現金や通帳の対応なども、専門家として適切に対処いたします。最終的に、各相続人様の指定口座へのお振込みまで、手続きの完了まで代理で対応いたします。

孤独死の相続でよくあるご質問(Q&A)

孤独死の相続に関して、ご相談者様からよく寄せられるご質問にお答えします。

司法書士事務所で、相談者が専門家と向き合い、相続の悩みを真剣に相談している場面。

Q. 遺品整理や特殊清掃もお願いできますか?

A. はい、対応可能です。
当事務所は司法書士事務所ですので、遺品整理や特殊清掃を直接行うことはできません。しかし、私たちが信頼できる専門業者と連携しておりますので、ワンストップで手配することが可能です。特に、相続人様が遠方にお住まいで現場の立ち会いが難しい場合でも、当事務所が窓口となって業者とやり取りを進めますので、安心してお任せいただけます。

また、これらの費用については、相続財産(故人の預貯金など)の中から清算することも可能ですので、まずはお気軽にご相談ください。

Q. 相続人である親が高齢(または認知症)なのですが…

A. そのようなケースにも対応しておりますので、ご安心ください。
例えば、「孤独死した兄の相続人は、高齢で施設に入所している母」といったご相談は少なくありません。お母様がご自身で判断したり、書類に署名したりすることが難しい場合、法的な手続きを進めることができません。

このような場合、お母様のために「成年後見人」を選任する手続きを家庭裁判所で行う必要があります。当事務所では、成年後見をご検討中の方へのサポートも行っておりますので、相続手続きと並行して進めることが可能です。ご家族の状況に合わせて最適な方法をご提案いたします。

Q. 司法書士に依頼する費用はどのくらいかかりますか?

A. 当事務所では、分かりやすい料金体系をご用意しております。
相続手続きの代行については、相続財産の額にかかわらない定額の報酬プランをご用意しております。多くのケースでは、手続き完了後に故人の遺産の中から費用を清算いただくことが可能ですので、ご依頼時にまとまったお金をご用意いただく必要はございません。

初回のご相談は無料です。まずはお話をお伺いし、どのような手続きが必要で、費用が総額でいくらになるのかを明確にお見積りとしてご提示いたします。ご納得いただいた上でご依頼いただけますので、まずはお気軽にお問い合わせください。

一人で抱え込まず、まずはご相談ください

親身に相談に乗る、いがり綜合事務所の女性司法書士。一人で抱え込まず相談してほしいというメッセージを伝えている。

突然の孤独死の知らせを受け、相続人調査、財産調査、面識のない親族への連絡…と、次から次へと押し寄せる問題に、今、あなたは途方に暮れ、大きな不安の中にいらっしゃるかもしれません。

「何から手をつければいいのか分からない」
「自分一人で、本当に最後までやり遂げられるだろうか」

そのように感じるのは、決してあなただけではありません。今回ご紹介した事例のように、どんなに複雑に見える状況でも、専門家が介入し、一つひとつ問題を解きほぐしていくことで、解決に向けた道筋を提案します。

私たちの役目は、ただ手続きを代行するだけではありません。あなたの不安な心に寄り添い、「安心」をお届けし、円満な相続が実現するまで、最後まで伴走することです。

どうか、一人ですべてを抱え込まないでください。当事務所では、初回のご相談は無料で承っております。平日夜間や土日祝日のご相談にも対応しておりますので、まずはお気持ちが少し落ち着いたときに、あなたのお話をお聞かせください。ご連絡を心よりお待ちしております。

無料相談のお問い合わせはこちら

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